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罪を裁く者と裁かれる者達の場合
2【リヒト】
「僕が愛しているのはスカーレットだけだ」
その言葉を口にした瞬間、僕の心は虚しさで満たされた。スカーレットはもうここにはいない。伝えたい想いは胸に閉じ込められ、彼女に届くことはなかった。
惹かれていたのに。想いを伝えるチャンスだって、いくらでもあった。
それを僕は、臆病風に吹かれて逃げた。また明日も会えるなんて、不確かな未来を信じて。
──でも……明日なんてなかった。
僕は自分の弱さを呪い、後悔に押し潰されそうになった。こんなにも大切な人を目の前にして、なぜ言葉にしなかったのか。
想いは伝わらなければ意味がない。蓋をしてしまったら、それはもう好きじゃないのと同じ。
「違う違う違う!!王子様は私を愛しているの!!ルビア様がそう言ったんだから!!あんな醜く汚い赤毛なんかに、想いを寄せるはずがない!!」
夢と現実の境界が崩れた若いメイドの瞳には、狂気にも似た確信が宿っている。
僕はもう何の感情も湧かず、哀れみすら感じられなかった。
「私は可愛いの!!王子様に相応しいのは私だけ!!ルビア様は私の恋を応援してくれてるのよ!!」
ルビア……平民の娘が言ったから?
ハッ。その娘は神か何かなのか?口にしたことが現実になるなんて、そんなバカな話があるはずもない。
僕の顔を知らなかったくせに、よくもまぁ運命を語れるものだ。
そもそも。王族と平民が結婚出来るはずがない。愛があろうと乗り越えられない障害は必ず出てくる。
──そんな常識、子供だって知っていることなのに。
自然とため息をついた。これ以上の発言は頭痛の種。黙らせるためにフエルテに視線を送ろうとした次の瞬間。
「ルビア様の婚約者を脅して、肉体関係を強要した穢らわしい売女のくせに!!私の王子様に色目使うなんて何様のつもり!!?」
時間が止まったように感じた。
フエルテも踏み出すために上げた足が固まっている。
これまで押し殺していた感情が、胸の中で爆発しそうだった。
「おい。今、何と言った……?」
目を逸らし、無言でフエルテが数歩下がる姿を見て、僕の怒りは頂点に達したと確信した。
妄言を喚き散らすばかりの若いメイドに剣を向けては
「スカーレットが、何だって?」
冷静を保とうとすればするほど、感情は激しく揺れ動く。
「あの赤毛!!ルビア様を殺すと脅して、リックフォード様に抱かれたのよ!!」
落ち着け。流されてはいけない。大きく深呼吸をして乱れた心を整えた。
「ああ、なんて穢らわしいのかしら!!」
僕の知るスカーレットと、連中の知るスカーレットは同一人物ではないのだろうか?
誰に対しても優しく思いやりの心を持った彼女が、「殺す」なんて口にするはずがない。ましてや病弱な妹を脅迫材料に使うなんて。
「証拠はあるのか?」
「リックフォード様がそう言ったの!赤毛に脅されて仕方なくって。醜いくせにお二人の愛を引き裂こうとするなんて……!!」
はは……何を言っているのか。
片方の証言だけで罪が決まるなら、法なんて必要ない。
ましてや、脅した証拠もないときた。
恐怖に飲まれていた侍女も同調するように口を開く。
「優しいルビア様があの赤毛を許してあげたから、伯爵家から追い出されずに済んだというのに……!!感謝をするどころか、いつだってルビア様を妬むばかり!!」
泣きたいほどに胸が締め付けられた。もしも、二人の言っていることが事実だとすれば、それは……。
──スカーレットはリックフォード・ヘルサンに……。
