仁川路朱鳥詩集

仁川路朱鳥

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中学時代

解けない方程式

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ものを作る際はその性質を決める。
例えば、人間を作る際だ。
肉体の形状、肉体の成長過程、遺伝子の状態、精神の成長過程、基本的なプログラム、意識する過程、持ちうる疫病、男か女か、無意識に行うプログラム・・・
男か女かは、0と1などの、何方かにしかならない乱数を引っ張り出せばいい。
その他諸々も、人間という生物の範囲内に自動的になる乱数をぶち込めばいい。
46個の染色体に巻かれ圧縮された、約190cm、合計すれば約8740cmに達するDNAを参照しながら、乱数を決める。
参照したのでRNAだ。
それが成人する頃にはだいたい60兆もの細胞ができる。DNAの長さに変換すれば5.244e+17ぐらいの長さ。
それに先程までの乱数を参照すれば、個体差ができる。
持ちつ持たれつって感じ。
しかし、基本的なプログラム。
これだけは、乱数には任せてられない。
他の個体の使い回し。わかりやすく言い換えてしまえば、これに尽きる。
これを乱数に任せてしまっていたら、どうなっていただろうか?


君には、想像がつかないようだね。
なら、教えるよ。


これを乱数に任せると、まだマシな時は植物状態で済むが、
ひどい時には受精した瞬間に死ぬような胎児が出来上がってしまう。自己免疫疾患とも言えるし、胎盤を形成させられずに死んだとも言える。剥離してしまえばおしまいなのだ、彼らは。
それじゃ淘汰されすぎだ。
まぁ、大抵の人は、上手い具合にやってくれてるけれど。

無機物も、人間を作る時と同じようにする。
しかし、相違点がある。
人間の肉体や精神、別々に変数が割り振られている。
対して無機物は、基本的な性質しかない。それも定数だ。
それが故に、無機物は有機物と違って、誤差やバグが生じることは絶対にない。
何故定数しかないか?それは自律運動の必要が無いからだ。分子、原子としての動きだとしても、それは基本的性質のままでいい。

有機物は、結局は無機物の集まりだ。バナナも石も、人間もネコも、脳神経も神も、遺伝子も無機物の集まりだ。そこに何の違いがあるのだろうか?
同一の原子が集まるだけならまだいい。彼らは性質の定数が同じだからだ。しかし異なる原子、特に炭素と酸素と水素の集まりでは変数を宿すことになるのは何故であろうか?
基本的に、燃えるもの、つまりは有機物の性質は「燃やすと水になる」ことであり。
水が生成されるということが、何か変数と関係が?ここでは水の性質を考えるとしよう。

水、ひいては液体を意味するが、液体は自身の形が定まることはない。虚無のコップの中に入った水は一見形が定まったように見えるが、傾ければまた不定形になる。
すべて生物は、水を摂取しなければ生きることができない。それは水の星に生まれたからというばかりではない。この世界に生まれた生物全体が、水を摂取しなければ形を保てないようになっているのだ。タンパク質は不定形かつ、熱すれば定形になる。定形になればすなわち死だ。人間にとっても、流動を止めるのは死だ。
人間は液体でできている。血液もそうなのだが、細胞もそうで、もっと言えば精神ですら固形ではない。泥を想像すればいいだろう。不確定性は定義という枠で区切られ、その中にいることを強いられる。「わたし」が「わたしでない」のを、「わたし」は想像ができないから。
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