ポップンロール

はやしまさひろ

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 中学校の入学式が終わり、俺達五人はいつものように集まった。
 俺は空を飛ぼうと思っているんだ! そのためにさ、陸上部に入ると決めたよ。
 ケンジのその言葉に、なぜだか俺たち四人は、いいねぇそれ! なんて言ったんだ。馬鹿げた発想だが、ケンジならできるって思ってしまうんだよな。陸上と空を飛ぶことのつながりは全くの謎だけどな。ケンジは空を飛ぶ手段として、自転車を選んだ。自転車部のない中学校だから足を鍛えるための陸上部なのかも知れないが、ケンジが選んだ種目は走り高跳びだった。あいつは単純に、飛びたかっただけなんだよ。自転車で空を飛ぶために陸上部を選んだんじゃないってことだよ。陸上部に空を飛べる種目があると知って飛びついただけなんだ。
 空を飛ぶ気持ちよさは感じられたようだった。ケンジは、とても綺麗にバーを飛び越える。身長が思うように伸びなかったケンジは、走り高跳びの選手としては抜群にチビだったが、最終的には県大会に出場をしている。市の大会での上位の者しか出場できない大会にな。まぁ、ケイコは全国大会に出場しているんだが、それとは比べないでほしい。ケンジは走り高跳びの全出場者の中で、一番のチビだったんだ。他の種目でもそうだが、走り高跳びほどに身長差がものをいう種目はなかったよ。
 俺達が入った陸上部は、全国レベルの強豪だった。中でも短距離が特に有名だった。公立の中学校っていうのは生徒側に選ぶ権利はなく、育った町の中学校に強制的に入学させられる。まぁ、私立の学校を選ぶこともできるが、俺達にはその学力はあっても経済力と想像力がなかったんだよ。なんてな。
 俺達が通う中学校は、山の中腹にあった。登下校の際、必然と山登りをしなくてはいけない環境にあり、足腰が鍛えられるんだ。その結果だって、俺は考えている。中学校の近所に住んでいる連中は、普段の生活では山登りをしているものの、やはりその量が少なく、他の生徒に比べて体育の成績は低かった。
 俺がそうだったんだよ。小学校時代は毎日のように山を降りて遊んでいたが、中学校に入り部活を始めてからは、家との往復だけの毎日が増えていった。ケンジや他の連中はみんな山登りをして登下校していた。その差が出たんだって、俺は思うようにしている。
 俺は特にやりたい種目もなく、顧問の先生が決めた走り幅跳びを専門にすることになった。ヨシオは長距離だった。ケイコは短距離でリレーのメンバーにも選ばれていた。カナエはハードルだった。
 しかし、ケイコとケンジ以外は、大会にさえ出られなかったよ。陸上部の顧問はその世界じゃ有名人だったんだ。陸連の次期会長候補だって噂を聞いたことがあるよ。俺達の中学校が強豪だったのは、その顧問の力もあってこそだと言われている。
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