41 / 41
幕間5 意志の下の愛
しおりを挟む
これこれこういうわけで、ミファース=キトリは実在していない。
というわけではなく、そもそも最初から実在してはいない。決定打になるマイトの遺骨が出土していないから、言い切る形にはできないが、今のところ、『ミファース=キトリ』という少女は、単なる学会の人形、机上の空論、夜空の星の周りを飛んでいる球体のような存在である。
元々、この英雄譚の中にはマイトしかいなかった。マイトはひとりでに火山に登り、ひとりでにナヤリフスと決着をつけ、ひとりでに死んでいった。しかし、その行動の影にはいつだって、誰かがいる。マイトはずっと、その誰かのために戦い、その誰かのために命を散らしたのだ。
『誰か』だけでは議論が勃発するだろう。一次史料として『カルライン=マイトの手記』を引用した頁を覚えているだろうか。その近くに、『ラヴァラサ村の人口動態』と題された分厚い板材が落ちていた。筆致や内容からして、あの村を熟知するに至る人物しか為し得ない。できる人物は……あのナヤリフスしかいないだろう。周辺の村や町などにある民話から、『ラヴァラサ村には凄腕の呪術師がいる』という結果も得ている。そして、『その呪術師に頼った人間は例外なく破滅する』という記述も散らばっていた。
ナヤリフスが何を目的としてラヴァラサ村に訪れ、人民を掌握したかは分かり得ないが、他愛ない主婦の世間話をもとにして、村中の家系図を描き出し、一人一人の人物像を描き出すまでにも至っている。ほとんどの海が埋まっていて、泳ぐところがほとんどない。調査に自由度はない、と思われていた。しかし、その中でただ一系統だけが、実態が不明であった。その家系の名は『ミファース』。不明ならばいかようにも捏造できるし、脚色だって自由である。しかもこの村の生き残りはいないから、訴えられもしない。だから、いいや必然的に、マイトを導く誰かを、その家系の中から描き出した。
想像が現実になるわけがない、上書きされるはずがない。そう信じているし、信じていた。仮説は仮説として土に埋まり、惑星の血の海へ溶けていく。そう思っていた。
━━あの時までは。
RS.XXX743年 4月4日 晴 星の声めちゃくちゃうるさい
「……嘘だ」
私たち二人は……正確に言えば一人と一柱は、驚いていた。
統計的に、マイトがここで死んだであろう地点へ向かって。道も崩れていたが、何もいないので過ごしやすかった。かなり装備を整えてきてしまったから、逆に重く感じた。登山用の杖だけで十分だったかもしれない。そう思うほどに。
レッテンスパインの都市の喧騒から遠く離れて、田舎。田舎の中でもさらに静かで、心を失いかけるように何も聞こえない、洞穴にて。━━そこにあったのは、寄り添うように骨になっている、少年と、少女の遺骨だった。そのそばには天上華が咲いている。これは誰かのいたずらでもない。仮説は、本当だった。
「……そういうわけだったか、私の記憶が一部抜け落ちているのは、私がこの星から一度去らなければならなかったのは」
「すみません、説明してもらえますか?」
「人間の子どもは、母親を求めている……どれだけ酷く扱われようとも。まるでただ一人の神を信仰するように。神は信仰さえあれば、どのような境遇にあったとしても復活できる……私は最後の望みにかけて、マイトに『母さん』として認めさせて、その信仰を元に復活しようとしていた。道理で、いつまで経っても連絡が来ないはずだ……」
そう言い切ってから、彼は口を閉ざした。
彼の打算に気づいたのだろう、マイトは自らの生命を捨ててでも、この邪神を封じようとしたのだ。しかし現代になって、地層の底から掘り起こされてまで研究されるとは思いもしなかっただろう。哀れにも、『私』が史料を探し、読みふけるたびに、邪神ナヤリフスは蘇り、信仰を受け入れていったのだから。答えを持っていそうな彼は、何も言わないでいる。きっと、これが彼の計画であり、答えなのだろう。
