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第十九話 夜桜の過去
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「ははは。何とかなったな。さすがにこの館の中まで追ってはこないんだ」
館の玄関に滑り込み、虎之助が笑った。幽世の魂とはいえどもやはり女性であり、手荒な事は極力せず押し相撲の様にかき分けながら、皆で一団となって、なんとか進んだ。
「それにしても広い家だな。そのまつりさんの位置は判るのか?」
虎之助がカキツバタに問う。
「そんなに明確には判らんでありんすが、大体の方向なら……」
そう言いながら、カキツバタがまつりのいると思われる方向を指す。
それを見て希来里が言った。
「ああ。そりゃ道に迷ってるね。早くこっちと合流しないと、簡単に夜桜にはたどり着かないわ」
「えっ? 希来里。この中分かるのか?」虎之助が驚く。
「ええ先輩。自慢じゃないですけど、私の魂がこの幽世に囚われてから結構日数がございましたので、くまなく探検させていただきました。それで、ようやく夜桜に会って、お話をしだしたところで、先輩が私の肉体を幽世に持ち込んでくれちゃいましたんで、その肉体に魂が強制送還された次第です」
「なんとまあ。呆れた人だこと……」カキツバタが本当に呆れた様に言った。
「それじゃ、カキツバタさん。まつりさん達と連絡を切らさない様にして下さいね。
それじゃ皆さん、私の後について来て!」
そう言って希来里が先陣を切って、屋敷内の迷路に飛び込んでいった。
しばらく進むと、ビスマルクがまず反応した。
「ご主人。これ、スミちゃんちでも感じた匂いです。四つ足の獣ですね。犬か? いや狸とか狐の類?」
「おお。ビス君すごい。大当たり」ハジッコが素直に感心した。
「近いでありんす」そういうカキツバタの歩みも早くなった。
「いるでありんす! そこの角曲がったところ!」カキツバタがそう言い、ビスマルクがそこへ飛び込んで、ワンワン吠えた。
「いやー! 犬はダメー。近づけないでー」まつりの声だ。
「まつりちゃん!?」ハジッコがそう言って角を曲がると……そこには、小さな狸が壁際に小さくうずくまっていた。
「あっ、もしかしてまつりちゃん? ビス君、一旦虎之助さんの所まで下がって!」
ビスマルクが下がって安心したのか、まつりがポンっという煙とともに、元の少女の姿に戻った。
「もう! いきなり吠えかかるのは反則よ!! あんな大きな犬。それでなくても、最初から結構緊張してたんだからね!!」
「ごめんなさい。それで豊川刑事は?」
「ああ、私はここですよ。すっかり迷っちゃって休憩してたんです」そう言いながら豊川刑事が奥から現れた。
「それでは……作戦会議といきましょうかね?」
◇◇◇
「どうやら夜桜の攻撃は無い様ですね。かなり弱ってるんでしょうか?」
ハジッコの疑問にまつりが答えた。
「まあ、あいつが弱ってるのも確かだけど、私の法力が、今回はちょっと勝ってるかな。だから、やたらな精神攻撃とかは届かせないよ」
「すごいな。こんな可愛い少女なのにすごい力を持ってるんだね」
虎之助にかわいいと言われ、顔を真っ赤にしながら「別に大した事じゃないわよ……」とまつりが答えた。そして話題を変えようと言わんばかりに、まつりが希来里を問いただす。
「それであなたが会ったっていう夜桜は本物なの?」
「本物かって言われると証拠も何もないけど……古い大きな姿見の鏡だったよ。
なんかこうまがまがしいというか、おどろおどろしいというか……そんな感じ」
「間違いないのでは?」豊川刑事の言葉にまつりもうなずいた。
「それにしてもよくあなたを近づけさせたわね。マインドコントロールとかされなかったの?」
「いや別に。ここまで人が入って来る事は滅多にないからめずらしいって。そんな感じで暇そうだったからいろいろ話掛けたのよ。それでスミちゃんの事やハジッコの事、狸や狐の事も聞いた訳。まあ、私はあいつのコレクションの一人で、逃がすつもりもなかったんだろうから気安く話したんだとは思うけど……なぜ、こんな美少女コレクションやってるのって聞いたらそれも教えてくれたんだ」
