仁川路朱鳥詩集

高3前半

猟奇的創世

Ⅰ
幼い頃から鼻水混じりの
血を浴槽に入れていた僕は
念願の一人暮らしを始めた

やはり試したかった
鼻血は生物のように動く
続けたら小王国が出来るのか
やはり試したかった

僕はアパートの浴槽を
実験のためだけに使った
入浴は銭湯で済ませた

金は鉄分補給で消えた
けれどそのくらいでよかった
献血もしない僕が
持っていても仕方がなかった

その生活を続けていくうち
浴槽から血管が生えてきたので
切って自慰を始めてみた

突っかかるこりこりとした
これは静脈弁だろうか
静脈があるなら動脈もある
小王国の心臓はどこだ？

ひとつ明らかに脈打つそれを刺す
僕の心臓だったのだ！

それから
アパート全体に血管が生えたので
誰も来なくなってしまったらしい

どうでもいい
この小王国が王国になるまで
血管と僕は一緒になるんだ
この前可愛い子供も生まれたし

今度親に見せてあげよう

Ⅱ
病床に伏せた僕の前に死神が現れた
看護婦に悪戯するしかないような暇の中で
僕は死神が女に見えた
だから尻を追っかけまわした

やはり女だったらなんでもいいんだな
この前の血管だってきっと女の子だったんだ
可愛い子供も生まれたし
ちょっと骨っぽくて固いけど可愛いし

今度親に見せてあげよう