ひみつのアプリ☆願い事バトル

聖sai

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ゲーム開始(前編)

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 白く光る空間に、五人の子どもたちが座っていた。
 上下左右の感覚すらあやふやな、どこまでも白い部屋。
 だが、目の前に現れた長方形のテーブルと、その周囲に設けられた五つの椅子は、なぜか異様に現実的だった。

 子どもたちはそれぞれ、自分がどのようにしてここへ来たのかを──少なくとも、「アプリを起動したこと」を──はっきりと覚えていた。
 最初に声を上げたのは、東條ひかりだった。

「……なにこれ。夢?」

 反対側の椅子に座っていた姫川ゆうが、首を横に振る。

「違う。これは“現実”……たぶんね」

 残りの三人も、それぞれ表情を曇らせながら周囲を見渡す。
 真壁あおい、安藤みこと、佐々木れん。いずれも学年や雰囲気は異なるが、顔ぶれには明らかに共通点がある。
 皆、何かを“願った”経験がある顔をしていた。

 ──そのとき。

「ぱんぱかぱ~ん! 案内人ちゃん、登場っ☆」

 派手な口SEとともに、ひときわ目を引く衣装を身にまとった女性が現れた。
 白いドレスに天使の羽、リボン付きの帽子。まるでコスプレイベントの主役のような見た目だった。

「参加者が揃いましたので、ただいまよりっ! 願い事バトル、開催しま~すっ☆」
「優勝者の“どんな願い事”も、叶えてあげちゃいますよ~♪」
「ただし……最下位の人には、こわ~い罰ゲームが待っています。ふふっ、気をつけてね?」
 
 突然の事にみんなが茫然としてる中、進行は続いていく。
 案内人はどこからともなくピンク色の抽選ボックスを取り出し、手を突っ込んで中から"七"と書かれたピンク色のボールを取り出した。

「今回のゲームは………………ポイント七並べでーすっ!!」

「えっ、七並べ?」

 みことが思わずつぶやく。案内人はにこにこしながら、テーブル中央に浮かぶパネルを操作し、ルールを表示した。

◆ ルール説明(案内人による)
最初に全員へ100ポイントを配布します。このポイントは自由に使ってください。

配られたカードを使って七並べを行います。

カードを出した順に、順位ボーナスが加算されます(1位+50pt、2位+30pt、3位±0、4位-30pt、5位-50pt)

パスは2回まで可能。3回パスすると脱落です。

脱落者の手札は場に出され、順位に加算されません。

暴力行為は禁止ですが、交渉は自由です♪

「つまり……普通の七並べ、ってことだよね?」

みことが不安げに尋ねると、案内人は片目をウィンクして返す。

「さあ? “普通”かどうかは、やってみないとわかりませんよ~☆」

 

──ゲームは、静かに始まった。

 

 配られたカードはそれぞれのカード立てに差され、自分にだけ見える。
 最初に7のカードが場に出され、ゲーム開始の合図が鳴る。

 出せる子は迷いなくカードを置いていくが、早くも数人が手を止めた。
 姫川ゆうもその1人だった。カード立てを確認し、そっと息を吐く。

(1、2、12、13……これは無理だな)

 そう、彼女の手札は“端のカード”ばかり。
 七並べにおいて最も出しづらく、最初から戦略が潰された形だった。

「出せません」
 ゆうが静かに言う。1回目のパス。

 

 他の子たちはゲームに集中していたが、次のターンでも彼女はまた、カードを出さなかった。

「出せません」
 2回目のパス。

 そして、三度目のターン。ゆうはカードを見て、案内人に尋ねた。

「パスを3回すると、私は脱落になるのよね?」
「そのとおりで~す♪」
「手札は、場に出るのね?」
「ルール通り、並べられる範囲でねっ」

 ゆうは目を閉じ、すべてを受け入れるように言った。

「……出せません。3回目です」

 

 脱落が告げられ、案内人が手を鳴らすと、ゆうのカードが自動的に場へ配置された。
 1、2、12、13──どれも出せなかったカードたちだ。

 周囲の子どもたちは一瞬どよめいたが、すぐにゲームに意識を戻す。
 椅子を引いて立ち上がったゆうは、静かにテーブルの周囲を歩き始める。

 ゲームを外側から見下ろす位置。
 彼女は必死に考える。

 ここから、何とか逆転出来る術はないかと──
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