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一ヵ月後の話。間違っている【セリア】
王太子だけでなく、王族でもなくなった。
男爵家を継ぐこともなく、平民まで落とされた。
理由……原因は僕がアンリース……様に復縁を申し込んだから。
婚約者だったのに、身分が落とされたことにより今までと同じような呼び方はしてはならないと父上……陛下からキツく言われた。王族ではなくなった僕の家族は、結婚したデイジーとその母親のみ。
血の繋がった両親を、父とも母とも呼ぶことは許されなくなった。
──なぜ?どうして?
僕が王太子で在るために、次の王になるために、アンリース様が僕の側室になることは当然の義務のはずなのに。
貧乏男爵を継ぐよりも、領地の中で最も栄えたリードハルム領ならば今までと同じ生活が出来る。それに、僕はアンリース様の婚約者だった。領民からは歓迎され、領主の屋敷で暮らせると思っていた。
忘れもしない。初めて領地に来た日。
歓迎されないどころか、領民が僕を、僕達を見る目は鋭くて誰一人として声をかけてくる者はいなかった。
大人から子供まで。近付いて来ようとさえしない。
荷物と一緒に放り出された僕達に手を貸すこともなかった。
唯一、声をかけてきた男達は王族だった僕に、着いて来いと命令する始末。
案内されたのは明らかに領主の屋敷ではなく、何年も人の手が加わっていないボロ小屋。
雨風は凌げるものの、隙間風が部屋に吹き込むのは応える。
直すか新しい屋敷を用意しろと言っても、誰も聞く耳を持たない。
使用人一人もいないこんなボロ小屋では、自分のことは自分でするしかなく、まずは食べ物を買いに行かないと。
待てよ。案内した男達は小屋の外で待機している。そうか。彼らが使用人だったのか。
それにしては言葉が乱暴だったが、まぁいい。僕は寛大だから、一度目は許してあげよう。
「君達。すぐに食事を持ってくるんだ。僕達は長旅で疲れている。急いでくれ」
「お坊ちゃんさぁ。自分が人に命令出来る立場だと本気で思ってんのか?」
「僕は王族だぞ!!」
「元、王族だ。今はただの平民。お前が誰かに命令する権利なんて持ち合わせていないんだよ」
な、何なんだこの男は。無礼にも程がある!
言い返してやりたいが、そんなことをしてデイジーにもしものことがあったら大変だ。ここは僕が下手に出るしかない。
「言い方が気に触ったのなら謝るよ。すまない」
「立派な教育を受けたお坊ちゃんは、謝罪の仕方一つも知らないのか?」
「謝るときは、ごめんなさい、だろ?」
男達の圧は尋常じゃないぐらい強く、上から押し潰さそうになる。
王宮の騎士とは異なる異質さ。
「ご、ごめんなさい。僕の言い方が……悪かったです」
「わかりゃいいんだよ。お坊ちゃん」
「飯だっけ?じゃ、金を寄越しな」
「食事をするのにお金を取るのか!?」
「当然だろ。お前達はお客様なんかじゃねぇんだらからな」
陛下から最後の情けとしてお金は受け取った。これだけあれば半年は生きていけると言われて。
だが……。実際はどうだ。
領地に来て一ヵ月が経とうとしている。お金は底が尽きた。
食事にしかお金を使っていないのにだ。
「もう嫌!こんな生活!!ここは公爵領なんでしょ!?なのにどうして、平民以下の暮らしをしなくちゃいけないの!?」
「落ち着いてデイジー。外にいる彼らに聞こえてしまう」
男達はずっと外にいる。僕達を見張るように。
抗議してもいいのだけれど、万が一にでも僕が死んでしまったらデイジーが悲しむ。
こんなはずじゃなかったのに。平民になろうとも、ここでなら変わらない毎日が送れるはずだった。
でも、デイジーの言う通りだ。こんな生活、許されていいはずがない。
陛下に直接、抗議をしよう。不当な扱いを受けたと知れば、きっと力になってくれるはず。
王都には歩いてでも帰れる。途中で馬車に乗せてもらえば、時間も短くなる。
とにかく王都に帰らなければ。
夜、辺りが静かになった頃合を見計らって外に出た。
すると、お腹に強い衝撃が走った。
