影の盗賊(シャドウ・シーフ)

マイライト

文字の大きさ
4 / 73

4.エメラルドの聖杯 ~2.影と交錯する夜~

しおりを挟む
リヴェローナの街は闇に包まれていた。華やかなネオンの下で、アルトは変装を整え、オークション会場へと向かっていた。彼は、洗練されたスーツに身を包み、表向きはオークションに参加する富裕層の一人として振る舞う。

「次の展示品は、伝説のエメラルドの聖杯です。」

会場に響く司会者の声と共に、眩いばかりの緑色の光を放つ聖杯が壇上に現れた。その瞬間、会場中の視線が一斉に聖杯に向けられる。その美しさは、単なる宝石の枠を超えて神秘的な雰囲気を放っていた。

「確かに噂通りの品だ。」

アルトは心の中で感嘆しつつも、冷静さを保つ。だがその時、彼の目に奇妙な光景が映った。会場の隅で、聖杯を見つめるもう一人の人物—若い女性がいたのだ。彼女は天才的なハッカーとして知られるヴァネッサだった。

「君がここにいるとはな…」

アルトは警戒を抱きつつも、彼女の動きを観察する。やがてヴァネッサは小さな端末を取り出し、オークションのシステムにアクセスし始める様子を見せた。彼女の動きから察するに、聖杯を狙っているのは間違いなかった。

「まあ、計画を邪魔されるのはごめんだが…少しは使えるかもしれない。」

アルトは一瞬の迷いを振り払うと、ヴァネッサに近づく。そして彼女にささやいた。

「お互い目的は同じようだな。」
「あなたは…?」
「ただの怪盗だ。君の行動が俺にとって有利なら協力する。どうだ?」

ヴァネッサは一瞬考える素振りを見せたが、やがて微笑んで答えた。

「いいわ。一緒に逃げ切れるなら、力を貸してあげる。」

こうして即席の同盟が成立した。二人は協力してカーディナルの監視を掻い潜りながら、聖杯を奪う計画を進める。オークションの混乱の中、ついにアルトは聖杯を手に入れることに成功する。

その時、ヴァネッサは再び微笑んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

処理中です...