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委員の会議から一週間以上経った頃、昼休みに里沙は職員室にいた。
担任に雑用を理由に呼び出されたのだが、模試を受けなかったことを言われるのだと思った里沙はかなりテンションを落としていた。しかし実際は違う内容を聞かされた。
「高峰、お前体育祭委員続けないか?」
教師の発言の意図がつかめず、里沙は眉をしかめる。
「どういう意味ですか? あれは杉さんがやるってことになってますよ。私はあくまで臨時です」
「そうなんだが、ちょっと事情があってな」
「事情ですか」
込み入った話になったらどうしようかと少し引いたがそれを担任は逃がさなかった。
「少し生徒指導室に付き合え」
「え? ちょっと谷岡センセ?」
授業に使うプリントを取りに来いと言われて来ただけなのになぜか生徒指導室に行くことになって里沙は思わずため息が出る。
「そうがっかりするな、別に説教しに行くわけじゃない」
「そうですけど、なんで最初から指導室に呼び出さなかったんですかぁ?」
「そう言ったらお前来ないだろ?」
「……確かに」
意味もなく指導室なんて疚(やま)しいことのない人間が喜んで行きたいところではない。ましてや模試をサボったという疚しい事のある里沙は本当の理由など話せるわけもないので、指導室への呼び出しだったら逃げていたことは間違いない。
模試をサボったことを責められるのも、進路についてまたあれこれ言われるのも極力避けたい。今の里沙はまだそれどころではないのだ。
「それで、杉の事だが」
指導室に着くと早速担任の谷岡は話し始めた。
杉麻衣子は里沙のクラスで本来の体育祭委員だった。里沙とはすごく仲が良いというわけではなかったが、杉はクラスの中でも頼れる存在で日ごろいろいろと世話になっていた。だから代理の話しをされたときも事情は聞かずに里沙はすぐ了解していた。
それからあまり教室で顔を見なくなっていたので里沙も気にはなっていた。
「杉さん何かあったんですか? このところ休み多いし」
「ちょっと家庭の事情でな、下手すると一年留年するかもしれん」
「留年って……プライベートなことだから詳しくは聞きませんけど、一応辞めたりはしないってことですか?」
「今のところはな、できるだけこのまま卒業できるように頑張るそうだ」
それを聞いて一先ず安心した里沙は、ようやく本題に入れる気がした。
「それで私に体育祭委員やれってのはどういう事ですか?」
「杉がどの程度学校に来れるかわからんからな、代理なんだから続けてもいいだろ?」
「いやですよー、杉さんがお願いって言うからちょっと頼まれてただけですから」
「そうか?」
「そうですよ、新しくクラスで決めたらいいじゃないですか」
体育祭委員というのは意外と人気職なので代わりにやりたいクラスメイトを募ればすぐに見つかる。だから里沙の意見は至極全うなものだったが、担任の谷岡はそれよりと言って唐突なことを言い出した。
「じゃあ代わりに杉の事情を話してやろう」
声が思わず大きくなるほど里沙は動揺した。
「ちょっと、ちょっと、何の代わりなんですか! 大体教師がそんなことしていいんですか、それとも脅し?」
「失礼な奴だな、可愛い生徒を脅迫なんかするか。で、杉のことだが――」
「いやいやいや。何しゃべろうとしてるんですか!」
里沙の目の前に教師は声を出さずに笑い出した。
「くっくっくっ」
「ちょっと先生?」
「いや、お前本当にいい奴だな」
「はい?」
「大丈夫だ、杉の了解は得てるから」
「え?」
谷岡は首を傾げる里沙に今度は真剣な態度で繰り返した。
「お前にだけなら話していいと許可はとってあるんだ」
「なんでそんな事を……」
「お前がごねた時は同情に訴えればいいとあいつが言ったんだぞ」
「杉さん…………本当ですか?」
