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1章 お祖父ちゃんが遺した縁
第10話 所長さんの大事なお仕事
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若大将さんが続けてお料理を運んでくれる。なにわ黒牛の鉄板ステーキ、犬鳴豚の角煮、がっちょの天ぷら、泉だこと大阪きゅうりの酢味噌和え、鮮魚切り落としと芽紫蘇のたまり和え、泉州きゃべつ焼き、泉州たまねぎと彩誉にんじんのグリル。
また並べられたお料理の数々に皆はわっと沸く。平野さんはさっそく待ち切れないと言う様に、所長さんすら差し置いてなにわ黒牛の鉄板ステーキにお箸を伸ばした。焼いてから一口大にカットされていて、覗く断面がじわりと赤く、見ているだけでごくりと喉が鳴りそうだ。
リリコも所長さんが取るのを待ってからお箸を出した。そっと口に入れただけでお肉の濃厚な味が溢れる。驚きつつも歯を立てると、ぶわっと旨味が弾け飛んだ。
「うまっ!」
「ほんまに旨い!」
平野さんと所長さんが叫ぶ様に言う前で、リリコもしみじみとその風味を感じていた。さっぱりとした脂に旨味の強い赤身。ミディアムレアで焼かれていて、中心部分の弾力もしっかりしている。ただただ殴られた様な包まれる様な。ブランド黒毛和牛の恐ろしさを感じたかの様な瞬間だった。
なにわ黒牛はリリコにとっては贅沢なお値段なので、これまで注文をためらっていたのだ。所長さんに感謝である。
泉たこと大阪きゅうりの酢味噌和えは、やわらかな泉だこのさくっとした歯ごたえと、塩もみされた大阪きゅうりのざくざくとした歯ごたえの違いが面白い。甘さもあるがすっきりとした酸味の酢味噌にとても合う。じわりと美味しい一品だ。
泉州きゃべつ焼きは厚みのある洋食焼きの様なものである。ふわっとしている生地には山芋なども入っているのだろうか。薄くソースが塗られているが、生地にはお出汁もしっかりと効いている。仕上げに卵が使われていて、贅沢感もある。
たっぷり入っている、千切りされた泉州きゃべつの甘みが強い。ぱりっとした焦げ目も香ばしい。お好み焼きの様に豚肉などは入っていないのに、充分食べ応えがあった。
鮮魚切り落としと芽紫蘇のたまり和えは、お刺身にするには難しい、尻尾あたりの身を角切りにしたものが使われている。
今日はキチヌとさわら、関西ではあこうと呼ばれるキジハタ。色鮮やかな紫色の芽紫蘇のぴりっとした辛味と、薄っすらとまとう程度のたまりが鮮魚の甘さを引き立てる。
この品は高級魚のあこうを手軽に食べられる一品で、お酒にも合うので人気なのだと若大将さんが教えてくれた。
彩誉にんじんのグリルは、味付け一切無し、野菜の旨味がふんだんに味わえる。彩誉の甘味には本当に驚く。こんなに甘い人参があるとは。添えられている塩をほんの少し付けて食べれば、またその甘さが引き立つのだ。
犬鳴豚の角煮とがっちょの天ぷら、泉州たまねぎのグリルも皆さんに大好評だ。がっちょは特に泉州で無ければ馴染みの薄い魚なので、皆さん喜んでくれた。お酒好きのお祖父ちゃんが好きだったことを言えば、分かる、と大いに頷かれる。
そうして食べている間にも、所長さんは時折カウンタの中に目を走らせて、大将さんと若大将さんを見極めようとしていた。暖簾があるので表情などを見るのは難しいが、話し声が時折漏れて来ている。
そして今注文しているものの最後、あなごの天ぷらが提供された。長いお皿に半身が溢れんばかりに乗せられ、たっぷりの大阪ねぎの小口切りとお醤油が掛けられていた。
「こりゃあ迫力だな」
所長さんが感嘆の声を上げると、平野さんも「旨そう」と喉を鳴らした。食べやすく切り分けられていたので、一切れを青ねぎと一緒に取り皿に取る。
さっそく齧り付くと、ざくっと気持ちの良い音がする。さくさくの薄い衣の中にふわふわなあなご。新鮮だからか臭みはまるで無く、きりっとした醤油の中にしっかりとした優しい甘さが舌に乗る。
「旨いなぁ~」
所長さんのしみじみとした呟きに、ハナさんも「ほんまにねぇ」と顔を綻ばす。平野さんも「うんうん」と頷きながらがっついていた。
