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最終話 デリバリー・デイジー アフター(その3)
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お姉言葉の助言に従い、お店は三ヵ月休職にしてもらった。なので今は無職だ。行く所も無いので、特に用がなければ朝から晩まで一日中家にいる。それはリンも同じで、あれからずっと学校に行っていない。そんな訳でずっとリンと顔を突き合わせている……いや、あいつは自室に籠って本を読んでる。なんとかきっかけを作って話し掛けようと思うのだが、どうにも踏ん切りがつかない。
そうしてもじもじしながら三日位過ぎた朝。
「ママ。お仕事お休み? ずっとだね」
リンがトーストを頬張りながら話し掛けてきた。
「えっ? ああ……仕事……やめたんだ……」
「!?」リンはそれはそれは驚いた様な顔をした。そしてかじっていたトーストを皿に置き、下を向いてじっとしている。
「あ、あのねリン。あたしの仕事の事なんだけど……」
今がチャンスだ! 一気に話をするしかない。そう意を決して話し出したのだが……。
「ママの馬鹿!!」
リンがいきなりテーブルを両手でドンっと叩いたかを思ったら、いきなりキッチンを飛び出し、玄関から外に飛び出して行ってしまった。
「リンっ!?」慌てて追いかけるが、焦って玄関でけつまづいた。
「痛ってー」チクショウ。リン。待って、待ってくれ……。
痛む膝を引きずりながら後を追いかけたが、見失ってしまった。
あーあ。あたしゃ何をやってんだ! やっぱりリンは私の仕事の事を怒ってたんだ。もっと早く、ちゃんと話せばよかった……だけど、ここでしんみりしちゃいられない。あいつ、何か早まった事しなきゃいいんだけど。あたしは、直ぐに学校に連絡を入れた。
学校側もすぐに動いてくれ、警察にも保護願いを出した。だが、夕方になってもリンは見つからず、桜井先生があたしの自宅に来てくれている。
先生は、リンのタブレットを開いて中を見ていたが、やがてこう言うった。
「ああ、リンさん。私のメールちゃんと読んでくれてますね。ですが返事は一度も……やっぱり嫌われているんでしょうかね」
見るとリンのメールフォルダは、毎日送られてくる桜井先生のメールが並び、ちゃんと既読になっていた。メールもリンを心配して励ましてくれる様な内容で、この先生の熱意と誠意が感じられた。
夜の九時を回り、桜井先生も一旦帰られたところで、あたしに電話が入った。
「あっ、はい……えー、リンがそちらに!?」
◇◇◇
私はタクシーでその場所に向かった。そしてタクシーが着いたその場所は……
『藤巻税理士事務所』でもなんでリンが藤巻先生のところに?
事務所に入ると応接で藤巻先生が待っていて下さった。
「あの先生。リンは!?」
「川畑さん。まずは落ち着いて。リンちゃんなら心配いらないわ。今、私の書斎で本読んでるから」
「それじゃ、早速……」
「だから慌てないでって。こういう時に当事者同士で話するとかえってこじれるのよ。第三者の仲介に頼った方がいい事もあるのよ。まあお掛けなさい」
「はあ……」
まあ、とりあえずリンが無事なんでホッとした。お茶をいただいて一息ついた。
ああ、学校の先生方にも連絡しないと……。
藤巻先生が、あたしが落ち着いたのを確認して話し出した。
どうやら夕方、リンがいきなりここに飛び込んで来たらしい。
そして藤巻先生に会うなりこう言ったそうだ。
「先生。私……ママ……助けて!」
「どうしたのリンちゃん? 何があったのかお話出来る?」
「ママ……お仕事やめちゃった……私のせい……かも」
「……どうしてそう思ったの? ママのお仕事の事、何か聞いたの?」
「ううん……でも知ってる……ママのお仕事……エッチなやつ」
「そっか。それでリンちゃんはママが嫌いになったのかな。それでママが悲しんでお仕事やめちゃったのかな?」
