27 / 34
27
しおりを挟む
本当にあれが聞き屋なのか? 俺はケンジの隣に腰を移して壁に凭れた。聞き屋がいた場所にしゃがんだんだ。なんだか俺が噂の聞き屋になったみたいで、いい気分だった。歩いているときには感じられない、いつもとは違う横浜を感じられた気分がしたよ。座って眺める世界は、学校の屋上から眺める校庭とはまた違った楽しみがあった。
そうだよ。ここに座って話を聞いてくれるのは、聞き屋しかいないってさ。今の俺たちのように座ってるだけの奴には、誰も話しかけてこないだろ? あいつは特別なんだよ。けれど驚くなよ。明日来る奴はもっと特別だ。俺たちの運命を、きっと変えてくれる。ケイコたちも誘って、五人で来いってことだな。
ケンジがなぜそんな言い方をするのか、意味が分からず、俺はきょとんとケンジを見つめた。五人で来たければ今日だって来られたんだ。誘わなかっただけだしな。俺はそう思っていた。それに、たかだか一人の人間に会ったぐらいで、運命なんて変わらない。そうとも思っていたよ。
俺って馬鹿なんだよな。俺はさ、っていうか俺たち四人はみんな、ケンジとの出会いで運命を変えている。そのことはあまりにも自然すぎて忘れていたんだけど、あの人との出会いで思い出すことになるんだ。
聞き屋のあいつはさ、俺たちのためにわざわざ待っていたんだぜ。口には出さなくても、感じるだろ? 仕事で忙しいのに、律儀な男だよ。俺はさ、昨日約束したんだ。タケシって奴がいるから、会わせたいってな。俺たちの関係も全て話したんだ。後の三人にもいずれは会いたいなって、あいつは言っていたよ。今日俺が連れて来ないことを知っていたんだろうな。あいつはさ、五人揃ってあの人に会わせたいと思っているんだろうよ。だから今日はあえて呼ばなかった。そして明日はやって来ると言い残しただろ? あれってさ、明日は全員で来いよっていう意味なんだ。
そうなのか? なんて間抜けな返事をした俺だが、ケンジの言う言葉の意味は半分も分かっていなかった。明日は五人揃って横浜駅前に集合か。なんだか恥ずかしいなって思ったよ。中学の同級生にも、クラスの誰かにも会いたくないなってことだけを考えていた。
次の日ケンジは、朝から興奮していた。俺以外の三人に、今日は絶対に行こうぜと誘っていた。損はさせない。きっと世界が変わるよ。ケンジがそんなセリフを言えば、断る馬鹿はいないよな。少なくとも俺たち五人は、ケンジの言葉の強さを信じていた。
そうだよ。ここに座って話を聞いてくれるのは、聞き屋しかいないってさ。今の俺たちのように座ってるだけの奴には、誰も話しかけてこないだろ? あいつは特別なんだよ。けれど驚くなよ。明日来る奴はもっと特別だ。俺たちの運命を、きっと変えてくれる。ケイコたちも誘って、五人で来いってことだな。
ケンジがなぜそんな言い方をするのか、意味が分からず、俺はきょとんとケンジを見つめた。五人で来たければ今日だって来られたんだ。誘わなかっただけだしな。俺はそう思っていた。それに、たかだか一人の人間に会ったぐらいで、運命なんて変わらない。そうとも思っていたよ。
俺って馬鹿なんだよな。俺はさ、っていうか俺たち四人はみんな、ケンジとの出会いで運命を変えている。そのことはあまりにも自然すぎて忘れていたんだけど、あの人との出会いで思い出すことになるんだ。
聞き屋のあいつはさ、俺たちのためにわざわざ待っていたんだぜ。口には出さなくても、感じるだろ? 仕事で忙しいのに、律儀な男だよ。俺はさ、昨日約束したんだ。タケシって奴がいるから、会わせたいってな。俺たちの関係も全て話したんだ。後の三人にもいずれは会いたいなって、あいつは言っていたよ。今日俺が連れて来ないことを知っていたんだろうな。あいつはさ、五人揃ってあの人に会わせたいと思っているんだろうよ。だから今日はあえて呼ばなかった。そして明日はやって来ると言い残しただろ? あれってさ、明日は全員で来いよっていう意味なんだ。
そうなのか? なんて間抜けな返事をした俺だが、ケンジの言う言葉の意味は半分も分かっていなかった。明日は五人揃って横浜駅前に集合か。なんだか恥ずかしいなって思ったよ。中学の同級生にも、クラスの誰かにも会いたくないなってことだけを考えていた。
次の日ケンジは、朝から興奮していた。俺以外の三人に、今日は絶対に行こうぜと誘っていた。損はさせない。きっと世界が変わるよ。ケンジがそんなセリフを言えば、断る馬鹿はいないよな。少なくとも俺たち五人は、ケンジの言葉の強さを信じていた。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる