美人OLと亀の入れ替わり

ジャンタマオ

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美人OLと亀の入れ替わり

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真昼の沖縄。白い砂浜に沿って並ぶビーチベッドのひとつに、久美子は大きなパラソルの影を背にしながら、横たわっていた。
潮風が、長く伸びた髪をやわらかく揺らす。



瞼を細め、遠くの水平線を見ながら──久美子はそっと指先を唇へ運ぶ。
「このぷっくり感…やっぱり私の顔に似合う」
指に感じる滑らかさが、取って代わった瞬間の高揚を蘇らせる。

視線を胸元に落とすと、水着の布を押し上げる豊かな曲線が目に入る。
「胸部の脂肪量も…完璧。重さすら愛しい」
波の音と、心臓の鼓動が同じリズムで響く。

ベッドの上でゆったりと足を組み替え、太陽の光にすら映える長い脚を眺める。
「身長も、もう私の一部」
誰よりも視線を集める高さを持っていることが、甘い優越感を与える。

そして──頬を撫でる潮風に、若い肌がさらされる。シミも小じわもない、20歳そこそこの張り。

波打ち際からこちらを見ている男性たちの視線を感じながら、久美子は微笑みを浮かべた。


沖縄の海辺。
ビーチベッドでまどろむ久美子の足元に、のそのそと近づく一匹の海亀がいた。
その甲羅には、不思議な模様──まるで古代の呪文のような刻印がある。

何気なく甲羅に触れた瞬間、眩い光が辺りを包み、次の瞬間──久美子の視界は低く、青白く波の中にあった。
水面に映ったのは、亀の顔。
そして砂浜には、久美子の姿をした亀…いや、「亀の中身の久美子」が立っていた。

亀の中身は生まれてからずっと、ゆっくりとしか動けない性質。
その感覚が久美子の完璧な人間の体に入り込んでも消えることはなく、立ち上がるときに足をもつれさせて転び、ビーチベッドの脚に足の小指をぶつけ、パラソルを倒す──といった具合に、見事なドジっ子ぶりを発揮した。

普通なら失笑されるところだが、そこに立っているのは大きな瞳、ぷっくり唇、長身、豊かな胸、若々しい肌を持つ久美子の外見。
そのギャップが、周囲の男性たちの心を一瞬で掴んだ。

「危なっかしいなぁ」「手、貸すよ」
「可愛い…守ってあげたくなるタイプだ」



ビーチに集まってきた人々が、次々と亀久美子を助けようと手を差し伸べる。
亀久美子はぎこちなく笑顔を返し、またも砂に足を取られてよろける。
そのたびに、助ける側の男性はますます虜になっていった。

SNSには「ビーチのドジ美女」として写真や動画が拡散され、フォロワー数は一日で数十万に。
彼女は人気者となり、沖縄滞在中にカフェや観光地で声をかけられるのが日常になっていく。


一方、海中からそれを見上げる本物の久美子(亀姿)は、波間で呟いた。

「…あのドジは私じゃない。でも、人気は…全部、私の顔のおかげ」


亀だった頃には決して感じられなかった、柔らかく温かい感触が全身を包んでいた。
久美子の姿になった元亀は、ビーチにうつ伏せで大の字になり、指先から足のつま先まで砂に預ける。


潮風が背中を撫で、肌が熱を帯びる。甲羅越しの鈍い感触しか知らなかった過去と違い、直接皮膚が太陽と砂に触れる。

「…これが、人間の体…」

のそのそと腕を動かし、指で砂をすくう。砂粒が手のひらを流れ落ちていく感触は、甲羅を持つ身体では絶対に味わえない繊細さ。
足を左右に動かすと、太ももや腰の筋肉が自然に反応し、砂がじわりと肌にくっつく。

耳に届くのは波の音と、人間たちの笑い声。亀だった頃、遠く水面越しにしか聞こえなかった音が、今は耳元で鮮やかに響く。
胸をそっと砂に押し付けると、そこにある柔らかさが自分のものになったことを、じわじわと実感する。