証拠になるであろう、マイトの使っていた大剣を持って、私たちは下山した。道中、彼が最期に訪れていたあの小屋へ行こうとするも、長い時の流れからか、すでに朽ち果て、基礎しか残っていない。もはやこれは、小屋と呼べない。だが、収穫はまたあった。大量に埋められた冷たい瓶の破片の中で、ひとつだけ未だ暖かく、ぼんやりと揺れ動いているそれ。私は鞄の中に詰め込んで、ナヤリフスの手を引いて山を下った。
(きっと、エレカ、いいや、マイトの妹の魂だ……数億年も経ったのに、未だに生きているなんて)
帰り道に電車に乗る。これまであんなに饒舌だったナヤリフスは、そっぽを向いてじっとしている。よっぽど、真実がつらいのだろうか?史料の中のナヤリフスからはこんな、出来事で挫けるような神格ではないと思っている。
空っぽになった弁当箱は、宇宙の狭さを表していた。まるで元から何もなかったようにきれいに平げられたそこには、ただ虚しさだけが乗っかっている。弁当箱の中に入れた、食器の音を聞きながら、家に最も近い駅に着く。切符の残りを渡して、静かな、人のいない夜を歩いた。
「家ですよ、ほら。家です」
「……」
家についてなお、ナヤリフスは閉口して、何をする気配もない。いつもだったら私と一緒に寝台に上がるところを、この日はただそこに突っ立っているだけだった。正直、調子がとても狂う。いつもだったら様々な時代の知識や、古代の魔術体系の話など、その手の人物が一斉に押しかけて学会を作りそうな話をたくさんするはずだ。しかしきょうは、ナヤリフスがあまりに静かすぎて気が狂いそうになっていた。何か、少しでも話をしてほしい━━そう思って、彼の名を呼び、すそを引っ張ってみても、何の反応も返されない。どうしたらいいか、わからなかった。いつもだったら、すぐに抱きしめてくるから。
ひとしきり困惑した後、私も同じようにぼーっとしてみたりして、彼の心境を図ろうとしてみた。いつもなら『私の気持ちなどわからないだろうに、人間という生き物は』などと呆れられながら微笑まれるはずなのに。ずっとずっと、閉口されていたのだから。彼の精神状態を理解できると言い切ってはいけないが、おそらく最もそれに近い答えを、私は持っている。
RS.XXX743年 4月5日 晴 星の声は騒がしい
『空の巣症候群』。
子育てを終えた親がかかるとされている、心の病気だ。それは真剣に子育てに向き合った親の証明であり、悪い傾向ではない。病気であるならば、まず先に治療をして、それから原因に向き合う必要がある。命の危険があるならば、その危険に応じて治療が先へ先へと引き伸ばされなければならない。
しかし、今、空の巣症候群にかかっているのは、人間ではなくれっきとした神である。対人間用の治療はできないだろう。もちろん、そういった前例もレッテンスパイン内の神話には残されていないし、たとえ前例があったとしても、文化や植生の違いによって、再現できない。そこで私は悩んでいた。放置すれば、確実に人類が滅ぼされるから。こういった神は、適度に信仰されているくらいでいい。なにも、この星の中の人類全てに信仰されなければならないわけではない。ある程度でいい。成長して、自然に信仰を離れていくような人材に……
思い当たる解決法はすでに、この日記の中に書かれているはずだ。私はその頁を開いて、そこに書かれた解決法……『孤児院の人手募集』の広告を探しだし、ナヤリフスに手渡した。
少し驚いたように、すっとんきょうな声を出したナヤリフスは、それを機にぽつり、ぽつりと話し始める。
「お前だって知っているだろう? 私は愛おしくなった子どもに、手を出してしまう。三つの欲を満たしてやれば、永遠にそばにいてくれると思っていたから。それは人間の社会からすれば、異常な思いであると知った、私に……それでも私にまた、人間の子どもを育てさせるつもりか?」
「いいえ、あなただからこそ、これが適任であると思うのです」