リリコとお祖母ちゃんは、あなごの天ぷらを頼むのは初めてだった。
なにせこのボリュームだ。リリコはともかくお祖母ちゃんは揚げ物がそう多く食べられなくなっている。頼んでしまうと他のものがほとんど食べられなくなりそうだったからだ。なので人数が多い今日を楽しみにしていた。
期待以上の美味しさだった。リリコはついにんまりと口角を上げてしまう。
「お祖母ちゃん、あなご美味しいねぇ」
言うと、お祖母ちゃんも眦を下げてあなごを頬張っていた。ごくんと飲み下し、ビールをこくりと含ませると「ふふ、そうやねぇ。嬉しいねぇ。賑やかなんもほんまに嬉しいわぁ」と微笑む。
所長さんと平野さんが他愛もないことをわぁわぁと言い合い、それをハナさんが呆れた様にちょくちょく嗜める。それはいつもの野江建築事務所の光景で、そんな所長さんたちを見るのがリリコは好きだった。
「お祖母ちゃん、職場の人たち、皆さんええ人やろ」
「そうやねぇ。リリちゃんもほんまにようしてもろうて。ええ職場に巡り会えて良かったねぇ」
お祖母ちゃんは騒がしい面々を楽しそうに見守っている。リリコは心が暖かくなった。こうしてお祖母ちゃんに喜んでもらうことが、リリコの大きな幸いなのだ。
しかしそんな中でも所長は「仕事」を忘れない。お料理やドリンクを持って来てくれる大将さんや若大将さんとちょこちょこ話をしている。
大将も若大将もお客商売だから慣れたものなのか、にこやかに対応していた。そしてその度に平野さんが大将さんたちを凝視する。
そうして食事を進め、お酒も杯数を重ねて、そろそろかと締めの大阪ねぎチャーハンとあら汁を注文した。
厨房を兼ねているカウンタから、鍋を振るう音だろうか、小さくかつんかつんという音が聞こえて来る。きっと良い匂いも立っているのだろうが、この「いちょう食堂」にはいつでも美味しそうな香りが満ちているので、紛れてしまって分からない。
気付けば、リリコたちが「いちょう食堂」に入ってからゆうに3時間は経っていた。美味しくて楽しくて、時間が過ぎるのがとても早く感じてしまう。
そして運ばれて来た大阪ねぎチャーハンとあら汁。
大阪ねぎチャーハンには小口切りの大阪ねぎがたっぷりと入っていて、独特の良い香りが立ち上がっている。口に入れると大阪ねぎの甘みとほんの少しの心地よい辛味が鼻を抜ける。仕上げに加えているのか、しゃきっとした歯ごたえがしっかりと残されている。
具は他には粗みじん切りのかまぼこ、卵だけのシンプルなチャーハンだ。なのに味付けの妙なのか、ふんわりとした卵にまとわれたお米からも、しっかりとした旨味を感じる。
調味料は何だろうか。定番としてはお醤油だと思うのだが。どう味付けしたらこんな味になるのか。
そしてあら汁。臭み取りなどの下処理がきちんとされているからか、ただただ魚のあらの深い旨味が赤だしに溶け出していて、口に流し入れると「ほぅ」と心地よい息が漏れる。
骨や頭に付いている身を食べれば、赤だしをしっかりと含みほろりと崩れて美味しさが染み渡った。
「あ~沁みる~」
「ほんまやねぇ。お酒の後の赤だしってほんまに美味しいわよねぇ~」
所長さんとハナさんもしみじみとほっこりしている。平野さんも「ん~」と目を細めてじっくりと味わっていた。
「こんなんお家では作られへんもんねぇ。嬉しいわぁ」
お祖母ちゃんもそう言って味わっている。リリコもその抜群の旨味を堪能する。
すっかりとお料理を平らげて、所長さんは「うん」と納得した様に頷いた。
「お婆ちゃん」
「はい?」
所長さんの真剣な顔。目的のために酒量を抑えていた所長さんである。平野さんは普段通り飲んでいたが。
「大将も若大将も、確かにええ人やと思います。誠実な人柄が滲み出とりますね。真面目な様やし、この大阪もんのお店をされてはる志も立派や思います。今日見たところ客層もええみたいですし」
所長さんのせりふにリリコはあれ? と思ったが、ここで話を止めることはできない。口を噤んで所長さんの言葉を待った。
「やので、テナントに入ってもらうのはええなと思います」
「まぁ、良かったわぁ」
