ポップンロール

はやしまさひろ

文字の大きさ
8 / 34

8

しおりを挟む
 新監督の妹が、海辺の街の海軍兵士と結婚をした。その関係者からの紹介で、わざわざその大会のためだけにホームステイさせていた。
 外国人は二人いた。ピッチャーとキャッチャーだ。ピッチャーは小学生とは思えないスピードの球を投げる。キャッチャーはどんな球でも打つスラッガーだ。準決勝までは、二人だけで野球をしていたと言っても過言ではない。甲子園で大活躍した後輩も、まるで出番がなかった。
 しかし、俺達はそんな奴に黙って敗けを宣言したりはしない。というか、とても燃えたよ。外国人が悪いとは思わないが、そのやり方が気に入らない。新監督は、二人の家族に金を払っている。二人はそれを承知で野球をしている。
 ケンジはこういう状況では普段以上に力を発揮するんだ。
 しかし、身体には限界がある。頑張りすぎたケンジは、途中で肩を痛めてしまった。その後はケイコが奮闘した。試合途中には色々な事件があったんだが、とにかく俺達は勝ったんだ。甲子園の後輩もそれなりに頑張ってはいたが、俺たちの前では力不足だった。まぁ、あいつが必死になっていたのには、勝負とは別の問題があったんだけどな。
 甲子園のあいつは、俺たちのチームに入った一つ下の女子のことが好きだったんだ。野球が上手な方じゃなく、全くの素人の方をだよ。
 残念なことに、その子はケンジのことが好きだったんだ。っていうか、もう一人の子もそうだった。二人共、ケンジと一緒にいたくてチームに入ったんだよ。
 この年齢の恋っていうのは、一方的な片想いが多く、大抵はそれで満足するもんなんだ。二人共、そんな感じだった。ケンジのことが好きだっていうのはみえみえだったが、一緒にいるだけで満足をしていた。
 ケンジは二人の気持ちに気付いてはいたが、ごく普通に接していた。特別扱いはせず、避けたりもしなかった。そんなケンジの態度に、二人はさらに好感を持っていたようだ。
 しかし、甲子園のあいつは違っていた。素人の子を自分のものにしたく考えていたようだ。まだ小学生だっていうのに、ませたガキだよ。
 甲子園のあいつだってそれほどの馬鹿じゃない。自分の好きな子が、自分を見てくれていないことは分かっていたようだ。ケンジに恋していることを知り、嫉妬心が爆発した。
 絶対に負けたくないっていう思いが強すぎた。甲子園のあいつは、かなりの乱暴なプレイで好きな子を怪我させてしまったんだ。足首の捻挫し、脛の辺りから血を流した。ケンジは本気で怒っていたよ。乱闘騒ぎになるんじゃないかと冷や汗をかいたくらいだからな。
 結局そのプレイが勝敗を決めたともいえた。甲子園のあいつは、その事件をきっかけにプレイの精彩を欠き、それを見ていた外国人までやる気をなくしてしまった。さすがにレディーファーストの国の子供だ。女子を怪我させてまで勝ちたいとは思えなかったようだ。映画の世界ではスポーツが得意なだけで女子にも乱暴な奴らが多いが、現実は必ずしもそうじゃないと知ったよ。外国人に対する偏見はよくないってこともな。
 古巣のチームが低迷している間に、俺達は勝ち越したんだ。それまではゼロゼロだった。ケンジが肩を痛めてファーストにまわっていたから、相手にとってはチャンスだったはずなんだ。ケイコは必死だった。やる気をなくしたあいつらには決して打てない球を投げていた。
 そのまま勝ち逃げっていうのもありだったが、あいつらは最終回になり、やる気を取り戻した。そのきっかけは、素人の子だったんだよな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...