この孤児院はとにかく貧乏で、経営がなかなか成り立たない。そこで、無尽蔵の金をどこからか調達できるナヤリフスに任せたいのだ。正直、この邪神を孤児院に押し付けるには不安がありすぎる。しかし、このまま空虚な気分に浸らせるわけにもいかない。邪神は邪神だから、なにをしでかすかわからないし。このまま放置した場合、最悪人類が滅ぶ可能性があるし……だから私は、孤児院を紹介して、少しでも気分を和らげてほしいと思って、広告を渡したのだ。
現在のレッテンスパインは、人口増加に伴う治安の悪化が激しく、捨て子や売られ子も横行している。色々と悪い面が増加傾向にある現状の政治では、ナヤリフスのように、献身的に子どもの世話を自分からするような者は珍しい。そしてこれは私の過信だろうが……多くの子どもに囲まれている状況であるならば、ナヤリフスは子どもに手を出せないと思っている。
一応ではあるが、彼に質問をした。
「ところでどうして、あなたは子どもの世話をするのですか?」
「人類が好きだから。苦しむ声も、悩む声も、全ての感情が愛おしい。人間を奈落に突き落とすような行為もするが、人類を滅ぼそうとは思っていないさ。それに、子どもが育たない環境に、産めない環境では人類は滅ぶしかないだろう? 人ひとりが滅ぶ分には別に構わないが」
ほどほどにしておいてほしい。
と言った後、ナヤリフスは広告を頼りにして、外へ向かっていった。私の思惑通り、彼が孤児院へ出向くとは思わなかった。だが、私の心の中では解放された長調の音楽が鳴り響いていた。
RS.XXX743年 4月22日 晴 星の声は静か
あれから、しばらくが経った。
風のうわさや、フィスタフィラの情報から彼の噂をよく拾う。私の考え通り、ナヤリフスは孤児院の守り神として、子どもをしっかり育て上げている。次から次へと入ってくる子どもに、いつも驚きながらも、愛情を以って接している、とも。性的な行為も全く押し付けなくなって、全てがうまく回っているなあ、と思っていた。
しかし、事件は色々と起こっている。例えば、麻薬密売組織が急に潰れたり、爆発物の流通経路が無くなったり、児童労働を行わせる団体の人間が次々と失踪したり、とにかく子どもが被害者になるような組織が、潰された。ただの偶然と言ってもいいだろうが、私にはどうも、ナヤリフスがうっぷんを晴らすために潰しているように思えている。それが人類のためになっていると考えれば、それはそれでありかもしれないが。
それと私自身は、プリエステ群地に引っ越した。そこの教育機関に願書を出した結果、書類のみで合格してしまって、しかも特待生までつけてくれた。特待生までなったのならば、通わなければ学生として恥である。どうも、引率者が色々話をつけていてくれたらしい。まずは、『彼女』にお礼を言わなければならないだろう。
親族にも話をつけた。これからはプリエステ群地の寮で暮らすから、仕送りはいらない、と。するとやはり、どうしても私に仕送りをしたい親族が湧いて出てくる。好意はありがたく受け取っておくが、私以外にも支援すべき子どもはいるだろう、とそっと諭した。
海の風に煽られて、道案内の引率者を待っていたところ。
「お待たせ」
私はずっと、思い違いをしていた気がした。というのも、これまでずっと引率者を『女性』であると思っていたから。通話越しに聞こえるその声、口調、全てが女性のそれであったのに、今歩いて、私に近づいてくる人間は、男性であったから。
「驚かせてしまったか? それはすまない。これまでずっと、女性として育てられてきたから……古いしきたりでな……」
そう言ってはにかむ彼からは、二枚貝の貝がらが揃ったような安心感をかもし出していた。私もどこか、心の底に高揚感がある。それはまるで、永い時を経て再会した恋人のような、魂に焼き付けるような約束をした関係のような、そういったかけがえのない存在である証明であった。
私は耐えきれなくなって、彼の手を握った。衝動に駆られてしまって。突然であるにもかかわらず、彼は受け入れて握り返してくれた。その時、『輪廻転生』が本当であると実感したのだ。だって、私たちは……
RS.XXX748年 2月10日 晴 星の声は静か
