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5章 前に進むために
第8話 自覚した思い
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「いらっしゃいませ」
数日後の日曜日、開店間も無くけんちゃんさんが来てくれた。続けて入ってきたのは、以前一緒に来てくれた女性だった。そういえば、ふたりは新世界限定で外飲みをしていると聞いていた。
「こんばんは」
「こんばんは~」
ふたりともにこやかだ。あれから進展があったのか気になるところだが、下手に藪を突くのは得策では無い。下世話だし。由祐はいつも通りに、笑顔でふたりを迎えた。
温かいおしぼりを渡すと、ふたりはほっとした顔で手を拭いた。もう春ではあるのだが、やはり温かいおしぼりは心を和ませる。
「俺、生ビールください」
「あたし、ジムハイください」
「はい、お待ちくださいね」
由祐はまずジム・ビームハイボールを専用ジョッキに作り、続けて生ビールを、こちらも専用ジョッキに注ぐ。
「はい、お待たせしました」
できあがったものを出すと、ふたりは揃って「ありがとう」と笑みを浮かべてくれる。けんちゃんさんはどて焼きを気に入ってくれているから、今日も頼まれるかな、なんて思いながら。
「あの、お姉さん」
呼ばれ、「はい」と返事をすると、ふたりはちょっと照れくさそうな笑みを浮かべている。
「あの、俺ら、付き合うことになりました」
そのおめでたいお知らせに、由祐は「あら!」と目を丸くした。
「おめでとうございます! 良かったですねぇ~」
お祝いを送ると、ふたりは幸せそうな笑顔になった。
「ありがとうございます。ほら、前に話聞いてもろたでしょ。あれでちょっと考えたんです。で、俺なりにやってみて、そしたらこういうことに」
「けんちゃん、誘ったら、いつもはほいほい来てくれるのに、あんま来てくれへん様になって、しかも誘ってくれんくなって、寂しいなぁって。そんで、それが嫌やってなったんです。けんちゃんと会えんのが嫌やって、鬼DMしました」
「なるほど、押しては引いて作戦ですね」
由祐がおかしそうに言うと、けんちゃんさんは「はい」と笑った。
「俺としては、何でも言うこと聞く都合のええ男や無いんやでってのも言いたかったんですけどね、結果としてこうなりました」
「良かったですねぇ。よろしかったら、最初の1杯、うちからのお祝いてことでサービスさしてください」
「え!」
「えっ?」
ふたりは声を揃えて目を丸くする。けんちゃんさんは「いえいえ、そんな」と遠慮しようとしたが。
「やったぁ! 嬉しい~。ありがとうございます!」
女性が満面の笑みで喜びを表した。
「ちょ、ラムちゃん、図々しいて」
けんちゃんさんが慌てると、ラムちゃんと呼ばれた女性は「ええ~?」ときょとんとする。
「せっかく言うてくれてはるんやから、ごちそうしてもろたらええんやない?」
「や、でも」
けんちゃんさんは戸惑っている。
「ごちそうさしてください。それぞれ1杯だけですし、それにほら、ただより高いもんはないって言うでしょ?」
由祐がにこやかに言うと、ふたりは一瞬ぎょっとした様な顔になる。
「これからも、またおふたりで来てくれはったら、それが嬉しいです。それでじゃんじゃんうちで食べて飲んでもらえたら、わたしも潤いますからね」
少しおどけた様に言うと、ふたりはぽかんとなったあと、小さく「はは」「ふふ」と笑ってくれた。
「ほな、1杯いただきます。ありがとうございます」
「お姉さん、ありがとうございます~!」
「いえいえ。今日もごゆっくりどうぞ」
さすがに平井さんみたいに、食べていただいた全てを持つことはできない。それでもこちらの祝意が伝われば、なんて思ったのだ。
ふたりはおしながきを見て、ああでも無いこうでも無いと言い合って。
「すいません、とりあえず、どて焼きと菜の花の卵とじ、豚ばらのピリ辛炒め、ください」
「はい、お待ちくださいね」
菜の花の卵とじは、今日の日替わりお惣菜の1品だ。他には若竹煮、うすいえんどうとベーコンの黒こしょう炒め、春きゃべつのコールスロー、春にんじんのラペだ。
うすいえんどうはなにわの伝統野菜のひとつ。アメリカから羽曳野市の碓井地区に入ってきたえんどう豆が改良されたものである。今では和歌山県で主に栽培されている。
一般的なえんどう豆よりも青みが少なく、甘みが強め。今日はベーコンと合わせて炒めたが、豆ごはんや卵とじにしても絶品だ。
豚ばら肉のピリ辛炒めはメインのひとつ。豚ばら肉とにらを、豆板醤などの調味料で味付けをして炒め、ごま油で仕上げている。