里沙がこれまでの杉を考えるとそんな悪知恵を働かせるのは意外なような気がして、担任の出まかせを一瞬疑っていた。しかし策士な面を持つ杉も知っている里沙は、この担任と杉とがタッグを組んでしまったら逃れるほうが骨折りになると思い直した。しかも逃れた結果もどうせ二人の狙い通りになると想像できてしまった。
「どうする、聞くか?」
今できる選択は委員を引き継ぐかどうかではなく、杉の事情を聞いて受け入れるか、聞かずに引き受けるかだとすでに諦めの境地に立つ里沙はせめて人としての良識で承知したのだと自分に言い聞かせることにした。
「……はー、もう別にいいですよ。杉さんもまだ学校来るんだし機会があったら本人に聞きますから、委員は私が引き継ぎます」
良かった良かったと言う谷岡に、どこがだと突っ込みを入れる里沙だったが受け入れてしまったのは里沙本人だ。
その後、漸く本来の用であるプリントを貰ってしぶしぶ生徒指導室を後にした。
体育祭委員は殆どが事務仕事ばかりで夏休み中も登校して準備をする、言ってみれば完全な裏方だった。里沙にしてみれば面倒この上なかったが、無理やり気合を入れるしかない。生徒会と一緒に体育祭を企画・運営する人気な役職なのだからやりがいだけはあるかと、なんとか前向きに考え出した里沙の脳裏にふと三村の姿が浮かんだ。
日頃接点がなく会うことのない三村と委員会で顔を合わせることもあるだろうと、そこはかとなしに面白いような楽しいような気持ちになった里沙は指導室を出たときより少しだけ軽いステップで廊下を歩き出した。
わざわざ会いに行く必要はなくなったか。
そう思った瞬間、目の前に三村が現れた。
「え、本物?」
思わぬところで遭遇し、何となく考えていた時だったので何故か存在を疑ってしまった。
それに引き換え三村は会えて当然のような素振り。
「お、いた」
立ち止まり、三村の様子からどうやら探させていたことを悟った。
「探してた?」
「そうそう、いっつも昼休み教室いないだろ?」
「あー未佐ちゃん達と別のところで食べてるから」
「そうなんだ、はいこれ」
手渡された小さな紙袋の中はもちろんシャープペンの芯で、5ケースも入っていた。
「こんなに?」
「足りなさそう?」
そんなわけないと思いながら、里沙は大きく首を振った。
「いや、十分。ありがとう」
「いやいや、ただのお節介だから」
「なんだ認識あったか」
里沙がつい冗談でそう口走ると、思いのほか三村はショックだった様子で動揺してみせる。
「え! マジでそう思ってる?」
その反応が里沙には面白かった。あの時のことを振り返れば親切以上の気遣いだと思っている。酷い状態の里沙を放っておくことは簡単だったのに、声をかけ、何かしたいと思ってくれた。それがシャープペン一本渡すことでも誰にでもできることではない。
なんでも貰えれば嬉しい性格の里沙ならなおさらで、だからお節介なんてこれっぽちも思ってないと言ってしっかり訂正した。
「良かったー」
あからさまに胸を撫で下ろす三村に里沙はまた面白さが募る。ふとついでに今しがた決まったことも伝えておこうと思った。
「でもわざわざ探さなくても明日会えたのに」
「なんで?」
「私体育祭委員になったから」
「……偽者じゃなかったの?」
そう言われて偽者だと言ったのをあれほど笑っていた三村を思い出した。
「さっき本物に変わったところ」
また笑われるかと思ったが、今度はあっさりしたものだった。
「へーそっか」
それからなんだか上の空になってしまった三村に笑われた時より不思議さを感じたが、ふとあごに手をあてて考え事している三村の腕時計の時刻が目に入りそれどころではなくなった。
「あっ、やばい。授業始まるや、じゃあねーありがと」
三村もそれで覚醒したようで里沙にヒラヒラ手を振って、慌てだした里沙を見送った。