あれから、もうしばらくが経った。
かつて一緒に神話や民話を追いかけた引率者と、私は結婚している。そして、私の中には新たな命が宿っていた。たとえ巨大な人工子宮で人口が生産される世界でも、人間が人間を育てない社会は死を迎えるだけだから。もちろん、私だって無事ではない。出産は常に命の危険を伴う。命の危険を伴うならば、それは重大な作業である。
あの時山で拾った瓶……の中身の証言は、私たちの仮説の正しさを表していた。現在、かつてのマイトの妹は人形に乗り移って、世界中に仮説を広げてくれている。彼女は時折、公衆電話などを使って土産話を持ち込んでくるが、身重になって動けない私にはちょうどいい楽しみであった。
ところで、私の妊娠に関して過剰に口を出してきそうな神格がいる。先制しておけば何も言われないだろうと考えたので、そうした。やはりというか、帰ってきた言葉は、祝福。
「おめでとう。もしよかったら、その子を抱かせてほしい」
「落ちている鳥の子を拾い上げるような行為はやめてくださいね? それで私より、あなたになつかれたら親として溜まったもんじゃないですが」
「まあ心配にもなるだろうな。ただ、抱き上げるだけでなつかれるようだったら、私が責任を持って育ててやろう」
そう言うと、ナヤリフスはくすくすと笑った。電話口からも、そして彼の後ろからも笑い声が途切れない。後ろから聞こえる声は全て、体格の小さそうな声だから、おそらく子どもの声だ。どちらもとても楽しそうで、幸せそうだった。……だけなら、よかったが。ナヤリフスはとんでもない爆弾を投げつけていったから。
「今の時代では能力の適性がなくとも、それなりの職に就けて、それなりの生活ができるが、私はそれがもったいなく感じてな。地表の花にばかり気を取られて、地面の底にある美しい音には関心も向けないとは……」
「何の話ですか?」
「お前の能力の話だよ。『これまで探されなかった白骨死体が掘り出され』『仮説通りの少女がそばに眠っていた』、都合がいいとは思わないか? 幸いというか、かなり昔の話だったからうまく行っただろうし、お前の肉体にも損傷はない。これが近現代などの、最近の話だったら、お前は間違いなく死んでいただろうな。人を殺した罪のおかげで、輪廻転生までの時間稼ぎはできただろうし」
「え……?」
つまりナヤリフスは、私の前世があの『カルライン=マイト』だと考えている。そして、彼の言葉をそのまま汲み取るならば、『無事に調査が終わってよかったね』という祝いと、煽りを兼ねているはずだ。私は同棲していたからわかる。彼が素直に祝福だけ残すわけがないからだ━━彼にとっても、私には思うところがあったらしく、そっと忠告はしてくれた。
「これはお前を愛しているから、言える。『今後、歴史の研究には手を出すな』と。お前は気づいていないようだが、地層を逆さまにするような能力を持っている。直接言うならばそれは『改竄』能力だ。改竄する年代が古くなればなるほど容易に、人ひとりの命でさえ再現できてしまうだろう。より古くなれば、超巨大大陸や今よりも進んだ文明なども作り出せてしまう。人類の遺伝子が変わってしまう可能性だってある。私は今の人類が好きだし、愛しているからな。お前が、変な気を起こさないように祈るよ」
電話はそこで途切れた。
実際はラヴァラサ村は存在しないかもしれない。しかし事実は残っている。私が調査する以前から、カルライン=マイトの手記はあったし、ラヴァラサ村の神話の全てだって存在しているから。証拠ならいくらだってある。
ただ、話を聞く限りだとどうも、私の能力は歴史研究に不向きであるようだ。史料が勝手に改竄されていたら、誰だって混乱するだろう。私だってそうだ。ただ、すでに出版され、印税ももらって、各地に広まりつつある話を取り消せたりはしない。今起こっている事象に関しては、私は操作できないから。でも、これから先参加しないようにはできる。
私は産後、プリエステ群地のどこかで時給労働でもして、間食代を少しずつ稼いでいこう、そう決めた。
おしまい。
