丸の内OLと女マッサージ師の入れ替わり

ジャンタマオ

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指先の記憶

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【登場人物】
斉藤 美月(さいとう みづき)/28歳
 丸の内にある外資系コンサル会社勤務のOL。都会的な美人で、プライドが高く、自己管理にも厳しい。人には弱みを見せず、効率を最優先する仕事人間。週末にマッサージに通うのが唯一の癒し。

三浦 志穂(みうら しほ)/33歳
 下町の個人マッサージサロンで働く女性施術師。穏やかで聞き上手、顧客の心身を癒すことに喜びを感じているが、自分の生活は地味で冴えないと感じている。どこかで人生を変えたいと思っていた。

【第一章:交差】
雨の土曜。美月はいつものように、志穂のサロンに予約を入れた。週に一度のリラックスタイム——とはいえ、美月にとっては“身体を整えるためのメンテナンス”でしかない。

「この肩……かなり張ってますね」

「今週もずっと会議続きだったの。無駄話はいいから、早くほぐして」

志穂は少し苦笑しながら、美月の硬く緊張した身体に丁寧に指を走らせていく。

——その瞬間、不意に部屋の照明がチカッと瞬き、次の瞬間、二人の視界が真っ白に染まった。

【第二章:錯乱】
目が覚めると、美月は施術ベッドに仰向けになっていた。見慣れない天井。そして、自分の手が、年上の女性のそれのようにゴツゴツとしていることに気づく。

同時刻、志穂もまた、違和感に目を覚ました。自分の体が細く、爪が綺麗に整えられ、まるでモデルのような脚が目の前にある。

「……これ、夢じゃない」

慌てて鏡を見る。そこには、互いに知っているはずの“相手”の姿が。

【第三章:生活の交差点】
美月(中身:志穂)は、タワーマンションの一室で目覚めた。最新のスマホ、クローゼットに並ぶ高級ブランドのスーツ、何より鏡に映る完璧な自分の姿に圧倒される。

「こんな……綺麗な人だったんだ……」

一方、志穂(中身:美月)は、狭いサロンの裏部屋で朝を迎え、呼び鈴で顧客が来るたびに立ち上がり、マッサージの技術を必死に思い出そうとするが、指は思うように動かない。

「どうすれば……戻れるの?!」

【第四章:奪う者、奪われる者】
最初は混乱していたが、やがて志穂は美月の“身体”に、そしてその“地位”に、抗いがたい魅力を感じていく。

「これが……自信ってものなのね」

対して美月は、指先に残った志穂の感覚に戸惑いながらも、客の一言一言に救われる。

「ありがとう……今日、すごく癒されたって……」

“他人の人生”が、それぞれの心を変えていく。

【第五章:選択】
元に戻る手がかりが現れる。しかし、それは片方しか戻れないという条件つきだった。

美月(中身:志穂)は、もはや“志穂としての人生”に戻る気がなかった。志穂(中身:美月)に向かって、穏やかに、しかしはっきりと告げた。

「あなたは、マッサージ師として生きて。あの場所は、私よりもあなたに合ってる」

「ふざけないで……それ、私の体なのよ!」

二人は、最終的にそれぞれの“現在の体”で、新たな人生を歩み始める。

【エピローグ:指先の記憶】
かつてのOL美月は、今は“志穂”としてサロンを営みながら、指先に残る感覚で、顧客一人ひとりの心を癒すようになった。

そして“美月”として生きる志穂は、都会の喧騒の中で、他人の目線に怯えることなく、美しく笑っていた。

あの瞬間、互いの人生は確かに交差し、そして……入れ替わった。
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