フォトモデルと女性カメラマンの入れ替わり

ジャンタマオ

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モデルとしての快感

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滝沢ルナの身体を手に入れたその日から、玲奈の生活は一変した。

目覚めて最初に見たのは、白い天井と、艶やかな髪が散らばる高級ベッド。
鏡に映った自分の姿は、まさしく“滝沢ルナ”だった。

胸元まで流れる髪。切れ長の大きな目。スッと伸びた首と肩。
下着のレースの隙間から覗く胸の膨らみさえ、どこか「他人事」ではなくなりつつあった。

(これが……私の、新しい身体)

玲奈は、まだ違和感を抱えながらも、その“他人の美しさ”をまじまじと観察していた。

***

数日後。

ルナのマネージャーに呼び出され、雑誌の撮影現場へ向かった。

「ルナちゃん、今日のテーマは“知的フェミニン”。いつものナチュラルな感じで頼むね」

玲奈は笑顔を作りながらうなずいた。だが、内心は焦っていた。

(“いつもの”って……どうすればいいの?)

ポーズを取ろうにも、ぎこちない。笑顔も引きつってしまう。
だが、カメラマンの声が飛んできた瞬間、ふと身体が反応した。

「——そこ、顎を少し引いて。いいね!」

(えっ……)

次の瞬間には、自然に体がしなり、腰の角度が整い、視線がレンズをとらえた。

(なんで……動けてるの?)

それはまるで、身体が記憶していたような感覚だった。

滝沢ルナという“器”が、経験ごと玲奈に受け渡されたかのように。
その感覚は、快感にすら近かった。

***

その夜、玲奈はルナの部屋でワインを傾けながら、ひとり鏡の前に立っていた。

仕事終わりの濃いメイクのまま、ノースリーブの黒いドレスに身を包んだ自分。
視線、表情、立ち姿——すべてが、鏡の中で輝いていた。

「……私、本当に、滝沢ルナになっちゃったんだ」

かつては、カメラの後ろからこの身体を見つめていた。
“美”を記録する側だった自分が、今はその美の“源泉”にいる。

(あの頃の私が羨んでいたものが、今、全部私の中にある)

——心の奥で、確かにそう思った。

だけど。

ドレスのファスナーを降ろし、ランジェリー姿になっても、
鏡に映る“ルナ”の顔は、どこか違和感を残していた。

(……本当に私が、この中に収まっていいの?)

喜びと不安が、交互に胸を突く。
身体の中にあるはずの“他人の人生”を、自分のものとして生きていく快感と、
そこにある根深い“居心地の悪さ”。

それでも、彼女の口元は静かに笑んでいた。

「でも……悪くない。ねえ、ルナ。あなたが生きてきたこの世界、意外と楽しいよ」

そして玲奈はそっと、胸元に手を添えた。

「私が“あなた”として輝いてあげる。あなた以上に、完璧に」

そう呟いたときの顔は、まるで本物のモデルのように、美しく、そして冷ややかだった。
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