というわけではなく、そもそも最初から実在してはいない。決定打になるマイトの遺骨が出土していないから、言い切る形にはできないが、今のところ、『ミファース=キトリ』という少女は、単なる学会の人形、机上の空論、夜空の星の周りを飛んでいる球体のような存在である。
元々、この英雄譚の中にはマイトしかいなかった。マイトはひとりでに火山に登り、ひとりでにナヤリフスと決着をつけ、ひとりでに死んでいった。しかし、その行動の影にはいつだって、誰かがいる。マイトはずっと、その誰かのために戦い、その誰かのために命を散らしたのだ。
『誰か』だけでは議論が勃発するだろう。一次史料として『カルライン=マイトの手記』を引用した頁を覚えているだろうか。その近くに、『ラヴァラサ村の人口動態』と題された分厚い板材が落ちていた。筆致や内容からして、あの村を熟知するに至る人物しか為し得ない。できる人物は……あのナヤリフスしかいないだろう。周辺の村や町などにある民話から、『ラヴァラサ村には凄腕の呪術師がいる』という結果も得ている。そして、『その呪術師に頼った人間は例外なく破滅する』という記述も散らばっていた。
ナヤリフスが何を目的としてラヴァラサ村に訪れ、人民を掌握したかは分かり得ないが、他愛ない主婦の世間話をもとにして、村中の家系図を描き出し、一人一人の人物像を描き出すまでにも至っている。ほとんどの海が埋まっていて、泳ぐところがほとんどない。調査に自由度はない、と思われていた。しかし、その中でただ一系統だけが、実態が不明であった。その家系の名は『ミファース』。不明ならばいかようにも捏造できるし、脚色だって自由である。しかもこの村の生き残りはいないから、訴えられもしない。だから、いいや必然的に、マイトを導く誰かを、その家系の中から描き出した。
想像が現実になるわけがない、上書きされるはずがない。そう信じているし、信じていた。仮説は仮説として土に埋まり、惑星の血の海へ溶けていく。そう思っていた。
━━あの時までは。
RS.XXX743年 4月4日 晴 星の声めちゃくちゃうるさい
「……嘘だ」
私たち二人は……正確に言えば一人と一柱は、驚いていた。
統計的に、マイトがここで死んだであろう地点へ向かって。道も崩れていたが、何もいないので過ごしやすかった。かなり装備を整えてきてしまったから、逆に重く感じた。登山用の杖だけで十分だったかもしれない。そう思うほどに。
レッテンスパインの都市の喧騒から遠く離れて、田舎。田舎の中でもさらに静かで、心を失いかけるように何も聞こえない、洞穴にて。━━そこにあったのは、寄り添うように骨になっている、少年と、少女の遺骨だった。そのそばには天上華が咲いている。これは誰かのいたずらでもない。仮説は、本当だった。
「……そういうわけだったか、私の記憶が一部抜け落ちているのは、私がこの星から一度去らなければならなかったのは」
「すみません、説明してもらえますか?」
「人間の子どもは、母親を求めている……どれだけ酷く扱われようとも。まるでただ一人の神を信仰するように。神は信仰さえあれば、どのような境遇にあったとしても復活できる……私は最後の望みにかけて、マイトに『母さん』として認めさせて、その信仰を元に復活しようとしていた。道理で、いつまで経っても連絡が来ないはずだ……」
そう言い切ってから、彼は口を閉ざした。
彼の打算に気づいたのだろう、マイトは自らの生命を捨ててでも、この邪神を封じようとしたのだ。しかし現代になって、地層の底から掘り起こされてまで研究されるとは思いもしなかっただろう。哀れにも、『私』が史料を探し、読みふけるたびに、邪神ナヤリフスは蘇り、信仰を受け入れていったのだから。答えを持っていそうな彼は、何も言わないでいる。きっと、これが彼の計画であり、答えなのだろう。
