仁川路朱鳥詩集

社会人(成人前)

神へ至るための前戯

抱けないなんて
こんなにも愛おしいのに
柔らかなあなたを阻害して
全てを断ち切りたいのに

絹に触れては立ち止まり
指を焦らしては
また焦らす
繰り返すたびに
これが人生だと考える

これが世界である
これが人間である

人間の本能に従ってふたり
動物になっている間だけが本物
神へ至るための扉が開く
理性とは絶対神ではなく
暗がりの灯でしかない

交差させる
存在の勾配
触れ合い混じり合い焦らし合い
すべてが一つになる

宇宙は我が手に
世界は我が手に
柔らかさを補い強さを与えた
完全性への憧れもいつかは覚める
だってここにいるではないか
男と女の万能章
六芒星は上と下の三角形が
合体している
そこに性魔術を見ることができる
見出せるのだ

私の言うことが正しいならば
宇宙は六芒星で
私の言うことが間違いならば
宇宙は五芒星だ