魔王様愛してます〜魔王様の目の前で婚約破棄されました〜

空月 若葉

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4話 魔王様と頭痛

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 驚いて後ろを振り返ると、そこには見覚えのある少年の姿があった。……魔王様だ。
「は。お前は誰に向かって口を聞いて」
「そもそもお前は自分の置かれている状況を理解しているのか」
ルーク様の声を遮って魔王様がどこか怒っているような目をしながらルーク様を見ていた。ルーク様は魔王様相手に恐れることなく立ち向かっている。きっとこの少年が何者なのか知らないのだろう。
「お前の国は建国してまだ10年もたっていない。それなのに何百年もの歴史を持つこの国を敵に回している自覚はあるのか」
威圧的な態度に少し恐怖を感じたのだろうか。ルーク様は1歩後ろに下がった。前に見た時、魔王様は笑うことさえなかったが、今のように怒って感情をあらわにすることなどなかった。何か気に触るようなことをしてしまったのだろうか。
「わかっているのかと聞いているんだ」
ぎろりときつく睨みつける。
「……っまえ、お前、何者なんだ。王子である俺に口答えするなんて」
ルーク様は王子という立場を神様か何かと勘違いしているのかしら。
「私か。私は……魔王だ」
魔王様がそう言った途端、ルーク様の顔色がみるみる悪くなっていく。本当に知らなかったのか。彼が魔王だと。
「お、お許しください、まさか、魔王様だとは……」
確かに魔王様は強大な力を持っていらっしゃるが、ここまで恐れられていると何だか不憫だ。
「お、おい、謝れよ。エマ」
「えっ」
急なルーク様からのふりに素でえ、と返してしまう。いけない、いけないと笑顔を取り繕おうとし……た……。
 初めて見る美しさだった。魔王様の手に光が灯っていて、それがだんだん大きくなっていく。理由はわからない。けれど私にはわかった。あれは攻撃魔法だ。いけないものだ。それを放ってはいけない。
「やめて、リアム」
大きな声でそう叫び、はっと口を押さえる。リアム、リアムって誰。誰のものかわからないその名前。けれどその名前に反応して振り返ったのは魔王様だった。手に集まっていた光は消えている。
「すまない、エマ。威嚇するだけのつもりだったんだ」
え、謝ってるの。あの魔王様が、私に。ものすごく申し訳なさそうな顔をして、謝ってる。なんだろう、何か、何か大切なことを忘れているような……。
「うっ」
なにこれ、頭が、いた、い……。立っているのがやっとのその頭痛。なにが怒っているのかわからず、頭を抱えて蹲る。
「エマ」
誰かが私に駆け寄ってきて、私の体を支えてくれる。ああ、だめ。意識を保っていられな……い……。
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