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半刻ほど馬車に揺られてフレデリカのアパート近くに到着した。
路肩に停めてリドリーが颯爽と降りるとフレデリカ側に回って手を貸す。
この下町の路地に貴族の箱馬車が停まったならば悪目立ちしていただろうが、質素な軽馬車であるから通行人たちから注目される事は無い。
そして、フレデリカのアパートを確定しないように目抜き通りで停めてくれる配慮が有難かった。
(ひとつひとつが細やかな心遣いなのだわ)
フレデリカの心内が温かくなる。
「夕飯...」
「え?」
「夕飯は食べるもの、ある?」
リドリーが尋ねる。
「え、ええ。何かしらは...」
「ちゃんと食べてね。少し痩せた気がしてるから。少ーしだけどね。」
確かに今日の裁判を前にしてフレデリカの食欲は下降線を描き体重を落としていたフレデリカ。
それを優しく指摘して心配してくれるリドリーの紳士ぶりに感激する。
「はい。ちゃんと、もりもり食べます。」
次に会う時はきっと太ってますわと笑うフレデリカに
「どんな貴女も素敵だよ。」
リドリーが目を細めて頷いた。
「...それじゃ..また孤児院でね。」
「はい。ありがとうございました。」
フレデリカが馬車に背を向ける刹那
「フレデリカ嬢!」とリドリーが呼び止めた。
「はい?」
「もし...もしも..」
「は..い。」
「お仕事が落ち着いて、食事とか..お芝居とか、オペラとか...買い物でも良いし食事でも、あ!食事はもう言ったか..」
背の高いリドリーがフレデリカを優しく見下ろしながら言葉に詰まって片手で顔を覆った。
(大きな手...)
フレデリカは素直にそう思った。
「あーえぇっと...」
言い淀むリドリーの言葉の先をフレデリカは静かに待つ。
いつもリドリーがそうであったように。
「...もし、出掛けようって思って..あぁ一人じゃなくてね!
誰かと出掛けるのも良いかなぁって思って、その相手が...俺でも良いかなって日が来たら...誘って?声、掛けて。」
アンソニーと別れて、仕事に生きると、出会いなど求めないと言い切ったフレデリカ。それを聞いていたリドリー。
その生き方を尊重したいけれど、もし爪の先ほどでもチャンスがあるのなら...リドリーは今の“ボランティア仲間”からもう一歩でも二歩でも近付きたいと思った。
先ずは信頼のおける友として。
「リドリー様...?」
「何時でも..待ってるから。」
親しみやすく信頼出来る方だと思っていた相手から寄せられた、個人的な好意を察知出来ないほど鈍感では無い。
グレント家の長子であるフレデリカにとって、“兄とはこんな存在かしら”と想像した頼れるリドリーを、今のこの瞬間から一人の男性として意識してしまうフレデリカであった。
鼓動が乱れる。
頬も熱い。
それでもフレデリカはこれを“恋心”と思うことが怖かった。
アンソニーの時のトラウマか...