お祖母ちゃんはほっとした様に表情を和ませる。リリコも安心した。
「所長さんにそう言うてもろたら安心やわぁ。ほな、大将さんにお話してみてもええやろか」
「そうですね。呼びますか?」
「ええ。助かるわぁ」
所長が大将さんを呼ぶと、追加注文かと思ったのか伝票を手に笑顔で「はいよ」と現れた。
また並べられたお料理の数々に皆はわっと沸く。平野さんはさっそく待ち切れないと言う様に、所長さんすら差し置いてなにわ黒牛の鉄板ステーキにお箸を伸ばした。焼いてから一口大にカットされていて、覗く断面がじわりと赤く、見ているだけでごくりと喉が鳴りそうだ。
リリコも所長さんが取るのを待ってからお箸を出した。そっと口に入れただけでお肉の濃厚な味が溢れる。驚きつつも歯を立てると、ぶわっと旨味が弾け飛んだ。
「うまっ!」
「ほんまに旨い!」
平野さんと所長さんが叫ぶ様に言う前で、リリコもしみじみとその風味を感じていた。さっぱりとした脂に旨味の強い赤身。ミディアムレアで焼かれていて、中心部分の弾力もしっかりしている。ただただ殴られた様な包まれる様な。ブランド黒毛和牛の恐ろしさを感じたかの様な瞬間だった。
なにわ黒牛はリリコにとっては贅沢なお値段なので、これまで注文をためらっていたのだ。所長さんに感謝である。
泉たこと大阪きゅうりの酢味噌和えは、やわらかな泉だこのさくっとした歯ごたえと、塩もみされた大阪きゅうりのざくざくとした歯ごたえの違いが面白い。甘さもあるがすっきりとした酸味の酢味噌にとても合う。じわりと美味しい一品だ。
泉州きゃべつ焼きは厚みのある洋食焼きの様なものである。ふわっとしている生地には山芋なども入っているのだろうか。薄くソースが塗られているが、生地にはお出汁もしっかりと効いている。仕上げに卵が使われていて、贅沢感もある。
たっぷり入っている、千切りされた泉州きゃべつの甘みが強い。ぱりっとした焦げ目も香ばしい。お好み焼きの様に豚肉などは入っていないのに、充分食べ応えがあった。
鮮魚切り落としと芽紫蘇のたまり和えは、お刺身にするには難しい、尻尾あたりの身を角切りにしたものが使われている。
今日はキチヌとさわら、関西ではあこうと呼ばれるキジハタ。色鮮やかな紫色の芽紫蘇のぴりっとした辛味と、薄っすらとまとう程度のたまりが鮮魚の甘さを引き立てる。
この品は高級魚のあこうを手軽に食べられる一品で、お酒にも合うので人気なのだと若大将さんが教えてくれた。
彩誉にんじんのグリルは、味付け一切無し、野菜の旨味がふんだんに味わえる。彩誉の甘味には本当に驚く。こんなに甘い人参があるとは。添えられている塩をほんの少し付けて食べれば、またその甘さが引き立つのだ。
犬鳴豚の角煮とがっちょの天ぷら、泉州たまねぎのグリルも皆さんに大好評だ。がっちょは特に泉州で無ければ馴染みの薄い魚なので、皆さん喜んでくれた。お酒好きのお祖父ちゃんが好きだったことを言えば、分かる、と大いに頷かれる。
そうして食べている間にも、所長さんは時折カウンタの中に目を走らせて、大将さんと若大将さんを見極めようとしていた。暖簾があるので表情などを見るのは難しいが、話し声が時折漏れて来ている。
そして今注文しているものの最後、あなごの天ぷらが提供された。長いお皿に半身が溢れんばかりに乗せられ、たっぷりの大阪ねぎの小口切りとお醤油が掛けられていた。
「こりゃあ迫力だな」
所長さんが感嘆の声を上げると、平野さんも「旨そう」と喉を鳴らした。食べやすく切り分けられていたので、一切れを青ねぎと一緒に取り皿に取る。
さっそく齧り付くと、ざくっと気持ちの良い音がする。さくさくの薄い衣の中にふわふわなあなご。新鮮だからか臭みはまるで無く、きりっとした醤油の中にしっかりとした優しい甘さが舌に乗る。
「旨いなぁ~」
所長さんのしみじみとした呟きに、ハナさんも「ほんまにねぇ」と顔を綻ばす。平野さんも「うんうん」と頷きながらがっついていた。
リリコとお祖母ちゃんは、あなごの天ぷらを頼むのは初めてだった。
なにせこのボリュームだ。リリコはともかくお祖母ちゃんは揚げ物がそう多く食べられなくなっている。頼んでしまうと他のものがほとんど食べられなくなりそうだったからだ。なので人数が多い今日を楽しみにしていた。
