紋章最強の転生者はほのぼの生活したい(希望形)

燕上ゆうき(旧名:クゲルブ)

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1章【緑の竜と新しき伝説】

10話─リュークの魔法指導

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「ふう、今日も疲れた」

「といっても、リュークくんは授業の半分ぐらいしかまともにやってないけどね」


 リュークが学校を入学してからかれこれ1ヶ月経った。

 学校もある程度慣れ、今はクラスメイトと仲良く学校生活を送っている。

 リュークとは関係の悪いカルスだが、彼は基本クラス長としての仕事が多く、リュークにかまっている暇はない。


 ちなみにだが、リュークは全8科目ある授業の4科目を真面目に取り組んでいる。

 まずは好きな錬金術、次に薬学。錬金術と薬学は違って、錬金術は魔力を与え作用させたりするものであり、薬としてだけではなく阻害としても使える。薬学は元々の素材に魔力を干渉させない。言い換えれば現代薬と漢方のような感じだ。

 この二つは将来役に立つだろうと言う思いから真面目にやっている。

 そして次に体育。理由としては強化魔法の訓練のためが大きいのと、やはり体を動かすのは気持ちいいからという理由。

 そして最後が魔術だ。授業内容はというと、魔法をひたすら打つのが半分、もう半分は魔法の移動や魔法の合成など、ちょっとした技などをやっている。

 最初はリュークにもやる気はなかったのだが、数回した後、彼にとって新事実が発覚した。

 なんと、魔法をひたすら打つことにより(以後魔法行使法)魔法の威力が上がったのだ。

 今までこれが無意味だと思っていたのには特に理由はない。ただ単に彼が「こんなことするより魔力操作の方が効率が良くね?」となり、いつしか無意味だと感じていただけだ。


 だが、よく調べてみるとこの二つの方法はそれぞれ別の物が上がっていた。

 結果的に魔法の威力が上がった。だがそれは魔力操作による上がりとは別の上がりなのだ。


 ゲームで考えるとわかりやすいかもしれない。

 ステータスでINTを上げるとMAT(MGAT)が上昇するだろう。

 魔力操作ではそのINTの値が上昇し、結果としてMATが上昇する。

 魔法行使法では、MATの値自体が上昇する。といった感じだ。

 ゲームをやらないものには少し意味がわからないかも知れないが、そんなもんだと思ってくれて構わない。


 そんなこんなで、リュークは魔術の授業をちゃんと受けることとなった。


 今日のエマとリュークは、授業を終えてから訓練場へと足を運んだ。

 というのも、エマの魔法を見たいというリュークの要望からだ。

 エマはようやく準備を終えたらしくリュークに合図を送った。


「じゃあ打つよ………えい!」


───ビュウウゥゥ!

 エマの魔法がまとにあたると、木製であるまとには亀裂が残っていた。

 バツ印のように入った亀裂はすぐに修復していった。


「…やった…やった!とうとうできたよ!」


 彼女が放ったのは風魔法に分類される風刃かまいたちである。

 これは一般的には上級風魔法とされている。

 彼女はその上級魔法をできた────訳ではない。

 確かに風刃かまいたちは上級風魔法だが、彼女の魔法は上級風魔法としての・・・・・・風刃かまいたちと比べると劣るのだ。


 それは刃の個数の問題だ。


 上位風魔法としての風刃かまいたちを使えるものは、毎秒5~8個の刃を3分以上は続けて行使できる。

 だが、今のエマでは毎秒2個を1分が限界だろう。


 それは魔力の差にある。

 エマの風刃かまいたちは、魔法操作により生み出したものだ。

 風を刃のように高速に動かす。そうすることにより生み出したのがエマの風刃かまいたちだ。

 だが、上位風魔法の風刃かまいたちは下級風魔法である風玉エアロボールの風の速度を早くし、巻き込む風の量を多くしたものだ。

 これはひとつの風の玉を作り、その玉を一瞬だけ何倍の速さで動かすとその中で1つの風の刃ができる。そして、風での連鎖が起こり5つの刃が生じる。それにより毎秒5個の刃を作ることが可能だ。

