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第一章
第一話
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パリンッ、と音が響く。
重厚な造りの黒塗りの椅子に、一人の女が座っていた。
一生開かれるはずのなかった彼女の瞼は、その音と共に静かに揺れる。
綺麗な翡翠色の宝石が、暗い室内で静かに瞬いた。
「ん、あ、あ――」
声の発せられる喉に、手を当てて首を傾げた。
そしてはっきりとした意識を持って、息をのむ。
「いきて、る」
大きく目を見開いて、彼女は嬉しそうに笑った。
◇
某月某日。戦略シュミレーションRPGゲーム「Tour mysterieuse」の新作が発売された。その名も「Pierre mysterieuse」
なんでも今回は今までのゲーム使用を大きく変更し、プレイヤーのフルダイブを導入したらしい。数年前に開発され、世間を大きく震撼させたフルダイブ。
今ではそれも昔の話となり、今やフルダイブも当たり前のとなっていた。
しかしそれでも、携帯型やPC型、テレビ型も一気に存在が無くなることは無い。
その上で、この「mysterieuseシリーズ」はPCゲームとして5年間の歴史を培ってきたのだ。
そして今日、このゲームのフルダイブ型が発売されたのだ。
勿論、「Tour mysterieuse」歴5年の私は一月前から予約して発売を待った。
もうすぐそのゲームが届く時間のはず…
ピンポーン
「お」
どうやら予約していた商品がちょうど届いたらしい。全く、どれだけこの日を待ち望んでいたことか!
ニヤつく頬を隠しながら配達員さんにサインを渡して、しっかりとゲームの小包を受け取る。
早速部屋に帰って紙の包装を破った。
その中には、黒の背景に赤い紋章、そして中央の「Pierre mysterieuse」の文字。
「――ついに!取扱説明書は…いや、早速データの移行を…」
元々自分は説明書を読む質ではないし、事前情報である程度の知識は持っている。
その中でも今回の特徴の一つであり、私の一番待ち望んでいた機能に前作のデータを完全に移行できる、というものがある。
引き継げられるのはアバター、レベル、スキル、アイテム、金、そして配下。
地形やストーリー以外はほぼ全て、といってもいい。
そして私のアバターは、レベル上限の300。
まあ5年もやってれば、多少はね。そして今回は引き継ぎのために溜めれるものはほぼ最大限溜めてきた。
「えーと、確かトアミスの方でコードが発行されるんだったな」
PCでトアミスを起動し、コードを発行。それをしっかりとメモして――
「…あれ?…いやいやいや?このメモどうやってもっていくの?」
フルダイブとは、その名の通り全てをダイブする。しかしそれは人間の情報だけであって、手に持った紙をそのままゲーム内に持って行くことは出来ない、はずだ。
つまりそれはこのコードを記憶してゲームを始める必要があるということで。
「ムリじゃん。このコード何桁、あると思ってるの」
15桁の数字とアルファベットを混在させたコード。覚えられるだろうか。
「完全に計算ミス」
数日待てば、何か打開策が会社から提示されるかもしれない。しかしそれは私がこのゲームを数日できないことと同義である。
せっかく会社の有給を使って一週間休みをもぎ取ってきたというのに、それでいいのか、私。
「いや良くない」
死ぬ気でやれば、なんでもできる。
そして30分後、完璧だ。そう言い残して私は「Pierre mysterieuse」へとダイブした。
◇
白の世界に、一人の女性が居た。
彼女は私を見て、にこりと微笑む。
「あ、どうも…」
「こんにちは。私は案内人のアリアです。ようこそPierre mysterieuseの世界へ」
綺麗なお辞儀をした彼女は、綺麗な金髪を後ろに流した青の瞳の美人だった。NPCと分かっていても美人すぎてドギマギする。
「前作『Tour mysterieuse』からデータを移行しますか?」
目の前に透明のウィンドウが現れ、はいといいえの選択肢が現れる。その下に注意書きも書いてある。
※口に出すと返事として処理されます。ある程度の返答は可能ですが、ここでは「はい」「いいえ」で返してみましょう!