「教えてくれた!?」まつりだけではなく、その場の皆が驚いた。
「うん。だからこれから話すよ。あいつの過去バナ」
その希来里の言葉に、一同がゴクリとつばを飲み込んだ。
◇◇◇
私は私がいつどこで生まれたのかは覚えていない。
最初の記憶は、もう五百年以上も前になるだろうか。
気が付いた時、私はとある大名家の姫の姿見だった。周囲の女中達が言うには私は南蛮渡来の貴重な鏡で、当時の日本には、ガラスに水銀を使って銀を張り付ける手法は伝わっておらず、ここの御先祖様がいくさで戦功を立てたとかで、秀吉公から賜った家宝だとの事らしい。姫はことのほか私を大事にされ、お嫁入りされた先にまで私を連れて行ってくれた。
しかし……姫が嫁がれたお殿様が何やらやらかしたとの事で、お家はお取り潰し。姫は夫の殿様と共に自害して果てた。私は、人間がいつかは死んでしまうはかない存在だという事をその時知った。
そしてその後、私は様々な人の間を転々と渡り歩き、最後に、とある遊郭に運び込まれた。そこは数多の遊女達が美を競う華やかな世界で、彼女達の全身を映す事は私の喜びであり誇りでもあったのだ。
だがやがてそこでも、私は気づいてしまう。人間は老いるのだ。そして若い時の美貌は加齢とともに色を失っていく。たとえ百万石の大大名が大金を積もうが、気に入らなければ相手にしない花魁であっても、やがて老いて枯れていく。その変化を日々映していくのが残念でならなかった。
それに奉公明けや身請け等で行先が決まったものはまだよい。行先も決まらず年齢を重ね、あまっさえ病気になった日には眼も当てられない。
そうなると遊郭内では誰も目にとめてくれないし気にもかけてくれない。
それは……あまりにむごい事ではないのか。
そんな気持ちを、同じ部屋に昔から置いてある火鉢にぼやいた。こいつも付喪神だ。するとそやつが言ったのだ。
「あなたほどの霊力を持った付喪神なら、そうした者に何かしてやれるのではないですか?」
「何をするというのだ。付喪神と言っても私はこの身体だ。動くことも出来ないし、困っている女郎共に手を差し伸べる事も出来ん……」
「そうですか……ですが動けなくてもご自身の中に霊力で理想郷を作って困っている者を保護したりは出来ませんか?」
なるほど。その考えはなかった。それから私はしばらくの間、ずっとその事を考え続けていた。
それから数年したある夏の深夜。私の前に、ちいさな蝋燭だけ持った一人の女郎が立った。この女は病を患っていて、顔にも膿みやかさぶたが出てしまっていた。それなのに、一生懸命私に自分の姿を映し、顔におしろいを塗り、唇に紅を差している。
もう気でもふれてしまっているのだろうか。あなたにはお座敷の声はかからないわよ。そう思った瞬間、ふとひらめいたのだ。そしてその女の心に語りかけた。
「あなた。私の中で幸せに暮らしたくない?」
最初は何を言われたのか分からなかったのだろう。その女は当たりをきょろきょろ見渡し、不思議そうな顔をした。そして宙に向かって言った。
「誰でもいいわ……私は幸せになれるの?」
「お前が望むなら、我が体内に幽世を作ってやろう。そしてお前がまだ元気だったころの姿を私は覚えている。それもくれてやろう」
「本当に? ならばお願いします。もうここで生きていくのはつらいのです」
こうしてこの女郎が、私の幽世の住人第一号となった。
この後、年に数回、私の前で女郎が倒れて息を引き取っているのが朝になって発見された。だがそれらの女郎はもう遊郭に居場所のない者ばかりで、その死に顔も大層幸せそうであった事から、女郎達の間にある噂が広まった。
「あの鏡は、行き場のなくなった女郎を天国に送ってくれる」と。
それからは、この遊郭で生きづらい者達が私の所に来て、天国に連れて行ってくれと頼む様になり、実際にかなりの数の女達を幽世に保護してやった。しかししばらくして、これはまずかろうと考えた遊郭の主と町奉行が、私を魔鏡だと言って、とある寺の蔵に押し込めてしまった。
私は気が気ではなかった。
女郎達は苦しんでいないだろうか。私の救済を待っていないだろうか……。
いや女郎だけではない。姫もそうだったが、世の女性達は本当に幸せなのだろうか。老いて死ぬ……人間でそこから逃れられるものはいない。しかし、私の幽世なら……