「お坊ちゃん。こんな夜更けにどこ行くつもりだ?」
殴られたのだ。この僕が。
胃の中に入っていた物が逆流する。最近ではあまり食べていないため、地面を汚すのはほとんどが唾液。そして涙。
初めて受ける痛みに涙が止まらない。強烈な痛みにうずくまって嘔吐いていると、前髪を引っ張られ無理やり顔を上げさせられた。
「まだわかってないようだから教えてやるが、お坊ちゃんがここに来たのは王命なんかじゃねぇ。お前らが公爵様を怒らせたからだ」
男の声も表情も、その全てで怒りを表している。
──怖い……。
どうして僕がこんな目に……。
僕とデイジーは真実の愛で結ばれていて。こんな理不尽な目に遭うなんて間違っている。
「監視役がマスターじゃないだけ感謝するんだな」
「マスター?」
「もしあの人がここにいたら、お前らなんかとっくに、首と体がさよならしてるとこだぜ」
嘘ではない。そのマスターと呼ばれる人は僕とデイジーのことを本当に……。
「逃げられるなんて思うな」
「お前達がここを出るのは公爵様が許可を出されたときだけだ。わかったら戻れ。それとも力ずくで戻されたいか?」
「も、戻ります!だからもう殴らないで!!」
こんなの間違っているのに、身分がないだけで泣き寝入りしなくてはならないなんて。
その日は痛みのせいで全く眠れなかった。
翌朝、男達にお金がないことを告げると盛大なため息をつかれた。
「金がないなら働く。平民の常識だろうが」
「僕は……!!」
「元王族だろ。今は平民なんだよ。自覚しろ」
与えられる側のこの僕に働けと?
か弱いデイジーに労働を強要するなんて。
本来なら男達のほうから、僕達のために働かせて欲しいと頭を下げるべきなんだ。
「別に。嫌なら勝手に餓死してろ。俺らの仕事はお前達が逃げ出さないように監視するだけで、死ぬのを止めるつもりはねぇよ」
礼儀を弁えないような無礼者に、この僕にこんな仕打ち。許されるわけもなければ、即刻死刑。
「セリア。私も働かなきゃいけないの?」
「昔も今も平民が何言ってやがる」
「私は王妃になるのよ!?」
「は?なれねぇよ。平民は絶対に」
「なれるもん!私はヒロインなんだから!!」
「この国で王妃になる資格があるのは、二大公爵家。ハリア侯爵家。フラスレイス侯爵家。そして。アン様の母親。公爵夫人のご実家でもあるエヴァンス侯爵家の五家のみ」
「つまりは。例えお前が本物の男爵令嬢だとしても王妃になれる確率はゼロだ」
「嘘。嘘よ!絶対!!」
「母上はどうなる!?」
「はぁーーー。元王族のくせに何も知らないとは。我々でさえ知っているというのに」
「空っぽの頭に叩き込んでおけ。王妃様は隣国から留学していたロッドジア公爵令嬢だ」
母上が隣国出身?
そんな話、聞いたことがないぞ。それに五家だけが王妃になれるなんて……。
どうして誰も僕には、そんな大事なことを教えてくれなかったんだ!!?
僕は第一王子で、王太子で。この国で一番偉くなる存在だったのに。
「そんなの作り話よ。だって私はみんなから愛されてる。私が王妃にならないと誰も納得しない。私が世界の中心なのよ」
「妄想は頭の中だけに留めておけ。それとお坊ちゃん。お前の母親は王妃様じゃなくて、借金返済のために娼婦として働くその女の母親だ。間違えるな」
僕はどこで何を間違えたのか。
デイジーと出会い、愛し合ったことは運命。
王になるためにアンリースとやり直そうとするのは当然。彼女が僕のことを受け入れるべきだったんだ。
何度も何度も、やり直してあげると僕から歩み寄ってあげたのに。
間違っているのは僕ではなく、アンリースじゃないか。
それなのに、僕達だけがこんな目に遭うなんて……間違ってる。
男爵家を継ぐこともなく、平民まで落とされた。
理由……原因は僕がアンリース……様に復縁を申し込んだから。
婚約者だったのに、身分が落とされたことにより今までと同じような呼び方はしてはならないと父上……陛下からキツく言われた。王族ではなくなった僕の家族は、結婚したデイジーとその母親のみ。
血の繋がった両親を、父とも母とも呼ぶことは許されなくなった。
──なぜ?どうして?
