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【15】見えていたモノ
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魔法スキルが載っているページは先程で終わっていたようで、めくったページには見慣れない言葉が書かれていた。
「その他のスキル……?なんだこれ……?」
魔法や剣術、物作りなら何となく想像がつくが、その他という言葉からはどんなスキルなのか想像がつかなかった。
一応当初の目的としては、魔法スキルのどれかを練習することであったため、魔法スキルのページに戻ろうかとも考えたが、どうせ時間はあるんだし見ておくかとページを左から右へとめくる。
「なるほどねぇ」
ペラペラとページをめくっていくと、何故その他のスキルとされているのかが分かった。というのも、その他に分類されているスキルは、思考加速や隠密などの剣術にも魔術にも使えるスキル、占いや直感強化などといった剣術とも魔術ともいえないようなものであった。
日常にも使えそうだなぁと説明を流し見しつつページをめくっていると、あるページに目が止まる。
「召喚スキル……」
召喚……、何とも心惹かれる言葉の登場に思わずページをめくる手が止まった。軽く見るだけにしておこうと考えていたのにもかかわらず、ついつい召喚スキルについて読み込んでしまう。
「何々……。『召喚スキルは通常のスキルとは少し異なる。私は召喚スキルはどちらかというと、スキルよりも儀式に近いものと考えるが、ここではスキルとして扱うことにする』……か」
スキルよりも儀式に近いとはどういうことだろうと疑問が浮かんだが、説明を読み進めることで作者が何故儀式に近いと考えているのかが分かった。
「確かに、スキルっぽくないよなぁ」
召喚スキルは特性によってできる人とできない人がいるという点や特性や潜在的な才能によって召喚されるモノが違う、つまり効果が変わってくるといった点では他のスキルと同じであるが、明らかに違う点があった。それは、召喚したモノと契約を結ばなければ、召喚スキルを習得したとは言えないといった点である。普通のスキルであれば、一度発現してしまえば習得したことになり、発現してから習得失敗になることなんてまずないと書かれている。
そして、作者としては召喚をスキルとして括るのは疑問が残ると書かれてある。ただ、召喚スキルを使えるようになると、スキル判定の際に召喚と表示されるから仕方なくスキルという括りにしているのだそうだ。
「うーん……。どのラインからスキルとして判定されるんだろうなぁ……」
スキルというものに漠然とした疑問が浮かんだものの、気にしてもしょうがないかとさらに読み進めると、召喚されるモノについて例が挙げられていた。
「えーと、精霊かぁ……。へー、精霊っていってもこんなに種類がいるんだなぁ」
おとぎ話などにも登場する精霊。火の精霊や水の精霊といった有名な精霊のことは知っていたが、力の精霊や刀の精霊といった聞いたことも無い精霊も過去に召喚されたことがあると指南書には書かれていた。
「妖精……。聖獣……。悪魔も!?」
召喚スキルについて読んでいくうちにどんどん心惹かれていく。
「次は、やり方か」
魔法スキルを練習するという当初の目的も忘れて、すっかり召喚スキルに興味を持っていかれていた。そんな中、やり方について書かれている文章中に興味深い記述あった。
「『召喚の際には生命力または魔力を消費する』……生命力?」
生命力ってなんだ?と疑問が浮かんだが、注釈があり簡単にまとめると、何回も斬りつけられたり、殴られ続けると生物は死ぬが、その回数はその生物によってバラバラである。そして、その耐えられる力を生命力と呼んでいるらしい。
(生命力……、もしかして……)
生命力についての説明を呼んだ俺は、ベッドから下りると机の方まで歩いていき、引き出しの中にしまってある短剣を手に取って鞘から抜いた。
「ふぅ……」
大きく息をして心を整えた。意を決して自分の腕を切りつけると、スパッと切れた皮膚から血がタラーっと滴る。痛みに耐えつつも右目で自分の体を見てみる。
名前やMPなどが見えたが、目的の物は見えない。しばらく、見つめた後、再び切りつけて自分の体を見る。それを何度か繰り返すと、見えていた物に変化が現れた。
「お!!」
急に現れたそれは、HPと表示されており、その横には25/30とある。
(やっぱりそうだ……!!)
