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殿下の実力……気遣い?
昨日は徹夜で勉強をした。殿下に言われた通りに。
いつも寝ている時間に部屋の明かりが漏れていたことを不審に思ったお母様が部屋を覗き、私が机に向かってひたすら勉強していると心配された。
お父様とお兄様までもがオロオロするのは面白い。リザから夕方の出来事を聞かされた三人の目に殺意が宿っていた。
迎えに来てくれたギルと登校し、ギリギリまで復習をしてテストに望む。
眠いけど殿下の言葉を思い出すだけで目が冴えた。
小テストは一限目に行われ、二限目からは通常授業。
昼休みには結果が貼り出される。
結果はとても満足のいくもの。
「アン様とギルは満点か。普通にすごいな」
「私は徹夜で勉強しただけよ」
「俺はアンの婚約者として恥じないように頑張っただけだ」
「ふーん?」
タナールがニヤニヤしてる。ギルは赤くなりながらタナールの足を蹴った。力いっぱい。
手加減をしているとはいえ、いい音だった。
「タナールとエアルだって、十位以内には入ってるじゃない」
「ギリギリ五位には入れないのが悔しいの。上位の壁は厚いのに、常に首位をキープするアンは尊敬するわ」
「ほら。一応、殿下と婚約中だったから。粗末な成績じゃいられないでしょ?」
殿下の成績に興味を持ったことはないけど。
勉強を教えて欲しいと頼まれれば、私だって教えてあげた。女の私に教えを乞うのはプライドが許さなかったのか、ギルとタナールが被害を受けて……忍耐強く教えていた。
肝心の殿下は……いた。固まってる。
順位は一~十。十一~二十といったようにそれぞれの場所に名前と点数が記される。
殿下の立っている場所は真ん中順位ではない。
「最下位だったらしいですよ。しかも、点数が載ってなかったので赤点以下」
王族にあるまじき失態。採点する先生もさぞ困ったことでしょう。
点数の改ざんなんて絶対にしてはならない愚行。かと言って点数を記せば殿下のプライドを傷付つる。
赤点以下の点数を載せないのは殿下のため。これまでの学園の歴史上、そんな酷い点数を取る生徒は一人もいなかった。殿下の頭の悪さが学園に新しい規則を作ったのだ。
クラッサム嬢は殿下より一つ上の順位。元平民にさえ負けるなんて。
これまでの点数は実力で取ったつもりでいた殿下は現実を受け入れられていない。
返ってきた答案を他の人と比べたら、しっかり現実と向き合うかしら?
聞けば、ギルとタナールの代わりに新たに側近候補が付いた。
ただ、彼らは優秀だから選ばれたわけではなく、王族との繋がりが欲しいだけの下級貴族。自身の成績も下から数えたほうが早いため、人に勉強を教え、ましてや理解させるなんて不可能。
殿下が最下位であることは驚くことでもないらしく、周りの反応は薄い。
むしろ、今まで私の婚約者でいられたことを不思議がられる。
「アンリース様は殿下となぜご婚約されていたのですか?」
少し大きな声でアーシャさんは私に聞いた。
「陛下からの王命ですわ。殿下を支えて欲しいと」
一切の恋心はなく、王命であった答えた。十年という長い月日の中で想いを寄せたことは一度もない。
すぐに納得してくれたようで、みんなも心のどこかでは、そうでないかと思っていたらしい。
面と向かって確認する勇気はなかったみたいね。
もし仮に、万が一にでも好意があったら失礼に値するから。
公爵令嬢という身分がみんなに気を遣わせてしまっていた。
普段ならこの辺で割り込んでくるのに、私に構う余裕さえ殿下にはないようだ。
これからずっと、こんな調子ならいいんだけど。
「まぁ!セリアってば、すっごく優しいのね。他の生徒のために敢えてビリになってあげるなんて」
「あ……あぁ!そうだよ。デイジーはまだ不慣れだろうと思って、わざと間違いの答えを書いたんだ。嬉しいよ。デイジーだけが僕のことをわかってくれて」
「当然よ。だって私達は運命の赤い糸で結ばれているんだもん」
安っぽい茶番劇は見る価値がないと判断し、各々昼食を食べるため食堂や中庭に移動する。
唯一、側近候補だけはおだてることを忘れない。
王太子でなくても王族であることに変わりはないから、ご機嫌取りをしておきたいのか。
真面目なリカルド殿下では簡単に甘い汁は吸えないけど、殿下なら適当にチヤホヤしておけばいい。
最近ではクラッサム嬢とお似合いだと言っておけば金銭的援助はしてくれる。国のお金に勝手に手をつけて、ただで済むわけないのに。
リカルド殿下はギルやタナールを側近として迎えたかったんだけど、私がいないからと断ってしまった。同年代にも優秀な人材はいるからと、リストアップはしてあげたみたい。
婚約者っぽくギルと二人で食べようと誘うと、全力でタナールとエアルに同席をお願いしていた。
二人の時間を大切にするのが婚約者の務めだと思っていたけど違うのかな?
