やり直しの街

ハナ

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リドゥシティ

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 机に頬杖を着きながら空を眺めると午前中まで晴れていた真っ青なキャンパスは灰色に染められていた。

「えっと…午後から台風の予定だから早めに電車に乗って帰るようにしてね!」

あー、そういえば今日台風が来るのか…。机の下でネットニュースを見るとどの記事も台風の話題で埋め尽くされていた。


台風か…。電車止まらなければいいけどなぁ、帰り遅くなるとお母さんに心配されるし。


「はい、じゃ日直さん、挨拶をして!」


「起立」という声と共に皆が立ち上がった。


「華枝、号令だよ」


隣に座っていた諒に肩を叩かれ、みんなよりも私は、1歩遅れて立ち上がる。「礼」と日直が言うとみんなも同時に頭を下げた。


先生が立ち去るとすぐに皆は喜びの表情を浮かべた。たぶん、「ゲームしよ!」とか「早く帰れてラッキー」とか言っている。


「華枝」

肩を叩かれ、その方向を振り向くと諒が「もう帰る?」と聞いた。私はそれに答えるように小さく頷いた。

諒は小学校からの幼なじみ。運動神経がよくてバスケ部に入っている。本当は中学でさよならだったはずなのに何故か高校も同じになってしまった。

本人曰く、たまたま受験したら私が居たらしい。


「華~!諒~!」


教室の外から大きく手を降って私たちを呼んだのは隣のクラスの美和。私が所属する華道部の部長でコミュニケーション能力は抜群。少し適当な所があるけど根はいい奴。


「もう、帰るんでしょ?一緒帰っペ!」

「おん、華枝、行こうぜ」


私は大きく頷き、2人の後ろをついて行った。





教室の外に出ると思ったりより外は大粒の雨が降っていた。


「うわ…雷なっとるやん」

「なに、怖いの?美和」


諒にからかわれて、怖くない!っと強がっている美和。でも体は正直で、ゴゴ…地響きのような音が鳴ると体をビクッと震わせた。


しょうがないな…。


私は美和の手を掴んだ。美和は少し驚いた様子で私を見る。「怖いんでしょ?」と私が言うと美和は素直な笑みを見せた。

 「諒のばぁ~か!!これなら怖くないもんねー」

「はぁ?やっぱり怖いんだろうがよっ」




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