「違う! ママ……ずっと頑張って……私の為……嫌いになんて……絶対ならない!」
「そっか……よかった。でもそうならば、ちゃんとリンちゃんのその気持ちを伝えてあげれば、ママは喜ぶんじゃないかな」
「私……うまく……話せない……から」
「あーあ、まったく。あなた達は親子揃って、本当に不器用よね。でも分かったわ。私があなたのママに説教してあげる! ちゃんとリンちゃんの気持ちを分かってあげてってね」
そしてリンは眼一杯に涙をため、藤巻先生に抱きついたとの事だ。
「あ……」その話を聞いてあたしの胸は一杯になった。眼から涙が止まらない。
「だから、あなたがリンちゃんの気持ちを確かめないで仕事やめちゃったから、リンちゃんは自分のせいだって思って、いたたまれなくて飛び出しちゃったんだと思うわよ。でも……よかったね。リンちゃんはあなたの仕事、嫌悪してない事がわかってさ」
「はい……でも、なんであいつ先生の所に?」
「それだよねー。多分あの子。私達の話を覚えていたんじゃない? ほらあなたが後追いで確定申告した時、打ち上げでお寿司屋さんに行ったでしょ。その時の私の身の上話を覚えていて、私なら自分の気持ちを分かってもらい易いって思ったんじゃないかしら」
「そんな……それって五年位前ですよね? あん時、あいつまだ五歳位じゃ……」
「賢い子なんだよ、リンちゃんは」
◇◇◇
それから先生に案内され奥の書斎に向かった。ああリンだ……リンが無事にそこにいて……なんだ? なんか難しそうな本読んでるな。
「リン……」
「……ママ」私に気付いてリンが顔を上げた。
「ごめんねリン。先生から聞いたよ。あんたの気持ち……ごめんね。あたし早とちりしちゃって……あんたがあたしの仕事の事、認めてくれてたの、すっごくうれしい……」
「ゴメン……ママ……大丈夫……私……気にしてない……お仕事……やめないで」
「うんうん。またお店に戻れる様にするから……一生懸命あんたの為に稼ぐから……」
「……無理は……しないで……」
ああっ。あたし、この子産んでよかった! 育ててよかった!!
あたしは力の限り、この最愛の我が子を抱きしめた。
みんなで応接に移り、先生がホットミルクを出してくれた。暖かい飲み物で、あたしもリンもホッと顔がほころぶ。
「それじゃあリン。学校へ行きたくないっていうのも、あたしの仕事とは関係ないんだ?」
「あっ……うん……関係ない」
「ううっ、ほっとしたよ。じゃあさ。今のあたしは藤巻先生に説教されて、リンの言う事なんでも聞くモードになってるからさ。なんで学校が嫌なのかも教えてくれるかな」
「……」まただんまりになった。やっぱり言いづらいんだろうか。
「あれーリンちゃん。さっき学校の事を話していて、私にはこっそり教えてくれたじゃない」
「うっ……」藤巻先生が後ろから声をかけたら、リンが真っ赤になって唸った。
「お母さんに教えてもいい? あんまりお母さんに心配かけない為にもさ」
「……」言葉には出さないがリンがゆっくりとうなずいた。
「あのねー。リンちゃんは……担任の先生が好きなんだよね!?」
突然の斜め上からの攻撃に、あたしは思わずのけぞった。
「はえっ!? ほえーーーーーーーっ!?」
◇◇◇
それにしても担任の先生に惚れたとか……うちの子はとんだマセガキだと改めて思ったのだが、学年主任の先生と話したらそういう事例は結構あって、未成熟な子供が本人の自覚もあいまいなまま、その思いにうまく対処出来ずに、好意とは全く逆の態度を取ったり、違う形で暴力や反抗をするケースはままあるとの事だった。
そしてそもそもの発端は、クラスで児童同士のちょっとした揉め事があって、リンが仲裁にはいったらしいのだが、その時、桜井先生がリンを褒める事をせず、揉めた当事者の方を重点的にケアした事が気にいらなかったらしい。担任の先生に認めてほしかったんだ。やれやれ、うちの娘は嫉妬ももう一人前と言う事なのか? でもまあ……ああ見えてちゃんと女として成長しているという事なのだろうとは思った。
