異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

文字の大きさ
90 / 190

#90 宴のあとに

しおりを挟む
 カルとミルが食堂を出て行くと、茂造は安心したと言う様に大きく息を吐いた。

「どうにか落ち着いたかの。まぁの、ミルには申し訳無いと思うがの、これが最良じゃと思うの」

「我もそう思うカピ。しかし、結婚生活でミルが暴走する可能性もあるカピ。今はそれぞれの家で暮らしているカピが、生活をともにするとなるとどうなるカピか。ま、様子見と言ったところカピかな」

 確かに。外などで会うのと共同生活では訳が違う。相手の悪い所も見えて来る。「こんな筈じゃ無かった」と思う事もあるだろう。

 カルとミルの場合は、違う問題をはらんでいる訳だが。

「さてサユリさん、壱、うたげに戻ってくれの。儂も厨房に戻るとするかの」

 茂造はゆっくりと立ち上がると、厨房に向かって行った。壱も立ち上がり、サユリもテーブルから降りる。

「壱、多分あのふたりはまた問題を起こすカピ。覚悟しておくカピよ」

「……うん」

 どうなるのかはその時になってみないと判らない。対応するのは茂造とサユリだろうが、壱にも出来る事があれば頑張ろうと、小さく頷く。

 そして壱たちは宴会の輪の中に戻った。



 翌日も仕事なので、ゆっくりはしたが、あまり酔う事も無く宴会はお開きになった。

 ガイはどうやらアルコールにあまり強い方では無い様で、エール2杯をゆっくりと傾けた後はジュースに切り替えた。

 ジェンの酒量は普通だった。エールを1杯空にした後、ワインを数杯。

 ナイルも普通。エールばかりを数杯重ねていた。が、メインはやはり食べる方だった。

 1番強いのはリオンで、殆ど喋らずに、黙々とエールやワインを飲み干していた。それでも顔色ひとつ変わらない。

 この中で言うと、壱の酒量も普通になるのだろう。エールを数杯と、ワインを数杯飲んだ。

 この村で作られているアルコールは、エールとワインのみ。壱は両方とも好きである。

 ガイとジェンとナイルはほんの微かに顔を赤くして、陽気に笑っていた。リオンも口角を上げ、口数は極端に少ないが、楽しそうに見えた。

 壱は良い気分のまま、自室に上がる。茂造たちはこれから賄いを食べ、銭湯に行く。

 ガイたちを送り出した後、壱はマユリたちに止められながらも掃除を少し手伝ってから上に上がった。サユリも一緒である。

 まずは歯を磨き、キッチンに寄ると、カップに白ワインを入れた。

「まだ飲むカピか?」

「少しだけね。今日は良い気分だからさ。じいちゃんたちこれからご飯なのに悪いなぁって思うんだけど、今日は徹底的に甘える事にしたから!」

 壱は嬉しくなって言うと、サユリはフンと鼻を鳴らした。

「ま、今日は壱も体力仕事を頑張ったカピ、我も大目に見るカピね」

「本当にサユリは偉そうだなぁ。実際偉いんだろうけど」

「偉いカピよ。我を呼び捨てにするなんて、この村では壱くらいカピ」

「あ、俺もサユリさんとかサユリちゃんて呼んだ方が良いか?」

「今更カピ。サユリで構わないカピよ」

 壱は小さく笑うと、カップ片手に、サユリをともなって部屋に入って行った。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...