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「憑依霊(ひょういれい)。その女性は、淫魔に取り憑かれていた」
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アラブの友人と喫茶店で会った時、不思議そうな表情をしながら聞かれた。
「日本の女性は悪霊が怖くないのか」
悪霊という言葉に、引っかかった私は、その意味をたずねた。
「ニュースで報道していた歌舞伎町の公園の近くで、売春をしている若い娘の話」
「悪い病気が流行っているそうだね」
「いや、病気じゃなくて悪霊です」
意味が分からず、詳しく内容を聞くと、彼は次のように説明した。
「私の生まれた地域には、セックスと一緒に、相手に憑依した悪霊が、取り憑(つ)くと言われています。だから、よく知らない相手とセックスするのは危険なんです」
そんな、話を耳にするのは初めてだった。試しにchatGPTに聞いてみた。日本にも狐憑きのようなものがあるが、海外にも、アフリカのロア、インドのブータ、中東のジンなどたくさんの憑依霊がいるという。しかし、それがセックスとともに、相手に伝播するとは書いていなかった。彼は、その恐ろしさを私に力説したが、私には実感できなかった。自分にはそのような女性を相手にする気はなかったし、該当する年齢の娘もいなかった。
それから数日後、勤務先の会社の課に新しい女子社員が入り、その歓迎会の帰りだった。彼女は随分、酔っ払っていて、帰る方向が同じの私が送って行くことになった。タクシーの中から、彼女の様子がおかしかった。ブツブツと何か、わからない言葉を呟き続けているのだ。そのまま、帰らせるせることができず、一緒にタクシーを降りると、マンションの彼女の部屋まで送って行った。部屋まで送ると、彼女をベッドに寝かせて、そのまま帰るつもりだった。ところが、ベッドに寝かせようとすると、彼女が抱きついてきた。何とか引き剥がして帰ろうとすると、彼女の目つきが妖しくなり、耳にしたことのない言葉を喋りはじめた。上着を脱ぎ裸になろうともがいている。目が血走り、口からは泡を吹いている。
と、こんな場面を他人に見られては、あらぬ疑いを持たれることになる。私は、狂乱状態の彼女を置いたまま、部屋を逃げ出した。
救急車でも呼ぶべきだったかも知れないと、後悔したが、今更遅かった。彼女の無事だけを祈った。
私の心配をよそに翌日、彼女は、何もなかったように定時に会社に出勤した。
その日以来、私は何があっても、彼女と一緒に帰ることを避けている。あの彼女の状態こそ、憑依そのものでなかったのかと思った。
久しぶりにアラブの友人に会った。彼女のことを彼に話してみた。彼は、絶対に悪霊に憑依されていると断言した。その女性には気をつけろ、と念を押された。そう言われても、私に打つ手はなかった。そんな彼女が結婚することになった。隣の課の若い男性社員だ。
その結婚式が終わった帰り道、彼女と親しい女子社員から、気になる話を聞いた。
「元彼がどこかの国の人で、今の彼にプロポーズされた時、失恋の勢いで承諾したらしいんです」
しばらくして彼女は会社を辞めた。子供ができたらしかった。結婚相手の彼は、最近、仕事のミスや病欠が多いて聞いた。彼に何か起こっているのかも知れない。そう思ったが、彼女にはどうしても近づく気になれなかった。
「日本の女性は悪霊が怖くないのか」
悪霊という言葉に、引っかかった私は、その意味をたずねた。
「ニュースで報道していた歌舞伎町の公園の近くで、売春をしている若い娘の話」
「悪い病気が流行っているそうだね」
「いや、病気じゃなくて悪霊です」
意味が分からず、詳しく内容を聞くと、彼は次のように説明した。
「私の生まれた地域には、セックスと一緒に、相手に憑依した悪霊が、取り憑(つ)くと言われています。だから、よく知らない相手とセックスするのは危険なんです」
そんな、話を耳にするのは初めてだった。試しにchatGPTに聞いてみた。日本にも狐憑きのようなものがあるが、海外にも、アフリカのロア、インドのブータ、中東のジンなどたくさんの憑依霊がいるという。しかし、それがセックスとともに、相手に伝播するとは書いていなかった。彼は、その恐ろしさを私に力説したが、私には実感できなかった。自分にはそのような女性を相手にする気はなかったし、該当する年齢の娘もいなかった。
それから数日後、勤務先の会社の課に新しい女子社員が入り、その歓迎会の帰りだった。彼女は随分、酔っ払っていて、帰る方向が同じの私が送って行くことになった。タクシーの中から、彼女の様子がおかしかった。ブツブツと何か、わからない言葉を呟き続けているのだ。そのまま、帰らせるせることができず、一緒にタクシーを降りると、マンションの彼女の部屋まで送って行った。部屋まで送ると、彼女をベッドに寝かせて、そのまま帰るつもりだった。ところが、ベッドに寝かせようとすると、彼女が抱きついてきた。何とか引き剥がして帰ろうとすると、彼女の目つきが妖しくなり、耳にしたことのない言葉を喋りはじめた。上着を脱ぎ裸になろうともがいている。目が血走り、口からは泡を吹いている。
と、こんな場面を他人に見られては、あらぬ疑いを持たれることになる。私は、狂乱状態の彼女を置いたまま、部屋を逃げ出した。
救急車でも呼ぶべきだったかも知れないと、後悔したが、今更遅かった。彼女の無事だけを祈った。
私の心配をよそに翌日、彼女は、何もなかったように定時に会社に出勤した。
その日以来、私は何があっても、彼女と一緒に帰ることを避けている。あの彼女の状態こそ、憑依そのものでなかったのかと思った。
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