フォトモデルと女性カメラマンの入れ替わり

ジャンタマオ

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レンズ越しの憧れ

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**志村玲奈(しむら・れな)**は、撮る側の人間だった。

外資系の広告スタジオで働くフリーカメラマン。28歳。
黒髪をひとつにまとめ、モノトーンの服に身を包み、常に無駄のない所作と冷静な眼差し。
彼女のレンズはいつも、モデルたちの一瞬の美を切り取ることに専念していた。


——けれど、心の奥ではいつも思っていた。

(私だって、あの場所に立ってみたかった)

そして、その日、彼女の前に立っていたのが滝沢ルナだった。

ルナは20代半ば。人気急上昇中のフォトモデル。
ハーフのような整った顔立ち、長く伸びた脚、自然体の笑顔、どこをとっても「絵になる」存在だった。

ルナは撮影の合間に玲奈に言った。

「玲奈さんって、すごくスタイルいいのに、どうしてモデルやらなかったの?」

玲奈は苦笑する。

「写真の方が向いてるって、誰かに言われてから、こっちに回っただけ」

「ふーん……じゃあ、もし——立場が入れ替わったら、どうする?」

「……は?」

「私が玲奈さんに、あなたが私に。体ごと、人生ごと、入れ替わっちゃったらさ」

その言葉が何を意味するかもわからぬまま、笑い合う二人。
だがその瞬間、スタジオの照明が一瞬だけ強く瞬き、世界が奇妙にぐらついた。

次に目を覚ました時、玲奈は自分の身体ではなかった。

鏡に映るのは、滝沢ルナの姿。

大きな目、華やかな髪、細くて長い手足。
ブラウスの隙間から覗く胸元の谷間。
自分の意識ははっきりしているのに、身体はまるで別人——いや、本当にルナの身体だった。

目の前には、玲奈の姿をした“誰か”が立っていた。
彼女はカメラを手に持ち、にやりと笑う。

「やっと変われたね。今度は私が“撮る側”を楽しむ番」

そう言い残して、彼女——ルナの中に入った玲奈は、スタジオから出ていった。

一方、“ルナの身体”を手に入れた玲奈は、その場に立ち尽くす。

足先から指先まで、自分のものではないのに、なぜかすでに「馴染んで」しまいそうな感覚。

——そして、そのまま、二人は元に戻ることはなかった。

***

玲奈は、戸惑いながらも、滝沢ルナとしての新しい生活を始める。

目線、仕草、声のトーン——すべてを「彼女のように」ふるまう努力をしながら。

けれどその身体が放つ魅力、周囲から向けられる好意的な視線、
そのすべてが彼女の中に眠っていた承認欲求を静かに、だが確実に刺激していた。

やがて玲奈は鏡の前に立ち、自分の姿を見て、こう呟く。

「悪くない……どころか、最高かも」
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