僕が王太子で在るために、次の王になるために、アンリース様が僕の側室になることは当然の義務のはずなのに。
貧乏男爵を継ぐよりも、領地の中で最も栄えたリードハルム領ならば今までと同じ生活が出来る。それに、僕はアンリース様の婚約者だった。領民からは歓迎され、領主の屋敷で暮らせると思っていた。
忘れもしない。初めて領地に来た日。
歓迎されないどころか、領民が僕を、僕達を見る目は鋭くて誰一人として声をかけてくる者はいなかった。
大人から子供まで。近付いて来ようとさえしない。
荷物と一緒に放り出された僕達に手を貸すこともなかった。
唯一、声をかけてきた男達は王族だった僕に、着いて来いと命令する始末。
案内されたのは明らかに領主の屋敷ではなく、何年も人の手が加わっていないボロ小屋。
雨風は凌げるものの、隙間風が部屋に吹き込むのは応える。
直すか新しい屋敷を用意しろと言っても、誰も聞く耳を持たない。
使用人一人もいないこんなボロ小屋では、自分のことは自分でするしかなく、まずは食べ物を買いに行かないと。
待てよ。案内した男達は小屋の外で待機している。そうか。彼らが使用人だったのか。
それにしては言葉が乱暴だったが、まぁいい。僕は寛大だから、一度目は許してあげよう。
「君達。すぐに食事を持ってくるんだ。僕達は長旅で疲れている。急いでくれ」
「お坊ちゃんさぁ。自分が人に命令出来る立場だと本気で思ってんのか?」
「僕は王族だぞ!!」
「元、王族だ。今はただの平民。お前が誰かに命令する権利なんて持ち合わせていないんだよ」
な、何なんだこの男は。無礼にも程がある!
言い返してやりたいが、そんなことをしてデイジーにもしものことがあったら大変だ。ここは僕が下手に出るしかない。
「言い方が気に触ったのなら謝るよ。すまない」
「立派な教育を受けたお坊ちゃんは、謝罪の仕方一つも知らないのか?」
「謝るときは、ごめんなさい、だろ?」
男達の圧は尋常じゃないぐらい強く、上から押し潰さそうになる。
王宮の騎士とは異なる異質さ。
「ご、ごめんなさい。僕の言い方が……悪かったです」
「わかりゃいいんだよ。お坊ちゃん」
「飯だっけ?じゃ、金を寄越しな」
「食事をするのにお金を取るのか!?」
「当然だろ。お前達はお客様なんかじゃねぇんだらからな」
陛下から最後の情けとしてお金は受け取った。これだけあれば半年は生きていけると言われて。
だが……。実際はどうだ。
領地に来て一ヵ月が経とうとしている。お金は底が尽きた。
食事にしかお金を使っていないのにだ。
「もう嫌!こんな生活!!ここは公爵領なんでしょ!?なのにどうして、平民以下の暮らしをしなくちゃいけないの!?」
「落ち着いてデイジー。外にいる彼らに聞こえてしまう」
男達はずっと外にいる。僕達を見張るように。
抗議してもいいのだけれど、万が一にでも僕が死んでしまったらデイジーが悲しむ。
こんなはずじゃなかったのに。平民になろうとも、ここでなら変わらない毎日が送れるはずだった。
でも、デイジーの言う通りだ。こんな生活、許されていいはずがない。
陛下に直接、抗議をしよう。不当な扱いを受けたと知れば、きっと力になってくれるはず。
王都には歩いてでも帰れる。途中で馬車に乗せてもらえば、時間も短くなる。
とにかく王都に帰らなければ。
夜、辺りが静かになった頃合を見計らって外に出た。
すると、お腹に強い衝撃が走った。
「お坊ちゃん。こんな夜更けにどこ行くつもりだ?」
殴られたのだ。この僕が。
胃の中に入っていた物が逆流する。最近ではあまり食べていないため、地面を汚すのはほとんどが唾液。そして涙。