当の桜井先生も自分の経験不足と見識不足をおおいに嘆いていたが、こればっかりは済んじゃった事でどうにもならない。かと言ってまさか桜井先生がリンの思いを受け入れてエコ贔屓しちゃう訳にもいかないので、クラス替えが相当かという話になった。そしたら校長先生が出て来て、いきなりそんな生木を裂くみたいにしても、先生にもリンにも心に傷が残るでしょうと、リンを当面、支援学級に通わせる事を提案してくれた。
最近は、こうした感じの不登校児童が、クラスに入れないまでも学校に来て、スクールアシスタントの先生と一緒に過ごす事が出来る仕組みがあって、それで徐々にリンが自身で気持ちの整理をつけるか、来年四年生になるタイミングでクラス替えを行えばいいのではないかとの事で、話がまとまった。
そして夏休みが終わって、新学期からリンはまた学校に通いだした。支援学級だと、原則自習になってしまうらしいが、本好きのリンは、ここぞとばかりに、片っ端から図書室の本を読み漁っていて、司書の先生に、もっと大人向けの恋愛ものはないのかなどと生意気な事を言っているらしい。
そしてそれとあわせて、あたしもお店に戻って仕事を再開した。
「ほらね。私の勘は当たるのよ。子供といえども、女がすねる時は、大抵男絡みなのよ!」お姉言葉のマネージャーが、ドヤ顔でそう言ったが……まっ、いいか。
だけど、今後こそほんとにどこかで我が身の振り方を考えなくちゃならないかな。今は良くても、リンがどんどん成長していって、思春期の階段上っていく中で、どこで風向きが変わらないとも限らない。私がリンのよき母親であり続ける為にも……。
いや。そんな事考えなくていいか。やっぱ私、この仕事が性に合ってるし好きなんだわ。リンだって、私がプライドを持って楽しそうに仕事してるから認めてくれているんだとも思う。だからまあ。将来、お店が替わっちゃう事はあっても、デイジーの看板はまだまだ降ろさないでおこうかな。
(完)
そうしてもじもじしながら三日位過ぎた朝。
「ママ。お仕事お休み? ずっとだね」
リンがトーストを頬張りながら話し掛けてきた。
「えっ? ああ……仕事……やめたんだ……」
「!?」リンはそれはそれは驚いた様な顔をした。そしてかじっていたトーストを皿に置き、下を向いてじっとしている。
「あ、あのねリン。あたしの仕事の事なんだけど……」
今がチャンスだ! 一気に話をするしかない。そう意を決して話し出したのだが……。
「ママの馬鹿!!」
リンがいきなりテーブルを両手でドンっと叩いたかを思ったら、いきなりキッチンを飛び出し、玄関から外に飛び出して行ってしまった。
「リンっ!?」慌てて追いかけるが、焦って玄関でけつまづいた。
「痛ってー」チクショウ。リン。待って、待ってくれ……。
痛む膝を引きずりながら後を追いかけたが、見失ってしまった。
あーあ。あたしゃ何をやってんだ! やっぱりリンは私の仕事の事を怒ってたんだ。もっと早く、ちゃんと話せばよかった……だけど、ここでしんみりしちゃいられない。あいつ、何か早まった事しなきゃいいんだけど。あたしは、直ぐに学校に連絡を入れた。
学校側もすぐに動いてくれ、警察にも保護願いを出した。だが、夕方になってもリンは見つからず、桜井先生があたしの自宅に来てくれている。
先生は、リンのタブレットを開いて中を見ていたが、やがてこう言うった。
「ああ、リンさん。私のメールちゃんと読んでくれてますね。ですが返事は一度も……やっぱり嫌われているんでしょうかね」
見るとリンのメールフォルダは、毎日送られてくる桜井先生のメールが並び、ちゃんと既読になっていた。メールもリンを心配して励ましてくれる様な内容で、この先生の熱意と誠意が感じられた。
夜の九時を回り、桜井先生も一旦帰られたところで、あたしに電話が入った。
「あっ、はい……えー、リンがそちらに!?」
◇◇◇
私はタクシーでその場所に向かった。そしてタクシーが着いたその場所は……
『藤巻税理士事務所』でもなんでリンが藤巻先生のところに?