けんちゃんさんは辛いものが苦手な様だが、ラムちゃんさんが好きみたいなので、頼んでくれたのだろう。と言いつつあくまでピリ辛で辛さは抑えてあるので、辛いのが苦手な人でも食べてもらえると思う。
他のメインは牛肉とちんげん菜のオイスターソース炒めと、いかとアスパラガスのわた味噌炒めだ。
「はい、まずはどて焼きと菜の花の卵とじをどうぞ。豚ばらは少々お待ちくださいね」
「ありがとうございます」
「今日も美味しそ! あ、ねぇねぇお姉さん、けんちゃんに相談されて、アドバイスしてくれたんですって?」
ラムちゃんさんが聞いてくる。笑顔のままなので、気を悪くしたりとそういうことでは無い様だ。由祐は手を動かしながら。
「アドバイスなんて、そんなおこがましいこと、とんでも無いですよ。僭越ながら少しだけ、思ったことを言わしてもろただけで」
謙遜などでは無く、本当にそのままなのだ。特に恋愛の機微に疎い由祐なので、できることはほとんど無かった。
「でも、それで俺は押して引いてに行き着いたんで。ほんまにお姉さんには感謝してるんですよ。あ、こら、ラムちゃん、せやからどて焼きに七味掛けんなって」
「掛けた方が美味しいって~」
けんちゃんさんが由祐と話している隙に、ラムちゃんさんが行動を起こし掛けた様だ。前のときもお付き合いをしていると勘違いしたほどの距離感だったが、それはますます近くなっている気がする。何て微笑ましいのだろうか。由祐は思わず頬を緩ました。
「ねぇ、お姉さんは、彼氏とかいてはりますん? 好きな人とか」
ラムちゃんさんが無邪気に聞いてくる。けんちゃんさんは「こら、失礼やろ」と窘めたのだが。
由祐の頭にぱっと浮かんだのは、茨木さんの顔だった。無表情の、いつもの端正な顔。
そのとき、由祐はすとんと腑に落ちた。そうか、最近感じていた、もやもやした様な心の動きは。
由祐は、茨木さんに淡い思いを抱いてしまっていたのだ。それを自然と認めつつ、だからこそ。
「残念ながら、どっちもいてへんのですよ~」
笑顔を作って、由祐は応えた。痛みは無い。それはきっと、まだまだ小さなもの。それでも。
「そうなんですかぁ~。お姉さんとコイバナとかしてみたかったです~」
そう言うラムちゃんさんの笑顔は、とても可愛らしく輝いていた。
「こらっ」
けんちゃんさんが軽く注意しても、ラムちゃんさんはにこにこと笑顔のまま。そんな風にいられることをほんの少しだけ羨ましいと思いつつ、それでも由祐の思いは由祐だけのものなのだからと、「ふふ」と笑みを浮かべた。
数日後の日曜日、開店間も無くけんちゃんさんが来てくれた。続けて入ってきたのは、以前一緒に来てくれた女性だった。そういえば、ふたりは新世界限定で外飲みをしていると聞いていた。
「こんばんは」
「こんばんは~」
ふたりともにこやかだ。あれから進展があったのか気になるところだが、下手に藪を突くのは得策では無い。下世話だし。由祐はいつも通りに、笑顔でふたりを迎えた。
温かいおしぼりを渡すと、ふたりはほっとした顔で手を拭いた。もう春ではあるのだが、やはり温かいおしぼりは心を和ませる。
「俺、生ビールください」
「あたし、ジムハイください」
「はい、お待ちくださいね」
由祐はまずジム・ビームハイボールを専用ジョッキに作り、続けて生ビールを、こちらも専用ジョッキに注ぐ。
「はい、お待たせしました」
できあがったものを出すと、ふたりは揃って「ありがとう」と笑みを浮かべてくれる。けんちゃんさんはどて焼きを気に入ってくれているから、今日も頼まれるかな、なんて思いながら。
「あの、お姉さん」
呼ばれ、「はい」と返事をすると、ふたりはちょっと照れくさそうな笑みを浮かべている。
「あの、俺ら、付き合うことになりました」
そのおめでたいお知らせに、由祐は「あら!」と目を丸くした。
「おめでとうございます! 良かったですねぇ~」
お祝いを送ると、ふたりは幸せそうな笑顔になった。
「ありがとうございます。ほら、前に話聞いてもろたでしょ。あれでちょっと考えたんです。で、俺なりにやってみて、そしたらこういうことに」
「けんちゃん、誘ったら、いつもはほいほい来てくれるのに、あんま来てくれへん様になって、しかも誘ってくれんくなって、寂しいなぁって。そんで、それが嫌やってなったんです。けんちゃんと会えんのが嫌やって、鬼DMしました」
「なるほど、押しては引いて作戦ですね」
由祐がおかしそうに言うと、けんちゃんさんは「はい」と笑った。
「俺としては、何でも言うこと聞く都合のええ男や無いんやでってのも言いたかったんですけどね、結果としてこうなりました」
「良かったですねぇ。よろしかったら、最初の1杯、うちからのお祝いてことでサービスさしてください」
「え!」
「えっ?」