そうして私は、世の中の美女が老いて醜くなる事自体を止めたいと考えるに至り、名を夜桜と定め、とある満月の晩、密に姿を映しに来た寺の下女を虜にして外の世界に出奔したのだ。
館の玄関に滑り込み、虎之助が笑った。幽世の魂とはいえどもやはり女性であり、手荒な事は極力せず押し相撲の様にかき分けながら、皆で一団となって、なんとか進んだ。
「それにしても広い家だな。そのまつりさんの位置は判るのか?」
虎之助がカキツバタに問う。
「そんなに明確には判らんでありんすが、大体の方向なら……」
そう言いながら、カキツバタがまつりのいると思われる方向を指す。
それを見て希来里が言った。
「ああ。そりゃ道に迷ってるね。早くこっちと合流しないと、簡単に夜桜にはたどり着かないわ」
「えっ? 希来里。この中分かるのか?」虎之助が驚く。
「ええ先輩。自慢じゃないですけど、私の魂がこの幽世に囚われてから結構日数がございましたので、くまなく探検させていただきました。それで、ようやく夜桜に会って、お話をしだしたところで、先輩が私の肉体を幽世に持ち込んでくれちゃいましたんで、その肉体に魂が強制送還された次第です」
「なんとまあ。呆れた人だこと……」カキツバタが本当に呆れた様に言った。
「それじゃ、カキツバタさん。まつりさん達と連絡を切らさない様にして下さいね。
それじゃ皆さん、私の後について来て!」
そう言って希来里が先陣を切って、屋敷内の迷路に飛び込んでいった。
しばらく進むと、ビスマルクがまず反応した。
「ご主人。これ、スミちゃんちでも感じた匂いです。四つ足の獣ですね。犬か? いや狸とか狐の類?」
「おお。ビス君すごい。大当たり」ハジッコが素直に感心した。
「近いでありんす」そういうカキツバタの歩みも早くなった。
「いるでありんす! そこの角曲がったところ!」カキツバタがそう言い、ビスマルクがそこへ飛び込んで、ワンワン吠えた。
「いやー! 犬はダメー。近づけないでー」まつりの声だ。
「まつりちゃん!?」ハジッコがそう言って角を曲がると……そこには、小さな狸が壁際に小さくうずくまっていた。
「あっ、もしかしてまつりちゃん? ビス君、一旦虎之助さんの所まで下がって!」
ビスマルクが下がって安心したのか、まつりがポンっという煙とともに、元の少女の姿に戻った。
「もう! いきなり吠えかかるのは反則よ!! あんな大きな犬。それでなくても、最初から結構緊張してたんだからね!!」
「ごめんなさい。それで豊川刑事は?」
「ああ、私はここですよ。すっかり迷っちゃって休憩してたんです」そう言いながら豊川刑事が奥から現れた。
「それでは……作戦会議といきましょうかね?」
◇◇◇
「どうやら夜桜の攻撃は無い様ですね。かなり弱ってるんでしょうか?」
ハジッコの疑問にまつりが答えた。
「まあ、あいつが弱ってるのも確かだけど、私の法力が、今回はちょっと勝ってるかな。だから、やたらな精神攻撃とかは届かせないよ」
「すごいな。こんな可愛い少女なのにすごい力を持ってるんだね」
虎之助にかわいいと言われ、顔を真っ赤にしながら「別に大した事じゃないわよ……」とまつりが答えた。そして話題を変えようと言わんばかりに、まつりが希来里を問いただす。
「それであなたが会ったっていう夜桜は本物なの?」
「本物かって言われると証拠も何もないけど……古い大きな姿見の鏡だったよ。
なんかこうまがまがしいというか、おどろおどろしいというか……そんな感じ」
「間違いないのでは?」豊川刑事の言葉にまつりもうなずいた。
「それにしてもよくあなたを近づけさせたわね。マインドコントロールとかされなかったの?」
「いや別に。ここまで人が入って来る事は滅多にないからめずらしいって。そんな感じで暇そうだったからいろいろ話掛けたのよ。それでスミちゃんの事やハジッコの事、狸や狐の事も聞いた訳。まあ、私はあいつのコレクションの一人で、逃がすつもりもなかったんだろうから気安く話したんだとは思うけど……なぜ、こんな美少女コレクションやってるのって聞いたらそれも教えてくれたんだ」
「教えてくれた!?」まつりだけではなく、その場の皆が驚いた。
「うん。だからこれから話すよ。あいつの過去バナ」