証拠になるであろう、マイトの使っていた大剣を持って、私たちは下山した。道中、彼が最期に訪れていたあの小屋へ行こうとするも、長い時の流れからか、すでに朽ち果て、基礎しか残っていない。もはやこれは、小屋と呼べない。だが、収穫はまたあった。大量に埋められた冷たい瓶の破片の中で、ひとつだけ未だ暖かく、ぼんやりと揺れ動いているそれ。私は鞄の中に詰め込んで、ナヤリフスの手を引いて山を下った。
(きっと、エレカ、いいや、マイトの妹の魂だ……数億年も経ったのに、未だに生きているなんて)
帰り道に電車に乗る。これまであんなに饒舌だったナヤリフスは、そっぽを向いてじっとしている。よっぽど、真実がつらいのだろうか?史料の中のナヤリフスからはこんな、出来事で挫けるような神格ではないと思っている。
空っぽになった弁当箱は、宇宙の狭さを表していた。まるで元から何もなかったようにきれいに平げられたそこには、ただ虚しさだけが乗っかっている。弁当箱の中に入れた、食器の音を聞きながら、家に最も近い駅に着く。切符の残りを渡して、静かな、人のいない夜を歩いた。
「家ですよ、ほら。家です」
「……」
家についてなお、ナヤリフスは閉口して、何をする気配もない。いつもだったら私と一緒に寝台に上がるところを、この日はただそこに突っ立っているだけだった。正直、調子がとても狂う。いつもだったら様々な時代の知識や、古代の魔術体系の話など、その手の人物が一斉に押しかけて学会を作りそうな話をたくさんするはずだ。しかしきょうは、ナヤリフスがあまりに静かすぎて気が狂いそうになっていた。何か、少しでも話をしてほしい━━そう思って、彼の名を呼び、すそを引っ張ってみても、何の反応も返されない。どうしたらいいか、わからなかった。いつもだったら、すぐに抱きしめてくるから。
ひとしきり困惑した後、私も同じようにぼーっとしてみたりして、彼の心境を図ろうとしてみた。いつもなら『私の気持ちなどわからないだろうに、人間という生き物は』などと呆れられながら微笑まれるはずなのに。ずっとずっと、閉口されていたのだから。彼の精神状態を理解できると言い切ってはいけないが、おそらく最もそれに近い答えを、私は持っている。
RS.XXX743年 4月5日 晴 星の声は騒がしい
『空の巣症候群』。
子育てを終えた親がかかるとされている、心の病気だ。それは真剣に子育てに向き合った親の証明であり、悪い傾向ではない。病気であるならば、まず先に治療をして、それから原因に向き合う必要がある。命の危険があるならば、その危険に応じて治療が先へ先へと引き伸ばされなければならない。
しかし、今、空の巣症候群にかかっているのは、人間ではなくれっきとした神である。対人間用の治療はできないだろう。もちろん、そういった前例もレッテンスパイン内の神話には残されていないし、たとえ前例があったとしても、文化や植生の違いによって、再現できない。そこで私は悩んでいた。放置すれば、確実に人類が滅ぼされるから。こういった神は、適度に信仰されているくらいでいい。なにも、この星の中の人類全てに信仰されなければならないわけではない。ある程度でいい。成長して、自然に信仰を離れていくような人材に……
思い当たる解決法はすでに、この日記の中に書かれているはずだ。私はその頁を開いて、そこに書かれた解決法……『孤児院の人手募集』の広告を探しだし、ナヤリフスに手渡した。
少し驚いたように、すっとんきょうな声を出したナヤリフスは、それを機にぽつり、ぽつりと話し始める。
「お前だって知っているだろう? 私は愛おしくなった子どもに、手を出してしまう。三つの欲を満たしてやれば、永遠にそばにいてくれると思っていたから。それは人間の社会からすれば、異常な思いであると知った、私に……それでも私にまた、人間の子どもを育てさせるつもりか?」
「いいえ、あなただからこそ、これが適任であると思うのです」
この孤児院はとにかく貧乏で、経営がなかなか成り立たない。そこで、無尽蔵の金をどこからか調達できるナヤリフスに任せたいのだ。正直、この邪神を孤児院に押し付けるには不安がありすぎる。しかし、このまま空虚な気分に浸らせるわけにもいかない。邪神は邪神だから、なにをしでかすかわからないし。このまま放置した場合、最悪人類が滅ぶ可能性があるし……だから私は、孤児院を紹介して、少しでも気分を和らげてほしいと思って、広告を渡したのだ。