やがて、彼女は顔を砂から上げ、ゆっくりと海の方へ視線を向けた。
そこには、かつて自分だった亀の仲間たちが、遠くで泳いでいる姿があった。

「もう…あっちには戻らない」

そう呟き、再びうつ伏せのまま、砂の温もりを全身で抱きしめるようにして動きを止めた。


久美子の体を持った元亀は、沖縄の砂浜でのそのそと動いていた。
肌にまとわりつく砂、潮の香り、背中に降り注ぐ日差し──それらすべてが心地よく、ついゆっくりとした動作になってしまう。

ふと視線を横に向けると、数メートル先に別の女性がいた。
褐色の肌、引き締まった背中、水着姿でうつ伏せになり、まどろんでいる。

その瞬間、胸の奥に古い感覚が芽生える。
──オスガメだった頃、交尾期に砂浜で見たメス亀の姿。
「のしかかる」あの動きが、頭ではなく体の奥から湧き上がる。

久美子の外見を持った元亀は、ゆっくりと四肢を動かし、その女性に近づく。
手足を砂に沈めながら、まるで甲羅を引きずるような重心の低い動きで。

やがて隣まで来ると、ためらいもなく彼女の背中に手を置き、体をそっと重ねる。
女性は驚き、「え、なに…?」と振り返るが、そこには完璧な美貌の久美子の顔があった。
周囲の視線が集まり、笑い声とスマホのシャッター音が響く。

「……あ、これ…本能…」

元亀はそう呟きながら、女性の温かい感触と人間の柔らかさを、これまで知らなかったほど鮮明に感じ取っていた。


波打ち際で甲羅を揺らしながら、久美子(亀の姿)は陸に上がってきた。
四肢をのそのそと動かし、湿った砂の上を進むたびに、かつて人間だった頃の感覚とはまったく違う、重くて安定した体の動きが身体に馴染んでいく。

ふと前方を見ると──そこには、久美子の外見を持つ元亀がいた。
豊かな胸、大きな瞳、長い脚を砂に埋め、ビーチで無防備に寝そべっている。
その姿を見た瞬間、亀としての雄の本能が刺激される。

(あれは…メスだ…)

思考はもう人間的ではなく、体の奥から自然に動きが始まる。
甲羅をきしませながら近づき、久美子(亀)はそのまま久美子姿の元亀の背中にのし上がるように覆いかぶさった。


「えっ!?ちょ、何…?」
突然背中に感じる重みと、砂をかく鈍い音に、元亀は驚き振り返る。
そこにあったのは、丸く硬い甲羅と、じっと見つめる亀の目──かつての“自分”の姿だった。

周囲のビーチ客は一瞬ざわめき、そして笑いが起こる。
「カメが美女にのしかかってるぞ!」
「これ、撮っとけ!」

久美子(亀)はその声など気にせず、ただ本能に従って動きを続けた。
元亀は混乱しながらも、背中に感じる重さがかつての自分だと理解し、複雑な表情を浮かべる。


午後の陽射しが傾き始めた沖縄のビーチ。
久美子の外見を持つ元亀は、濡れた髪を手で払いつつ、足跡を残しながらゆっくりと砂浜を歩いていた。
体に沿う水着は、大きな瞳、ぷっくりした唇、長い脚、豊かな胸、若々しい肌の全てを際立たせている。

歩くたび、視線が背中や脚をなぞる。
元亀はその視線を楽しむように、時折振り返って微笑んだ。

「この体…全部が特別だ」
かつて甲羅の中で感じた鈍い潮風と違い、今は肌に直接届く温かさと、人々の熱い視線が、自分を中心に世界が回っているかのような錯覚を与える。


その少し後ろ。
波打ち際で必死に手足を動かす大きな海亀──そこには本物の久美子がいた。
甲羅は重く、砂の上では思うように進まない。
彼女がいくら必死に動いても、元亀が残す足跡はどんどん遠ざかっていく。