ふたりは声を揃えて目を丸くする。けんちゃんさんは「いえいえ、そんな」と遠慮しようとしたが。
「やったぁ! 嬉しい~。ありがとうございます!」
女性が満面の笑みで喜びを表した。
「ちょ、ラムちゃん、図々しいて」
けんちゃんさんが慌てると、ラムちゃんと呼ばれた女性は「ええ~?」ときょとんとする。
「せっかく言うてくれてはるんやから、ごちそうしてもろたらええんやない?」
「や、でも」
けんちゃんさんは戸惑っている。
「ごちそうさしてください。それぞれ1杯だけですし、それにほら、ただより高いもんはないって言うでしょ?」
由祐がにこやかに言うと、ふたりは一瞬ぎょっとした様な顔になる。
「これからも、またおふたりで来てくれはったら、それが嬉しいです。それでじゃんじゃんうちで食べて飲んでもらえたら、わたしも潤いますからね」
少しおどけた様に言うと、ふたりはぽかんとなったあと、小さく「はは」「ふふ」と笑ってくれた。
「ほな、1杯いただきます。ありがとうございます」
「お姉さん、ありがとうございます~!」
「いえいえ。今日もごゆっくりどうぞ」
さすがに平井さんみたいに、食べていただいた全てを持つことはできない。それでもこちらの祝意が伝われば、なんて思ったのだ。
ふたりはおしながきを見て、ああでも無いこうでも無いと言い合って。
「すいません、とりあえず、どて焼きと菜の花の卵とじ、豚ばらのピリ辛炒め、ください」
「はい、お待ちくださいね」
菜の花の卵とじは、今日の日替わりお惣菜の1品だ。他には若竹煮、うすいえんどうとベーコンの黒こしょう炒め、春きゃべつのコールスロー、春にんじんのラペだ。
うすいえんどうはなにわの伝統野菜のひとつ。アメリカから羽曳野市の碓井地区に入ってきたえんどう豆が改良されたものである。今では和歌山県で主に栽培されている。
一般的なえんどう豆よりも青みが少なく、甘みが強め。今日はベーコンと合わせて炒めたが、豆ごはんや卵とじにしても絶品だ。
豚ばら肉のピリ辛炒めはメインのひとつ。豚ばら肉とにらを、豆板醤などの調味料で味付けをして炒め、ごま油で仕上げている。
けんちゃんさんは辛いものが苦手な様だが、ラムちゃんさんが好きみたいなので、頼んでくれたのだろう。と言いつつあくまでピリ辛で辛さは抑えてあるので、辛いのが苦手な人でも食べてもらえると思う。
他のメインは牛肉とちんげん菜のオイスターソース炒めと、いかとアスパラガスのわた味噌炒めだ。
「はい、まずはどて焼きと菜の花の卵とじをどうぞ。豚ばらは少々お待ちくださいね」
「ありがとうございます」
「今日も美味しそ! あ、ねぇねぇお姉さん、けんちゃんに相談されて、アドバイスしてくれたんですって?」
ラムちゃんさんが聞いてくる。笑顔のままなので、気を悪くしたりとそういうことでは無い様だ。由祐は手を動かしながら。
「アドバイスなんて、そんなおこがましいこと、とんでも無いですよ。僭越ながら少しだけ、思ったことを言わしてもろただけで」
謙遜などでは無く、本当にそのままなのだ。特に恋愛の機微に疎い由祐なので、できることはほとんど無かった。
「でも、それで俺は押して引いてに行き着いたんで。ほんまにお姉さんには感謝してるんですよ。あ、こら、ラムちゃん、せやからどて焼きに七味掛けんなって」
「掛けた方が美味しいって~」
けんちゃんさんが由祐と話している隙に、ラムちゃんさんが行動を起こし掛けた様だ。前のときもお付き合いをしていると勘違いしたほどの距離感だったが、それはますます近くなっている気がする。何て微笑ましいのだろうか。由祐は思わず頬を緩ました。
「ねぇ、お姉さんは、彼氏とかいてはりますん? 好きな人とか」
ラムちゃんさんが無邪気に聞いてくる。けんちゃんさんは「こら、失礼やろ」と窘めたのだが。
由祐の頭にぱっと浮かんだのは、茨木さんの顔だった。無表情の、いつもの端正な顔。
そのとき、由祐はすとんと腑に落ちた。そうか、最近感じていた、もやもやした様な心の動きは。
由祐は、茨木さんに淡い思いを抱いてしまっていたのだ。それを自然と認めつつ、だからこそ。
「残念ながら、どっちもいてへんのですよ~」
笑顔を作って、由祐は応えた。痛みは無い。それはきっと、まだまだ小さなもの。それでも。
「そうなんですかぁ~。お姉さんとコイバナとかしてみたかったです~」
そう言うラムちゃんさんの笑顔は、とても可愛らしく輝いていた。
「こらっ」
けんちゃんさんが軽く注意しても、ラムちゃんさんはにこにこと笑顔のまま。そんな風にいられることをほんの少しだけ羨ましいと思いつつ、それでも由祐の思いは由祐だけのものなのだからと、「ふふ」と笑みを浮かべた。
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