現在のレッテンスパインは、人口増加に伴う治安の悪化が激しく、捨て子や売られ子も横行している。色々と悪い面が増加傾向にある現状の政治では、ナヤリフスのように、献身的に子どもの世話を自分からするような者は珍しい。そしてこれは私の過信だろうが……多くの子どもに囲まれている状況であるならば、ナヤリフスは子どもに手を出せないと思っている。
一応ではあるが、彼に質問をした。
「ところでどうして、あなたは子どもの世話をするのですか?」
「人類が好きだから。苦しむ声も、悩む声も、全ての感情が愛おしい。人間を奈落に突き落とすような行為もするが、人類を滅ぼそうとは思っていないさ。それに、子どもが育たない環境に、産めない環境では人類は滅ぶしかないだろう? 人ひとりが滅ぶ分には別に構わないが」
ほどほどにしておいてほしい。
と言った後、ナヤリフスは広告を頼りにして、外へ向かっていった。私の思惑通り、彼が孤児院へ出向くとは思わなかった。だが、私の心の中では解放された長調の音楽が鳴り響いていた。
RS.XXX743年 4月22日 晴 星の声は静か
あれから、しばらくが経った。
風のうわさや、フィスタフィラの情報から彼の噂をよく拾う。私の考え通り、ナヤリフスは孤児院の守り神として、子どもをしっかり育て上げている。次から次へと入ってくる子どもに、いつも驚きながらも、愛情を以って接している、とも。性的な行為も全く押し付けなくなって、全てがうまく回っているなあ、と思っていた。
しかし、事件は色々と起こっている。例えば、麻薬密売組織が急に潰れたり、爆発物の流通経路が無くなったり、児童労働を行わせる団体の人間が次々と失踪したり、とにかく子どもが被害者になるような組織が、潰された。ただの偶然と言ってもいいだろうが、私にはどうも、ナヤリフスがうっぷんを晴らすために潰しているように思えている。それが人類のためになっていると考えれば、それはそれでありかもしれないが。
それと私自身は、プリエステ群地に引っ越した。そこの教育機関に願書を出した結果、書類のみで合格してしまって、しかも特待生までつけてくれた。特待生までなったのならば、通わなければ学生として恥である。どうも、引率者が色々話をつけていてくれたらしい。まずは、『彼女』にお礼を言わなければならないだろう。
親族にも話をつけた。これからはプリエステ群地の寮で暮らすから、仕送りはいらない、と。するとやはり、どうしても私に仕送りをしたい親族が湧いて出てくる。好意はありがたく受け取っておくが、私以外にも支援すべき子どもはいるだろう、とそっと諭した。
海の風に煽られて、道案内の引率者を待っていたところ。
「お待たせ」
私はずっと、思い違いをしていた気がした。というのも、これまでずっと引率者を『女性』であると思っていたから。通話越しに聞こえるその声、口調、全てが女性のそれであったのに、今歩いて、私に近づいてくる人間は、男性であったから。
「驚かせてしまったか? それはすまない。これまでずっと、女性として育てられてきたから……古いしきたりでな……」
そう言ってはにかむ彼からは、二枚貝の貝がらが揃ったような安心感をかもし出していた。私もどこか、心の底に高揚感がある。それはまるで、永い時を経て再会した恋人のような、魂に焼き付けるような約束をした関係のような、そういったかけがえのない存在である証明であった。
私は耐えきれなくなって、彼の手を握った。衝動に駆られてしまって。突然であるにもかかわらず、彼は受け入れて握り返してくれた。その時、『輪廻転生』が本当であると実感したのだ。だって、私たちは……
RS.XXX748年 2月10日 晴 星の声は静か
あれから、もうしばらくが経った。
