フランチェスカ異聞ー紫の騎士と赤き公爵令嬢ー

遠野さつき

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第2部 悲劇を越えた先へ

22話

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「熱で頭がイカれちゃったんですか?」

 身も蓋もないテオの言葉に、サミュエルは薬湯を飲み干した時と同じ顔をした。

 沈黙が漂う執務室には、エミリアを筆頭として、時計回りにミゲル、マッテオ、マリアンナ、テオ、ロレンツォ、ルキウス、そして、サミュエルが円を描くように並んで立っている。

 エミリアとお互いの意思を確認しあった後、サミュエルは仲間たちと情報共有することを主張した。ことはすでに、二人だけの問題ではない。

 それに、もしエミリアがサミュエルを振り切って自分の身を投げ出そうとしても、誰かがセーフティネットになってくれるだろうという目論見もあった。エミリアの覚悟と決意を信じてはいたが、何せ一度悲劇を経験している身だ。万が一が起こらないよう、二重にも三重にも網を張るつもりだった。

 テオと側近たちを呼んだのは当然のこととして、ロレンツォとルキウスも呼んだのはサミュエルの意向だ。二人ならエミリオがエミリアだったと知っても、変わらずエミリアに接してくれる。そう思えるぐらいには二人を信頼していた。

「熱の戯言なら良かったんだがな……」

 ルキウスが唸るように言う。未来について全てを話し終えた途端、ルキウスとロレンツォはサミュエルを睨みつけた。殺気を込めた目は、それだけエミリアを思っていることの証左だ。

 だが、いささか視線が痛すぎる。テオの言葉は無視して、サミュエルはルキウスたちに向き合った。

「あの……質問があるようでしたらどうぞ」
「とりあえず、俺は今すぐお前の頭を潰してやりてぇ」
「ルキウスに同じだクソったれ」

 噛み付くように罵られ、サミュエルは口を噤んだ。下手なことを言おうものなら冗談抜きで潰されてしまう。見かねたエミリアが取り成しても、今回ばかりは取り付く島がない。

 彼らはひとしきり聞くに耐えない罵詈雑言をサミュエルにぶつけると、今度は矛先をミゲルたちへ向けた。

「あんたらもこいつが暗殺者だって知ってたのか」
「存じておりました。それでもそばに置きたいと、エミリア様のご意向です」
「馬鹿か! それを諌めるのがあんたらの仕事だろうが! もしものことがあったらどうするつもりだったんだ? 実際、毒盛られてんじゃねぇか! 風呂場に行ったのも殺すためだったんだろ?」

 冷静なミゲルの言葉に、ルキウスの顔が怒りで赤くなった。当然の反応だろう。領主のそばに暗殺者が潜んでいたなど、とても看過できるものではない。

 この件について、サミュエルに弁解の余地は全くなかった。どれだけ心を入れ替えようとも、エミリアを殺そうとしていた事実は覆らない。

 ぼかして話そうと言ってくれたエミリアを制して、これ以上嘘はつきたくないと我を通したのはサミュエルだ。失われた信頼はこれから少しずつ取り戻していくしかない。

「ルキウスの言う通りです。双子の件も含め、せめて我々には教えていただきたかった。そんなに我々は……フランチェスカ騎士団は信用なりませんでしたか?」

 ロレンツォに水を向けられたエミリアが、ハッと息を飲んだ。ルキウスと対照的に、彼は落ち着いた姿勢を崩さなかったが、その分、深い怒りと悲しみが感じられた。

「そ、そうじゃない。どうしても言えなかったんだ。領主が女で偽物、それも呪われた双子なんて、お前たちを失望させると思って……」

 それ以上は言えないようだった。俯くエミリアにロレンツォがふぅとため息をつく。

「勘違いをされているようですから、ハッキリと申し上げておきます。我々はあなたを偽物だとは思っていない。これまでのあなたの献身を、我々は誰よりも知っている。男だろうが、女だろうが、あなたはこのフランチェスカの立派なご領主だ」
「ロレンツォ……」

 いつもの強面の相貌を崩し、少年のようにニッと笑うロレンツォに、エミリアはぽろぽろと涙をこぼした。しゃくりあげながらも、必死に嗚咽を殺そうとする姿が痛々しい。

 その姿が未来の狩りの日の夜の姿に重なって、サミュエルの胸はきゅうっと苦しくなった。

「エミリア、泣かないで……」

 指でエミリアの頬を拭おうとしたとき、隣から伸びてきた大きな手のひらに手首をガシッと掴まれた。今にも折れそうなほど痛い。

「何するんですか!」

 抗議の声を上げてルキウスを睨んだが、獣を狩る狩人のような目で睨み返され、ひゅっと息を飲んだ。

「気安く呼んでんじゃねぇぞ、コラ。あくまでもてめぇは従者の立場なんだからな」
「そばにいることは許しても、触れることは許していませんよ」

 ミゲルがルキウスの援護射撃にまわる。両側、いや、エミリアとテオを除くこの場にいる全員から不穏な目で見据えられ、思わずこくこくと頷いた。

「まあ、こやつについてはもう問題ないだろう。お嬢が女だとわかった時点で日和りよったからな。徐々にフランチェスカに染まっていくのも、誰が見ても明らかだった。それに……」

