復讐姫の王国記

朝木 彩葉

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「そんなの簡単なんだぜ!」

「簡単よ!」

「かんたんなの?」

「そうだぜ!お姫様は前に死んだから俺らが見えるし聞こえるんだぜ!」

なんてことを言うのだ。
ここにはシャネラ先生もいるというのに。

「ごめんなさい、よく聞こえなくて。もう一度いっていただけるかしら。」

「いいぜ!」

よくないぜ!?

「私も覚えていないだけで大きな風邪を引いたことがあるそうです。」

妖精が話し出す前に先生に伝える。

「まあ、そうなのね。」

「ち、違うんだぜ!?」
「違うわよ!?」

とかいう妖精をキッと睨みつけてから先生と向き合う。

「もしかしたら風邪などの熱で大変になった人のなかで選ばれるかもしれません。」

「なるほど!では私達の共通点な風邪をひいたことなのね!」

「はい!」

「ち、違うんだぜ!全然違うんだぜ!」
「全く分かっていないわ!」

「うふふ、妖精たちもはしゃいでるわ」

バタバタ抗議する妖精とうふふと微笑むシャネラ先生。
うむ。カオスだ。

「あと、もしかしたらおんがくがすきだからかもしれません。」

「まあ!そうね!殿下も音楽がお好きなようでとても嬉しいですわ。」

「はい、すきです。これからよろしくおねがいします。」

「ええ。よろしくお願いします。」

その後は授業初めての日ということでマリを招いて3人でのんびりお話してすごしたのでした。


さて、これからは毎日の練習に加え、週に一度先生がいらしてレッスンが始まる。

しかも2週間後には秋祭りがあると言うのに、私の周りには困ったことが起きている。

「もう!私だってクッキーが食べたいわ!」
「べーだ!お前は俺に負けたんだぜ!
食べられないんだぜ!」
「ま、負けてないもん!さっきのはずるよ!」
「やーい負け妖精ーーなんだぜ!」

今私のお菓子のクッキーをめぐってケンカをしているのはシャネラ先生と会った時にいたあの妖精たち。

この2人はあれからずっと私の周りにいるのだ。

…クッキーはあげないよ?
これはマリが私のために作ってくれたものなんだから。
私がパクッと最後の1枚を食べると
ようやくもう残りのクッキーが無いことに気づいたのか2人で慌て始めた。

「な、なんでなんだぜ!?」
「ひ、ひどいわ!クッキーがひとつも無いじゃない!」

「ふたりとも、なんでわたしのところにいるの?」

「が、ガン無視したんだぜ!?」
「なんてこと!」

「ねえ、どうして?」

「仕方ないぜ…。俺たちはこれからアリスの傍にいることにしたんだぜ!」
「これからはあなたの妖精になるわ!」

「なんで…?」

「やっと波長が合う人がみつかったからなんだぜ!」
「妖精は波長の合う人と契約すると、位が1つ上がって強くなるのよ!」

「へぇ、でもふたりともこっちにきてせんせいはだいじょうぶなの?」

「安心するんだぜ!あの人のところには元々違う妖精が1人居たんだぜ!」
「この前はあなたに会うために無理言って連れてきてもらったのよ!」

「そうなんだ。」

「このお城、妖精でもなかなか入ることが難しいのよ。」
「むむむ。頑張ったけどダメだったんだぜ…。」

「だからついてきたのね。」

「そうなんだぜ!」
「頭いいのね!話が早くて助かるわ!」

「でも、わたしといてなにをするの?」

「とくになにもないぜ!あ、たまに魔力が欲しいぜ!」
「私たちの体は魔力でできているから、あなたの魔力を貰い続ければお城の結界もあなたと認識して私たちを拒まなくなるはずよ!」

「ふぅん、そうなんだ。じゃあふたりはなにができるの?」

「俺たちまだ何も出来ないぜ!」
「これからの妖精なのよ!」

「えぇ…」

「そ、そんなにガッカリしなくてもいいのよ!」
「そ、そうだぜ!これからなにができるようになるのかまだ決まっていないってことだぜ!」
「これからの生活で、必要そうな力が身につくんだぜ!」

「そうなのね。うーーん。」

「何を悩んでるんだぜ…?」
「なんか嫌な予感がするわ…。」

「おとうさまとおかあさまにぺっとをかいたいといわないといけない。」

「ペット!?」
「ペットじゃないんだぜ!?」

「でもふたりとも、ごはんたべるだけでなにもてつだえないよ。」

「ぐ、ぐぅ…」
「ぐぅのねも出ないとはこの事ね。」

「でてるよ、ぐぅのね。」

「子供の純粋さが突き刺さるぜ。」
「時に子供は大人より恐ろしいわ。」

「じゃあおとうさまとおかあさまにおねがいしてくるね。おふたりともやさしいからきっとだいじょうぶよ。」

「わかったんだぜ…。」
「ええ、お願いするわ…。」

なぜだか2人で遠くを見てるけれど。
私知ってるもの。
こういうのは早めに伝えるべきなのよ。
後でバレたら悲しませるし、もし大事になった時に困るもの。

それにこの子達が大人しい子だったら良かったのだけれど、結構賑やかな性格みたいだから。
もし何かイタズラしても困るし初めから申告しておきましょう。

「でもふしぎ。まえはあわなかったのに。」

ボソッとこぼした声に返事があった。

「前はアリスは条件に合わなかったから見えなかったし聞こえなかったんだぜ。」
「惜しかったから今回は見えてよかったわー。」

ちょっと待って。聞き捨てならないよ?
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