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ぬ
しおりを挟む「「アリス!!」」
扉を開けるとお父様とお母様が飛び出してきた。
お父様の腕に渡された私はむぎゅむぎゅと2人に抱きしめられる。
「アリス!本当に良かった!」
「もう!あなたがいなくなったら私は…!」
2人とも目をうるうるさせて私を見つめる。
20分なのにこんなに心配させてしまうなんて。
「ごめんなさい…。」
「私達もあなたがいつもしっかりしているからって少しお姉さん扱いしすぎたわ。ごめんなさいね、アリス。」
「そうだね…。子供は普通走って隠れてもっと迷惑をかけるものだよね…。しっかり見ていてあげるべきだった。君はまだほんの幼児なのに。」
わああ。
お父様もお母様も本気で反省してらっしゃる…!
悪いのは私なのに!
あまりにもいたたまれない!
私は…!大人なんです…!精神は…!
うぅぅ、うっかり時間を忘れてしまったばかりに…。
「私達も一緒におしゃべりしてたの…。」
「気づいてあげれば良かったんだぜ…。」
背中からふわっと現れた2人もお父様とお母様の反省しきりな姿に少し思う所があったみたい。
「あら。2人ともアリスと一緒に居てくれたのね。」
「本当だね。おかげでアリスが1人にならずに済んだよ。ありがとう。」
「「うぅっ。」」
少したじろいでから2人は私の後頭部すっ飛んできてべシッと張り付いた。
「ただ話してクッキー食べてただけなんだぜ!」
「なんかもう本当にごめんなさいって感じだわ!」
わかる。罪悪感はんぱないよね。
「アリス、今はもう疲れただろう?
夕飯の時に何があったのか、どこに行っていたのか教えてくれるかい?」
「はい。わかりました…。」
私に与えられた選択肢は、「はい」か「YES」か「もちろん」のみだった。
扉の開く音がすると同時にいつの間にか外に出ていたマリが入ってくる。
お父様はマリに視線をやった。
「マリ、君にも話を聞かなくてはいけないね。今から執務室に来なさい。」
「かしこまりました。」
いつも元気なマリとは思えないくらい真面目な顔で真剣にお父様と話すマリ。
もしかして、マリがクビになったりするの?
それはダメよ。だってマリは何も悪くないもの。
「おとうさま!まりはわるくないのです!くびにしないでください!」
ぎゅっとお父様のお洋服を掴んで必死に目を見る。
「あ、あぁ。大丈夫だよ、アリス。マリには話を聞くだけだから。ダメだったところは改善しないといけないからね。」
「ほんとうですか?くびにならないですか?」
「ああ、しないよ。」
よ、よかった…。
「じゃあアリス、今日は私の部屋で一緒に寝てくれるかしら。」
お母様が私の頬を撫でながら微笑んだ。
「はい。いっしょにねます。」
「なに!?お父様も一緒にねるよ!待っていてね!」
「あら!ふふふ、はい。わかりましたわ。」
「おとうさま、おゆうはんをたべてからですよ。」
「ああ、そうだね!」
「じゃあアリス、先に私のお部屋でお夕飯までゆっくりしておきましょうか。」
「はい。」
お母様の腕に抱かれて、私はマリとお父様と別れた。
お母様はお部屋まではゆっくり歩いた。
久しぶりのお母様の抱っこはやっぱり安心する。
この匂いがだいすきなの。
いつまでも抱っこしていてもらいたいわ。
「さあ、アリス。お部屋に着いたわよ。」
あ、もう着いたのね。
「ありがとうございます。おかあさま。」
「ねーたま!」
「るー!?」
「ルーカスだけひとりぼっちじゃ可哀想かと思って呼んでおいたのよ。お母様、少し着替えてくるから2人とも侍女と一緒にこの部屋で遊んでいてくれる?」
「「はい!」」
お母様は部屋の中の扉を開けて隣のドレスルームに入っていった。
「ねーたま、こえ!しゅゆの!」
ルーカスが私の手を引っ張って机を指さす。
そこには可愛い動物たちが描かれた塗り絵があった。
「いいね。一緒にしましょう。」
ルーカスは真剣に色を塗っている。
結構はみ出しているところがあるしファンタジーな色になっているけれど可愛いから問題ないわ。
私は机に座ってルーカスの絵を見ている2人に小声で話しかけた。
「ねぇ、じいさまのこと、いっていいとおもう?」
「うーん、言ってもいいと思うんだぜ?」
「そうねぇ。信じてくれるかは分からないけどとりあえず本当のことを言って見たらどうかしら。」
そうよね。
私嘘苦手だもの。
たぶん話が変になっちゃうわ。
でも話の内容だけは内緒にしなくちゃ。
あのお2人のことだもの。
きっと心を痛めてしまう。
だいすきな2人だから、できるだけ心穏やかに過ごして欲しい。
そんなことを考えているとき。
ルーカスがじーっとツーリとルージュを見ていることに気づいた。
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