予期せぬ活動を背負わせたきっかけのプリントの束を抱えなおして、里沙は小走りで教室へ帰っていった。
担任に雑用を理由に呼び出されたのだが、模試を受けなかったことを言われるのだと思った里沙はかなりテンションを落としていた。しかし実際は違う内容を聞かされた。
「高峰、お前体育祭委員続けないか?」
教師の発言の意図がつかめず、里沙は眉をしかめる。
「どういう意味ですか? あれは杉さんがやるってことになってますよ。私はあくまで臨時です」
「そうなんだが、ちょっと事情があってな」
「事情ですか」
込み入った話になったらどうしようかと少し引いたがそれを担任は逃がさなかった。
「少し生徒指導室に付き合え」
「え? ちょっと谷岡センセ?」
授業に使うプリントを取りに来いと言われて来ただけなのになぜか生徒指導室に行くことになって里沙は思わずため息が出る。
「そうがっかりするな、別に説教しに行くわけじゃない」
「そうですけど、なんで最初から指導室に呼び出さなかったんですかぁ?」
「そう言ったらお前来ないだろ?」
「……確かに」
意味もなく指導室なんて疚(やま)しいことのない人間が喜んで行きたいところではない。ましてや模試をサボったという疚しい事のある里沙は本当の理由など話せるわけもないので、指導室への呼び出しだったら逃げていたことは間違いない。
模試をサボったことを責められるのも、進路についてまたあれこれ言われるのも極力避けたい。今の里沙はまだそれどころではないのだ。
「それで、杉の事だが」
指導室に着くと早速担任の谷岡は話し始めた。
杉麻衣子は里沙のクラスで本来の体育祭委員だった。里沙とはすごく仲が良いというわけではなかったが、杉はクラスの中でも頼れる存在で日ごろいろいろと世話になっていた。だから代理の話しをされたときも事情は聞かずに里沙はすぐ了解していた。
それからあまり教室で顔を見なくなっていたので里沙も気にはなっていた。
「杉さん何かあったんですか? このところ休み多いし」
「ちょっと家庭の事情でな、下手すると一年留年するかもしれん」
「留年って……プライベートなことだから詳しくは聞きませんけど、一応辞めたりはしないってことですか?」
「今のところはな、できるだけこのまま卒業できるように頑張るそうだ」
それを聞いて一先ず安心した里沙は、ようやく本題に入れる気がした。
「それで私に体育祭委員やれってのはどういう事ですか?」
「杉がどの程度学校に来れるかわからんからな、代理なんだから続けてもいいだろ?」
「いやですよー、杉さんがお願いって言うからちょっと頼まれてただけですから」
「そうか?」
「そうですよ、新しくクラスで決めたらいいじゃないですか」
体育祭委員というのは意外と人気職なので代わりにやりたいクラスメイトを募ればすぐに見つかる。だから里沙の意見は至極全うなものだったが、担任の谷岡はそれよりと言って唐突なことを言い出した。
「じゃあ代わりに杉の事情を話してやろう」
声が思わず大きくなるほど里沙は動揺した。
「ちょっと、ちょっと、何の代わりなんですか! 大体教師がそんなことしていいんですか、それとも脅し?」
「失礼な奴だな、可愛い生徒を脅迫なんかするか。で、杉のことだが――」
「いやいやいや。何しゃべろうとしてるんですか!」
里沙の目の前に教師は声を出さずに笑い出した。
「くっくっくっ」
「ちょっと先生?」
「いや、お前本当にいい奴だな」
「はい?」
「大丈夫だ、杉の了解は得てるから」
「え?」
谷岡は首を傾げる里沙に今度は真剣な態度で繰り返した。
「お前にだけなら話していいと許可はとってあるんだ」
「なんでそんな事を……」
「お前がごねた時は同情に訴えればいいとあいつが言ったんだぞ」
「杉さん…………本当ですか?」