「はい」
注意書きに従って素直に従った瞬間、自分の口から声が聞こえた。少し高すぎないか?
「かしこまりました。ではコードの入力をお願いします」
さて、ここからが正念場だ。
目の前のウィンドウを見つめ、キーボードを打ち始める。
最初は――
「…」
そして私は、見事にコードを忘れていた。最後の7桁、7文字だけ。
忘れた。もうだめだ。
一度電源を落としてまた確認するのも考えた。しかし何故かこのウィンドウ、「戻る」等のボタンが存在しない。どうやら起動したら一度セーブまで行かなければならないらしい。
まさか最後の希望すらないとは。
もう適当にいれるしか道はない。
「…自分の好きな魔物の名前でも入れとこう…」
Enterを押し、ウィンドウが消える。そしてエラーの文字が出現する――――はずだった。
その瞬間、パリンッと小さく何かが壊れる音がして辺りを見渡す。しかし真っ白いこの空間にはなにも割れる物などない。
気のせいか、とアリアに目線を戻すと固まったままだったアリアが動き出したところだった。
「承認しました。『プレイヤー名:ケイト レベル:300 王国名:セルモント王国』で間違いありませんか?」
「え」
目の前のウィンドウにははいといいえの選択肢。
そしてアリアの言った全てが、データは自分のものであることを示していた。
「…そんな訳、ない。ええ…?」
あんなコードではなかった。それは確実だ。最後の7桁がアルファベットのみの訳もない。
しかし、まあ。
「なったんだしいい、か。―――はい」
「確認しました。ケイト様。ご帰還お喜び申し上げます。ケイト様の配下数は100名です。キャラクター情報を変更しますか?」
「いいえ」
「かしこまりました。配下数は100。キャラクター状態を保存しました。ケイト様のアバター情報を変更しますか?」
「いいえ」
「かしこまりました。アバター情報を保存しました。所持アイテムの引き継ぎを行いますか?」
「はい」
「かしこまりました。所持アイテムを引き継ぎました。王国情報を変更しますか?」
「いいえ」
「かしこまりました。それでは『Pierre mysterieuse』をお楽しみください」
◇
目の前に飛び込んできたのは黒。そしてそれは次々に色を取り戻していき、一つの情景へと変化する。
街で笑いあう住人、畑を耕す人、馬の世話の様子、そして城。
国中賑やかな様子で、空は青々しく輝いている。しかしそこに、黒い暗雲が立ち込めた。
そしてその雲の中から現れたのは――大量の魔物だった。
多くの兵士や冒険者が対戦するも、魔物の数はそれを軽く凌駕した。
街は崩壊、民は死に、国は崩壊した。
しかし城と王だけは最後、配下の仲間たちに守られ、生き延びる。
転移して逃げた先は見知らぬ土地。そして王は、意識を手放した。
Pierre mysterieuse
◇
「…今のは、OPか」
事前情報によると、大体同じような概要だったと思われる。
そして今の映像。自分が世界を飛んでいるような状況で見たそれは、中々にクるものがあった。
何と言っても王とその配下、そして国だ。
前作は国を制作し、他国を侵略するゲームスタイルだった。
一人の旅人がある王のない国を訪れる。すると彼は世界の王なるべくして生まれたものであると持ち上げられ、着々と国の王として祭り上げられた。その変わりと言っては何だが、と勧められたのが配下の召喚。
魔法が当たり前の世界で、国の秘術として受け継がれてきたのが配下召喚だった。その配下と共に、彼は世界の王なるべく他国を侵略する――
そんな内容。
Tour mysterieuseという名は「神秘の塔」という意味らしい。
なぜ塔か、と言うとまあ、最後に訪れるのが塔だからだ。これ以上はネタバレなので控えよう。
そしてこのPierre mysterieuseの意味は、「神秘の石」。
先ほどのOPの国はトアミスの我が国。セルモント王国だろう。街並みも、城の外装も、仲間も、王も、自分の国の物だった。
何とも凝っていると思う。プレイヤーによって違うらしい。