今までが特別な環境だったため正解がわからない。
食堂とは別にご飯を食べるためだけの教室があり、今日はそこを使わせてもらう。
テーブルは円卓だからそれぞれの顔を見やすい。
「で、どう思う?」
話題は一択。殿下の順位。
クラッサム嬢のためだと言っていたけど本当かどうか。
もし本当だとしたら殿下はクラッサム嬢だけを思いやれる紳士。
「バカなだけでしょ」
エアルが切り捨てた。
期待を裏切らなかった殿下は素晴らしい。拍手を送りたいぐらいだ。
自意識過剰。自信家。愚か者。
どんな言葉でもピッタリ当てはまる。
本気で他の生徒のことを思うなら、今までも最下位でなくてはおかしい。
ちゃっかり見下されない順位を取っておいて、誰かのためだなんて恩着せがましい言い方。
引っかかるのはクラッサム嬢なのよね。あんなに殿下と一緒にいて、あの頭の悪さを魅力の一つとして見ている。
お母様の調べでも計算高いって感じはなく、波長が合うのかもしれない。
──似た者同士だしね。
「それより。アン様は大丈夫なんですか?殿下にまだ付きまとわれているみたいですけど」
「昨日は家に押しかけられて困ってたんだけど、お父様が追い返してくれたの」
「さ、流石は公爵様」
「あの人に怖いものはないからな」
「そうでもないわよ」
誰にでも臆することのないお父様も、この世に二人だけ頭が上がらない人がいる。
お母様のお父様とお母様でもあるエヴァンス侯爵夫妻。私の祖父祖母に当たるお二人。
好きな人の親には緊張してしまうものらしく、何度も顔を会わせていたのに婚約を申し込みに行ったときはかなり緊張していたらしい。
そのときのお父様はとても可愛かったと、お母様が語ってくれた。
幼馴染みや親友にも、お父様の恥ずかしい過去を話すつもりはない。
小テストのある日は午後の授業が一時間なくなり早く帰ることが出来る。
「お二人さんは放課後デートでもするのか」
「なっ……タナール!」
「あら、いいじゃない。今日もまた殿下に付きまとわれそうな予感がするの。私達のラブラブっぷりを見せつけてあげましょ」
「ラブラ……!?」
ギルが大袈裟に反応するものだから、慌てて付け足した。
「演技だからね!それに、殿下達みたいな過度なスキンシップもしないし」
「いや、うん。分かってる。その……アンの口からそんな言葉が出ると思ってなかったら動揺して」
「なんだ。そういうこと」
てっきり、演技でも私とそういうことをするのが嫌なんだと勘違いしてしまった。
ギルの厚意で始まった偽装婚約。嫌なことを無理強いしたくはない。
「ギルは私としたくないことってある?」
「ない。けど……」
「けど?」
「公爵に聞いてないのか?俺が許されているのは朝の登校だけだ」
何を思い出しているのか、ギルの表情が段々と暗くなる。口数も減って、最終的には目を伏せた。
これ以上は聞くのはやめてこう。
私のことでお父様と平和な話し合いが行われるはずがないのだから。
いつも寝ている時間に部屋の明かりが漏れていたことを不審に思ったお母様が部屋を覗き、私が机に向かってひたすら勉強していると心配された。
お父様とお兄様までもがオロオロするのは面白い。リザから夕方の出来事を聞かされた三人の目に殺意が宿っていた。
迎えに来てくれたギルと登校し、ギリギリまで復習をしてテストに望む。
眠いけど殿下の言葉を思い出すだけで目が冴えた。
小テストは一限目に行われ、二限目からは通常授業。
昼休みには結果が貼り出される。
結果はとても満足のいくもの。
「アン様とギルは満点か。普通にすごいな」
「私は徹夜で勉強しただけよ」
「俺はアンの婚約者として恥じないように頑張っただけだ」
「ふーん?」
タナールがニヤニヤしてる。ギルは赤くなりながらタナールの足を蹴った。力いっぱい。
手加減をしているとはいえ、いい音だった。