指南書に生命力と魔力が並べて書かれていたことで、あることに気づくことができた。
「俺が、見えていたのは人の能力だったんだ……!!」
今まで名前やLv、MP、スキルと見えていたが、それが何なのかというはっきりとした確証は得られていなかった。しかし、今回、HPというものが見えたことで2つのことが分かった。1つ目は、右目で見えているものは人の能力。2つ目はHPにしろMPにしろ、それを認識することで見えるようになる。HPであれば生命力、MPであれば、魔力ということだ。
傷口を抑えるための布を取りに行き、止血をしている最中にある疑問が浮かぶ。
「このLvってやつはなんだろう……」
火炎魔法Lv.1とあるように、スキルをたくさん覚えたらLvが上がるのかと思っていたのだが、そういう訳でもないらしい。
「うーん……」
しばらく、Lvについて考えていたのだが、
「……まぁ、気にしてもしょうがないか。そのうち分かるだろう」
と、考えても答えは見つからないと諦め、自分の体を見る。
「……何か名前を付けたいなぁ」
今まで見えていた物の正体が分かったからか、急にこの板状の物に愛着がわいてきた。それに誰かに説明する際にも、名前がついていた方が説明しやすいなと考え、何かいい名前が無いか考えてみる。
「うーん。能力ボード……。何かしっくりこないなぁ」
能力が見えるから、能力。その能力が表示されているものが板状であるから、ボードといった言葉を使ってみたが、これだ!!といった感覚はない。あーでもない、こーでもないと悩んでいたが、ふと、指南書が視界の端に入り、少し考える。
「えーと……たしか……」
スキル判定を行った際にスキルの一覧が表示されるらしいのだが、その一覧をスキル一覧とは言わずに、別の言葉が使われたはずだったと自分の記憶を掘り返す。
「ス、ス、スキ……、スサ……、スタ……、ステ……、そうだ!!ステータスだ!!」
何とか思い出したステータスという言葉を当てはめる。
「ステータスボード……。うん。いい感じだ」
スキルだけではなく、名前やHPなども一緒に表示されるが、能力よりもステータスの方がしっくりくると、今まで見えていた物をステータスボードと名付けた。
「その他のスキル……?なんだこれ……?」
魔法や剣術、物作りなら何となく想像がつくが、その他という言葉からはどんなスキルなのか想像がつかなかった。
一応当初の目的としては、魔法スキルのどれかを練習することであったため、魔法スキルのページに戻ろうかとも考えたが、どうせ時間はあるんだし見ておくかとページを左から右へとめくる。
「なるほどねぇ」
ペラペラとページをめくっていくと、何故その他のスキルとされているのかが分かった。というのも、その他に分類されているスキルは、思考加速や隠密などの剣術にも魔術にも使えるスキル、占いや直感強化などといった剣術とも魔術ともいえないようなものであった。
日常にも使えそうだなぁと説明を流し見しつつページをめくっていると、あるページに目が止まる。
「召喚スキル……」
召喚……、何とも心惹かれる言葉の登場に思わずページをめくる手が止まった。軽く見るだけにしておこうと考えていたのにもかかわらず、ついつい召喚スキルについて読み込んでしまう。
「何々……。『召喚スキルは通常のスキルとは少し異なる。私は召喚スキルはどちらかというと、スキルよりも儀式に近いものと考えるが、ここではスキルとして扱うことにする』……か」
スキルよりも儀式に近いとはどういうことだろうと疑問が浮かんだが、説明を読み進めることで作者が何故儀式に近いと考えているのかが分かった。
「確かに、スキルっぽくないよなぁ」
召喚スキルは特性によってできる人とできない人がいるという点や特性や潜在的な才能によって召喚されるモノが違う、つまり効果が変わってくるといった点では他のスキルと同じであるが、明らかに違う点があった。それは、召喚したモノと契約を結ばなければ、召喚スキルを習得したとは言えないといった点である。普通のスキルであれば、一度発現してしまえば習得したことになり、発現してから習得失敗になることなんてまずないと書かれている。
そして、作者としては召喚をスキルとして括るのは疑問が残ると書かれてある。ただ、召喚スキルを使えるようになると、スキル判定の際に召喚と表示されるから仕方なくスキルという括りにしているのだそうだ。
