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第一章
第五話
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少し私の話をしよう。
といっても、私自身にそれと言った特徴は無い。話したいのはゲームの話だ。
普通の、大学生だった頃の私は変わらない日々の繰り返しに身を任せていた。
その中で元々ゲームが好きだった私は、ネットサーフィンや実況動画を見ながらよさげなゲームは無いか日々探し回っていた。他に趣味もない私はゲームを片っ端から買って、すぐに飽きた。
ゲームは好きなのだが、元々飽き性なのだ。長続きしない。
日記なんて三日、とは言わないものの一週間続けばいい方である。そうと分かっていながら数ページしか書かずに捨てた日記帳が五冊になった辺り、もう諦めた。
まあ、そんなこんなで趣味のゲームでさえも長続きするものは多くない。
RPGものなんてストーリーが全部終われば良い方。恋愛ゲームは一人攻略したらいい方。
しかし、PCゲームはギルドに入れば早々やめることは無い。
元々気の弱い私はギルドの退団システムと言うのが怖くて、一週間ログインしていないと退団、という条件があると結構続く。
凄く窮屈な気はするが、面白そうなゲームなら初めからそういうギルドにわざと入る事もあった。
しかしトアミスは完全な個人戦。ギルドなんてものは無い。『同盟』という名のそれっぽいものはあったが、イベントでは機能せず、普段は侵攻出来るし何かチームイベントがあるわけでもない。
ただの友人と遊ぶときのチャットと、アイテム売買の時にほんの少し関税が少ないだけだ。
勿論私は同盟は組まずに気ままにプレーしていたのだけど、どうせすぐに飽きると思っていたこれが、存外続いた。
予想、というか分析結果だが、続いた理由はキャラクター制作の自由度の高さだろう。
名前、種族などは勿論。立ち絵、技、性格までもが自由に作ることができた。
なんでもコンピュータで判定されているらしいのだが、技の名前、効果範囲、威力、成長度は自分で決めれた。面倒な人と金がかかるのが嫌な人は既存のものだけでも十分戦える仕様らしい。プログラミングも出来るのなら指定の手順さえ踏めば自力で可能だ。凄すぎ。
幸い絵を書くことが好きだった私は自分の配下を全員、自分でイラストを描いてゲーム会社に送って判定を受けた。余程奇抜でないか、エロが入ってない限り許可されるそれは私を虜にしたのだ。
ここで、少し話は変わるが、私はモテない。彼氏は1、2人いたこともあったが、どれも長続きせずに終わった。しかも、半分以上のキャラがその失恋したときにヤケで書いたのだ。
つまり、その時の私の心情は。
――目指せ逆ハー!
お分かり頂けただろうか。つまり、この配下達は私に対して異常なまでの愛や好意を持つものが大半であり、しかも逆ハーを目指しただけに顔面偏差値が異様なまでに高い男性キャラが多い。
加えて、気づかなかっただろうが、私のアバターは男なのだ。
ゲームとしてプレイする時は気にしなかったものの、これは思わぬ弊害だ。
「―――どうしようかなあ」
今になって思う。これは失敗だったかもしれない。いや、こんな事態は想像してないけど。
悪感情を抱かれるよりはいいのだろうけど、素直に喜べないものだ。
「しかも、コクマーは執事キャラなんだよね…」
初期に作っただけあって、コクマーは王道路線のイケメンだ。物腰は柔らかで、私に対して従順。しかし言うべきところはしっかりと発言し、国の準参謀のようなものだ。しかし服は燕尾服だとかスーツではなく、私の趣味全開の神父の親戚のような格好だ。正直露出何てこれっぽっちもないが、結構エロいと思って気に入ってる。
とまあ、なんでこんな独白をしたかと言うと、コクマーとミュリエルの今後の扱いの為だ。