(あの魅力は…私のものだったのに…)

長身のシルエット、太陽を反射する滑らかな肌、歩くたび揺れる胸──全てがかつて自分のものだった。
だが、今は甲羅の重みと短い足が、わずか数メートルすらも遠く感じさせる。

波が背中にかかるたび、久美子は絶望を深める。

(このノロマさじゃ…一生、追いつけない)


元亀は砂浜の出口で最後に一度だけ海を振り返り、亀の姿を見つけてもただ微笑むだけだった。
その笑みには、勝者の余裕と、奪ったものを返す気のない冷たさが混じっている。

夕日が砂浜を黄金色に染める中、
一人は軽やかに街へ、
もう一人は波打ち際で取り残され、
二人の距離はもう決して縮まらなかった。




スーツ姿の久美子(外見は完璧な美女、中身は元亀)は、今日も丸の内のオフィスで資料を整えていた。
ガラス張りの高層ビル、落ち着いた色合いのデスク、コピー機の音──海や砂浜とはまるで別世界。

同僚からは「美人だけど、ちょっと天然な人」という評判。
それは、時々ふっと亀だった頃の本能が顔を出すからだった。

昼休み明け、会議室に資料を持ち込もうとした瞬間、何かに引っ張られるような感覚が胸の奥から湧き上がる。
気づけば、彼女はデスク脇のカーペットにゆっくりとうつ伏せになり、大の字に手足を伸ばしていた。

「……え?」
同僚たちの視線が集まる中、久美子はのそのそと腕を動かし、じりじりと床の上を進む。
その動きはまるで砂浜で甲羅を引きずる亀のようで、本人は無意識に心地よさを感じていた。

周囲の反応と自分の感覚
「久美子さん…大丈夫?」「腰痛体操?」
笑いをこらえる声が漏れ、スマホで撮影する同僚もいる。
久美子は慌てて立ち上がるが、スカートの裾や髪にカーペットの跡がつき、頬を赤らめながらも、胸の奥では妙な満足感が残っていた。

(…やっぱり、こうして手足を広げて動くと落ち着く…)


都会と本能のはざまで
その後も、誰もいない廊下や休憩室の端で、時々この“大の字”が出てしまう。
丸の内OLとしての完璧な外見と、突如見せる動物的な仕草──
それは同僚たちの間で、密かな「癒し動画」として共有されるようになっていた。

(人間として生きてるのに…亀だった頃の自分は、完全には消えないんだ…)


久美子の外見を持つ元亀は、丸の内の大手企業で事務職として働き始めて数か月。
端正な顔立ちとモデルのようなスタイルは社内でも評判で、コピー室や給湯室に立つだけで注目を浴びていた。

だが──時々、亀としてのオスの本能が、不意に顔を出す。

ターゲットは“可愛い女性社員”
ある日、昼休み後のオフィス。
ふと隣の席の若い女性社員・美咲が、イスから少し腰を浮かせ、書類を取ろうと前傾姿勢になった。
その瞬間、元亀の脳裏に、砂浜で見たメス亀の姿がよぎる。

気づけば、彼女はゆっくりと椅子から立ち上がり、無意識に美咲の背中に近づいていた。
腰を低く落とし、腕を伸ばし──まさに“のっかかる”動き。


「えっ…久美子さん?な、なに?」
驚く美咲を前に、元亀はハッと我に返り、慌てて笑顔を作る。

「あっ、あの…肩にホコリがついてたから取ろうと…」

だが周囲の同僚は、妙な間と距離感にクスクス笑いをこらえる。
中にはスマホで撮っている者もいて、「また“久美子さんの奇行”だ」と社内チャットに投稿される始末。


休憩室で一人になった久美子(元亀)は、冷たい水を一口飲みながら深くため息をつく。

(いけない…わかってるのに…あの距離に入ると、体が勝手に動いちゃう…)

外見は完璧なOL、内面はオスガメ。
都会のど真ん中で、理性と本能のせめぎ合いは続いていた。
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