そして私は今、城の中にいた。
重厚な造りの黒塗りの椅子に、一人の女が座っていた。
一生開かれるはずのなかった彼女の瞼は、その音と共に静かに揺れる。
綺麗な翡翠色の宝石が、暗い室内で静かに瞬いた。
「ん、あ、あ――」
声の発せられる喉に、手を当てて首を傾げた。
そしてはっきりとした意識を持って、息をのむ。
「いきて、る」
大きく目を見開いて、彼女は嬉しそうに笑った。
◇
某月某日。戦略シュミレーションRPGゲーム「Tour mysterieuse」の新作が発売された。その名も「Pierre mysterieuse」
なんでも今回は今までのゲーム使用を大きく変更し、プレイヤーのフルダイブを導入したらしい。数年前に開発され、世間を大きく震撼させたフルダイブ。
今ではそれも昔の話となり、今やフルダイブも当たり前のとなっていた。
しかしそれでも、携帯型やPC型、テレビ型も一気に存在が無くなることは無い。
その上で、この「mysterieuseシリーズ」はPCゲームとして5年間の歴史を培ってきたのだ。
そして今日、このゲームのフルダイブ型が発売されたのだ。
勿論、「Tour mysterieuse」歴5年の私は一月前から予約して発売を待った。
もうすぐそのゲームが届く時間のはず…
ピンポーン
「お」
どうやら予約していた商品がちょうど届いたらしい。全く、どれだけこの日を待ち望んでいたことか!
ニヤつく頬を隠しながら配達員さんにサインを渡して、しっかりとゲームの小包を受け取る。
早速部屋に帰って紙の包装を破った。
その中には、黒の背景に赤い紋章、そして中央の「Pierre mysterieuse」の文字。
「――ついに!取扱説明書は…いや、早速データの移行を…」
元々自分は説明書を読む質ではないし、事前情報である程度の知識は持っている。
その中でも今回の特徴の一つであり、私の一番待ち望んでいた機能に前作のデータを完全に移行できる、というものがある。
引き継げられるのはアバター、レベル、スキル、アイテム、金、そして配下。
地形やストーリー以外はほぼ全て、といってもいい。
そして私のアバターは、レベル上限の300。
まあ5年もやってれば、多少はね。そして今回は引き継ぎのために溜めれるものはほぼ最大限溜めてきた。
「えーと、確かトアミスの方でコードが発行されるんだったな」
PCでトアミスを起動し、コードを発行。それをしっかりとメモして――
「…あれ?…いやいやいや?このメモどうやってもっていくの?」
フルダイブとは、その名の通り全てをダイブする。しかしそれは人間の情報だけであって、手に持った紙をそのままゲーム内に持って行くことは出来ない、はずだ。
つまりそれはこのコードを記憶してゲームを始める必要があるということで。
「ムリじゃん。このコード何桁、あると思ってるの」
15桁の数字とアルファベットを混在させたコード。覚えられるだろうか。
「完全に計算ミス」
数日待てば、何か打開策が会社から提示されるかもしれない。しかしそれは私がこのゲームを数日できないことと同義である。
せっかく会社の有給を使って一週間休みをもぎ取ってきたというのに、それでいいのか、私。
「いや良くない」
死ぬ気でやれば、なんでもできる。
そして30分後、完璧だ。そう言い残して私は「Pierre mysterieuse」へとダイブした。
◇
白の世界に、一人の女性が居た。
彼女は私を見て、にこりと微笑む。
「あ、どうも…」
「こんにちは。私は案内人のアリアです。ようこそPierre mysterieuseの世界へ」
綺麗なお辞儀をした彼女は、綺麗な金髪を後ろに流した青の瞳の美人だった。NPCと分かっていても美人すぎてドギマギする。
「前作『Tour mysterieuse』からデータを移行しますか?」
目の前に透明のウィンドウが現れ、はいといいえの選択肢が現れる。その下に注意書きも書いてある。
※口に出すと返事として処理されます。ある程度の返答は可能ですが、ここでは「はい」「いいえ」で返してみましょう!
