異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

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#55 田んぼの作り方(その1、レンガの材料調達。その3)

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 およそ10分後に目的地に着く。途中は林の中や開けたところを通り、着いたところは山のふもとで、その地面のあちらこちらには浅い穴があった。

 壱はカリルに教わりながら馬車をめ、荷台から全員が降りつつ道具類を下ろす。

「ここに質の良い粘性ねんせいの土があってのう。村の煉瓦れんがの材料はここで掘っておるんじゃ。では早速さっそく掘って貰うかの。よろしく頼むぞい」

 茂造の台詞に、みんなが気合を入れた返事をする。サユリは変わらずヒメの背中でくつろいでいる。

 みんながシャベルを使う中、壱もそれにならってシャベルを動かす。足を使って地中に突き入れ、両腕に力を入れて掘って行く。そして出た土を大きなトレイに入れて行った。

「っと!」

「うらぁ!」

「っしゃあ!」

 それぞれ声を上げながら、やがて掘り起こした土がトレイをめた。

「店長、終わったっす!」

「うんうん、本当に助かったぞい。ありがとうなぁ。では荷台に積んで、村に帰るとするかの。帰ったら風呂じゃぞ。勿論儂持ちじゃぞい」

 茂造のその台詞せりふにみんなが沸く。風呂は助かる。すっかり汗だくで、肌も土で汚れている。この状態で飲食店の厨房に立つ事は出来ない。見ればみんなも額や首筋をタオルでぬぐっていた。

 壱はうっかりとタオルを持って来なかったので、行儀が悪いと判っていながら、流れる汗の気持ち悪さに我慢出来ず、シャツのすそをたくし上げて汗をいた。どうせすぐに洗濯するのだし。

 土の入ったトレイとシャベルを荷台に積み、全員が乗り込む。壱とカリルはまた運転席に。

 復習も兼ねて、またカリルに教えて貰いながら馬車を動かす。きよりは慣れた気がする。とは言え流石さすがにひとりでは不安だが。

 来た道を辿り、村に戻る。無事に着きゲートを潜り、そのまま食堂に向かう。

「ほいほい、お疲れじゃったの。じゃあまた済まんが、土を裏庭に運んでくれんかの」

 みんなは疲れなど見せず元気に返事をすると、ひとつのトレイをふたり掛かりで運んで行く。

 それが終わると、みんなはようやく一息吐いた。

「本当に助かったぞい。ありがとうの。馬車と馬を戻して、風呂に行くかの。各々おのおの着替えを準備するなどして使ってくれの。さっきも言ったが儂持ちじゃからの。番台に言ってくれの」

 カリルたちは一時解散。壱と茂造も着替えを準備して、まずは馬車を戻し、次に馬。ここで漸くサユリがヒメの背中から降りた。またカッツェに見送られて、銭湯に向かう。

「疲れた~力仕事とか久々だった~」

 壱がやや音を上げると、茂造が小さく首を傾げた。

「この前の味噌作りを見ていると、なかなか力のる作業の様に見えたがの?」

「蔵では大概たいがいの作業は機械がやってくれるよ。潰すとかねるとか。あー、味噌も無くなる前に作らなきゃ。今度は麦でこうじ作りかな」

 さて銭湯に着き、壱は漸く汗を流す事が出来た。



 少し休んで、夜営業の仕込みが始まる。土の採掘さいくつに駆り出されたカリルとサントは、代休か特別手当を選べるとの事で、ふたりは揃って特別手当を希望した。

 壱も同じ事を聞かれ、やはり特別手当を望んだ。休んでもやる事が思い付かないし、かと言って特別手当の使い道も今のところ無い。だが以前茂造が街への買出しの事を言っていたので、その時に使えたらと思ったのだ。

 今欲しいのは、やはり好みのデザインの服である。村人が用意してくれたものも悪くは無いが、可も無く不可も無いものばかりだったので、少しは自分好みのものが欲しいと思ったのだ。

 さて、仕込みを続けていると、漁師が来た。鮮魚の入荷である。

「店長、かつお捕れましたぜ! 1しか上がらなくて申し訳無いです!」

 そう言って漁師がかかげた1尾の鰹。見事。サイズはこの世界サイズで小振りだが、ぱんぱんに腹が張って、えて旨そうだ。

「おお、ありがとうの。充分じゃ。食堂の分と分けて計上してくれの」

「解ってますよ。けどどうすんです? 鰹ってあんま好きな奴いないでしょ」

「ほっほっほ、儂らの世界の食べ方があるんじゃよ」

 茂造が笑って言うと、漁師は興味深げに眼を開く。

「へぇ? そりゃあ一体?」

「また食べて貰う機会もあるかもの。その時にはよろしく頼むぞい」

「はい、楽しみにしてますぜ」

 そう言い残して漁師がすと、茂造はカリルに声を掛ける。

「カリルよ、済まんが手の空いた時にこの鰹をおろしてくれんかの。個人用なもんで済まんのじゃが」

「良いっすよ。卸した後はどうしたら良いっすか?」

あらは、今回は捨ててくれて良いかの。身は冷蔵庫に入れて置いておくれ」

「了解っす」

 今度魚のさばき方を教えて貰おう。壱は思った。
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