【R18】冒険者兄妹(仮)

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その18:みんなで海水浴(後編)

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 美しい月明りの下、穏やかな波の音を聞きながらみんなでバーベキュー。とってもリゾートしている気分だ。お酒やツマミもリーマ姫が先に手配して、持ち込んでくれていたので、カミーユさんなどはもうかなり酔っぱらっている。みんなでのんびり歓談しながらゆっくり流れる時を楽しんで大分夜も更けたところでヨリが言った。
「明日も天気良さそうだねー。最高の海水浴日和じゃない? それじゃ、片付けは朝でいいから、お風呂入ってもう寝ようか?」
「あー賛成。それでここのお風呂、めっちゃ広いのよ。だから、みんなで一緒に入ろう!」カミーユさんがそう叫んだ。
「あー、いいですね。それじゃお兄さんも一緒にはいりましょう!!」リーマ姫のその言葉に、その場の全員が賛同した。
「いや、ちょっと待って!! 僕は、片付けしてるからみんなで先に入ってよ。男一人とか僕、めっちゃ恥ずかしいから……」
「えー、でも……ここにいる女性で、お兄さんのあそこ見た事無い人、挙手!」ノアナさんのその言葉に、だれも反応しない……あれっ? そうだっけ?? 

 そして結局。僕はお風呂でさんざん生殺しな目にあわされた。

 翌朝は、ヨリの予想通り、海水浴日和の快晴で風も波も穏やかだ。朝食を済ませた僕達は、水着に着替えて浜辺に集合した。

 ヨリとノアナさんと王妃様は大胆ビキニだ。やはり胸がある人はビキニ似合うよな。カミーユさんとサラドラ先生は、ワンピだが結構ハイレグで食い込み方がえぐい。それにサラドラ先生は、大きな胸がちょっと窮屈そうではある。リーマ姫とメイファーちゃんは、パレオ付きの子供ビキニだ。この間、二人で買いにいってたやつだな。ああ、みんな可愛い水着だな……でも、昨日の夜、お風呂で全員のすっぽんぽんを見ちゃっているんで、何と言うか……でも、ちょっと隠している水着もむしろエロいかな。
 そうしたら、日焼け止めを塗ってほしいと女性陣に頼まれ、僕は順番に一人ずつ、オイルを濡らされた。だが……子供から熟女まで、こんなに多くの女性の肌に触れたのは生まれて初めてだな。そんな感じで僕は鼻の下を伸ばしつつ、海に入ったり、浜辺のパラソルの下で休憩したり、ゆっくりその日を過ごした。

 夕方になり、リーマ姫やノアナさん達が、晩の支度をするからと先に戻り、僕とヨリと王妃様が、浜辺側の片づけで残った。
 夕日が遥か遠くの岩の岬に差し掛かり、綺麗な夕焼け空になっている。
 すると、王妃様がぼそっと漏らした。
「あの岬の向こうあたりが、人魚の巣と言われているんですよね」
「えっ!? そうなんですか」僕とヨリが顔を見合わせながら王妃様に問う。
「ええ。ですがもう何十年も目撃情報はありません。もう、あの辺にはいないのか。それとも絶滅してしまったのか……ミイラの標本なら王宮近くの博物館にあるんですけれど、生きている人魚は私も見た事がありません」
「あのー、王妃様。それ、見に行くの危険だったりします?」ヨリがそう尋ねた。
「さあ。特に危険があると言う話は聞いていませんが……とにかく、遭遇する確率がとても低いのは確かですね」
「お兄ちゃん。それじゃあさ。明日は、人魚探しに行って見ない? せっかくここまで来たんだし、万一、とっ捕まえて卵ゲット出来たら、超ラッキーじゃん」
「いやヨリ。お前そう簡単には……」
「いいえお兄さん。それも面白そうですね。一応私も元冒険者ですし、皆さん、それなりに心得の有る方ばかりみたいですし、趣向を変えてみるのも良いかも知れません」王妃様もそう言ったため、食事の時、提案したらみんな賛成してくれた。

 そして夜。さすがにお風呂の混浴はゆっくり入れないと主張し、今日は勘弁してもらった。そして、女性陣がお風呂に入っている間、夜風も心地よかったので、浜辺を散歩してみる。

「はあ。月が綺麗だなー。水面に映る月も幻想的だ……」浜辺を散策しながら、ふと足元をみると、10cm位のホタテか何かの貝殻が落ちていたのでそれを拾い上げる。
「そう言えば、ホタテしばらく食べてないなー。この辺で売ってるかな」
 そう思いながら、その貝殻を水面ギリギリに思い切り投げて水切りをした。
 1、2、3・・・・・・7・・・「痛いっ!」 えっ? 何、今の声。
 
 月明りの元、声のした方をよく見ると、あれ、海の中に人がいた? 
「あっ、すいません。当たっちゃいましたか? まさかこんな時間に泳いでいる人がいるとは思わなくて……」
「いいえ。私こそぼーっと泳いでおりまして……あの、大丈夫です。ケガとかはしておりません」月明りを背にしていて顔立ちなどはハッキリと見えないが、長い髪の少女の様だ。
「ならよかった。それじゃ、水泳の邪魔をしてすいません。僕は引き上げますのでごゆっくり」いや、それにしてもこんな時間に一人で水泳とか……あんまり関わらない方がよさそうだよな。そう思いながら僕は、お風呂に入ってさっさと寝ようと引き上げた。

 ◇◇◇

「それじゃー。人魚探索に出ぱーつ!!」ヨリの号令一過。馬車で岬の近くまで行った。

「この岬の先って、道とかあるんですか?」僕の問いに王妃様が答えた。
「地元の人が通るけもの道みたいなのはあると聞きましたが、まあ探索ですから気にせず参りましょう」そう言って元冒険者の王妃様がずかずかと藪に分け入っていき、リーマ姫が後に続いたので、僕らもそれに従った。
 一時間ほど登って、岬の尾根に出たら反対側が見えた。ああ、ここから先はずっと入り組んだ断崖絶壁の海岸線だ。確かに人魚とかが生息していそうな雰囲気はある。
「でも、これだと海面に降りるの大変そうですよね。ああ、あそこに小さな浜辺がある。一旦あそこに出ましょうか。おーい、ヨリ。お前飛んで行って、あそこにロープ固定してくれないか?」僕の指示で、ヨリがロープを抱えて下の浜辺に固定してくれた。これで、ここからロープ伝いに下りられるが、メイファーちゃんだけは体力が持たなそうなので、ヨリに抱えて降りてもらった。

 他のみんなが無事下に着き、最後に僕がロープを伝って下降を始めた。
 そして、途中でふと誰かの視線を感じ、当たりを見渡したのだが誰もいない。そりゃそうか。こんな崖の途中で……しかし僕が無事砂浜に着地した時の事だ。
 どこからともなく、美しい声が聞こえてくる。だれかが歌っているのか?

「おいヨリ。なんか歌声聞こえない?」
「えっ、何も」
 ヨリ以外のメンバーに聞いてみるが、誰もこの歌声が聞こえていない様だ。
「あのお兄さん。それって、もしかして人魚の歌声かも知れません。人魚は歌で獲物を呼び寄せると言われています」王妃様がそう説明した。
「えー!? それじゃ、僕が獲物候補?」
「やったじゃん、お兄ちゃん!! 人魚捕まえるチャンスだよこれ。私達がフォローするからさ。お兄ちゃん、その歌声に引っかかってよ」
「お前そんな……わかったよ。やればいいんでしょ、やれば」もうヨリだけではなく、周りの全員が、僕が人魚の罠にかかる事を期待している様だ。

 そうして僕は、仕方なく歌声を追って歩きだした。

(次章に続く)

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