 マッテオがちらりとエミリアを見た。目を腫らした彼女は、泣き止んだものの、水に濡れた子犬のようにしゅんとしている。その様子にマッテオはふっと小さく笑みを漏らすと、隣に立つミゲルを肘でこづき、含みのある視線で見上げた。

「お嬢が我儘を言うのは初めてだったしな。少しでも叶えてやりたいと思うもんだろう。なぁ?」
「ええ、ええ、そうですとも。生まれてからずっと地下でお過ごしなのです。それぐらいのご希望は叶えて差し上げたいと……」

 そう言われてしまっては、もう文句は言えまい。

 ルキウスはロレンツォと視線を交わし合うと、小さくため息をつき、掴んだままだったサミュエルの手首を放した。それを見たテオがおずおずと片手を挙げる。

「あ、じゃあ俺たちは無罪放免ってことで……」
「お前、さっきまで俺の正気を疑ってなかったか?」
「今も疑ってますけど、なんかそんな雰囲気じゃなさそうですし、とりあえず乗っておこうかなと思って」
「未来だろうが、過去だろうが、変わらないなお前は」

 相変わらずの従者の態度にその場の空気が緩む。ルキウスとロレンツォがやれやれといったように首を振り、ミゲルとマッテオも笑みを漏らした。しょげていたエミリアの顔にも微笑みが戻っている。

 だが、マリアンナだけは何も言わず、ずっと下を向いたままだ。

「マリアンナ?」

 エミリアが不安げに声をかける。それをきっかけに、みんなの視線がマリアンナに集中した。彼女はエプロンの裾をぎゅっと握りしめ、震える唇でぽつりと呟いた。

「許しません」

 テオの肩がびくりとすくんだ。さすがの従者もマリアンナからの拒絶は怖いのか、らしくなくおろおろとした表情を浮かべている。

 しかし、キッと顔を上げたマリアンナが鋭い視線で射抜いたのは、テオと同じくおろおろとした表情を浮かべたエミリアだった。

「ご自分の命を自ら捨てるなんて! 絶対に許しません! 私はあなたをそんな風に育てた覚えはありませんよ!」
「マリアンナ……」
「私たちが……フランチェスカに生きるものたちが、あなたを犠牲にしてまで安穏な生活を守りたいと思うの? そんなの、ただの思い上がりなのよっ!」

 雷が落ちるとはこういうことを言うのだろう。その場にいた全員が、マリアンナの気勢に打たれ、ぴくりとも動けなかった。今までこんな風に怒られたことがないのか、エミリアの顔はもう真っ青だ。

 マリアンナはつかつかと音を立ててエミリアに近づくと、震える彼女の体を力一杯抱きしめた。その抱擁に、止まっていたエミリアの涙腺がまた緩む。

 きゅっとマリアンナの背中を掴み、縋り付くように肩口に顔を埋める彼女の姿は、まるで小さな子供みたいだった。

「約束してちょうだい。もう二度と自分を犠牲にしないって。サミュエルの言った通り、あなたは生き延びるのよ」
「うん……うんっ……!」

 泣きじゃくるエミリアの背を撫でるその手はどこまでも優しい。セーフティネットが上手く機能したことに、サミュエルはほっと胸を撫で下ろした。自分の張った網よりも頑丈そうなのが少し残念だが、贅沢を言っていられる立場ではない。

「ありがとうございます、マリアンナさん」
「あなたにお礼を言われる筋合いはないのよ。そもそも、あなたがぐずぐずしていなければ未来の悲劇は回避できたんじゃないの? この意気地無し!」

 うぐ、と声が漏れた。さすがエミリアのお世話係だ。的確に痛いところをついてくる。

「大体、あれだけエミリア様に想われていてあなたは……」
「マ、マリアンナ、ちょ、ちょっと待ってくれ。それ以上は……」

 顔を赤くしたエミリアがマリアンナを制止した。ルキウスとロレンツォが訝しげに眉をひそめ、ミゲルとマッテオは視線を逸らして聞こえないふりをしている。テオは通常運行だ。

