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【37】幼馴染
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集合場所に向かうとすでに3人が集まっていた。
「お、シェイド。おはよう」
「おはよう、シェイド」
「おは……どうしたの?」
何かに気が付いたのかレシリアが心配そうに俺のことを見ている。
「おはよう皆。いきなりで悪いんだけど、ちょっと相談があるんだ――――」
集合場所に着いて早々、受験結果と共に推薦状が届いたこと、特性無しの俺が上手くやれるのかが不安だということ、推薦状が送られてきたことから自分の気持ちまですべてを皆に話した。
「――――という感じなんだけど、どうしたらいいと思う?」
すべてを話し終え、3人の返答を待った。すると、しばらくの間をおいて、
「……はぁ」
俺の話を聞いた後、3人は一斉にため息をついた。
「え……」
まさかため息をつかれるとは思いもしなかったため、あっけにとられていると、
「そんなことで悩んでいたのかよ」
ガレントは呆れたといった様子でやれやれと首を振っている。
「そんなことって……」
3人の反応に愕然としていると、レシリアが肩をチョンチョンと突いてきたためそちらの方を向く。
「シェイド、私たちの実技の点数、何点だったと思う?」
「いや、分からないけど……。良かった?」
「満点よ!! 満点!!」
「え、2人も!?」
「そうだぜ」
「えへへ、そうだよ」
まさか4人全員が実技試験で満点を取れているなんて……。
3人の練習に付き合っていたこともあって、驚きと感動で胸がいっぱいになりウルッときてしまった。
「それもこれもシェイドのおかげだよ~」
「そうだぜ!! シェイドがいなかったら、絶対に満点なんて取れなかったと思うぜ?」
「だからね? シェイド。何であなたが悩んでいるのかが分からない」
レシリアはそう言うと同時に俺の頬を両手で挟んで真っすぐ俺の目を見つめてくる。
「シェイドの魔法やスキルがすごかったから推薦状を貰ったんでしょ? だったら自信を持ってよ!! シェイドは私たちの目標なんだから!!」
「目標……」
視界の右からガレントの顔が現れる。
「そうだぜ、俺らはいっつもシェイドに追いつけるようにスキルの練習をしてたんだからな?」
視界の左からスレイアの顔が現れる。
「もちろん、魔法もね」
3人がこんな風に思っていてくれたなんて……。
3人の言葉に思わず泣きそうになってしまうが、グッとこらえる。
目標である俺がうじうじ考えているなんて情けないよな……。
今まで感じていた俺なんてという枷のようなものが外れた気がした。
「……そうだな。ありがとう。俺なんかが大丈夫なのかって思ってたけど……。いつまでも3人の目標でいるために頑張ってくるよ!!」
今までの迷いは一切晴れて、リアレント学園で頑張る決意を固めた。
「へへへ、そうだ!! その意気だ!!」
「まったく……。相談何て言われたから点数が絶望的に悪かったのかと思ったわよ」
「アハハ……。ごめん」
皆の想いを聞いた後だと、何であんな事で悩んでいたのが今となっては恥ずかしく思えた。
「でも、すごいねぇ!! あのリアレント学園の推薦を貰えるなんて」
「本当、すごいわよねぇ」
「いやー、照れるな」
3人から褒められている中、
「あ……」
あることを思い出した。
「どうしたの?」
「それが――――」
俺は皆にまた会おうパーティーに参加できなくなったことを伝えた。というのも、リアレント学園に通うことになると、他の学校に通う時よりも手続きなどで多くの準備が必要となる。それに、入学式が他の学校よりも早い。そのため、明日の朝から王都の方に向かわなくてはならず、また会おうパーティーの開催日にはすでにこの村にはいなかった。
「……そうなんだ」
ガレントとスレイアは見るからに落ち込んでおり、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そんな中、レシリアの方を見ると、どうやら何やら考えているようだ。
「それじゃあ、今からやりましょ?」
レシリアはにこやかにそう言う。
「今から?」
「うん。家からお菓子とか持ってきて皆で集まりましょ」
その言葉でガレントとスレイアの顔に笑顔が戻った。
「そうだね!! 今からやろう!!」
「じゃあ、各自家からお菓子とかジュースを持ってきて、ここに集合ね」
その後は各自が自分の家から思い思いのお菓子やジュースなどを持ってきて、また会おうパーティーが開かれた。皆とこうやって集まって話せるのはいつになるのか、明日からはこの4人で集まることは無くなるんだなと考えると寂しい気持ちに襲われそうになる。だから、今はただただこのパーティーを楽しむことだけを考えるようにした。
色々なことを話しているうちに日も暮れていき、村がオレンジ色に染まっていく中、俺達は木の上で何かを話すわけでもなく、沈んでいく夕日を眺めていた。
「……ねぇ、シェイド」
レシリアが小声で俺に話しかけてきたため、レシリアの方を向く。
「どうした?」
「これが最後になるかもしれないから……、シェイドに伝えたいことがあるの……」
「うん」
「あのね……、私シェイドのことが……」
レシリアは俺の目を真っすぐ見つめたまま止まっている。
「……ううん、やっぱり何でもない」
「え、気になるじゃん」
「また会ったときに機会があったら話すことにする」
「えー、それってどのくらい後のことだよ」
「ふふ、楽しみにしていて」
そう言うとレシリアが木を降り始めたので俺達も一緒に木から降りると、時間も時間だったため解散の流れになった。そうして、パーティーはお開きとなった。