(優しくされて直にぽーっとなるのは私の悪いところなのだわ。)
そうは言っても、リドリーの事は孤児院のボランティア活動の中で色々な側面を見てきた。直ぐに..じゃない。
私への気遣いは無論のこと、ウォルト様への忠信や子ども達への接し方。丁寧な作業とスタッフに対しての思い遣りも。
あのアンソニーと比較することがとても失礼だと分かっているし、比べるまでもない。
「私...」
「ごめんね、フレデリカ嬢。裁判が終わったばかりだと言うのに...」
「いいえ、そんな...」
リドリーがもう一度ごめんねと口にしたのでフレデリカは堪らず「謝らないでください」と手を伸ばしてリドリーの腕に触れた。
「リドリー様。
私、本当にびっくりするくらい社交的では無いのです。未だに王都に慣れないし、男爵家の令嬢だなんて言っても社交界とは無縁です。
仕事が生き甲斐のつまらない...お堅い女なんです。」
「気にしない」と思っていても、“つまらない女”“お堅い女”とアンソニーから揶揄された言葉が刺さったまま抜けない棘の様に残っている。
見た目がこんなだから社交的で華やいだ性格に思われるけれど、保守的で生真面目な性分なのだ。
付き合い出して直ぐにアンソニーから言われた「思っていたのと違う」という言葉をリドリー様にまで言われたならば、優しいリドリー様の事だから言わないまでも、そう思われたならば立ち直れない...。
さっきまで輪郭を成していた自分の影が夕暮れに馴染んで消えていくのをフレデリカは見ていた。
「だからきっとリドリー様も私のこと...」
「皆、“本当の自分”だけで生きているわけじゃないさ。」
リドリーの穏やかな声にフレデリカは顔を上げた。
「“自分が知る自分”と“他人が思う自分”がぴたりと一致することなんて殆ど無いよ。もし一致したらなら底の浅い人間さ。」
「底の浅い...」
「そうだよ。誰だって繕うし、格好つけるし、隠すよ?
付き合っていく過程で驚くことも、がっかりすることもあるだろうけど、それをひっくるめて“その人を知る”って事でしょ?」
そう...付き合っていく中でアンソニーの別の面を知って驚いて、がっかりしたわ...。
「でもそれってお互い様だと思わない?
俺だって、フレデリカ嬢の思うリドリー・ラザフォードと違った!!ってがっかりされるかもしれないよ?」
「そんな事...」
「うん。もっと気に入ってもらえるかも知れない!」
リドリーがいたずらっぽく笑う。
「人の出会いはその繰り返しだよ。
がっかりされたくない、がっかりしたくないって思っていたら上辺だけの付き合いしか出来ないじゃん?」
確かにそうだとフレデリカは思った。
結局、自分可愛さで人との繋がりを怖がっているだけなのかも知れない。
深く付き合わなければ傷ついたり傷つけたりしないから...。
「そうですね...本当に。」
「...俺は、ウォルト様との出会いで人生が変わった様に貴女との出会いでも何かが生まれて、変わるんじゃないかって思ったんだ。
だから、もし...フレデリカ嬢の傷が薄らいで“次の出会いを求めても良いな”って思えたら、俺の事も候補に入れて欲しいんだ、新たな出会いじゃないけどね。」
アンソニーの事でフレデリカが人間不信になっている事を慮ってくれていることが感じられる。
リドリーの懐の深さがそのまま安心感と信頼に変わっていくのをフレデリカは感じた。
「ありがとうございます、リドリー様。
しばらくは仕事に励みます。トリシア様から『ジェニファー様の弁護費用は身体で払ってね』と言われていますので。」
今度はフレデリカがふふっと笑う。
「そりゃ随分高くつくね!」
リドリーもジェニファーの相場を知っているらしい。
「ええ、きっと馬車馬のように働かされますわ。」
あくまでも冗談なのだが、トリシアのデザインする特別なウエディングドレスを誂えるにあたり、フレデリカが渾身を傾けることはわかっている。
フレデリカ自身も楽しみであるのだ。
「そのドレスへの刺繍が終わりましたら是非、食事かお買い物...ご一緒してください。」
フレデリカがリドリーを見上げて言えば、リドリーは破顔した。
黒曜石の様な瞳が輝いて、心底嬉しそうに目を細めるリドリーを見ていると、この後直ぐにディナーを誘っても良いくらいに思えた。
そこで、はたと気付く。
自分の方から“一緒にいたい”と思う事はアンソニーの時には無かったと。
いつもアンソニーから誘われて、受け身でいた自分。
(それではアンソニーだって面白くなかったでしょうね...)