理性だけで考えるなら、危険が多い外はミュリエルが行ってそれを二人で待つのがいいだろう。この城には最低限の防衛技術も、私の集めたレアアイテムも山の如くある。おそらくどんなに強い敵でも防衛だけは可能だ。
しかし、感情で考えた時にその案には頷けない。
私は外へ行きたいし、恥ずかしい話だがコクマーとミュリエルには側にいてほしい。
――――私は外面は大胆なくせに、内面は内気で気弱なのだ。
少なくとも、誰も知ってる人がいないこの状況で私に全幅の信頼を置いてくれる二人は私の精神安定剤だ。
どちらかは連れてい行く。絶対だ。
私が外に行くことも確定なので、自然とついてくる方と城を守る方に分かれる。
しかしここで問題が起きる。
強さの順番だけで言うなら私、コクマー、ミュリエルの順だ。つまり、上位二人が出払うという事になってしまう。
強さを考えるなら私とミュリエル。そして城にコクマーのはずなのだ。
しかしコクマーはこれを嫌がった。あの、従順キャラのコクマーが、だ。
どうしたものか、と何度繰り返したか分からない思考のループにハマる。だって、こういうのを無理やり命令するのは違う。言えば大人しく従ってくれるとは思うが、私は彼らの意見を聞いてあげたいと思う。それならコクマーの言う通りにすればいいのだが、城の防衛も心配だ。私は彼らを見殺しにしたくはない。
正直、ミュリエルだけでは心もとない。せめてこの周りの生物の強さの全貌がわかればなあ。
結局人を探しにいったミュリエルの帰り待ちになるのだ。
コクマーには城の機能が正常に働いているかの確認に行ってもらった。そろそろ終わるだろうか。
うーん、と椅子の上で背伸びをして立ちあがる。少し、体を動かそう。そうしたら何か良い案が浮かぶかもしれない。
「ん、コクマーに一言言って外に出てみようか」
ミュリエルの話だと、ここら辺には敵になるような敵は居ない。レベル差だけで250前後ある。負けようがないだろう。
そうと決まれば、話は早い。私はアイテム欄から簡単な服に着替え、着ていた完全装備を外す。
▼
体:ヴォレムトンのセーター・白(防御+150/攻撃-50)
頭:オシャレな帽子・赤(防御+2)
腕:
脚:オシャレなパンツ・黒(防御+2)
装飾:青水晶のピアス(MP+500)
武器:炎精霊の杖(魔攻+2000/火耐性+30%/土耐性-10%)
▲
ログインボーナスだとかで貰ったただのおしゃれ用防具もいつかは使い道が来るものである。
「さて、と≪転移 城門≫」
ゲームでもおなじみの呪文を唱える。
転移は国王のみが使える常用スキルで、プレイヤーが王になった時に手に入れるスキルだ。範囲は自国のみ、と限定的だが、ゲーム内では場面切り替えのアイコンだった。
使えるかは出たとこ勝負だったのだが、問題は無かったらしい。
それなら、ともう一つのおなじみの呪文を唱える。
「≪Viens ici 疾風≫」
拙い発音のはずなのに、口から出たのはなめらかな発音で。
自分の言葉に驚いてしまう。
「どうした、ケイト」
後ろから聞こえた声にバッと振り向く。
そこにはゲームで何度も見た、友人の姿。
「ああ、疾風。君はやっぱりいるんだね」
「なんだ?当たり前だろう。俺は君だ」
「――うん」
「用があったんだろう?」
「そう、コクマーに伝言を。しばらく外にいる。城の警護を頼んだ」
「了解」
そう言葉を残して風となって消えた疾風を見送る。
使い魔である疾風は配下ではないから使えると思ったのだが、その通りだったらしい。
使い魔は他にも何人かいるのだが、召喚にはMPを使う上、魔力から生み出されるので始めの知識はゼロ。そして最大の特徴は一度に一人だけ、というところだ。あくまで使い魔はサポートキャラの設定で、各々に固有のスキルをいくつか設定できる。他の利点としてはすぐに呼べるところだろうか。
そして、疾風は『伝達者』というスキルで他人への言葉を風に乗せる。色々と使い勝手のいい使い魔だ。