家族と暮らした時間、幼馴染達と遊んだ時間を大切な記憶として胸にしまい、俺の村での生活は一旦終わりを迎えたのであった。
「お、シェイド。おはよう」
「おはよう、シェイド」
「おは……どうしたの?」
何かに気が付いたのかレシリアが心配そうに俺のことを見ている。
「おはよう皆。いきなりで悪いんだけど、ちょっと相談があるんだ――――」
集合場所に着いて早々、受験結果と共に推薦状が届いたこと、特性無しの俺が上手くやれるのかが不安だということ、推薦状が送られてきたことから自分の気持ちまですべてを皆に話した。
「――――という感じなんだけど、どうしたらいいと思う?」
すべてを話し終え、3人の返答を待った。すると、しばらくの間をおいて、
「……はぁ」
俺の話を聞いた後、3人は一斉にため息をついた。
「え……」
まさかため息をつかれるとは思いもしなかったため、あっけにとられていると、
「そんなことで悩んでいたのかよ」
ガレントは呆れたといった様子でやれやれと首を振っている。
「そんなことって……」
3人の反応に愕然としていると、レシリアが肩をチョンチョンと突いてきたためそちらの方を向く。
「シェイド、私たちの実技の点数、何点だったと思う?」
「いや、分からないけど……。良かった?」
「満点よ!! 満点!!」
「え、2人も!?」
「そうだぜ」
「えへへ、そうだよ」
まさか4人全員が実技試験で満点を取れているなんて……。
3人の練習に付き合っていたこともあって、驚きと感動で胸がいっぱいになりウルッときてしまった。
「それもこれもシェイドのおかげだよ~」
「そうだぜ!! シェイドがいなかったら、絶対に満点なんて取れなかったと思うぜ?」
「だからね? シェイド。何であなたが悩んでいるのかが分からない」
レシリアはそう言うと同時に俺の頬を両手で挟んで真っすぐ俺の目を見つめてくる。
「シェイドの魔法やスキルがすごかったから推薦状を貰ったんでしょ? だったら自信を持ってよ!! シェイドは私たちの目標なんだから!!」
「目標……」
視界の右からガレントの顔が現れる。
「そうだぜ、俺らはいっつもシェイドに追いつけるようにスキルの練習をしてたんだからな?」
視界の左からスレイアの顔が現れる。
「もちろん、魔法もね」
3人がこんな風に思っていてくれたなんて……。
3人の言葉に思わず泣きそうになってしまうが、グッとこらえる。
目標である俺がうじうじ考えているなんて情けないよな……。
今まで感じていた俺なんてという枷のようなものが外れた気がした。
「……そうだな。ありがとう。俺なんかが大丈夫なのかって思ってたけど……。いつまでも3人の目標でいるために頑張ってくるよ!!」
今までの迷いは一切晴れて、リアレント学園で頑張る決意を固めた。
「へへへ、そうだ!! その意気だ!!」
「まったく……。相談何て言われたから点数が絶望的に悪かったのかと思ったわよ」
「アハハ……。ごめん」
皆の想いを聞いた後だと、何であんな事で悩んでいたのが今となっては恥ずかしく思えた。
「でも、すごいねぇ!! あのリアレント学園の推薦を貰えるなんて」
「本当、すごいわよねぇ」
「いやー、照れるな」
3人から褒められている中、
「あ……」
あることを思い出した。
「どうしたの?」
「それが――――」
俺は皆にまた会おうパーティーに参加できなくなったことを伝えた。というのも、リアレント学園に通うことになると、他の学校に通う時よりも手続きなどで多くの準備が必要となる。それに、入学式が他の学校よりも早い。そのため、明日の朝から王都の方に向かわなくてはならず、また会おうパーティーの開催日にはすでにこの村にはいなかった。
「……そうなんだ」
ガレントとスレイアは見るからに落ち込んでおり、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そんな中、レシリアの方を見ると、どうやら何やら考えているようだ。
「それじゃあ、今からやりましょ?」
レシリアはにこやかにそう言う。
「今から?」
「うん。家からお菓子とか持ってきて皆で集まりましょ」
その言葉でガレントとスレイアの顔に笑顔が戻った。
「そうだね!! 今からやろう!!」
「じゃあ、各自家からお菓子とかジュースを持ってきて、ここに集合ね」
その後は各自が自分の家から思い思いのお菓子やジュースなどを持ってきて、また会おうパーティーが開かれた。皆とこうやって集まって話せるのはいつになるのか、明日からはこの4人で集まることは無くなるんだなと考えると寂しい気持ちに襲われそうになる。だから、今はただただこのパーティーを楽しむことだけを考えるようにした。
色々なことを話しているうちに日も暮れていき、村がオレンジ色に染まっていく中、俺達は木の上で何かを話すわけでもなく、沈んでいく夕日を眺めていた。
「……ねぇ、シェイド」
レシリアが小声で俺に話しかけてきたため、レシリアの方を向く。
「どうした?」
「これが最後になるかもしれないから……、シェイドに伝えたいことがあるの……」
「うん」
「あのね……、私シェイドのことが……」
レシリアは俺の目を真っすぐ見つめたまま止まっている。
「……ううん、やっぱり何でもない」
「え、気になるじゃん」
「また会ったときに機会があったら話すことにする」
「えー、それってどのくらい後のことだよ」
「ふふ、楽しみにしていて」
そう言うとレシリアが木を降り始めたので俺達も一緒に木から降りると、時間も時間だったため解散の流れになった。そうして、パーティーはお開きとなった。
家族と暮らした時間、幼馴染達と遊んだ時間を大切な記憶として胸にしまい、俺の村での生活は一旦終わりを迎えたのであった。
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