「タナールとエアルだって、十位以内には入ってるじゃない」
「ギリギリ五位には入れないのが悔しいの。上位の壁は厚いのに、常に首位をキープするアンは尊敬するわ」
「ほら。一応、殿下と婚約中だったから。粗末な成績じゃいられないでしょ?」
殿下の成績に興味を持ったことはないけど。
勉強を教えて欲しいと頼まれれば、私だって教えてあげた。女の私に教えを乞うのはプライドが許さなかったのか、ギルとタナールが被害を受けて……忍耐強く教えていた。
肝心の殿下は……いた。固まってる。
順位は一~十。十一~二十といったようにそれぞれの場所に名前と点数が記される。
殿下の立っている場所は真ん中順位ではない。
「最下位だったらしいですよ。しかも、点数が載ってなかったので赤点以下」
王族にあるまじき失態。採点する先生もさぞ困ったことでしょう。
点数の改ざんなんて絶対にしてはならない愚行。かと言って点数を記せば殿下のプライドを傷付つる。
赤点以下の点数を載せないのは殿下のため。これまでの学園の歴史上、そんな酷い点数を取る生徒は一人もいなかった。殿下の頭の悪さが学園に新しい規則を作ったのだ。
クラッサム嬢は殿下より一つ上の順位。元平民にさえ負けるなんて。
これまでの点数は実力で取ったつもりでいた殿下は現実を受け入れられていない。
返ってきた答案を他の人と比べたら、しっかり現実と向き合うかしら?
聞けば、ギルとタナールの代わりに新たに側近候補が付いた。
ただ、彼らは優秀だから選ばれたわけではなく、王族との繋がりが欲しいだけの下級貴族。自身の成績も下から数えたほうが早いため、人に勉強を教え、ましてや理解させるなんて不可能。
殿下が最下位であることは驚くことでもないらしく、周りの反応は薄い。
むしろ、今まで私の婚約者でいられたことを不思議がられる。
「アンリース様は殿下となぜご婚約されていたのですか?」
少し大きな声でアーシャさんは私に聞いた。
「陛下からの王命ですわ。殿下を支えて欲しいと」
一切の恋心はなく、王命であった答えた。十年という長い月日の中で想いを寄せたことは一度もない。
すぐに納得してくれたようで、みんなも心のどこかでは、そうでないかと思っていたらしい。
面と向かって確認する勇気はなかったみたいね。
もし仮に、万が一にでも好意があったら失礼に値するから。
公爵令嬢という身分がみんなに気を遣わせてしまっていた。
普段ならこの辺で割り込んでくるのに、私に構う余裕さえ殿下にはないようだ。
これからずっと、こんな調子ならいいんだけど。
「まぁ!セリアってば、すっごく優しいのね。他の生徒のために敢えてビリになってあげるなんて」
「あ……あぁ!そうだよ。デイジーはまだ不慣れだろうと思って、わざと間違いの答えを書いたんだ。嬉しいよ。デイジーだけが僕のことをわかってくれて」
「当然よ。だって私達は運命の赤い糸で結ばれているんだもん」
安っぽい茶番劇は見る価値がないと判断し、各々昼食を食べるため食堂や中庭に移動する。
唯一、側近候補だけはおだてることを忘れない。
王太子でなくても王族であることに変わりはないから、ご機嫌取りをしておきたいのか。
真面目なリカルド殿下では簡単に甘い汁は吸えないけど、殿下なら適当にチヤホヤしておけばいい。
最近ではクラッサム嬢とお似合いだと言っておけば金銭的援助はしてくれる。国のお金に勝手に手をつけて、ただで済むわけないのに。
リカルド殿下はギルやタナールを側近として迎えたかったんだけど、私がいないからと断ってしまった。同年代にも優秀な人材はいるからと、リストアップはしてあげたみたい。
婚約者っぽくギルと二人で食べようと誘うと、全力でタナールとエアルに同席をお願いしていた。
二人の時間を大切にするのが婚約者の務めだと思っていたけど違うのかな?
今までが特別な環境だったため正解がわからない。
食堂とは別にご飯を食べるためだけの教室があり、今日はそこを使わせてもらう。
テーブルは円卓だからそれぞれの顔を見やすい。
「で、どう思う?」
話題は一択。殿下の順位。
クラッサム嬢のためだと言っていたけど本当かどうか。
もし本当だとしたら殿下はクラッサム嬢だけを思いやれる紳士。
「バカなだけでしょ」
エアルが切り捨てた。
期待を裏切らなかった殿下は素晴らしい。拍手を送りたいぐらいだ。
自意識過剰。自信家。愚か者。
どんな言葉でもピッタリ当てはまる。
本気で他の生徒のことを思うなら、今までも最下位でなくてはおかしい。
ちゃっかり見下されない順位を取っておいて、誰かのためだなんて恩着せがましい言い方。
引っかかるのはクラッサム嬢なのよね。あんなに殿下と一緒にいて、あの頭の悪さを魅力の一つとして見ている。
お母様の調べでも計算高いって感じはなく、波長が合うのかもしれない。
──似た者同士だしね。
「それより。アン様は大丈夫なんですか?殿下にまだ付きまとわれているみたいですけど」
「昨日は家に押しかけられて困ってたんだけど、お父様が追い返してくれたの」
「さ、流石は公爵様」
「あの人に怖いものはないからな」
「そうでもないわよ」
誰にでも臆することのないお父様も、この世に二人だけ頭が上がらない人がいる。
お母様のお父様とお母様でもあるエヴァンス侯爵夫妻。私の祖父祖母に当たるお二人。
好きな人の親には緊張してしまうものらしく、何度も顔を会わせていたのに婚約を申し込みに行ったときはかなり緊張していたらしい。
そのときのお父様はとても可愛かったと、お母様が語ってくれた。
幼馴染みや親友にも、お父様の恥ずかしい過去を話すつもりはない。
小テストのある日は午後の授業が一時間なくなり早く帰ることが出来る。
「お二人さんは放課後デートでもするのか」
「なっ……タナール!」
「あら、いいじゃない。今日もまた殿下に付きまとわれそうな予感がするの。私達のラブラブっぷりを見せつけてあげましょ」
「ラブラ……!?」
ギルが大袈裟に反応するものだから、慌てて付け足した。
「演技だからね!それに、殿下達みたいな過度なスキンシップもしないし」
「いや、うん。分かってる。その……アンの口からそんな言葉が出ると思ってなかったら動揺して」
「なんだ。そういうこと」
てっきり、演技でも私とそういうことをするのが嫌なんだと勘違いしてしまった。
ギルの厚意で始まった偽装婚約。嫌なことを無理強いしたくはない。
「ギルは私としたくないことってある?」
「ない。けど……」
「けど?」
「公爵に聞いてないのか?俺が許されているのは朝の登校だけだ」
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