異世界転移料理人は、錬金術師カピバラとスローライフを送りたい。

山いい奈

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6章 肝臓不調のお爺ちゃんと、癒しのご飯

第1話 この世界では肝臓を悪くする人って少ないの?

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 ある日の午前中、浅葱たちの家の電話が鳴り響く。取ったのはカロムである。

「ロロア宛てだ」

「ロロア? お薬かなぁ?」

「多分な。アントン先生からだからさ」

 カロムはそう言い残し、研究室にロロアを呼びに行く。間も無く、ロロアがとととっと小走りに駆けて来た。

 ロロア用に用意してある踏み台にひらりと飛び乗り、器用に2本足で立つと、前足で受話器をつかんだ。

「お待たせいたしましたカピ。ロロアですカピ」

 そうしてロロアはアントンと二言三言交わすと、そっと受話器を置いた。

「肝臓のお薬が少なくなってしまっているそうなのですカピ。これから作りますカピ。お昼を過ぎて患者さんが落ち着かれる頃に、クリントさんが取りに来てくださるとの事なのですカピ。それまでに出来た分をお渡ししますカピ」

「そんな足りないのか?」

「いえ、あまり処方する事が無かったらしく、今までは余り数が必要無かったらしいのですカピ。なのですが、最近肝臓の調子が悪いお爺ちゃまがおられるらしく、今のままだと足りなくなりそうとの事なのですカピ」

「肝臓。そりゃあ珍しい」

 カロムが眼を開く。

「そうなの? この世界では肝臓を悪くする人って少ないの?」

「そうだな。俺はあんまり聞かんな」

「僕もですカピ。もしかしたら、この世界の方々は、アサギさんの世界の方々よりも肝臓が強いのでしょうカピ?」

「どうだろう。僕の知り合いも肝臓悪い人っていないけど、そうだなぁ、お酒の飲み過ぎとかで肝臓を悪くするとか聞くなぁ」

「あぁ……」

「あぁ」

 ロロアとカロムが顔を見合わせ、声を合わせた。

「この家では酒飲む機会が少ないから、俺も特に何も言わなかったんだが、この村と言うか世界は、酒が好きで強い人間が多い印象だな」

「そうですカピね。僕もお酒は好きですカピ」

「そうだよね。お米のお酒作った時に言ってたもんね。カロムも強いよね」

「まぁ好きだしな。毎晩飲んでるぜ。少しだけだがな」

「強いカロムの少しは、多分僕には多いんじゃ無いかな」

「いやいやまさか」

 カロムはそう言って首を振るが、恐らく多い。あまり強くは無い浅葱にとっては、やはり羨ましく感じる。

「じゃあロロアも毎晩飲みたいんじゃ無い? 僕に遠慮していない?」

「大丈夫ですカピよ。お酒は好きなのですカピが、毎晩飲みたいとまでは思わないのですカピよ。飲みたい時は遠慮無く飲ませていただきますカピ。またお米のお酒も飲みたいですカピ」

「酒工房からいただいてる分があるもんね。じゃあ今夜いただこうか」

「そうですカピね! 楽しみですカピ。その前に、僕はお薬を作るのですカピ」

「ああそうだった。お邪魔して御免ね」

「大丈夫ですカピ。では僕は研究室に戻りますカピ」

「昼飯はどうするよ」

「クリントさんが取りに来られてからいただきますカピ。アサギさんたちはお先に食べていてくださいカピ」

「ううん、待つよ。一緒に食べよう」

「だな。飯は一緒に食った方が旨いしな」

「ありがとうございますカピ。クリントさん、病院を出る前にお電話をくださるとの事ですカピ」

「じゃあそのタイミングで昼飯作り始めたら良いかな」

「そうですカピね。よろしくお願いしますカピ」

 ロロアは嬉しそうに言うと、研究室に戻って行った。



 昼過ぎ、13時ごろだろうか。クリントがやって来た。

「錬金術師さま、急なお願いで本当にすいません」

「大丈夫なのですカピ。作れるだけ作ったのですカピが、まずはこれで足りますカピか?」

 ロロアの背にちょこんと乗せられた紙袋。クリントがかがんで取り上げると中身を見て、「はい」と頷いた。

「充分です。患者さんの経過に寄っては、またお願いするかも知れませんが」

「はいですカピ。追加を作っておきますカピ。必要な時に無かったら、大変なのですカピ」

「そうして頂けると助かります。どうぞよろしくお願いします」

 何度も礼を言い、クリントは帰って行った。

 その後ろ姿を見送り、ロロアは小さく息を吐きながら言う。

「お爺ちゃま、心配ですカピ。肝臓は悪化すると完治が難しいのですカピ」

「僕もそう聞いた事がある。肝臓は毒素の濾過ろかをしたりとかするらしいから、弱ると他の病気も引き起こすって」

「そうなのか? 大事にならなきゃ良いがなぁ」

 不穏な内容を聞いてか、カロムは眉をひそめた。

「本当ですカピ。アントン先生が付いていらっしゃるので、大丈夫だとは思うのですカピ」

「そうだな。よし、とりあえず俺らは昼飯を食おうぜ。後は仕上げるだけだからよ」

「そうですカピね。いただいて、また僕はお薬を作りますカピ」

「じゃあ仕上げちゃうね。少し待っててね」

 そうして浅葱は台所へ入り、燻製豚ベーコンと玉葱とレタスの混ぜご飯を仕上げる。

 長粒米だがブイヨンと塩で炊いたご飯に、オリーブオイルで炒め、白ワインと塩で味付けした燻製豚と玉葱を入れ、レタスは生のまま混ぜ込み、味付けはオリーブオイルとバター、粒胡椒。

「さ、これ食べて、またお昼から頑張ろう」

「おう」

「はいですカピ」

 そうして神に祈りを捧げ、手を合わせて「いただきます」をした。
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