私に幸せになって欲しい?なら婚約破棄よ

空月 若葉

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番外編

後編

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 近い近い近い、近いよ。頭が余計におかしくなりそうだ。ただでさえ元からおかしい頭が、これ以上おかしくなってしまったら困る。私は身の危険を感じたのか、彼の腕をひっぺがして彼の腕の中から逃げ出してしまった。10歩ほど遠ざかったところで気がつく。あ、今せっかく抱きしめてもらっていたのに。離れなきゃよかった。そんなことを考えても、もう遅いのだが。
「あああああ」
意味不明な音が口から溢れ出す。リアム様はそんな私を不思議そうに見ていた。そして。
「ふふっ」
小さく笑った。え、なに。私、笑われてるの。
「アリッサ嬢はおかしな令嬢だな」
いや、やっぱり私じゃん、笑われてるの。
「そ、そんなに笑わないでくださいっ」
私が思わずそう注意しても、リアム様は笑いを堪えられないようで、いまだに笑い続けている。
「もうっ」
まるで私たちは子供の頃に戻ったように、笑い、怒った。身分なんて気にならない。私たちはそんな謎の空間に包まれていた。

 やっとリアム様が落ち着いた頃、私達は並んでベンチに腰掛けていた。好きな人と、しかも王子様と並んで座るなんて贅沢すぎないだろうか。あ、エイダン様とはよくあったけれど、それはまた別の話だから。……私は誰に言い訳しているのだろうか。
「すまない、アリッサ嬢。少し取り乱してしまった」
少しどころじゃありませんでしたけどねーははー。
「それにしても、私と婚約するなんて物好きな方ですね」
この人も浮気男だったらどうしよう。そんな不安も込めての言葉だった。そんなことが伝わる訳ないのも、相手に失礼なのもわかっていたのに。
「……俺は、お前のことが好きなわけではない」
……いや、そんなこと言われなくてもわかってますから。わかってますから、そんな直球に言わないでもらえます。
「それでも、面白いと思ったんだ」
リアム様は青く晴れた空を見上げてつぶやいた。
「俺は相手の感情を読むことが得意だ。だから、アリッサ嬢が俺を見る目が他の令嬢と一緒だったことに気がついた」
よほどおもてになるのですね……。ていうか、恋心ってそんなに簡単にわかるものなの。
「大抵、そういう令嬢達は俺に言い寄ってくる。俺は婚約者がいないからな。けれど、アリッサ嬢はそうしなかった」
リアム様は私を見て、私の手に手を添えて。
「そんな人に会ったのは初めてだったんだ」
リアン様は笑わない。きっと、周りには私のようなタイプはいなかったのだろう。恋とは、時に盲目になる。私はそういう時に限って少し冷静になれるけれど、そうでない人の方が多いだろう。
「アリッサとお呼びください、リアム様。……先ほどのように」
リアム様が、小さく笑った気がした。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

Shizuku
2021.01.29 Shizuku

面白かったです。
婚約者の王子がざまあされるところを見てみたいです!!

是非とも続きを書いてください(๑˃̵ᴗ˂̵)

他の作品も読ませていただきました。
とても面白かったです。
頑張って下さい٩(^‿^)۶

2021.01.29 空月 若葉

失礼しました。作品を勘違いしていたのでちょっと返信の内容がおかしくなってしまっていました。コメントありがとうございます。
続きの内容、考えてみますね。

解除

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