復讐姫の王国記

朝木 彩葉

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「だあれ?」

「るーみえるの?!」

妖精2人も目をまん丸にして固まっている。

「うん。」

じーっと見つめるルーカス、固まる私たち。

1番初めに動いたのはルージュだった。

「そ、そっか!この子もあなたと一緒に殺「そうなんだぜ!でもその先はダメなんだぜ!」」

ナイスツーリ。

危ないよ。

こんな小さい子に殺されたなんて言うんじゃありません。

でもそっか。ルーカスは見えるのか。

「ねーたま。だあれ?」

今度は私の方に向かって問いかけた。

「このふたりは、おともだち。」

「おともだち?」

「そうよ。」

「ツーリなんだぜ!」

「ルージュよ!」

「ちゅーり、りゅーじゅ。」

「聞こえるのね!」

「おお!2人目なんだぜ!」

私とルーカスで妖精の声が聞こえる人が2人になった!

「いっちょにあしょぶ?」

「遊ぶわー!」

「いいんだぜ!遊ぶんだぜ!」

2人ともルーカスの相手をしてくれるのね。

「わたしもあそぶ!」

そのまま色塗りをしてお母様を待った。






「まあ、みんな仲良く遊んでたのね。お待たせ。」

お母様のお着替えが終わったらしい。

少し軽い部屋着に着替えたみたい。

「みんなで何をしていたのかしら?」

「ぬりえです。」

「みてー!」

ルーカスがみんなで塗った絵をお母様に見せているわ。

「みんな綺麗な色で塗っているわねー!お母様この絵だいすきになっちゃったわー!」

ルーカスの頭をヨシヨシとなでてお母様は私たちを褒めてくれた。

「えへへ、おかあたまも!」

新しい絵を出したルーカスがお母様も誘ってみんなで色を塗る。

お母様はお絵描きの才能があったのね。

ちらりと見るとグラデーションがとても上手。

影までついて、まるで画家さんね。

「おかあさま、おじょうず。」

「じょーじゅー!」

「うふふ、ありがとう。私お絵描きはだいすきなのよ。」

「おかあたま、おともだち、かいて!」

「え?お友達?誰のことかしら…?」

「あ、このふたりのことだとおもいます。るーはふたりがみえるんです。」

「まあ、そうだったの!あなた達2人とも見えるなんて!そんなことがあるのねぇ…。
わかったわ。2人を描くわね。」

お母様は紙の白いスペースにツーリとルージュをかいた。

黒の線だけで描いてくれてるのはもしかして…。

「できたわ!さあ、アリス、ルーカス、お色を塗って2人を完成させて?」

やっぱり!塗り絵にしてくれたのね!

「わぁ、じょうじゅ!」

「おかあさま、ありがとうございます。」

私とルーカスはツーリとルージュの指導の元、とてもそっくりに色を塗った。

「「できた!」」

「おお!できたんだぜ!」

「アリスもルーカスも上手じゃない!」

「まあ!とても素敵な絵ねー!」

えへへとルーカスも嬉しそう。

私も緩む口元が恥ずかしくて少し我慢した。

あれ?でもこの絵、これまで塗ってきた絵と絵柄が似てる気がする…。

「おかあさま、このぬりえ、もしかしておかあさまがかいたのですか?」

「うふふ!ええ、そうよ~!」

気づいたのね~と微笑んでいるお母様、まさかお母様の描かれた絵だったとは!

「しらなかったです…!」

「おかあたま、かいたのー?」

「お母様、お仕事の空き時間に絵を描くのだけど、色を付ける時間までは取れないのよ。
せっかくだから子供たちに完成させてもらおうと思って取っておいてるのよー。」

わあ、お母様こんなに上手ならもっと表に出せばいいのに…。

「おかあさま、みんなにみせないのですか?」

「あら、見せているわよ。名前は変えてあるけれどね。」

「どうしておなまえ…?」

「そっちの方が面白いじゃなーい!ふふ!」

そういえばお母様ってそういうところがあったわ…。

自分のことは楽天的に考えるのに私たち子供のことになるととても繊細になる不思議な方だったわ。

最近はあまり一緒に遊んでもらったりしなかったから普通になられたのだと思っていたけれど、そんなこと無かったのね。



コンコンコン



「はーい。」

扉が開いてマリがやってきた。

「失礼いたします。お食事のご用意が出来ました!」

少し目が赤いけれど、元気そうだ。

「まり!だいじょうぶだった?」

「ええ!大丈夫でしたよ!ご心配をお掛けして申し訳ありません…!」

「ううん!わたしがわるいもの。」

2人でごめんねごめんね、とごめんね合戦を繰り広げていると、とん、と背中が押された。

「さあさあ、そこで言い合ってないで、ご飯を食べに行きましょう?
マリもありがとう。」

「いえ!もったいないお言葉です!」

私たちは食堂に向かった。





「お!来たね!さあご飯を食べよう。」

食堂に着くとニコニコのお父様。

どうやら本当に何もマリに悪いことは起きないらしい。

マリを信じていない訳では無いけれど、彼女は私が傷つかないようにするための嘘はつくだろうから、心配していたのだ。、

お父様の顔をみて、私はようやくホッと息をついたのだった。

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