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第五話 チャメ’S ストーリー(その2)
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「やあチャメちゃん。どうした? こんな真昼間に呼び出して。またなんか揉め事?」
「ああデイジーさん。すいません。なんか今日は午後空けてたみたいだったので、お昼くらいはご一緒出来るかと……」
「うん。午後からちょっと役所にいって、藤巻先生のところにいって……でも大丈夫。お昼ご飯をごいっしょする時間はあるから」
「それでデイジーさん。この間おっしゃっていたレビュー見たんですけど……」
「ああ、あれはいいレビューだよね。チャメちゃんへの愛情に溢れてると思ったよ。それで何てコメント返したの? それともそれの書き方知りたいとか?」
「あの……私、あのレビュー取り消してもらいたいんですけど……どうすれば?」
「えー。せっかく書いてもらったのにもったいない。私なんか年に一回書いてもらえるかどうかなんだけど……」
「あの……私……」あっ、だめだ。涙が出て来た。それを見てデイジーさんも驚いている。
「あー、訳ありかー。大丈夫だから落ち着いて。ちゃんと話聞くから!」
デイジーさんのこういう所、大好きだな。私も深呼吸してから自分の気持ちを正直に打ち明けた。
「私……ダメなんです。太いとかポッチャリって言われるの……単にダメって言う程度じゃなくて……心身症が発症するレベルで……」
「あちゃー。そりゃ大変だよ。なんせこの業界。ポッチャリってどっちかと言うと誉め言葉に分類されるからね……多分。おっさん達は、良かれと思ってチャメちゃんを褒め称えてそう言っちゃう」
「私、中学生くらいの頃、肥満児と言っていいレベルで太ってて……高校に入ってから、いじめられたと言う程ではないんですが、クラスメートにからかわれたりしてるうちに病んじゃって、拒食症って言われて体重が三十キロ切った事があるんです。でもなんとか持ち直して大学入って、ようやく今位で落ち着いていたんですけど……お客さんにそれ言われちゃうと、昔の事思い出しちゃって……怖いんです」
「そっかー。そりゃ辛いよね。わかった。そのレビューに関しては、店経由で削除してもらおう。大丈夫大丈夫。変な事書いたレビューが落とされるなんてしょっちゅうだから」
「でも、せっかく書いてくれたお客さんに悪いなとは……」
「うーん。でも自分が調子悪くなっちゃうんじゃやっぱり駄目だよ。だいたいポッチャリがいいっていうのは個人の主観だし……無理して合わせなくていいよ」
「はい、わかりました。この件はお店に相談します。だけど……こんなんで私、これからもやっていけるのでしょうか?」
「それはあたしにも分かんないなー。おっさん達って、やっぱりポッチャリ好き多いし……いっそプロフにNGワードで明記しておくのもありかも? 以外とそういうの見ててくれるよ。でもチャメちゃん。この仕事好きって言ってたし、エッチな事も好きなんだろ? 好きな事と嫌いな事を天秤にかけて、自分で考えるしかないと思うよ」
「そうですね……」
そのレビューは、お店に頼んだら翌日には削除されていた。そしてネットのプロフには、デイジーさんの助言に従い、デブとかポッチャリとか言われるのが嫌いと、かわいく明記した。はたして効果はあるのだろうか?