初めて受ける痛みに涙が止まらない。強烈な痛みにうずくまって嘔吐いていると、前髪を引っ張られ無理やり顔を上げさせられた。
「まだわかってないようだから教えてやるが、お坊ちゃんがここに来たのは王命なんかじゃねぇ。お前らが公爵様を怒らせたからだ」
男の声も表情も、その全てで怒りを表している。
──怖い……。
どうして僕がこんな目に……。
僕とデイジーは真実の愛で結ばれていて。こんな理不尽な目に遭うなんて間違っている。
「監視役がマスターじゃないだけ感謝するんだな」
「マスター?」
「もしあの人がここにいたら、お前らなんかとっくに、首と体がさよならしてるとこだぜ」
嘘ではない。そのマスターと呼ばれる人は僕とデイジーのことを本当に……。
「逃げられるなんて思うな」
「お前達がここを出るのは公爵様が許可を出されたときだけだ。わかったら戻れ。それとも力ずくで戻されたいか?」
「も、戻ります!だからもう殴らないで!!」
こんなの間違っているのに、身分がないだけで泣き寝入りしなくてはならないなんて。
その日は痛みのせいで全く眠れなかった。
翌朝、男達にお金がないことを告げると盛大なため息をつかれた。
「金がないなら働く。平民の常識だろうが」
「僕は……!!」
「元王族だろ。今は平民なんだよ。自覚しろ」
与えられる側のこの僕に働けと?
か弱いデイジーに労働を強要するなんて。
本来なら男達のほうから、僕達のために働かせて欲しいと頭を下げるべきなんだ。
「別に。嫌なら勝手に餓死してろ。俺らの仕事はお前達が逃げ出さないように監視するだけで、死ぬのを止めるつもりはねぇよ」
礼儀を弁えないような無礼者に、この僕にこんな仕打ち。許されるわけもなければ、即刻死刑。
「セリア。私も働かなきゃいけないの?」
「昔も今も平民が何言ってやがる」
「私は王妃になるのよ!?」
「は?なれねぇよ。平民は絶対に」
「なれるもん!私はヒロインなんだから!!」
「この国で王妃になる資格があるのは、二大公爵家。ハリア侯爵家。フラスレイス侯爵家。そして。アン様の母親。公爵夫人のご実家でもあるエヴァンス侯爵家の五家のみ」
「つまりは。例えお前が本物の男爵令嬢だとしても王妃になれる確率はゼロだ」
「嘘。嘘よ!絶対!!」
「母上はどうなる!?」
「はぁーーー。元王族のくせに何も知らないとは。我々でさえ知っているというのに」
「空っぽの頭に叩き込んでおけ。王妃様は隣国から留学していたロッドジア公爵令嬢だ」
母上が隣国出身?
そんな話、聞いたことがないぞ。それに五家だけが王妃になれるなんて……。
どうして誰も僕には、そんな大事なことを教えてくれなかったんだ!!?
僕は第一王子で、王太子で。この国で一番偉くなる存在だったのに。
「そんなの作り話よ。だって私はみんなから愛されてる。私が王妃にならないと誰も納得しない。私が世界の中心なのよ」
「妄想は頭の中だけに留めておけ。それとお坊ちゃん。お前の母親は王妃様じゃなくて、借金返済のために娼婦として働くその女の母親だ。間違えるな」
僕はどこで何を間違えたのか。
デイジーと出会い、愛し合ったことは運命。
王になるためにアンリースとやり直そうとするのは当然。彼女が僕のことを受け入れるべきだったんだ。
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それなのに、僕達だけがこんな目に遭うなんて……間違ってる。
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