里沙がこれまでの杉を考えるとそんな悪知恵を働かせるのは意外なような気がして、担任の出まかせを一瞬疑っていた。しかし策士な面を持つ杉も知っている里沙は、この担任と杉とがタッグを組んでしまったら逃れるほうが骨折りになると思い直した。しかも逃れた結果もどうせ二人の狙い通りになると想像できてしまった。
「どうする、聞くか?」
今できる選択は委員を引き継ぐかどうかではなく、杉の事情を聞いて受け入れるか、聞かずに引き受けるかだとすでに諦めの境地に立つ里沙はせめて人としての良識で承知したのだと自分に言い聞かせることにした。
「……はー、もう別にいいですよ。杉さんもまだ学校来るんだし機会があったら本人に聞きますから、委員は私が引き継ぎます」
良かった良かったと言う谷岡に、どこがだと突っ込みを入れる里沙だったが受け入れてしまったのは里沙本人だ。
その後、漸く本来の用であるプリントを貰ってしぶしぶ生徒指導室を後にした。
体育祭委員は殆どが事務仕事ばかりで夏休み中も登校して準備をする、言ってみれば完全な裏方だった。里沙にしてみれば面倒この上なかったが、無理やり気合を入れるしかない。生徒会と一緒に体育祭を企画・運営する人気な役職なのだからやりがいだけはあるかと、なんとか前向きに考え出した里沙の脳裏にふと三村の姿が浮かんだ。
日頃接点がなく会うことのない三村と委員会で顔を合わせることもあるだろうと、そこはかとなしに面白いような楽しいような気持ちになった里沙は指導室を出たときより少しだけ軽いステップで廊下を歩き出した。
わざわざ会いに行く必要はなくなったか。
そう思った瞬間、目の前に三村が現れた。
「え、本物?」
思わぬところで遭遇し、何となく考えていた時だったので何故か存在を疑ってしまった。
それに引き換え三村は会えて当然のような素振り。
「お、いた」
立ち止まり、三村の様子からどうやら探させていたことを悟った。
「探してた?」
「そうそう、いっつも昼休み教室いないだろ?」
「あー未佐ちゃん達と別のところで食べてるから」
「そうなんだ、はいこれ」
手渡された小さな紙袋の中はもちろんシャープペンの芯で、5ケースも入っていた。
「こんなに?」
「足りなさそう?」
そんなわけないと思いながら、里沙は大きく首を振った。
「いや、十分。ありがとう」
「いやいや、ただのお節介だから」
「なんだ認識あったか」
里沙がつい冗談でそう口走ると、思いのほか三村はショックだった様子で動揺してみせる。
「え! マジでそう思ってる?」
その反応が里沙には面白かった。あの時のことを振り返れば親切以上の気遣いだと思っている。酷い状態の里沙を放っておくことは簡単だったのに、声をかけ、何かしたいと思ってくれた。それがシャープペン一本渡すことでも誰にでもできることではない。
なんでも貰えれば嬉しい性格の里沙ならなおさらで、だからお節介なんてこれっぽちも思ってないと言ってしっかり訂正した。
「良かったー」
あからさまに胸を撫で下ろす三村に里沙はまた面白さが募る。ふとついでに今しがた決まったことも伝えておこうと思った。
「でもわざわざ探さなくても明日会えたのに」
「なんで?」
「私体育祭委員になったから」
「……偽者じゃなかったの?」
そう言われて偽者だと言ったのをあれほど笑っていた三村を思い出した。
「さっき本物に変わったところ」
また笑われるかと思ったが、今度はあっさりしたものだった。
「へーそっか」
それからなんだか上の空になってしまった三村に笑われた時より不思議さを感じたが、ふとあごに手をあてて考え事している三村の腕時計の時刻が目に入りそれどころではなくなった。
「あっ、やばい。授業始まるや、じゃあねーありがと」
三村もそれで覚醒したようで里沙にヒラヒラ手を振って、慌てだした里沙を見送った。
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