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け
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「ねぇ、じょうけんってなに?さっきもいってたよ?」
「む?条件のことが気になるんだぜ?」
「私たちと人間が合うのにはいくつか条件があるのよ。」
「まず1つ目は魂が剥がれる、もしくは剥がれそうになる経験をしたかどうかだぜ。」
「簡単に言うと死ぬか、死にそうになるかってことね。」
「なるほど、じゃあわたしとしゃねらせんせいはあてはまるね。」
「そうなんだぜ!」
「しかもあなたは1度死んでるからピッタリなのよ!」
「…なんでわかるの?」
「だって私たち、一応天界から遊びに来ているわけだから、時間軸がこの世界の生き物とは違うの。」
「だからここの時間が巻き戻っても俺らは変わらないんだぜ!」
ドヤァとポーズを決める2人に驚くけれど、なるほど、それなら確かに私だけよく聞こえる理由がわかるわ。
「それなら、おとうさまとおかあさまは?きこえる?」
「一応資格はあると思うぜ!」
「でも魔力の相性によってどれくらい見えるか変わってくるから分からないわ。」
そっか。
「…はじめてかいきしてるのはなした。」
「ええ。」
「そうなんだぜ。」
「ちょっとうれしいかも。ありがとう…。」
妖精達のおかげでこれから一生話すことはないと思っていたことを誰かとことができた。
世界に味方が増えたみたいでちょっと嬉しい。
騒がしいかもしれないけれど、回帰を知っている妖精たちは私の死んだあとのことや、これから起こることを私以上に知っているかもしれない。
お世話になるから少しだけ騒がしくても許してあげよう。
その決意は2人が部屋の花瓶をひっくり返して水浸しにするまでのたった5分しかもたなかったけど。
さて、いよいよ今日は秋祭りよ!
妖精達に街で流行っている子供向けのおもちゃやお菓子を聞いて、お父様に買ってきてもらったプレゼントを用意した。
完璧よ!
復習しましょう。
まず第1目標は宰相の息子と会って仲良くなること。
第2目標は、他の貴族の子女と仲良くなること。
最低でも第1目標はクリアしたいわ。
そのためのパーティだものね。
よし。
気合いを入れて頑張るわよ!
今日は秋祭り、平民の祭りを真似するからドレスもレースの少ない布でできた簡素なものにしてくれたみたい。
これなら軽くて動きやすいからありがたいわ。
中庭の見える廊下に来ると、屋台が壁に沿って並び、料理やゲームなど様々な看板が見える。
会場に集まった数家の高位貴族とその子供たち、王宮の騎士や侍女も楽しそう。
騎士と侍女のみんなは屋台役と護衛を兼ねているらしい。
お城の会場にも灯篭が設置され、お城と市井が一体になったみたい。
まだ明るいから灯篭はあまり目立たないけれど、夜になったらきっととても綺麗なのでしょうね。
秋祭りそのものがメインじゃなかったけれど、これはこれでとてもワクワクしてしまうわね。
思わずキョロキョロしていると後ろからひょいと抱えられた。
私を腕に乗せたのはお父様だ。
私の髪をなでてニッコリ微笑んでくれる。
今日はいつものパーティーと違ってお父様もラフな、それでも品のある衣装を着ている。
さらに後ろから来たにこやかなお母様と、腕に抱かれてはしゃぐルーもかわいい。
前は当日に無理やり開いてくれたから、お父様もお母様も予定が合わなかったし、本当に小さな、簡素なお祭りだったのよね。
だからこれは正真正銘家族での初めてのお祭り。
もう二度とこんなに平和な日が訪れることは無いと思っていたのに。
どうしよう。目が熱くなってきた。
ああ、心が締め付けられる。
私はバレないようにお父様の肩に顔を埋めた。
ぐりぐりしてぎゅうっと抱きしめる私を大切に抱きながらお父様は歩き出した。
「どうしたんだい?そんなに嬉しかったのかい?喜んでくれているなら嬉しいな。」
「…ありがとうございます。とてもたのしいです…。」
「ふふっ。まだ何も始まっていないじゃないか。直ぐに自由に回れるようにしてあげるけど、これから少しだけ挨拶をさせてね。」
お城で開かれるパーティーではあるから一応挨拶はするみたい。
「はい!」
私は赤くなってしまったであろう目を元に戻るよう、いつもなら絶対しないお願いを妖精にしたのだった。
私たちが外に出て中庭に入ると、大きな声で私たちを紹介するのが聞こえた。
皆がバッとこちらを向き頭を下げる。
「みな、頭をあげてくれ。今日は突然の招待に参加してくれたこと、感謝する。いつものパーティーとは違い、今日は市井の秋祭りなのだから気楽に楽しんでほしい。
屋台で食べ物を買ったり遊んだり、子供たちにとっても良い経験となるだろう。家族の中を深め、楽しい思い出になればと思う。
では、ここからは自由としよう。
せっかくの祭りだから挨拶は省かせてくれ。
みな、楽しんでくれ。」