かつて一緒に神話や民話を追いかけた引率者と、私は結婚している。そして、私の中には新たな命が宿っていた。たとえ巨大な人工子宮で人口が生産される世界でも、人間が人間を育てない社会は死を迎えるだけだから。もちろん、私だって無事ではない。出産は常に命の危険を伴う。命の危険を伴うならば、それは重大な作業である。
あの時山で拾った瓶……の中身の証言は、私たちの仮説の正しさを表していた。現在、かつてのマイトの妹は人形に乗り移って、世界中に仮説を広げてくれている。彼女は時折、公衆電話などを使って土産話を持ち込んでくるが、身重になって動けない私にはちょうどいい楽しみであった。
ところで、私の妊娠に関して過剰に口を出してきそうな神格がいる。先制しておけば何も言われないだろうと考えたので、そうした。やはりというか、帰ってきた言葉は、祝福。
「おめでとう。もしよかったら、その子を抱かせてほしい」
「落ちている鳥の子を拾い上げるような行為はやめてくださいね? それで私より、あなたになつかれたら親として溜まったもんじゃないですが」
「まあ心配にもなるだろうな。ただ、抱き上げるだけでなつかれるようだったら、私が責任を持って育ててやろう」
そう言うと、ナヤリフスはくすくすと笑った。電話口からも、そして彼の後ろからも笑い声が途切れない。後ろから聞こえる声は全て、体格の小さそうな声だから、おそらく子どもの声だ。どちらもとても楽しそうで、幸せそうだった。……だけなら、よかったが。ナヤリフスはとんでもない爆弾を投げつけていったから。
「今の時代では能力の適性がなくとも、それなりの職に就けて、それなりの生活ができるが、私はそれがもったいなく感じてな。地表の花にばかり気を取られて、地面の底にある美しい音には関心も向けないとは……」
「何の話ですか?」
「お前の能力の話だよ。『これまで探されなかった白骨死体が掘り出され』『仮説通りの少女がそばに眠っていた』、都合がいいとは思わないか? 幸いというか、かなり昔の話だったからうまく行っただろうし、お前の肉体にも損傷はない。これが近現代などの、最近の話だったら、お前は間違いなく死んでいただろうな。人を殺した罪のおかげで、輪廻転生までの時間稼ぎはできただろうし」
「え……?」
つまりナヤリフスは、私の前世があの『カルライン=マイト』だと考えている。そして、彼の言葉をそのまま汲み取るならば、『無事に調査が終わってよかったね』という祝いと、煽りを兼ねているはずだ。私は同棲していたからわかる。彼が素直に祝福だけ残すわけがないからだ━━彼にとっても、私には思うところがあったらしく、そっと忠告はしてくれた。
「これはお前を愛しているから、言える。『今後、歴史の研究には手を出すな』と。お前は気づいていないようだが、地層を逆さまにするような能力を持っている。直接言うならばそれは『改竄』能力だ。改竄する年代が古くなればなるほど容易に、人ひとりの命でさえ再現できてしまうだろう。より古くなれば、超巨大大陸や今よりも進んだ文明なども作り出せてしまう。人類の遺伝子が変わってしまう可能性だってある。私は今の人類が好きだし、愛しているからな。お前が、変な気を起こさないように祈るよ」
電話はそこで途切れた。
実際はラヴァラサ村は存在しないかもしれない。しかし事実は残っている。私が調査する以前から、カルライン=マイトの手記はあったし、ラヴァラサ村の神話の全てだって存在しているから。証拠ならいくらだってある。
ただ、話を聞く限りだとどうも、私の能力は歴史研究に不向きであるようだ。史料が勝手に改竄されていたら、誰だって混乱するだろう。私だってそうだ。ただ、すでに出版され、印税ももらって、各地に広まりつつある話を取り消せたりはしない。今起こっている事象に関しては、私は操作できないから。でも、これから先参加しないようにはできる。
私は産後、プリエステ群地のどこかで時給労働でもして、間食代を少しずつ稼いでいこう、そう決めた。
おしまい。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる