仁川路朱鳥詩集

高3後半

知らぬ子

目にも口にもしない時間
その子は育って大きくなった
綺麗な顔と大きな体
周りの子が嫉妬するほどに

一つ聞いてください
その子は穀潰しですよ
我が家の財政を基盤を圧迫して
他を追いやり押し出していくのに
それでもまだ求めるものがある

今更何をと思いもし
今更愛をと思いもし
認知できたなら変わったか
けれど
お前胎内から出てないだろ
体の調子が悪くてX線かけて
ようやくお前を知ったんだよ
知らない間にこんなに育ちやがって
知らない間に綺麗に育ちやがって

認知したかわいい穀潰しも
追いやられて家出しそうだ
その前に戸籍から抜かねば
作った覚えのない子供がいる
母親失格か
それとも誰にでもあることか

ところでこの穀潰しが
戸籍から引き抜かれるとき
笑顔も見せられなかったなと
後悔した私は
母親失格か
それとも誰にでもあることか

穀潰しは三つに分けられて
どこかの家に行くのだろう
いつか 私だった穀潰しと
どこかで出会うだろうか