その希来里の言葉に、一同がゴクリとつばを飲み込んだ。
◇◇◇
私は私がいつどこで生まれたのかは覚えていない。
最初の記憶は、もう五百年以上も前になるだろうか。
気が付いた時、私はとある大名家の姫の姿見だった。周囲の女中達が言うには私は南蛮渡来の貴重な鏡で、当時の日本には、ガラスに水銀を使って銀を張り付ける手法は伝わっておらず、ここの御先祖様がいくさで戦功を立てたとかで、秀吉公から賜った家宝だとの事らしい。姫はことのほか私を大事にされ、お嫁入りされた先にまで私を連れて行ってくれた。
しかし……姫が嫁がれたお殿様が何やらやらかしたとの事で、お家はお取り潰し。姫は夫の殿様と共に自害して果てた。私は、人間がいつかは死んでしまうはかない存在だという事をその時知った。
そしてその後、私は様々な人の間を転々と渡り歩き、最後に、とある遊郭に運び込まれた。そこは数多の遊女達が美を競う華やかな世界で、彼女達の全身を映す事は私の喜びであり誇りでもあったのだ。
だがやがてそこでも、私は気づいてしまう。人間は老いるのだ。そして若い時の美貌は加齢とともに色を失っていく。たとえ百万石の大大名が大金を積もうが、気に入らなければ相手にしない花魁であっても、やがて老いて枯れていく。その変化を日々映していくのが残念でならなかった。
それに奉公明けや身請け等で行先が決まったものはまだよい。行先も決まらず年齢を重ね、あまっさえ病気になった日には眼も当てられない。
そうなると遊郭内では誰も目にとめてくれないし気にもかけてくれない。
それは……あまりにむごい事ではないのか。
そんな気持ちを、同じ部屋に昔から置いてある火鉢にぼやいた。こいつも付喪神だ。するとそやつが言ったのだ。
「あなたほどの霊力を持った付喪神なら、そうした者に何かしてやれるのではないですか?」
「何をするというのだ。付喪神と言っても私はこの身体だ。動くことも出来ないし、困っている女郎共に手を差し伸べる事も出来ん……」
「そうですか……ですが動けなくてもご自身の中に霊力で理想郷を作って困っている者を保護したりは出来ませんか?」
なるほど。その考えはなかった。それから私はしばらくの間、ずっとその事を考え続けていた。
それから数年したある夏の深夜。私の前に、ちいさな蝋燭だけ持った一人の女郎が立った。この女は病を患っていて、顔にも膿みやかさぶたが出てしまっていた。それなのに、一生懸命私に自分の姿を映し、顔におしろいを塗り、唇に紅を差している。
もう気でもふれてしまっているのだろうか。あなたにはお座敷の声はかからないわよ。そう思った瞬間、ふとひらめいたのだ。そしてその女の心に語りかけた。
「あなた。私の中で幸せに暮らしたくない?」
最初は何を言われたのか分からなかったのだろう。その女は当たりをきょろきょろ見渡し、不思議そうな顔をした。そして宙に向かって言った。
「誰でもいいわ……私は幸せになれるの?」
「お前が望むなら、我が体内に幽世を作ってやろう。そしてお前がまだ元気だったころの姿を私は覚えている。それもくれてやろう」
「本当に? ならばお願いします。もうここで生きていくのはつらいのです」
こうしてこの女郎が、私の幽世の住人第一号となった。
この後、年に数回、私の前で女郎が倒れて息を引き取っているのが朝になって発見された。だがそれらの女郎はもう遊郭に居場所のない者ばかりで、その死に顔も大層幸せそうであった事から、女郎達の間にある噂が広まった。
「あの鏡は、行き場のなくなった女郎を天国に送ってくれる」と。
それからは、この遊郭で生きづらい者達が私の所に来て、天国に連れて行ってくれと頼む様になり、実際にかなりの数の女達を幽世に保護してやった。しかししばらくして、これはまずかろうと考えた遊郭の主と町奉行が、私を魔鏡だと言って、とある寺の蔵に押し込めてしまった。
私は気が気ではなかった。
女郎達は苦しんでいないだろうか。私の救済を待っていないだろうか……。
いや女郎だけではない。姫もそうだったが、世の女性達は本当に幸せなのだろうか。老いて死ぬ……人間でそこから逃れられるものはいない。しかし、私の幽世なら……
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