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エリート、新チーム結成。
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雪女は魔法学生のユキとして、魔法学校のお世話になることに決めた。
住む場所は、魔法学校内にある寮に住まわせてもらうことになったのだが…。
「あ、あたしと同じ部屋…!?」
「えぇ。何か問題が…?」
「い、いえ…。別に…。」
見知った顔の方が良いのではないかと、ローグ先生はユキをリンと同室にしようとしていた。険悪なムードには気付かずに。
(あたしこの子ちょっと
苦手なのよね…。怖いし…。)
(鈴子ちゃんと似てる名前、
同じ呼び方…なんだか
気に入らない…。)
お互いに相手のことを毛嫌いしているという最悪な状態のまま、結局同室になってしまった…。一番の被害者は、元々リンと同じ部屋で暮らしていたモエかもしれない…。
「ここが私たちと貴女の部屋です。
エリートな先輩の言うことを
ちゃんと守ってくださいね!」
「…ふんっ。」
「んなっ!?」
「何よその態度は!?
人がせっかく親切に
気を遣ってあげてると
いうのに…!!」
普段敬語でエリート感を出していたリンの口調が、ユキの無愛想な態度でついに崩れてしまった。
「ま、まぁまぁリン先輩…!
ユキさんは記憶喪失で
混乱していて、いろいろ
疲れているんだと思います…。」
「そっとしておいてあげましょう…!」
「モ…モエちゅわん…!」
なんて可愛くて良い子なんだ!と感動して目を潤ませるリン。どこかの誰かと違って…!と、そう心の中で付け足した。
4人部屋を2人で使っていたので、まだベッドも余っている。家事当番も人が一人増え、個々の仕事量が減るなど、表向きは快適な寮生活に一歩近付いていた。
だが、リンはモエと二人っきりのイチャイチャ部屋に馬の合わない女の子が入ってきてしまったので、それはもう不満であった。
そんな生活から数日が経過したある日。
「どうですか?ユキさんとは
上手くやっていますか?」
「え、えぇ…。エリートですから、
新しい後輩の面倒はしっかり
見ていますよ!うふふふ…。」
苦笑いしながらローグ先生に報告するリン。しかし、実際はほとんど口も利いていない険悪ムードなままであった。
「それは良かった。
エレナさんが昇格し、
リンさんの班を抜けて以来、
少し心配していたのです。」
「それならば、
新しい班もユキさんと
同じで大丈夫ですね。」
「ゲエッ!?」
「な、何か問題でも…?」
「い、いえ別に…。」
実はリンとモエは、ユキがやって来る前、もうひとり別の魔法学生の少女エレナと寮生活を共にし、3人のチームを組んでいた。
だが、エレナはある日、Sランクに昇格したのをきっかけに、Sランクだけの特別任務が与えられ、それからリンとモエとは別行動になっていたのだった。
「寮生活で親睦を深め、
お互い分かり合えた今なら、
きっと任務も上手く行くでしょう。」
「え、えぇ…。そうですね…。」
ローグ先生は優秀で優しい先生なのだが、あまり細かいことには気付かない鈍感な人のようであった。
ローグ先生との会話を終え、ぐったりとした様子のリンが廊下を歩いていると、一人の女性がリンに近付いてきた。
「リンさん。なんだか
お疲れのようだねぇ。」
片目を長い銀髪で隠した怪しげな風貌の女性が、ニヤニヤしながらリンに労いの言葉を掛ける。
「ミスティ先生…。」
「ローグは鈍感だから、
彼の言動に振り回されて
疲れるんだよねぇ…。」
「分かる、分かるよ…。
私もそうだから…。
ふふふ…。」
「は、はぁ…。」
リンはミスティ先生に少し苦手意識を持っていた。悪い先生ではないのだが、風貌やら口調やらがとにかく怪しいのだ…。よく見れば整った顔立ちの美人さんなのだが…。
「これ君にあげるよ。
上手く役立ててねぇ。
ふふふ…。」
「あ、ありがとうございます…。」
ミスティ先生から渡された物は、紫の魔石であった。リンには良い思い出のない、魔物を呼び寄せる力のある石だ。
リンは複雑な顔をしながら、それを懐に仕舞った。
住む場所は、魔法学校内にある寮に住まわせてもらうことになったのだが…。
「あ、あたしと同じ部屋…!?」
「えぇ。何か問題が…?」
「い、いえ…。別に…。」
見知った顔の方が良いのではないかと、ローグ先生はユキをリンと同室にしようとしていた。険悪なムードには気付かずに。
(あたしこの子ちょっと
苦手なのよね…。怖いし…。)
(鈴子ちゃんと似てる名前、
同じ呼び方…なんだか
気に入らない…。)
お互いに相手のことを毛嫌いしているという最悪な状態のまま、結局同室になってしまった…。一番の被害者は、元々リンと同じ部屋で暮らしていたモエかもしれない…。
「ここが私たちと貴女の部屋です。
エリートな先輩の言うことを
ちゃんと守ってくださいね!」
「…ふんっ。」
「んなっ!?」
「何よその態度は!?
人がせっかく親切に
気を遣ってあげてると
いうのに…!!」
普段敬語でエリート感を出していたリンの口調が、ユキの無愛想な態度でついに崩れてしまった。
「ま、まぁまぁリン先輩…!
ユキさんは記憶喪失で
混乱していて、いろいろ
疲れているんだと思います…。」
「そっとしておいてあげましょう…!」
「モ…モエちゅわん…!」
なんて可愛くて良い子なんだ!と感動して目を潤ませるリン。どこかの誰かと違って…!と、そう心の中で付け足した。
4人部屋を2人で使っていたので、まだベッドも余っている。家事当番も人が一人増え、個々の仕事量が減るなど、表向きは快適な寮生活に一歩近付いていた。
だが、リンはモエと二人っきりのイチャイチャ部屋に馬の合わない女の子が入ってきてしまったので、それはもう不満であった。
そんな生活から数日が経過したある日。
「どうですか?ユキさんとは
上手くやっていますか?」
「え、えぇ…。エリートですから、
新しい後輩の面倒はしっかり
見ていますよ!うふふふ…。」
苦笑いしながらローグ先生に報告するリン。しかし、実際はほとんど口も利いていない険悪ムードなままであった。
「それは良かった。
エレナさんが昇格し、
リンさんの班を抜けて以来、
少し心配していたのです。」
「それならば、
新しい班もユキさんと
同じで大丈夫ですね。」
「ゲエッ!?」
「な、何か問題でも…?」
「い、いえ別に…。」
実はリンとモエは、ユキがやって来る前、もうひとり別の魔法学生の少女エレナと寮生活を共にし、3人のチームを組んでいた。
だが、エレナはある日、Sランクに昇格したのをきっかけに、Sランクだけの特別任務が与えられ、それからリンとモエとは別行動になっていたのだった。
「寮生活で親睦を深め、
お互い分かり合えた今なら、
きっと任務も上手く行くでしょう。」
「え、えぇ…。そうですね…。」
ローグ先生は優秀で優しい先生なのだが、あまり細かいことには気付かない鈍感な人のようであった。
ローグ先生との会話を終え、ぐったりとした様子のリンが廊下を歩いていると、一人の女性がリンに近付いてきた。
「リンさん。なんだか
お疲れのようだねぇ。」
片目を長い銀髪で隠した怪しげな風貌の女性が、ニヤニヤしながらリンに労いの言葉を掛ける。
「ミスティ先生…。」
「ローグは鈍感だから、
彼の言動に振り回されて
疲れるんだよねぇ…。」
「分かる、分かるよ…。
私もそうだから…。
ふふふ…。」
「は、はぁ…。」
リンはミスティ先生に少し苦手意識を持っていた。悪い先生ではないのだが、風貌やら口調やらがとにかく怪しいのだ…。よく見れば整った顔立ちの美人さんなのだが…。
「これ君にあげるよ。
上手く役立ててねぇ。
ふふふ…。」
「あ、ありがとうございます…。」
ミスティ先生から渡された物は、紫の魔石であった。リンには良い思い出のない、魔物を呼び寄せる力のある石だ。
リンは複雑な顔をしながら、それを懐に仕舞った。
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