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第二章 E小隊・南方作戦
第一話 お兄ちゃん
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まだ小学校に通いだしたくらいの幼いときに、近所に歳の近いお兄ちゃんが住んでいて、いつも本を読んでくれたり、森でいっしょにどんぐり拾いをしたりして遊んでくれた。一人っ子だった私は、そんなお兄ちゃんが大好きだったと思う。
そんなある日の夏の終わりの夕方、森の中でお兄ちゃんが言った。
「カレンちゃん。お医者さんごっこしない?」
私は二つ返事で賛成したと思う。そうして、森の茂みに隠れて、お互いの下着を脱がせ合い、お尻を見せ合ったり、軽くつつきあったりした。
嫌じゃなかった。
そんなことが何回か続いたある日、お兄ちゃんは私の股間の割れ目をクイっと開いて、ペロりと舐めた。
びっくりしたけど、それも嫌じゃなかった。
くすぐったいような感じとともに、下半身がキューんとなった。
でも幼心に、これが道徳に反する行為であることは判っていた。そして、この先、大好きなお兄ちゃんとの関係が何か別のものに変化して壊れていくような漠然とした恐怖を感じた。それに赤ちゃん出来ちゃったらどうしよう。
……なので、大人たちに打ち明けた。
親にものすごく叱られた記憶がはっきり残っている。お兄ちゃんも怒られたに違いないがそれを知る術もなく、しばらくしてお兄ちゃんの家は遠くに引っ越してしまった。もちろん、それからお兄ちゃんには一度も会っていない。
……
なんでこんな事を、今さら思い出したんだろう。
そう……。
私は男が嫌いなんじゃない……。
ただ、男女の付き合いが深まると、その関係が友達から別のものに変化していくのが怖かっただけなのではないのか?
「そう……今は……」
カレンは、気を引き締めつつ叫んだ。
「小隊長! 死なないで! 私がなんとかしますからっ!」
◇◇◇
◇◇◇
中央平原での要塞攻略戦から一年弱が過ぎ、つつじが咲き出している。
我がアレスティア王国と戦争中の隣国、ダイスロック共和国が中央平原の国境線付近に要塞を築いたため、その偵察に向かったエルフA小隊が、リシェンヌ陸士一名を残して全滅。その後、要塞内に潜入したB小隊のカメリア陸士も捕らわれてしまい、我がE小隊が、第七師団やB小隊と協力してその二名を救助したのは昨年六月の事だ。
あの時、みんなの奮闘とエルの一発で、要塞のみならず竜族の指導者クラスにあたるドラゴンを一体屠ったせいか、その後、戦場での竜族出現の報はピタリと止んでおり、「あれで、竜族が今後の参戦を思いとどまってくれたのならよいんだが……」とエルフ少女のE小隊を任されているローアイは思っていたが、カリストス少佐によると、あのやられたドラゴンの信徒たちが、まだ復讐の機会をうかがっているかもしれないとの事だった。
昨年末、ローアイは正式に中尉に昇進したものの、戦勝会での沙羅のトンデモ発言のおかげで、査問員会からの呼出しこそなかったが、相変わらずのE小隊隊長であり、メンバーもエル、沙羅、カレンと、変更はない。
アイリス中尉はメグ、リサと、静養中のカメリアに替わって部下に配属されたハミルとともに、A小隊隊長として頑張っている。
ランドルフ中尉とC小隊は、あれ以降、ずっと第四師団と行動を共にしている。
参謀本部のカリストス少佐は、「はっは―、A・C・Eでそろい踏み。まさに我が軍のエース部隊ですね―」などと軽口を叩いていたが、実際のところ竜族が出てこないとなると、エルフ小隊はほとんど開店休業状態となる。
なので最近は前線に赴いて、昨年の紫陽花行軍の時の様なエルフのステージを実施し、戦地の兵士達がエルフに馴染めるような推し兵教育を兼ねて、慰問団みたいなことをすることが多くなってきている。
なお、いまだに軍内部では、あのドラゴンと要塞を一瞬で葬った、俺とエルとの愛の営みによる戦略級な威力の一撃に対し、様々な疑念やら要望やらが上がっているが、極度の緊張と興奮とバフがもたらした万にひとつの偶然でしょうとずっと言い張っており、もちろん今でも再現はして(させて)いない。カリストス少佐も、「再現出来ないんじゃ仕方ないんじゃない?」とのことで、引き続き調査継続ということになっているので、このままごまかし通すしかないだろうと思っている。
「ほら、ばばぁ。もう恥ずかしがる歳でもないんだから、そこはもう少しぱんつ見えるくらい足上げて!」
「無理言わないでよ―。そんなに身体柔らかい方じゃないんだから―。
ていうか、ほんとにそのばばぁは、いい加減やめてよね!」
「カレンさん、そこは体を大きく回したほうがスカートの裾が広がるので、足上げなくても行けますよ!」
……というわけで、E小隊のエルフ達も、最近は軍事訓練より、ステージ練習の時間が多い。来月はまさに最前線、第七師団が敵と対峙している南方のバルタン半島にAとE小隊での慰問が計画されている。
バルタン半島は、戦時下でなければ我が王国有数のリゾート地でもあり、エルと沙羅は新しい水着を買いに行くなどと呑気な事を言っているが、そもそもここがダイスロック共和国との開戦のきっかけの地であり、大陸から南に二つ、蟹の鋏のように半島が突き出しており、四年前に国境線に海を持たなかった共和国が、突き出た一方の西側部分に突然出兵してきて、居座ってしまったことで戦端が開いた。
現在、東側の半島は第七師団が抑えていて、これ以上領土を渡さない様、共和国とにらみ合っているが、廻りの海が遠浅すぎて大型戦闘艦が近づけない事と、西側半島が海からいきなり急峻な崖で囲まれているという地形上の問題もあって、何回か奪還作戦を実施しているがいまだに敵を排除できていない。
しかしながら竜族の陰が薄い今がチャンスと、近く新たな西半島奪還作戦が第七師団で計画されているようで、その士気高揚の一環としてエルフ慰問を実施するらしい。
まあ、そんな戦時下ではあるのだが、少しの時間でいいので、本当に水着で泳げる機会を作ってやれないかとアイリス中尉と相談しているところではあった。
そんなある日の夏の終わりの夕方、森の中でお兄ちゃんが言った。
「カレンちゃん。お医者さんごっこしない?」
私は二つ返事で賛成したと思う。そうして、森の茂みに隠れて、お互いの下着を脱がせ合い、お尻を見せ合ったり、軽くつつきあったりした。
嫌じゃなかった。
そんなことが何回か続いたある日、お兄ちゃんは私の股間の割れ目をクイっと開いて、ペロりと舐めた。
びっくりしたけど、それも嫌じゃなかった。
くすぐったいような感じとともに、下半身がキューんとなった。
でも幼心に、これが道徳に反する行為であることは判っていた。そして、この先、大好きなお兄ちゃんとの関係が何か別のものに変化して壊れていくような漠然とした恐怖を感じた。それに赤ちゃん出来ちゃったらどうしよう。
……なので、大人たちに打ち明けた。
親にものすごく叱られた記憶がはっきり残っている。お兄ちゃんも怒られたに違いないがそれを知る術もなく、しばらくしてお兄ちゃんの家は遠くに引っ越してしまった。もちろん、それからお兄ちゃんには一度も会っていない。
……
なんでこんな事を、今さら思い出したんだろう。
そう……。
私は男が嫌いなんじゃない……。
ただ、男女の付き合いが深まると、その関係が友達から別のものに変化していくのが怖かっただけなのではないのか?
「そう……今は……」
カレンは、気を引き締めつつ叫んだ。
「小隊長! 死なないで! 私がなんとかしますからっ!」
◇◇◇
◇◇◇
中央平原での要塞攻略戦から一年弱が過ぎ、つつじが咲き出している。
我がアレスティア王国と戦争中の隣国、ダイスロック共和国が中央平原の国境線付近に要塞を築いたため、その偵察に向かったエルフA小隊が、リシェンヌ陸士一名を残して全滅。その後、要塞内に潜入したB小隊のカメリア陸士も捕らわれてしまい、我がE小隊が、第七師団やB小隊と協力してその二名を救助したのは昨年六月の事だ。
あの時、みんなの奮闘とエルの一発で、要塞のみならず竜族の指導者クラスにあたるドラゴンを一体屠ったせいか、その後、戦場での竜族出現の報はピタリと止んでおり、「あれで、竜族が今後の参戦を思いとどまってくれたのならよいんだが……」とエルフ少女のE小隊を任されているローアイは思っていたが、カリストス少佐によると、あのやられたドラゴンの信徒たちが、まだ復讐の機会をうかがっているかもしれないとの事だった。
昨年末、ローアイは正式に中尉に昇進したものの、戦勝会での沙羅のトンデモ発言のおかげで、査問員会からの呼出しこそなかったが、相変わらずのE小隊隊長であり、メンバーもエル、沙羅、カレンと、変更はない。
アイリス中尉はメグ、リサと、静養中のカメリアに替わって部下に配属されたハミルとともに、A小隊隊長として頑張っている。
ランドルフ中尉とC小隊は、あれ以降、ずっと第四師団と行動を共にしている。
参謀本部のカリストス少佐は、「はっは―、A・C・Eでそろい踏み。まさに我が軍のエース部隊ですね―」などと軽口を叩いていたが、実際のところ竜族が出てこないとなると、エルフ小隊はほとんど開店休業状態となる。
なので最近は前線に赴いて、昨年の紫陽花行軍の時の様なエルフのステージを実施し、戦地の兵士達がエルフに馴染めるような推し兵教育を兼ねて、慰問団みたいなことをすることが多くなってきている。
なお、いまだに軍内部では、あのドラゴンと要塞を一瞬で葬った、俺とエルとの愛の営みによる戦略級な威力の一撃に対し、様々な疑念やら要望やらが上がっているが、極度の緊張と興奮とバフがもたらした万にひとつの偶然でしょうとずっと言い張っており、もちろん今でも再現はして(させて)いない。カリストス少佐も、「再現出来ないんじゃ仕方ないんじゃない?」とのことで、引き続き調査継続ということになっているので、このままごまかし通すしかないだろうと思っている。
「ほら、ばばぁ。もう恥ずかしがる歳でもないんだから、そこはもう少しぱんつ見えるくらい足上げて!」
「無理言わないでよ―。そんなに身体柔らかい方じゃないんだから―。
ていうか、ほんとにそのばばぁは、いい加減やめてよね!」
「カレンさん、そこは体を大きく回したほうがスカートの裾が広がるので、足上げなくても行けますよ!」
……というわけで、E小隊のエルフ達も、最近は軍事訓練より、ステージ練習の時間が多い。来月はまさに最前線、第七師団が敵と対峙している南方のバルタン半島にAとE小隊での慰問が計画されている。
バルタン半島は、戦時下でなければ我が王国有数のリゾート地でもあり、エルと沙羅は新しい水着を買いに行くなどと呑気な事を言っているが、そもそもここがダイスロック共和国との開戦のきっかけの地であり、大陸から南に二つ、蟹の鋏のように半島が突き出しており、四年前に国境線に海を持たなかった共和国が、突き出た一方の西側部分に突然出兵してきて、居座ってしまったことで戦端が開いた。
現在、東側の半島は第七師団が抑えていて、これ以上領土を渡さない様、共和国とにらみ合っているが、廻りの海が遠浅すぎて大型戦闘艦が近づけない事と、西側半島が海からいきなり急峻な崖で囲まれているという地形上の問題もあって、何回か奪還作戦を実施しているがいまだに敵を排除できていない。
しかしながら竜族の陰が薄い今がチャンスと、近く新たな西半島奪還作戦が第七師団で計画されているようで、その士気高揚の一環としてエルフ慰問を実施するらしい。
まあ、そんな戦時下ではあるのだが、少しの時間でいいので、本当に水着で泳げる機会を作ってやれないかとアイリス中尉と相談しているところではあった。
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