 どうやらマリアンナをはじめ、ミゲルたち側近はエミリアの気持ちに気づいていたようだ。知らないのはサミュエルばかりだったということか。

「あら、まだ伝えてなかったの? てっきり……」

 そこで言葉を切ったマリアンナにちらりと視線を向けられ、心臓がどきりと跳ねる。彼女の目は、娘が連れてきたロクでもない男を見る母親の目だった。

「まあ、そうね。こちらとしても見極めないとだし……」
「マ、マリアンナさん。あの……」
「何よ。この際だから言っときますけど、男連中とは違って、私はまだあなたを許したわけじゃありませんからね」
「そ、それは十分理解しています。いや、そうじゃなくて……」
「すみません、うちの主人ヘタレなんで。でも、ヘタレはヘタレなりにエミリア様を助けたい一心で戻ってきたようなので、どうかその辺で許してやってください」

 勢いにたじたじとしているサミュエルとマリアンナの間にテオが割って入った。これ以上放っておくと埒が開かないと踏んだのだろう。

 特別に可愛がっているテオに宥められるとマリアンナも弱い。仕方ないわね、といった様子で肩をすくめると、両手はエミリアを抱きしめたままサミュエルから身を引いた。

「話がまとまったところで、今後のことを考えよう。我々が目指すのは、第一にお嬢の生存。そして、第二にフランチェスカの存続。それでいいか?」

 何もまとまっていないが、マッテオが強引に話を進めた。しかし内容に異存はないので、エミリア以外の全員が一斉に頷く。フランチェスカよりも自分の命を優先されて、エミリアは少し複雑そうだ。

「できれば戦争自体を回避したいですね。不確定要素が大きすぎます」
「ミゲルさんに同意見だ。未来で上手くいったからっつっても、次も上手くいくかはわかんねぇからな」
「でも、カルロはやる気満々よね。もし回避できない場合はどうするの?」
「戦力の増強ですな。今のままでは心許ない。ここは他国にも頼るべきでは」

 ロレンツォに視線を向けられたエミリアが「それは……」と言葉を濁した。

「お気持ちは存じております。あなたが領主を継いだときに、一度話し合ったことですからな。エミリオ様も他国を巻き込むことは避けたいと思っておられたのですね?」
「そうだ。フランチェスカの問題を飛び火させるべきではないと……」

 援軍を要請するということは、他国の兵士にランベルト王国の地を踏ませるということである。下手をすれば戦火は南部にとどまらず、全国に広がっていくかもしれない。二人はそれを危惧したのだろう。

「ですが、もう形振り構っていられる状況ではありません。あなたのお母様はケルティーナの有力貴族のご令嬢でした。そのご両親はまだ健在です。たとえお会いしたことがなくとも、愛しい孫の窮地を知れば、必ずや力を貸してくださるでしょう」

 こっそりとミゲルに事情を聞くと、駆け落ち同然にベアトリーチェを連れて来たために、彼女が亡くなった後は没交渉になっているということだった。

「ケルティーナには私が行きます」

 ロレンツォはエミリアに近づくと、身を屈めて視線を合わせた。彼は元々、ケルティーナの中でも古くから続く騎士の出だ。父親はそこそこ力のある侯爵位で、エミリアの祖父母とも親しいという。

「さすがに手ぶらで行くわけにはいきませんので、エミリア様には手紙をしたためていただきたい。双子のことも明かしていただいて結構です。ケルティーナには双子の迷信は存在しないので」
「いきなりそんな手紙を書いて、受け取ってもらえるだろうか……」
「孫からの初めてのおねだりだ。むしろ喜ぶでしょう」

 ロレンツォににっこりと微笑まれて、エミリアは戸惑いつつも、嬉しそうにこくりと頷いた。

「じゃあ、そっちは団長に任せるとして。ミケーレは……難しいか」

 口に出したもののバツが悪くなったらしい。ルキウスは青色の髪をくしゃくしゃと混ぜると、ミゲルとマッテオに向かって「悪い」と謝った。

「あの……あの二人って……」

 今度はエミリアに事情をこそっと尋ねる。

「ミゲルとマッテオはコリンと似た境遇なんだよ」

 二人はミケーレの貴族の家に生まれた従兄弟同士だったが、生まれつきの視力の悪さを理由に過酷な戦場に放り込まれ、揃ってフランチェスカに逃げて来たらしい。そこをエンリコの父親に拾われ、エンリコの側近として共に過ごしてきたというわけだ。

 そういう理由なら援助は望めないだろう。しかし、ミゲルはいつも穏やかな笑みを浮かべている口元を不敵に歪め、「私を見くびらないでください」と笑った。

「戦力の提供は難しくとも、せめて物資の一つや二つは引き出してみせましょう。我々に対する仕打ちの借りを返してもらわねば。そうでしょう、マッテオ」
「そういうことだな。こっちは任せておけ」