「よし―――――いざ、異世界!」
開いて行く城門の先には、新しい世界が始まっていた。
といっても、私自身にそれと言った特徴は無い。話したいのはゲームの話だ。
普通の、大学生だった頃の私は変わらない日々の繰り返しに身を任せていた。
その中で元々ゲームが好きだった私は、ネットサーフィンや実況動画を見ながらよさげなゲームは無いか日々探し回っていた。他に趣味もない私はゲームを片っ端から買って、すぐに飽きた。
ゲームは好きなのだが、元々飽き性なのだ。長続きしない。
日記なんて三日、とは言わないものの一週間続けばいい方である。そうと分かっていながら数ページしか書かずに捨てた日記帳が五冊になった辺り、もう諦めた。
まあ、そんなこんなで趣味のゲームでさえも長続きするものは多くない。
RPGものなんてストーリーが全部終われば良い方。恋愛ゲームは一人攻略したらいい方。
しかし、PCゲームはギルドに入れば早々やめることは無い。
元々気の弱い私はギルドの退団システムと言うのが怖くて、一週間ログインしていないと退団、という条件があると結構続く。
凄く窮屈な気はするが、面白そうなゲームなら初めからそういうギルドにわざと入る事もあった。
しかしトアミスは完全な個人戦。ギルドなんてものは無い。『同盟』という名のそれっぽいものはあったが、イベントでは機能せず、普段は侵攻出来るし何かチームイベントがあるわけでもない。
ただの友人と遊ぶときのチャットと、アイテム売買の時にほんの少し関税が少ないだけだ。
勿論私は同盟は組まずに気ままにプレーしていたのだけど、どうせすぐに飽きると思っていたこれが、存外続いた。
予想、というか分析結果だが、続いた理由はキャラクター制作の自由度の高さだろう。
名前、種族などは勿論。立ち絵、技、性格までもが自由に作ることができた。
なんでもコンピュータで判定されているらしいのだが、技の名前、効果範囲、威力、成長度は自分で決めれた。面倒な人と金がかかるのが嫌な人は既存のものだけでも十分戦える仕様らしい。プログラミングも出来るのなら指定の手順さえ踏めば自力で可能だ。凄すぎ。
幸い絵を書くことが好きだった私は自分の配下を全員、自分でイラストを描いてゲーム会社に送って判定を受けた。余程奇抜でないか、エロが入ってない限り許可されるそれは私を虜にしたのだ。
ここで、少し話は変わるが、私はモテない。彼氏は1、2人いたこともあったが、どれも長続きせずに終わった。しかも、半分以上のキャラがその失恋したときにヤケで書いたのだ。
つまり、その時の私の心情は。
――目指せ逆ハー!
お分かり頂けただろうか。つまり、この配下達は私に対して異常なまでの愛や好意を持つものが大半であり、しかも逆ハーを目指しただけに顔面偏差値が異様なまでに高い男性キャラが多い。
加えて、気づかなかっただろうが、私のアバターは男なのだ。
ゲームとしてプレイする時は気にしなかったものの、これは思わぬ弊害だ。
「―――どうしようかなあ」
今になって思う。これは失敗だったかもしれない。いや、こんな事態は想像してないけど。
悪感情を抱かれるよりはいいのだろうけど、素直に喜べないものだ。
「しかも、コクマーは執事キャラなんだよね…」
初期に作っただけあって、コクマーは王道路線のイケメンだ。物腰は柔らかで、私に対して従順。しかし言うべきところはしっかりと発言し、国の準参謀のようなものだ。しかし服は燕尾服だとかスーツではなく、私の趣味全開の神父の親戚のような格好だ。正直露出何てこれっぽっちもないが、結構エロいと思って気に入ってる。
とまあ、なんでこんな独白をしたかと言うと、コクマーとミュリエルの今後の扱いの為だ。
理性だけで考えるなら、危険が多い外はミュリエルが行ってそれを二人で待つのがいいだろう。この城には最低限の防衛技術も、私の集めたレアアイテムも山の如くある。おそらくどんなに強い敵でも防衛だけは可能だ。