そう言うとお父様は私たちを伴って屋台を回り始めた。
周りの人たちの話し声も聞こえ始め、祭りが始まった。
「む?条件のことが気になるんだぜ?」
「私たちと人間が合うのにはいくつか条件があるのよ。」
「まず1つ目は魂が剥がれる、もしくは剥がれそうになる経験をしたかどうかだぜ。」
「簡単に言うと死ぬか、死にそうになるかってことね。」
「なるほど、じゃあわたしとしゃねらせんせいはあてはまるね。」
「そうなんだぜ!」
「しかもあなたは1度死んでるからピッタリなのよ!」
「…なんでわかるの?」
「だって私たち、一応天界から遊びに来ているわけだから、時間軸がこの世界の生き物とは違うの。」
「だからここの時間が巻き戻っても俺らは変わらないんだぜ!」
ドヤァとポーズを決める2人に驚くけれど、なるほど、それなら確かに私だけよく聞こえる理由がわかるわ。
「それなら、おとうさまとおかあさまは?きこえる?」
「一応資格はあると思うぜ!」
「でも魔力の相性によってどれくらい見えるか変わってくるから分からないわ。」
そっか。
「…はじめてかいきしてるのはなした。」
「ええ。」
「そうなんだぜ。」
「ちょっとうれしいかも。ありがとう…。」
妖精達のおかげでこれから一生話すことはないと思っていたことを誰かとことができた。
世界に味方が増えたみたいでちょっと嬉しい。
騒がしいかもしれないけれど、回帰を知っている妖精たちは私の死んだあとのことや、これから起こることを私以上に知っているかもしれない。
お世話になるから少しだけ騒がしくても許してあげよう。
その決意は2人が部屋の花瓶をひっくり返して水浸しにするまでのたった5分しかもたなかったけど。
さて、いよいよ今日は秋祭りよ!
妖精達に街で流行っている子供向けのおもちゃやお菓子を聞いて、お父様に買ってきてもらったプレゼントを用意した。
完璧よ!
復習しましょう。
まず第1目標は宰相の息子と会って仲良くなること。
第2目標は、他の貴族の子女と仲良くなること。
最低でも第1目標はクリアしたいわ。
そのためのパーティだものね。
よし。
気合いを入れて頑張るわよ!
今日は秋祭り、平民の祭りを真似するからドレスもレースの少ない布でできた簡素なものにしてくれたみたい。
これなら軽くて動きやすいからありがたいわ。
中庭の見える廊下に来ると、屋台が壁に沿って並び、料理やゲームなど様々な看板が見える。
会場に集まった数家の高位貴族とその子供たち、王宮の騎士や侍女も楽しそう。
騎士と侍女のみんなは屋台役と護衛を兼ねているらしい。
お城の会場にも灯篭が設置され、お城と市井が一体になったみたい。
まだ明るいから灯篭はあまり目立たないけれど、夜になったらきっととても綺麗なのでしょうね。
秋祭りそのものがメインじゃなかったけれど、これはこれでとてもワクワクしてしまうわね。
思わずキョロキョロしていると後ろからひょいと抱えられた。
私を腕に乗せたのはお父様だ。
私の髪をなでてニッコリ微笑んでくれる。
今日はいつものパーティーと違ってお父様もラフな、それでも品のある衣装を着ている。
さらに後ろから来たにこやかなお母様と、腕に抱かれてはしゃぐルーもかわいい。
前は当日に無理やり開いてくれたから、お父様もお母様も予定が合わなかったし、本当に小さな、簡素なお祭りだったのよね。
だからこれは正真正銘家族での初めてのお祭り。
もう二度とこんなに平和な日が訪れることは無いと思っていたのに。
どうしよう。目が熱くなってきた。
ああ、心が締め付けられる。
私はバレないようにお父様の肩に顔を埋めた。
ぐりぐりしてぎゅうっと抱きしめる私を大切に抱きながらお父様は歩き出した。
「どうしたんだい?そんなに嬉しかったのかい?喜んでくれているなら嬉しいな。」
「…ありがとうございます。とてもたのしいです…。」
「ふふっ。まだ何も始まっていないじゃないか。直ぐに自由に回れるようにしてあげるけど、これから少しだけ挨拶をさせてね。」
お城で開かれるパーティーではあるから一応挨拶はするみたい。
「はい!」
私は赤くなってしまったであろう目を元に戻るよう、いつもなら絶対しないお願いを妖精にしたのだった。
私たちが外に出て中庭に入ると、大きな声で私たちを紹介するのが聞こえた。
皆がバッとこちらを向き頭を下げる。
「みな、頭をあげてくれ。今日は突然の招待に参加してくれたこと、感謝する。いつものパーティーとは違い、今日は市井の秋祭りなのだから気楽に楽しんでほしい。
屋台で食べ物を買ったり遊んだり、子供たちにとっても良い経験となるだろう。家族の中を深め、楽しい思い出になればと思う。
では、ここからは自由としよう。
せっかくの祭りだから挨拶は省かせてくれ。
みな、楽しんでくれ。」
そう言うとお父様は私たちを伴って屋台を回り始めた。
周りの人たちの話し声も聞こえ始め、祭りが始まった。
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