 断固とした姿勢にルキウスがふはっと吹き出す。彼の笑い顔も珍しいことだ。拝む気持ちで眺めておく。

「頼もしいな。じゃあ、俺も……と言いたいところだが、さすがにドルジェは頼れん。危険すぎる」
「そうだな。そのまま攻め込まれるのがオチだろう」

 マッテオがため息をつく。ファウスティナの公女を嫁がせて和平が成立したといえども、ドルジェは豊かなランベルト王国を虎視眈々と狙っている。内紛の気配を察知した途端、不可侵条約を反故にする可能性が高い。

「ルキウスさん、ドルジェの出身だったんですか」
「お前は知らなかったか、テオ。俺の一族は元々、山向こうの下級貴族だったんだよ。今はファウスティナに根を下ろしてる。さすがに団長が抜けて俺まで抜けるわけにはいかねぇから……そうだな、兄貴たちに手紙を書いてみるよ。勘当されちまった身なんで当てにはできんかもしれんが」

 ファウスティナから来たのは知っていたが、勘当されていたとまでは知らなかった。どうやらルキウスにも色々なドラマがあるらしい。

 ここにきて身近な人間たちの知られざる過去がぼろぼろと出てきて、サミュエルは眩暈がしそうだった。

「じゃあ、次はこっちですね。我らアヴァンティーノも当然乗っからせてもらいますよ。というか、未来でもそうするつもりだったんですよね?」
「そうだ。親父に後ろ盾になってもらうつもりだった」
「小麦の件の後とはいえ、まだ出兵の決議は終えていないでしょう。今のうちに貴族たちを懐柔すれば、開戦を避けられるかもしれませんよ」
「それはそうだけど、さすがに王都に手紙を送るのは危険じゃない? 誰かの手に渡ったらいけないし……」
「大丈夫、このバカ息子が頭を下げに行けば済む話です」

 バシっと背中を叩かれてサミュエルはたたらを踏んだ。じろっと睨んでもテオはどこ吹く風だ。なんなら口笛まで吹きそうな気配まである。

「そういやお前、ロドリゴ卿のご子息だったな。らしくねぇんで、すっかり意識から飛んでたわ。ねぇ、団長?」
「全くだな。こういうときこそ役に立ってもらおうじゃないか。明日にでも発てよクソガキ」

 騎士団長と副団長から詰め寄られ、背中を嫌な汗が伝っていく。王都に行くのはやぶさかではないが、下手をすると二度とフランチェスカの地を踏めないような気がする。

「おい、返事はどうした」
「わかってますよ!」

 でかい男二人に両脇からこづき回され、悲鳴を上げる。もし戻ってきたときに出禁になっていたとしても、城壁でも何でも乗り越えるつもりだった。

「わ、私もいく!」
「駄目ですよ、エミリア様。ただでさえ地震の後だ。旅に出るのは危険です。それにこんなケダモノみたいな男と二人で行かせられるわけないでしょう」
「そうですよ、エミリ……お嬢様。俺一人でも大丈夫ですから」

 後半はともかく、前半の言葉はルキウスに同意だった。有事が起こると治安も悪くなる。損傷した街道を避けて行くならば盗賊も出るかもしれない。しかし、エミリアはマリアンナの腕から抜け出すと、サミュエルに必死に追い縋った。

「お願いだ。一緒に行かせてくれ。元はといえばこちらの問題なんだ。フランチェスカの領主として、私が行くのが筋だろう」
「でも……」
「もう私を離さないと言ったじゃないか、サミュエル。あれは嘘だったのか?」
「うっ……」

 上目遣いで見つめられる破壊力と、背後から刺さる冷たい視線に心臓が保たない。何と返せばいいのかわからず言葉につまると、「胸焼けしそう」とぼそっと呟くテオの声が聞こえた。

「もういいから二人で行ってきてください。ロドリゴ様だってエミリア様にお会いしたいと思いますよ。何しろ名付け親なんですから」
「まあ、それもそうだろうな。ルキウスたちもサミュエルを責めるのはそのへんにしておけ。今さらお嬢の意思は揺るがんよ。後は……領民たちか」
「そうですね。彼らにも再度協力を仰がないと……」

 テオの言葉をマッテオが引き継ぎ、さらにそれを引き継いだミゲルがエミリアに目を向けた。

「ジュリオとアントニオの元に行く」

 エミリアが力強く頷く。ジュリオはフランチェスカ市の市長、アントニオは農民たちを束ねる農民頭だ。領民たちの理解を得るには、まず彼ら二人に話を通す必要がある。

「いいんですか? 女であることも明らかになりますよ」
「構わない。お前がもう嘘をつきたくないと言ったように、私ももう彼らを謀りたくない。二人には私から話す。それが領主としての私の責務だ」

 そうは言うが、領民の信頼を失わないか不安なのだろう。握りしめた拳は微かに震えていた。ルキウスに張り飛ばされるのを覚悟で、サミュエルは彼女の両手をそっと握りしめた。
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