考えなくはないが、僕がどれだけ否定しても起きた事実は変わらない。
伯爵家という小さな檻に閉じ込められたスカーレットは、命だけではなく人間としての自由や尊敬さえ奪われ続けていた。
窓の外に広がる青空、鳥達の自由な飛翔、誰もが手に入れることができるはずの普通の生活。
それらはスカーレットにとって手の届かない夢。
特別を求めることなく、スカーレットはただ、人並みの幸せを望んでいただけ。
それはきっとちっぽけで、両手ですくって零れない程度で良かった。
あの日、僕がちゃんと想いを伝えていればスカーレットの運命を変えられただろうか。
「フエルテ」
愚かな僕は後悔するしかない。今もずっと、スカーレットの痛みに気付けなかった自分を責め続けている。
「何でしょう」
「コイツらは罪を自白した?」
「いいえ。まだです」
彼女は痛みや苦しみに耐え、助けを求めることすら出来ないでいた。
僕が気付くべきだったんだ。助けてと言えないスカーレットを、助けられるのは僕だけだったのに。
「そう……。じゃあ、何人か連れて行くよ」
言葉の意味を理解したフエルテは、他の牢獄から数人を連れて来た。
平民の侍女。平民の娘の侍女。メイド。料理長。
伯爵家の人物と屋敷をよく知る四人だ。
「ま、待って!私は!?王子様と結婚する私をここに残していくの!?」
「罪人なんかと結婚するはずないだろう」
「私は可愛いの!!王子様と結婚するのはこの私!!貴族のくせにみすぼらしい赤毛なんかと違うのよ!!!!」
声を荒げ、自らの価値を必死に主張した。彼女は自分の美しさこそが僕に相応しいと信じて疑わない。
見当違いな怒りと嫉妬に駆られるその姿は醜かった。
「そろそろ黙れ」
自慢の顔を数回、斬り付けた。深く、傷跡が残るように。
若いメイドは痛みと恐怖に震えながらも、言葉を失い、ようやく黙り込んだ。
膝が崩れて静かに涙を流し続ける。
拷問は引き続き隊員に任せるので、一瞬だろうと罪人を休ませるつもりはない。
「それでは、行こうか」
立場が逆転したように、今度は若いメイドが見下される。
ようやく釈放されたと勘違いしているようで、暗かった表情が明るさを取り戻す。
訂正するとまたうるさくなりそうなので、何も言わないことにした。
常識的に考えて、いきなり釈放なんてありえないのに。
彼らの罪は誰の目から見ても明らかであり、罪人である事実が消えることはない。
間違っても逃げられないように、折れた手を拘束しては、用意したおんぼろ馬車に押し込み、無人で静かなジュエール家へと出発した。
その言葉を口にした瞬間、僕の心は虚しさで満たされた。スカーレットはもうここにはいない。伝えたい想いは胸に閉じ込められ、彼女に届くことはなかった。
惹かれていたのに。想いを伝えるチャンスだって、いくらでもあった。
それを僕は、臆病風に吹かれて逃げた。また明日も会えるなんて、不確かな未来を信じて。
──でも……明日なんてなかった。
僕は自分の弱さを呪い、後悔に押し潰されそうになった。こんなにも大切な人を目の前にして、なぜ言葉にしなかったのか。
想いは伝わらなければ意味がない。蓋をしてしまったら、それはもう好きじゃないのと同じ。
「違う違う違う!!王子様は私を愛しているの!!ルビア様がそう言ったんだから!!あんな醜く汚い赤毛なんかに、想いを寄せるはずがない!!」
夢と現実の境界が崩れた若いメイドの瞳には、狂気にも似た確信が宿っている。
僕はもう何の感情も湧かず、哀れみすら感じられなかった。
「私は可愛いの!!王子様に相応しいのは私だけ!!ルビア様は私の恋を応援してくれてるのよ!!」
ルビア……平民の娘が言ったから?