期待以上の美味しさだった。リリコはついにんまりと口角を上げてしまう。
「お祖母ちゃん、あなご美味しいねぇ」
言うと、お祖母ちゃんも眦を下げてあなごを頬張っていた。ごくんと飲み下し、ビールをこくりと含ませると「ふふ、そうやねぇ。嬉しいねぇ。賑やかなんもほんまに嬉しいわぁ」と微笑む。
所長さんと平野さんが他愛もないことをわぁわぁと言い合い、それをハナさんが呆れた様にちょくちょく嗜める。それはいつもの野江建築事務所の光景で、そんな所長さんたちを見るのがリリコは好きだった。
「お祖母ちゃん、職場の人たち、皆さんええ人やろ」
「そうやねぇ。リリちゃんもほんまにようしてもろうて。ええ職場に巡り会えて良かったねぇ」
お祖母ちゃんは騒がしい面々を楽しそうに見守っている。リリコは心が暖かくなった。こうしてお祖母ちゃんに喜んでもらうことが、リリコの大きな幸いなのだ。
しかしそんな中でも所長は「仕事」を忘れない。お料理やドリンクを持って来てくれる大将さんや若大将さんとちょこちょこ話をしている。
大将も若大将もお客商売だから慣れたものなのか、にこやかに対応していた。そしてその度に平野さんが大将さんたちを凝視する。
そうして食事を進め、お酒も杯数を重ねて、そろそろかと締めの大阪ねぎチャーハンとあら汁を注文した。
厨房を兼ねているカウンタから、鍋を振るう音だろうか、小さくかつんかつんという音が聞こえて来る。きっと良い匂いも立っているのだろうが、この「いちょう食堂」にはいつでも美味しそうな香りが満ちているので、紛れてしまって分からない。
気付けば、リリコたちが「いちょう食堂」に入ってからゆうに3時間は経っていた。美味しくて楽しくて、時間が過ぎるのがとても早く感じてしまう。
そして運ばれて来た大阪ねぎチャーハンとあら汁。
大阪ねぎチャーハンには小口切りの大阪ねぎがたっぷりと入っていて、独特の良い香りが立ち上がっている。口に入れると大阪ねぎの甘みとほんの少しの心地よい辛味が鼻を抜ける。仕上げに加えているのか、しゃきっとした歯ごたえがしっかりと残されている。
具は他には粗みじん切りのかまぼこ、卵だけのシンプルなチャーハンだ。なのに味付けの妙なのか、ふんわりとした卵にまとわれたお米からも、しっかりとした旨味を感じる。
調味料は何だろうか。定番としてはお醤油だと思うのだが。どう味付けしたらこんな味になるのか。
そしてあら汁。臭み取りなどの下処理がきちんとされているからか、ただただ魚のあらの深い旨味が赤だしに溶け出していて、口に流し入れると「ほぅ」と心地よい息が漏れる。
骨や頭に付いている身を食べれば、赤だしをしっかりと含みほろりと崩れて美味しさが染み渡った。
「あ~沁みる~」
「ほんまやねぇ。お酒の後の赤だしってほんまに美味しいわよねぇ~」
所長さんとハナさんもしみじみとほっこりしている。平野さんも「ん~」と目を細めてじっくりと味わっていた。
「こんなんお家では作られへんもんねぇ。嬉しいわぁ」
お祖母ちゃんもそう言って味わっている。リリコもその抜群の旨味を堪能する。
すっかりとお料理を平らげて、所長さんは「うん」と納得した様に頷いた。
「お婆ちゃん」
「はい?」
所長さんの真剣な顔。目的のために酒量を抑えていた所長さんである。平野さんは普段通り飲んでいたが。
「大将も若大将も、確かにええ人やと思います。誠実な人柄が滲み出とりますね。真面目な様やし、この大阪もんのお店をされてはる志も立派や思います。今日見たところ客層もええみたいですし」
所長さんのせりふにリリコはあれ? と思ったが、ここで話を止めることはできない。口を噤んで所長さんの言葉を待った。
「やので、テナントに入ってもらうのはええなと思います」
「まぁ、良かったわぁ」
お祖母ちゃんはほっとした様に表情を和ませる。リリコも安心した。
「所長さんにそう言うてもろたら安心やわぁ。ほな、大将さんにお話してみてもええやろか」
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