事務所に入ると応接で藤巻先生が待っていて下さった。
「あの先生。リンは!?」
「川畑さん。まずは落ち着いて。リンちゃんなら心配いらないわ。今、私の書斎で本読んでるから」
「それじゃ、早速……」
「だから慌てないでって。こういう時に当事者同士で話するとかえってこじれるのよ。第三者の仲介に頼った方がいい事もあるのよ。まあお掛けなさい」
「はあ……」
まあ、とりあえずリンが無事なんでホッとした。お茶をいただいて一息ついた。
ああ、学校の先生方にも連絡しないと……。
藤巻先生が、あたしが落ち着いたのを確認して話し出した。
どうやら夕方、リンがいきなりここに飛び込んで来たらしい。
そして藤巻先生に会うなりこう言ったそうだ。
「先生。私……ママ……助けて!」
「どうしたのリンちゃん? 何があったのかお話出来る?」
「ママ……お仕事やめちゃった……私のせい……かも」
「……どうしてそう思ったの? ママのお仕事の事、何か聞いたの?」
「ううん……でも知ってる……ママのお仕事……エッチなやつ」
「そっか。それでリンちゃんはママが嫌いになったのかな。それでママが悲しんでお仕事やめちゃったのかな?」
「違う! ママ……ずっと頑張って……私の為……嫌いになんて……絶対ならない!」
「そっか……よかった。でもそうならば、ちゃんとリンちゃんのその気持ちを伝えてあげれば、ママは喜ぶんじゃないかな」
「私……うまく……話せない……から」
「あーあ、まったく。あなた達は親子揃って、本当に不器用よね。でも分かったわ。私があなたのママに説教してあげる! ちゃんとリンちゃんの気持ちを分かってあげてってね」
そしてリンは眼一杯に涙をため、藤巻先生に抱きついたとの事だ。
「あ……」その話を聞いてあたしの胸は一杯になった。眼から涙が止まらない。
「だから、あなたがリンちゃんの気持ちを確かめないで仕事やめちゃったから、リンちゃんは自分のせいだって思って、いたたまれなくて飛び出しちゃったんだと思うわよ。でも……よかったね。リンちゃんはあなたの仕事、嫌悪してない事がわかってさ」
「はい……でも、なんであいつ先生の所に?」
「それだよねー。多分あの子。私達の話を覚えていたんじゃない? ほらあなたが後追いで確定申告した時、打ち上げでお寿司屋さんに行ったでしょ。その時の私の身の上話を覚えていて、私なら自分の気持ちを分かってもらい易いって思ったんじゃないかしら」
「そんな……それって五年位前ですよね? あん時、あいつまだ五歳位じゃ……」
「賢い子なんだよ、リンちゃんは」
◇◇◇
それから先生に案内され奥の書斎に向かった。ああリンだ……リンが無事にそこにいて……なんだ? なんか難しそうな本読んでるな。
「リン……」
「……ママ」私に気付いてリンが顔を上げた。
「ごめんねリン。先生から聞いたよ。あんたの気持ち……ごめんね。あたし早とちりしちゃって……あんたがあたしの仕事の事、認めてくれてたの、すっごくうれしい……」
「ゴメン……ママ……大丈夫……私……気にしてない……お仕事……やめないで」
「うんうん。またお店に戻れる様にするから……一生懸命あんたの為に稼ぐから……」
「……無理は……しないで……」
ああっ。あたし、この子産んでよかった! 育ててよかった!!
あたしは力の限り、この最愛の我が子を抱きしめた。
みんなで応接に移り、先生がホットミルクを出してくれた。暖かい飲み物で、あたしもリンもホッと顔がほころぶ。
「それじゃあリン。学校へ行きたくないっていうのも、あたしの仕事とは関係ないんだ?」
「あっ……うん……関係ない」
「ううっ、ほっとしたよ。じゃあさ。今のあたしは藤巻先生に説教されて、リンの言う事なんでも聞くモードになってるからさ。なんで学校が嫌なのかも教えてくれるかな」
「……」まただんまりになった。やっぱり言いづらいんだろうか。
「あれーリンちゃん。さっき学校の事を話していて、私にはこっそり教えてくれたじゃない」
「うっ……」藤巻先生が後ろから声をかけたら、リンが真っ赤になって唸った。
「お母さんに教えてもいい? あんまりお母さんに心配かけない為にもさ」
「……」言葉には出さないがリンがゆっくりとうなずいた。
「あのねー。リンちゃんは……担任の先生が好きなんだよね!?」
突然の斜め上からの攻撃に、あたしは思わずのけぞった。
「はえっ!? ほえーーーーーーーっ!?」
◇◇◇
それにしても担任の先生に惚れたとか……うちの子はとんだマセガキだと改めて思ったのだが、学年主任の先生と話したらそういう事例は結構あって、未成熟な子供が本人の自覚もあいまいなまま、その思いにうまく対処出来ずに、好意とは全く逆の態度を取ったり、違う形で暴力や反抗をするケースはままあるとの事だった。
そしてそもそもの発端は、クラスで児童同士のちょっとした揉め事があって、リンが仲裁にはいったらしいのだが、その時、桜井先生がリンを褒める事をせず、揉めた当事者の方を重点的にケアした事が気にいらなかったらしい。担任の先生に認めてほしかったんだ。やれやれ、うちの娘は嫉妬ももう一人前と言う事なのか? でもまあ……ああ見えてちゃんと女として成長しているという事なのだろうとは思った。
当の桜井先生も自分の経験不足と見識不足をおおいに嘆いていたが、こればっかりは済んじゃった事でどうにもならない。かと言ってまさか桜井先生がリンの思いを受け入れてエコ贔屓しちゃう訳にもいかないので、クラス替えが相当かという話になった。そしたら校長先生が出て来て、いきなりそんな生木を裂くみたいにしても、先生にもリンにも心に傷が残るでしょうと、リンを当面、支援学級に通わせる事を提案してくれた。
最近は、こうした感じの不登校児童が、クラスに入れないまでも学校に来て、スクールアシスタントの先生と一緒に過ごす事が出来る仕組みがあって、それで徐々にリンが自身で気持ちの整理をつけるか、来年四年生になるタイミングでクラス替えを行えばいいのではないかとの事で、話がまとまった。
そして夏休みが終わって、新学期からリンはまた学校に通いだした。支援学級だと、原則自習になってしまうらしいが、本好きのリンは、ここぞとばかりに、片っ端から図書室の本を読み漁っていて、司書の先生に、もっと大人向けの恋愛ものはないのかなどと生意気な事を言っているらしい。
そしてそれとあわせて、あたしもお店に戻って仕事を再開した。
「ほらね。私の勘は当たるのよ。子供といえども、女がすねる時は、大抵男絡みなのよ!」お姉言葉のマネージャーが、ドヤ顔でそう言ったが……まっ、いいか。
だけど、今後こそほんとにどこかで我が身の振り方を考えなくちゃならないかな。今は良くても、リンがどんどん成長していって、思春期の階段上っていく中で、どこで風向きが変わらないとも限らない。私がリンのよき母親であり続ける為にも……。
いや。そんな事考えなくていいか。やっぱ私、この仕事が性に合ってるし好きなんだわ。リンだって、私がプライドを持って楽しそうに仕事してるから認めてくれているんだとも思う。だからまあ。将来、お店が替わっちゃう事はあっても、デイジーの看板はまだまだ降ろさないでおこうかな。
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