「はい」
注意書きに従って素直に従った瞬間、自分の口から声が聞こえた。少し高すぎないか?
「かしこまりました。ではコードの入力をお願いします」
さて、ここからが正念場だ。
目の前のウィンドウを見つめ、キーボードを打ち始める。
最初は――
「…」
そして私は、見事にコードを忘れていた。最後の7桁、7文字だけ。
忘れた。もうだめだ。
一度電源を落としてまた確認するのも考えた。しかし何故かこのウィンドウ、「戻る」等のボタンが存在しない。どうやら起動したら一度セーブまで行かなければならないらしい。
まさか最後の希望すらないとは。
もう適当にいれるしか道はない。
「…自分の好きな魔物の名前でも入れとこう…」
Enterを押し、ウィンドウが消える。そしてエラーの文字が出現する――――はずだった。
その瞬間、パリンッと小さく何かが壊れる音がして辺りを見渡す。しかし真っ白いこの空間にはなにも割れる物などない。
気のせいか、とアリアに目線を戻すと固まったままだったアリアが動き出したところだった。
「承認しました。『プレイヤー名:ケイト レベル:300 王国名:セルモント王国』で間違いありませんか?」
「え」
目の前のウィンドウにははいといいえの選択肢。
そしてアリアの言った全てが、データは自分のものであることを示していた。
「…そんな訳、ない。ええ…?」
あんなコードではなかった。それは確実だ。最後の7桁がアルファベットのみの訳もない。
しかし、まあ。
「なったんだしいい、か。―――はい」
「確認しました。ケイト様。ご帰還お喜び申し上げます。ケイト様の配下数は100名です。キャラクター情報を変更しますか?」
「いいえ」
「かしこまりました。配下数は100。キャラクター状態を保存しました。ケイト様のアバター情報を変更しますか?」
「いいえ」
「かしこまりました。アバター情報を保存しました。所持アイテムの引き継ぎを行いますか?」
「はい」
「かしこまりました。所持アイテムを引き継ぎました。王国情報を変更しますか?」
「いいえ」
「かしこまりました。それでは『Pierre mysterieuse』をお楽しみください」
◇
目の前に飛び込んできたのは黒。そしてそれは次々に色を取り戻していき、一つの情景へと変化する。
街で笑いあう住人、畑を耕す人、馬の世話の様子、そして城。
国中賑やかな様子で、空は青々しく輝いている。しかしそこに、黒い暗雲が立ち込めた。
そしてその雲の中から現れたのは――大量の魔物だった。
多くの兵士や冒険者が対戦するも、魔物の数はそれを軽く凌駕した。
街は崩壊、民は死に、国は崩壊した。
しかし城と王だけは最後、配下の仲間たちに守られ、生き延びる。
転移して逃げた先は見知らぬ土地。そして王は、意識を手放した。
Pierre mysterieuse
◇
「…今のは、OPか」
事前情報によると、大体同じような概要だったと思われる。
そして今の映像。自分が世界を飛んでいるような状況で見たそれは、中々にクるものがあった。
何と言っても王とその配下、そして国だ。
前作は国を制作し、他国を侵略するゲームスタイルだった。
一人の旅人がある王のない国を訪れる。すると彼は世界の王なるべくして生まれたものであると持ち上げられ、着々と国の王として祭り上げられた。その変わりと言っては何だが、と勧められたのが配下の召喚。
魔法が当たり前の世界で、国の秘術として受け継がれてきたのが配下召喚だった。その配下と共に、彼は世界の王なるべく他国を侵略する――
そんな内容。
Tour mysterieuseという名は「神秘の塔」という意味らしい。
なぜ塔か、と言うとまあ、最後に訪れるのが塔だからだ。これ以上はネタバレなので控えよう。
そしてこのPierre mysterieuseの意味は、「神秘の石」。
先ほどのOPの国はトアミスの我が国。セルモント王国だろう。街並みも、城の外装も、仲間も、王も、自分の国の物だった。
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