「うーん……。どのラインからスキルとして判定されるんだろうなぁ……」
スキルというものに漠然とした疑問が浮かんだものの、気にしてもしょうがないかとさらに読み進めると、召喚されるモノについて例が挙げられていた。
「えーと、精霊かぁ……。へー、精霊っていってもこんなに種類がいるんだなぁ」
おとぎ話などにも登場する精霊。火の精霊や水の精霊といった有名な精霊のことは知っていたが、力の精霊や刀の精霊といった聞いたことも無い精霊も過去に召喚されたことがあると指南書には書かれていた。
「妖精……。聖獣……。悪魔も!?」
召喚スキルについて読んでいくうちにどんどん心惹かれていく。
「次は、やり方か」
魔法スキルを練習するという当初の目的も忘れて、すっかり召喚スキルに興味を持っていかれていた。そんな中、やり方について書かれている文章中に興味深い記述あった。
「『召喚の際には生命力または魔力を消費する』……生命力?」
生命力ってなんだ?と疑問が浮かんだが、注釈があり簡単にまとめると、何回も斬りつけられたり、殴られ続けると生物は死ぬが、その回数はその生物によってバラバラである。そして、その耐えられる力を生命力と呼んでいるらしい。
(生命力……、もしかして……)
生命力についての説明を呼んだ俺は、ベッドから下りると机の方まで歩いていき、引き出しの中にしまってある短剣を手に取って鞘から抜いた。
「ふぅ……」
大きく息をして心を整えた。意を決して自分の腕を切りつけると、スパッと切れた皮膚から血がタラーっと滴る。痛みに耐えつつも右目で自分の体を見てみる。
名前やMPなどが見えたが、目的の物は見えない。しばらく、見つめた後、再び切りつけて自分の体を見る。それを何度か繰り返すと、見えていた物に変化が現れた。
「お!!」
急に現れたそれは、HPと表示されており、その横には25/30とある。
(やっぱりそうだ……!!)
指南書に生命力と魔力が並べて書かれていたことで、あることに気づくことができた。
「俺が、見えていたのは人の能力だったんだ……!!」
今まで名前やLv、MP、スキルと見えていたが、それが何なのかというはっきりとした確証は得られていなかった。しかし、今回、HPというものが見えたことで2つのことが分かった。1つ目は、右目で見えているものは人の能力。2つ目はHPにしろMPにしろ、それを認識することで見えるようになる。HPであれば生命力、MPであれば、魔力ということだ。
傷口を抑えるための布を取りに行き、止血をしている最中にある疑問が浮かぶ。
「このLvってやつはなんだろう……」
火炎魔法Lv.1とあるように、スキルをたくさん覚えたらLvが上がるのかと思っていたのだが、そういう訳でもないらしい。
「うーん……」
しばらく、Lvについて考えていたのだが、
「……まぁ、気にしてもしょうがないか。そのうち分かるだろう」
と、考えても答えは見つからないと諦め、自分の体を見る。
「……何か名前を付けたいなぁ」
今まで見えていた物の正体が分かったからか、急にこの板状の物に愛着がわいてきた。それに誰かに説明する際にも、名前がついていた方が説明しやすいなと考え、何かいい名前が無いか考えてみる。
「うーん。能力ボード……。何かしっくりこないなぁ」
能力が見えるから、能力。その能力が表示されているものが板状であるから、ボードといった言葉を使ってみたが、これだ!!といった感覚はない。あーでもない、こーでもないと悩んでいたが、ふと、指南書が視界の端に入り、少し考える。
「えーと……たしか……」
スキル判定を行った際にスキルの一覧が表示されるらしいのだが、その一覧をスキル一覧とは言わずに、別の言葉が使われたはずだったと自分の記憶を掘り返す。
「ス、ス、スキ……、スサ……、スタ……、ステ……、そうだ!!ステータスだ!!」
何とか思い出したステータスという言葉を当てはめる。
「ステータスボード……。うん。いい感じだ」
スキルだけではなく、名前やHPなども一緒に表示されるが、能力よりもステータスの方がしっくりくると、今まで見えていた物をステータスボードと名付けた。
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