アンソニーの浮気を認めることは出来ないが、過去の自分にも多くの至らないところがあったのだと、リドリーへ芽生えた想いを切っ掛けに気付いたフレデリカなのであった。
路肩に停めてリドリーが颯爽と降りるとフレデリカ側に回って手を貸す。
この下町の路地に貴族の箱馬車が停まったならば悪目立ちしていただろうが、質素な軽馬車であるから通行人たちから注目される事は無い。
そして、フレデリカのアパートを確定しないように目抜き通りで停めてくれる配慮が有難かった。
(ひとつひとつが細やかな心遣いなのだわ)
フレデリカの心内が温かくなる。
「夕飯...」
「え?」
「夕飯は食べるもの、ある?」
リドリーが尋ねる。
「え、ええ。何かしらは...」
「ちゃんと食べてね。少し痩せた気がしてるから。少ーしだけどね。」
確かに今日の裁判を前にしてフレデリカの食欲は下降線を描き体重を落としていたフレデリカ。
それを優しく指摘して心配してくれるリドリーの紳士ぶりに感激する。
「はい。ちゃんと、もりもり食べます。」
次に会う時はきっと太ってますわと笑うフレデリカに
「どんな貴女も素敵だよ。」
リドリーが目を細めて頷いた。
「...それじゃ..また孤児院でね。」
「はい。ありがとうございました。」
フレデリカが馬車に背を向ける刹那
「フレデリカ嬢!」とリドリーが呼び止めた。
「はい?」
「もし...もしも..」
「は..い。」
「お仕事が落ち着いて、食事とか..お芝居とか、オペラとか...買い物でも良いし食事でも、あ!食事はもう言ったか..」
背の高いリドリーがフレデリカを優しく見下ろしながら言葉に詰まって片手で顔を覆った。
(大きな手...)
フレデリカは素直にそう思った。
「あーえぇっと...」
言い淀むリドリーの言葉の先をフレデリカは静かに待つ。
いつもリドリーがそうであったように。
「...もし、出掛けようって思って..あぁ一人じゃなくてね!
誰かと出掛けるのも良いかなぁって思って、その相手が...俺でも良いかなって日が来たら...誘って?声、掛けて。」
アンソニーと別れて、仕事に生きると、出会いなど求めないと言い切ったフレデリカ。それを聞いていたリドリー。
その生き方を尊重したいけれど、もし爪の先ほどでもチャンスがあるのなら...リドリーは今の“ボランティア仲間”からもう一歩でも二歩でも近付きたいと思った。
先ずは信頼のおける友として。
「リドリー様...?」
「何時でも..待ってるから。」
親しみやすく信頼出来る方だと思っていた相手から寄せられた、個人的な好意を察知出来ないほど鈍感では無い。
グレント家の長子であるフレデリカにとって、“兄とはこんな存在かしら”と想像した頼れるリドリーを、今のこの瞬間から一人の男性として意識してしまうフレデリカであった。
鼓動が乱れる。
頬も熱い。
それでもフレデリカはこれを“恋心”と思うことが怖かった。
アンソニーの時のトラウマか...
(優しくされて直にぽーっとなるのは私の悪いところなのだわ。)
そうは言っても、リドリーの事は孤児院のボランティア活動の中で色々な側面を見てきた。直ぐに..じゃない。
私への気遣いは無論のこと、ウォルト様への忠信や子ども達への接し方。丁寧な作業とスタッフに対しての思い遣りも。
あのアンソニーと比較することがとても失礼だと分かっているし、比べるまでもない。
「私...」
「ごめんね、フレデリカ嬢。裁判が終わったばかりだと言うのに...」
「いいえ、そんな...」
リドリーがもう一度ごめんねと口にしたのでフレデリカは堪らず「謝らないでください」と手を伸ばしてリドリーの腕に触れた。
「リドリー様。
私、本当にびっくりするくらい社交的では無いのです。未だに王都に慣れないし、男爵家の令嬢だなんて言っても社交界とは無縁です。
仕事が生き甲斐のつまらない...お堅い女なんです。」
「気にしない」と思っていても、“つまらない女”“お堅い女”とアンソニーから揶揄された言葉が刺さったまま抜けない棘の様に残っている。
見た目がこんなだから社交的で華やいだ性格に思われるけれど、保守的で生真面目な性分なのだ。
付き合い出して直ぐにアンソニーから言われた「思っていたのと違う」という言葉をリドリー様にまで言われたならば、優しいリドリー様の事だから言わないまでも、そう思われたならば立ち直れない...。
さっきまで輪郭を成していた自分の影が夕暮れに馴染んで消えていくのをフレデリカは見ていた。
「だからきっとリドリー様も私のこと...」
「皆、“本当の自分”だけで生きているわけじゃないさ。」
リドリーの穏やかな声にフレデリカは顔を上げた。
「“自分が知る自分”と“他人が思う自分”がぴたりと一致することなんて殆ど無いよ。もし一致したらなら底の浅い人間さ。」
「底の浅い...」
「そうだよ。誰だって繕うし、格好つけるし、隠すよ?
付き合っていく過程で驚くことも、がっかりすることもあるだろうけど、それをひっくるめて“その人を知る”って事でしょ?」
そう...付き合っていく中でアンソニーの別の面を知って驚いて、がっかりしたわ...。
「でもそれってお互い様だと思わない?
俺だって、フレデリカ嬢の思うリドリー・ラザフォードと違った!!ってがっかりされるかもしれないよ?」
「そんな事...」
「うん。もっと気に入ってもらえるかも知れない!」
リドリーがいたずらっぽく笑う。
「人の出会いはその繰り返しだよ。
がっかりされたくない、がっかりしたくないって思っていたら上辺だけの付き合いしか出来ないじゃん?」
確かにそうだとフレデリカは思った。
結局、自分可愛さで人との繋がりを怖がっているだけなのかも知れない。
深く付き合わなければ傷ついたり傷つけたりしないから...。
「そうですね...本当に。」
「...俺は、ウォルト様との出会いで人生が変わった様に貴女との出会いでも何かが生まれて、変わるんじゃないかって思ったんだ。
だから、もし...フレデリカ嬢の傷が薄らいで“次の出会いを求めても良いな”って思えたら、俺の事も候補に入れて欲しいんだ、新たな出会いじゃないけどね。」
アンソニーの事でフレデリカが人間不信になっている事を慮ってくれていることが感じられる。
リドリーの懐の深さがそのまま安心感と信頼に変わっていくのをフレデリカは感じた。
「ありがとうございます、リドリー様。
しばらくは仕事に励みます。トリシア様から『ジェニファー様の弁護費用は身体で払ってね』と言われていますので。」
今度はフレデリカがふふっと笑う。
「そりゃ随分高くつくね!」
リドリーもジェニファーの相場を知っているらしい。
「ええ、きっと馬車馬のように働かされますわ。」
あくまでも冗談なのだが、トリシアのデザインする特別なウエディングドレスを誂えるにあたり、フレデリカが渾身を傾けることはわかっている。
フレデリカ自身も楽しみであるのだ。
「そのドレスへの刺繍が終わりましたら是非、食事かお買い物...ご一緒してください。」
フレデリカがリドリーを見上げて言えば、リドリーは破顔した。
黒曜石の様な瞳が輝いて、心底嬉しそうに目を細めるリドリーを見ていると、この後直ぐにディナーを誘っても良いくらいに思えた。
そこで、はたと気付く。
自分の方から“一緒にいたい”と思う事はアンソニーの時には無かったと。
いつもアンソニーから誘われて、受け身でいた自分。
(それではアンソニーだって面白くなかったでしょうね...)
アンソニーの浮気を認めることは出来ないが、過去の自分にも多くの至らないところがあったのだと、リドリーへ芽生えた想いを切っ掛けに気付いたフレデリカなのであった。
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