ハッ。その娘は神か何かなのか?口にしたことが現実になるなんて、そんなバカな話があるはずもない。
僕の顔を知らなかったくせに、よくもまぁ運命を語れるものだ。
そもそも。王族と平民が結婚出来るはずがない。愛があろうと乗り越えられない障害は必ず出てくる。
──そんな常識、子供だって知っていることなのに。
自然とため息をついた。これ以上の発言は頭痛の種。黙らせるためにフエルテに視線を送ろうとした次の瞬間。
「ルビア様の婚約者を脅して、肉体関係を強要した穢らわしい売女のくせに!!私の王子様に色目使うなんて何様のつもり!!?」
時間が止まったように感じた。
フエルテも踏み出すために上げた足が固まっている。
これまで押し殺していた感情が、胸の中で爆発しそうだった。
「おい。今、何と言った……?」
目を逸らし、無言でフエルテが数歩下がる姿を見て、僕の怒りは頂点に達したと確信した。
妄言を喚き散らすばかりの若いメイドに剣を向けては
「スカーレットが、何だって?」
冷静を保とうとすればするほど、感情は激しく揺れ動く。
「あの赤毛!!ルビア様を殺すと脅して、リックフォード様に抱かれたのよ!!」
落ち着け。流されてはいけない。大きく深呼吸をして乱れた心を整えた。
「ああ、なんて穢らわしいのかしら!!」
僕の知るスカーレットと、連中の知るスカーレットは同一人物ではないのだろうか?
誰に対しても優しく思いやりの心を持った彼女が、「殺す」なんて口にするはずがない。ましてや病弱な妹を脅迫材料に使うなんて。
「証拠はあるのか?」
「リックフォード様がそう言ったの!赤毛に脅されて仕方なくって。醜いくせにお二人の愛を引き裂こうとするなんて……!!」
はは……何を言っているのか。
片方の証言だけで罪が決まるなら、法なんて必要ない。
ましてや、脅した証拠もないときた。
恐怖に飲まれていた侍女も同調するように口を開く。
「優しいルビア様があの赤毛を許してあげたから、伯爵家から追い出されずに済んだというのに……!!感謝をするどころか、いつだってルビア様を妬むばかり!!」
泣きたいほどに胸が締め付けられた。もしも、二人の言っていることが事実だとすれば、それは……。
──スカーレットはリックフォード・ヘルサンに……。
考えなくはないが、僕がどれだけ否定しても起きた事実は変わらない。
伯爵家という小さな檻に閉じ込められたスカーレットは、命だけではなく人間としての自由や尊敬さえ奪われ続けていた。
窓の外に広がる青空、鳥達の自由な飛翔、誰もが手に入れることができるはずの普通の生活。
それらはスカーレットにとって手の届かない夢。
特別を求めることなく、スカーレットはただ、人並みの幸せを望んでいただけ。
それはきっとちっぽけで、両手ですくって零れない程度で良かった。
あの日、僕がちゃんと想いを伝えていればスカーレットの運命を変えられただろうか。
「フエルテ」
愚かな僕は後悔するしかない。今もずっと、スカーレットの痛みに気付けなかった自分を責め続けている。
「何でしょう」
「コイツらは罪を自白した?」
「いいえ。まだです」
彼女は痛みや苦しみに耐え、助けを求めることすら出来ないでいた。
僕が気付くべきだったんだ。助けてと言えないスカーレットを、助けられるのは僕だけだったのに。
「そう……。じゃあ、何人か連れて行くよ」
言葉の意味を理解したフエルテは、他の牢獄から数人を連れて来た。
平民の侍女。平民の娘の侍女。メイド。料理長。
伯爵家の人物と屋敷をよく知る四人だ。
「ま、待って!私は!?王子様と結婚する私をここに残していくの!?」
「罪人なんかと結婚するはずないだろう」
「私は可愛いの!!王子様と結婚するのはこの私!!貴族のくせにみすぼらしい赤毛なんかと違うのよ!!!!」
声を荒げ、自らの価値を必死に主張した。彼女は自分の美しさこそが僕に相応しいと信じて疑わない。
見当違いな怒りと嫉妬に駆られるその姿は醜かった。
「そろそろ黙れ」
自慢の顔を数回、斬り付けた。深く、傷跡が残るように。
若いメイドは痛みと恐怖に震えながらも、言葉を失い、ようやく黙り込んだ。
膝が崩れて静かに涙を流し続ける。
拷問は引き続き隊員に任せるので、一瞬だろうと罪人を休ませるつもりはない。
「それでは、行こうか」
立場が逆転したように、今度は若いメイドが見下される。
ようやく釈放されたと勘違いしているようで、暗かった表情が明るさを取り戻す。
訂正するとまたうるさくなりそうなので、何も言わないことにした。
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