性に関する幾つかの話

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第八話

若い娘

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「ねぇ、おじさんもひとり?」
 近所のbarで一人飲んでいると、まだ娘といった雰囲気の若い子が声をかけてきた。
"なんだ?こんな四十過ぎのバツイチ男に声かけてきて。俺に奢らせようってのか?ま、可愛らしいし、一杯くらい構わんか。"
そんな事を思いつつ「見ての通り、一人飲みだけど。」と、ちょっと素っ気なく答えた。
「何飲んでるの?」
「これか。メーカーズマーク。バーボンだよ。」
「へぇ。美味しい?」
「少なくとも俺は美味いと思う。」
「一口飲ませてよ。」
 いつの間にか隣に来た彼女は、そう言いながら私のバーボンを手にして一口くいっと飲んだ。
「うえっ…強くない?」
「ロックだからな」
「うわ、なんかヒリヒリする、やば…」「水飲め、水」
…この子は大丈夫なんだろうか?
「ごめんね、なんか美味しそうだったから。」

 その後も彼女は私に色々聞いてきた。好きな食べ物、年齢、好きなタレント、趣味、名前、仕事、既婚かどうか等々…。
「そんなにオジサンに興味あるの?」
「なんかさ、うち昔から父親いなかったから、オジサンって身近にいないんだよね。だからなんか知りたくて。」

 その後、二時間ほど他愛もない会話をしながら二人で飲み、その日は解散。

 それから数日経った週末、近所のスーパーでいつも通り買い物をしていたら、後ろから彼女が声をかけてきた。
「こないだはどうも!夕飯の買い物?」
私の持っているカゴの中を一瞥して
「夕飯ってか、ツマミだね。なんか作ってやろうか。今日暇だし。」
…また素っ頓狂な事を言い出す娘だ。
「料理なんて出来るのか?そう見えないけど。」
「失礼ね。割と得意だよ。」
そう言いながら、私からカゴを取り、幾つかの食材を選んでいく。
「ねぇ、お酒あるの?」
「缶ビールと日本酒、あとはバーボンくらいかな」
「私ビールがあればいいや」
「てか、本当にうち来るの?」
「ダメ?」
「いや、どうせ一人だから大丈夫だけど」
「じゃあいいじゃん」

 結局彼女は私のアパートまで来て、勝手に料理まで始めた。
 俺は所在なげに部屋を片付けたりしながら、狭いキッチンで奮闘する彼女を見守った。
「簡単なモノしか作らなかったけど」
そう言って彼女は何品も料理を並べ始めた。
「飲も!」彼女は冷蔵庫から勝手にビールを2本取り出し、片方を俺に渡した。そして乾杯し、彼女の料理に舌鼓を打つ。

 他愛もない話をしながら箸と酒をすすめた。映画の話になったので、場所をソファに移し、お気に入りの映画を見ながら二人で飲んだ。

 映画が終盤に差し掛かると、酔いもそれなりに回ってきて、彼女は私にもたれかかるようにして画面を見ている。

"こんなシーン、しばらくなかったな…たまにはいいもんだ"

 映画が終わり、スタッフロールが流れ始めると、彼女が画面を見ながら口を開いた。
「ねぇ、おじさん、抱いて。」
「?はあ?」
彼女はこちらに向き直り、抱きついてきて耳元で言った。
「抱いてほしいの。」

 言い方は悪いが、据え膳食わぬはなんとやら。

 彼女の顎に軽く指を当てて顔を寄せ、唇にキスをした。彼女もそれに反応して私の首に抱きついてきた。そのまま二人はソファに倒れ込み、激しくキスを続ける。

 酒が入ってるのもあり、自分の身体がしっかり反応出来るか一抹の不安があったが、それは杞憂に終わった。我ながら驚くほど、服の下で固く屹立している。

 自分の服を脱ぎながら、彼女の服と下着を脱がし、その身体を眺める。細身だが出るところは出て、くびれるところはくびれた、綺麗な身体だ。肌は若いだけありスベスベでしっとりしている。
 それを感じて、更に固くなる。何年ぶりにこんな昂りを覚えただろうか。
 彼女はその屹立を握り、私の乳首を舐め始めた。危うく射精しそうになる。
「いい子だ…エッチでいい子だ。」
「エッチな子、好き?」
「大好きだよ。オジサンもエッチだから。」そう言いながら裸の二人はソファから床に降り、お互いの身体を貪るように舐め合い、弄りあった。
 いよいよ股間の屹立が我慢出来なくなった時、ふと思い出した。
"ゴムがない…"しばらくこんなシーンが無かったので、家にゴムがない。
 彼女にそれを告げると、中にさえ出さなければ…と言った。しかしそれはやはり、特にキミにとってリスクが…というと、彼女が目を見つめて言った。
「そんな事言ってくれた人、初めて…ありがとう…」そう言うと彼女は私に抱きつき、泣き始めた。

 屹立した股間の処遇に些か困りながらも、彼女の頭を抱き寄せて軽く頭を撫でた。
「私、バカだからさ、こんなんだからさ、いつも遊ばれるだけでさ、今日も遊ばれるだけでいいや、って来たんだけどさ、でもさ、オジサン楽しくてさ、それで、ちゃんと私の事考えてくれてさ、私多分、今まででこんなに大事にされたの初めてで、だから嬉しくて…ごめんね」
 彼女がどんな人生を送ってきたのか少し知りたくなったが、それはいつか彼女が教えたくなった時に聞けばいい。今はこのまま彼女を泣かせてあげるのが一番だ。

 一頻り泣き続けた彼女は、涙を残して笑顔になりながらこちらの顔を見た。
「ごめんね。盛り上がったところだったのに。ちっちゃくなっちゃったね。」
さっきまで雄々しかった股間をチョンチョンとイタズラして笑った。
 そんな彼女をソファに座らせ、肩を抱く。
「一応これでも大人だからな。軽率な事は出来ないよ。」半分建前、半分本気の言葉が自然に口から出た。彼女は小さく頷いて私に身体を預けてきた。

 そんな事があってから数日後、私と彼女は近くの不動産屋でアパートを探していた。今度は二人で立てるキッチンのある、少し広めのアパートにする予定だ。

 あの日以降、家にはちゃんとゴムを置くようにしている。

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