 しかも、エマのように自分で作るのではなく、風を動かしているだけのため魔力消費も少ない。

 エマの風刃かまいたちは上位風魔法である風刃かまいたちの下位互換、というわけだ。

 だが、これを理解できるのはごく僅かな人数。それも上位魔法を何個も操れたり、魔法に関して研究してる人達でも名を残す、または名を残せそうな人達くらいだ。


「ああ……僕も予想してなかったぞ…こんな短期間でここまでになるとは」


 だが、下位互換であっても風刃かまいたち風刃かまいたち。上級魔法であるためか1発の魔法としての威力は高い。

 リュークはエマが1ヶ月そこらでこれを出来るようになるとは思っていなかったため、心から驚いている。

 彼女が1ヶ月という期間で風刃かまいたちを魔法操作により作り出せるのは、彼女の器用さが高い証拠だろう。


 エマの魔法は風刃かまいたち以外にもリュークのの指導を受け続けた結果、日に日に威力を上げていた。

 リュークがエマに指導をしている理由は、リュークのやりたい事のためだ。

 そのやりたいことをするためには色々と必要なのだが、とりあえずエマには「リュークが直接魔法の指導を行うとどうなるか」という実験に付き合ってもらった。


 ただし、彼女には指導を受ける前に魔法が一般を超え、恐らく上位者も簡単に超えるだろうということを話し、承諾を得ている。

 その承諾には「リュークの教えたことを広めない」ということも承諾してもらっている。


「ふむ、これなら………ふふふ」

「…なんか怖いよ、リュークくん」

「でもすぐに亀裂治ったけど、これって付与効果エンチャントされてるの?」


 そしてリュークはまとに近づき、隅々まで見ている。

 木の円には、新品のように傷一つない。


「授業で先生言ってたじゃん…これはまと付与効果エンチャントされている「自動回復」という効果が発揮したからだよ」


 まとには複数の付与効果エンチャントがされている。


 まずはエマの言った自動回復。これは傷を受けた時に修復する効果である。

 回復速度は付与師エンチャンターの精密性と素材の脆さに比例する。

 紙などのようなもろいものはすぐに修復される。だが、銀や金などの硬いものは修復には時間がかかる。

 このまとは木製でもろいため、そして付与師エンチャンターの技術度が高く、すぐに修復された。


 他にも、魔法防御上昇がついている。

 名前から分かる通り、魔法に対する防御力をあげるのだ。

 だが、物理に対するダメージ軽減はないためか普通に殴ろうと思えば攻撃は通用し、おそらく壊れる。


 また、魔法軽減結界もついている。

 これは一定以下の魔法による攻撃を無効化させるものだ。

 魔法の威力から魔法軽減結界の耐久度を引いて耐久度のほうが低かった場合、まとには一切ダメージは入らない。

 入試試験にて、これと魔法防御上昇でこの的にダメージが入らない場合は問答無用で落第となる。


「僕の魔法でも耐えるんだからすごいよな…これ」


 リュークの最大の魔法─カルスとの決闘で使った魔法を使ってもまとは壊れなかった。

 ボロボロにはなったものの、なんとか耐えたのだ。


「ギリギリってところだったけどね…あれより上の魔法を使ったとしたらたぶん壊れてたけど…壊れてた場合どうしてたの?」

「え、えっと…それは…」


 エマはリュークをジト目で見た。


 リュークは魔法を使った後のことは考えていなかったため、壊れていた場合は何も考えていなかった。


「…ま、まあ、壊れても魔法でだし…学生ですし…なんとかなるだろうな…って」

「弁償しろって言われてたらできたの?」

「うっ…た、たらればの話は良くないと思うんだよな」


 と、そんな話をしていると────

 ズズズ

 出入り口となっている木製の扉から音がした。


「・・・?」


 リュークは音に気づき扉の方を見ると、扉はすこし開かれており、その隙間から二人の人が覗いていた。


「誰!?」

「「あっ…」」


 除いている2人はリュークが呼んでいることに気づくと、コソコソと話を始めた。

 そして何か決まったのか、入ってきてリュークの目の前に立った。


 そして、頭を下げてこう言った。




「「リューク様!弟子にしてください!」」

「………………は?」


 呆然とし、思考を再開させるのに15秒。

 思考を再開し、理解するまでに25秒。


 40秒というたっぷりの時間を使いようやく状況を理解したリューク。

 だが、状況を理解して、突然疑問は現れた。


「と、とりあえず顔を上げて」


 リュークに言われたことにより顔をあげる2人。
 そしてリュークの疑問を2人に聞く。


「えっと…二人はだれ?」


 なんと、リュークの記憶には2人は居なかったのだ。


「リュークくん、2人はクラスメイトだよ。」

「…え?」


 そしてエマは2人をみてそれぞれの自己紹介を始めた。


「アジルくん。順位は確か12位で使える魔法は水だったかな…?」

「はい!そうです!」

「そしてエミルくんは順位16位の使える魔法が…あれ、なんだっけ?」

「闇です!」

「ちょちょちょっとまって」


 エマの紹介に違和感を覚えたリュークはエマに聞いた。


「えっと…エミルくん・・?ちゃんじゃなくて?」



「ボ、ボクは男ですよ!」

「…えええええ!?」
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