しかし、感情で考えた時にその案には頷けない。
私は外へ行きたいし、恥ずかしい話だがコクマーとミュリエルには側にいてほしい。
――――私は外面は大胆なくせに、内面は内気で気弱なのだ。
少なくとも、誰も知ってる人がいないこの状況で私に全幅の信頼を置いてくれる二人は私の精神安定剤だ。
どちらかは連れてい行く。絶対だ。
私が外に行くことも確定なので、自然とついてくる方と城を守る方に分かれる。
しかしここで問題が起きる。
強さの順番だけで言うなら私、コクマー、ミュリエルの順だ。つまり、上位二人が出払うという事になってしまう。
強さを考えるなら私とミュリエル。そして城にコクマーのはずなのだ。
しかしコクマーはこれを嫌がった。あの、従順キャラのコクマーが、だ。
どうしたものか、と何度繰り返したか分からない思考のループにハマる。だって、こういうのを無理やり命令するのは違う。言えば大人しく従ってくれるとは思うが、私は彼らの意見を聞いてあげたいと思う。それならコクマーの言う通りにすればいいのだが、城の防衛も心配だ。私は彼らを見殺しにしたくはない。
正直、ミュリエルだけでは心もとない。せめてこの周りの生物の強さの全貌がわかればなあ。
結局人を探しにいったミュリエルの帰り待ちになるのだ。
コクマーには城の機能が正常に働いているかの確認に行ってもらった。そろそろ終わるだろうか。
うーん、と椅子の上で背伸びをして立ちあがる。少し、体を動かそう。そうしたら何か良い案が浮かぶかもしれない。
「ん、コクマーに一言言って外に出てみようか」
ミュリエルの話だと、ここら辺には敵になるような敵は居ない。レベル差だけで250前後ある。負けようがないだろう。
そうと決まれば、話は早い。私はアイテム欄から簡単な服に着替え、着ていた完全装備を外す。
▼
体:ヴォレムトンのセーター・白(防御+150/攻撃-50)
頭:オシャレな帽子・赤(防御+2)
腕:
脚:オシャレなパンツ・黒(防御+2)
装飾:青水晶のピアス(MP+500)
武器:炎精霊の杖(魔攻+2000/火耐性+30%/土耐性-10%)
▲
ログインボーナスだとかで貰ったただのおしゃれ用防具もいつかは使い道が来るものである。
「さて、と≪転移 城門≫」
ゲームでもおなじみの呪文を唱える。
転移は国王のみが使える常用スキルで、プレイヤーが王になった時に手に入れるスキルだ。範囲は自国のみ、と限定的だが、ゲーム内では場面切り替えのアイコンだった。
使えるかは出たとこ勝負だったのだが、問題は無かったらしい。
それなら、ともう一つのおなじみの呪文を唱える。
「≪Viens ici 疾風≫」
拙い発音のはずなのに、口から出たのはなめらかな発音で。
自分の言葉に驚いてしまう。
「どうした、ケイト」
後ろから聞こえた声にバッと振り向く。
そこにはゲームで何度も見た、友人の姿。
「ああ、疾風。君はやっぱりいるんだね」
「なんだ?当たり前だろう。俺は君だ」
「――うん」
「用があったんだろう?」
「そう、コクマーに伝言を。しばらく外にいる。城の警護を頼んだ」
「了解」
そう言葉を残して風となって消えた疾風を見送る。
使い魔である疾風は配下ではないから使えると思ったのだが、その通りだったらしい。
使い魔は他にも何人かいるのだが、召喚にはMPを使う上、魔力から生み出されるので始めの知識はゼロ。そして最大の特徴は一度に一人だけ、というところだ。あくまで使い魔はサポートキャラの設定で、各々に固有のスキルをいくつか設定できる。他の利点としてはすぐに呼べるところだろうか。
そして、疾風は『伝達者』というスキルで他人への言葉を風に乗せる。色々と使い勝手のいい使い魔だ。
「よし―――――いざ、異世界!」
開いて行く城門の先には、新しい世界が始まっていた。
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