そしてしばらくして、本指名で入ったお客さんが、あのレビューの人だった。
「あ、あの。ごめんなさい……私……」
「いやチャメちゃん。俺の方こそ悪かった。気にしてたんだね。俺としちゃ全然気に……いやそういう自分目線の態度がいけないな。本当にごめん」
そう言ってそのおじさんは何度も小娘の私に頭を下げた。そしておじさんの誠意はさすがに私にも伝わり、その日は最高のモチベで最後までご奉仕出来た様に感じた。
そして数日後。そのおじさんのレビューがまたUpされた。
今度は身体の特徴には一切触れず、私の事をベタ褒めしてくれており、会うたびに進化していく、次に会うのが楽しみな子と書かれていた。
効果てき面かどうかは判らないが、デイジーさんのアドバイスに従い、NGワードをプロフで宣言したら、確かに私の体型について言及するお客が減った様にも思う。
そしてあのレビュー以降、初見で本指名を入れてくれるお客も若干増えて来ている。もう少し、お店に入る日を増やしてもいいかな? でも……日中は学校も行かないとならないし。結局、夜の上がりを少し遅くしたのだが、程なく学校が夏休みに入った。
でも大学生の夏休みってなんでこんなに長いんだろう。勉強する為に大学入ったはずなのに……そうか。勉強だけじゃなくてたまにはちゃんと稼げ……という事にしておこう。
「ああデイジーさん。すいません。なんか今日は午後空けてたみたいだったので、お昼くらいはご一緒出来るかと……」
「うん。午後からちょっと役所にいって、藤巻先生のところにいって……でも大丈夫。お昼ご飯をごいっしょする時間はあるから」
「それでデイジーさん。この間おっしゃっていたレビュー見たんですけど……」
「ああ、あれはいいレビューだよね。チャメちゃんへの愛情に溢れてると思ったよ。それで何てコメント返したの? それともそれの書き方知りたいとか?」
「あの……私、あのレビュー取り消してもらいたいんですけど……どうすれば?」
「えー。せっかく書いてもらったのにもったいない。私なんか年に一回書いてもらえるかどうかなんだけど……」
「あの……私……」あっ、だめだ。涙が出て来た。それを見てデイジーさんも驚いている。
「あー、訳ありかー。大丈夫だから落ち着いて。ちゃんと話聞くから!」
デイジーさんのこういう所、大好きだな。私も深呼吸してから自分の気持ちを正直に打ち明けた。
「私……ダメなんです。太いとかポッチャリって言われるの……単にダメって言う程度じゃなくて……心身症が発症するレベルで……」
「あちゃー。そりゃ大変だよ。なんせこの業界。ポッチャリってどっちかと言うと誉め言葉に分類されるからね……多分。おっさん達は、良かれと思ってチャメちゃんを褒め称えてそう言っちゃう」
「私、中学生くらいの頃、肥満児と言っていいレベルで太ってて……高校に入ってから、いじめられたと言う程ではないんですが、クラスメートにからかわれたりしてるうちに病んじゃって、拒食症って言われて体重が三十キロ切った事があるんです。でもなんとか持ち直して大学入って、ようやく今位で落ち着いていたんですけど……お客さんにそれ言われちゃうと、昔の事思い出しちゃって……怖いんです」
「そっかー。そりゃ辛いよね。わかった。そのレビューに関しては、店経由で削除してもらおう。大丈夫大丈夫。変な事書いたレビューが落とされるなんてしょっちゅうだから」
「でも、せっかく書いてくれたお客さんに悪いなとは……」
「うーん。でも自分が調子悪くなっちゃうんじゃやっぱり駄目だよ。だいたいポッチャリがいいっていうのは個人の主観だし……無理して合わせなくていいよ」
「はい、わかりました。この件はお店に相談します。だけど……こんなんで私、これからもやっていけるのでしょうか?」
「それはあたしにも分かんないなー。おっさん達って、やっぱりポッチャリ好き多いし……いっそプロフにNGワードで明記しておくのもありかも? 以外とそういうの見ててくれるよ。でもチャメちゃん。この仕事好きって言ってたし、エッチな事も好きなんだろ? 好きな事と嫌いな事を天秤にかけて、自分で考えるしかないと思うよ」
「そうですね……」
そのレビューは、お店に頼んだら翌日には削除されていた。そしてネットのプロフには、デイジーさんの助言に従い、デブとかポッチャリとか言われるのが嫌いと、かわいく明記した。はたして効果はあるのだろうか?
そしてしばらくして、本指名で入ったお客さんが、あのレビューの人だった。
「あ、あの。ごめんなさい……私……」
「いやチャメちゃん。俺の方こそ悪かった。気にしてたんだね。俺としちゃ全然気に……いやそういう自分目線の態度がいけないな。本当にごめん」
そう言ってそのおじさんは何度も小娘の私に頭を下げた。そしておじさんの誠意はさすがに私にも伝わり、その日は最高のモチベで最後までご奉仕出来た様に感じた。
そして数日後。そのおじさんのレビューがまたUpされた。
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効果てき面かどうかは判らないが、デイジーさんのアドバイスに従い、NGワードをプロフで宣言したら、確かに私の体型について言及するお客が減った様にも思う。
そしてあのレビュー以降、初見で本指名を入れてくれるお客も若干増えて来ている。もう少し、お店に入る日を増やしてもいいかな? でも……日中は学校も行かないとならないし。結局、夜の上がりを少し遅くしたのだが、程なく学校が夏休みに入った。
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