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01リアル世界で
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数十年たった世界ではたくさんの分野が発展した。
どんな小さな工場も全自動が基本的になり、
[人造人間]や、クローンができていた。
もちろんVRゲームも例外ではなかったのだが…
あまり著しくなかった。
動きが制限されるため、ジャンルは大体がレール型シューティング、動きの大きくないシュミレーションに限られていた。
また、会話をフォントで出すと現実味が損なわれるためNPC【ノットプレイヤーキャラクター】をフルボイスにしなければならない。
という風潮が追い討ちをかけて、開発側の大きな負担となっていた。
しかし、とあるベンチャー企業に突然現れ、姿を消したプログラマーは一つのゲームを残した。
それは、[Free travelers]【フリートラベラーズ】である。
とうとうこの[ゲーム]が[もう一つの世界]となる時が来たのです。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「なあ、たっくん聞いてる?」
目の前でしつこいぐらい話しかけているのは、幼馴染の笠見 真隆。
男子の割にはきれい好きで意外と女子に人気がある。
悪いところといえば、とにかく頭が悪い。
いやさ大して賢くもない俺が言うのもなんだけど、クラス平均85点のテストで
5点取るぐらいだからなー。ちなみにおれはちょうど平均点ぴったりだった。
「ああ聞いてましたよー。」
「本当かなー、じゃあたっくんはどうする?」
俺はわからないのをごまかし、逃げるように目をそらした。
「やっぱ聞いてないじゃん。通常版と特別版どっちにするかっていう
話だったな。特別版は値が張るけどゲーム内特典が付くらしいし。」
「いつの間にか買うのが決定になってるけど…」
「えー買うって言ってたよね。値段も通常版なら本体込みで9000円だし。」
ゲッ、俺はいつの間に買うなんて言ってしまったんだ。眠くなってから返事してたけどさ。
まあ言っちゃったのは仕方ないか。
「じゃあ俺は通常版を買うぞ。」
「じゃあ僕も通常版を…と言いたいところだけど特別版にするよ。たっくんには負けたくないし。」
「そうか。」
彼は、ずいぶん前から負けず嫌いな所がある。
そんな休み時間のやり取りがあった後、
学校から家に帰った俺は親が寝ている横をすり抜けパソコンの前に座った。
「さて買うのが決まったのはいいもののどんなゲームか知らないしホームページを見てみるか。」
見てみると早々に、『VRMMOついに実現』という煽り文句とともに広大なBGMが流れてくる。
書いていた情報をまとめると、日本限定発売で地球六個分ぐらいのマップがあり、
5億人同時接続ができ外国語も自動で翻訳してくれるらしい。
…あいつぐらいに脳筋じゃないか。
たったのゲームなのに地球六個もやりこむひとがいるのだろうか?
それはまだいい、日本限定発売なのに外国語自動翻訳や5億人同時接続いらないしな。
まだ日本の人口1億人だし、ゲームのために引っ越す人がいると思わないな。
才能の無駄遣いも行き過ぎると哀れに思える。
帰りにならんで買ったけど遊べないので初期設定をした。
別に、クソゲーじゃなかったらいいんだけどね。
そんなことを考えていると、
「建栄、帰ってきてたのか。」
「ただいま。そういえば父さんもうそろそろ仕事だよ?」
俺の父さん【水下俣季】(みずしたまたひで)は、
機械に仕事をとられ、夜勤になっていた。
(【機械電力制限法】によって電気の制御を名目に、
深夜の機械労働は禁止されており、多くの労働者が、
深夜に働いている。)
「わかった、すぐ起きる。」
「今日の晩ご飯は、もう用意できてるから。」
「ありがとう。」
そう短く言うと、眠そうに腰を上げた。
日が沈んだにも関わらず、彼の一日はまだ始まったばかりなのだ。
どんな小さな工場も全自動が基本的になり、
[人造人間]や、クローンができていた。
もちろんVRゲームも例外ではなかったのだが…
あまり著しくなかった。
動きが制限されるため、ジャンルは大体がレール型シューティング、動きの大きくないシュミレーションに限られていた。
また、会話をフォントで出すと現実味が損なわれるためNPC【ノットプレイヤーキャラクター】をフルボイスにしなければならない。
という風潮が追い討ちをかけて、開発側の大きな負担となっていた。
しかし、とあるベンチャー企業に突然現れ、姿を消したプログラマーは一つのゲームを残した。
それは、[Free travelers]【フリートラベラーズ】である。
とうとうこの[ゲーム]が[もう一つの世界]となる時が来たのです。
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「なあ、たっくん聞いてる?」
目の前でしつこいぐらい話しかけているのは、幼馴染の笠見 真隆。
男子の割にはきれい好きで意外と女子に人気がある。
悪いところといえば、とにかく頭が悪い。
いやさ大して賢くもない俺が言うのもなんだけど、クラス平均85点のテストで
5点取るぐらいだからなー。ちなみにおれはちょうど平均点ぴったりだった。
「ああ聞いてましたよー。」
「本当かなー、じゃあたっくんはどうする?」
俺はわからないのをごまかし、逃げるように目をそらした。
「やっぱ聞いてないじゃん。通常版と特別版どっちにするかっていう
話だったな。特別版は値が張るけどゲーム内特典が付くらしいし。」
「いつの間にか買うのが決定になってるけど…」
「えー買うって言ってたよね。値段も通常版なら本体込みで9000円だし。」
ゲッ、俺はいつの間に買うなんて言ってしまったんだ。眠くなってから返事してたけどさ。
まあ言っちゃったのは仕方ないか。
「じゃあ俺は通常版を買うぞ。」
「じゃあ僕も通常版を…と言いたいところだけど特別版にするよ。たっくんには負けたくないし。」
「そうか。」
彼は、ずいぶん前から負けず嫌いな所がある。
そんな休み時間のやり取りがあった後、
学校から家に帰った俺は親が寝ている横をすり抜けパソコンの前に座った。
「さて買うのが決まったのはいいもののどんなゲームか知らないしホームページを見てみるか。」
見てみると早々に、『VRMMOついに実現』という煽り文句とともに広大なBGMが流れてくる。
書いていた情報をまとめると、日本限定発売で地球六個分ぐらいのマップがあり、
5億人同時接続ができ外国語も自動で翻訳してくれるらしい。
…あいつぐらいに脳筋じゃないか。
たったのゲームなのに地球六個もやりこむひとがいるのだろうか?
それはまだいい、日本限定発売なのに外国語自動翻訳や5億人同時接続いらないしな。
まだ日本の人口1億人だし、ゲームのために引っ越す人がいると思わないな。
才能の無駄遣いも行き過ぎると哀れに思える。
帰りにならんで買ったけど遊べないので初期設定をした。
別に、クソゲーじゃなかったらいいんだけどね。
そんなことを考えていると、
「建栄、帰ってきてたのか。」
「ただいま。そういえば父さんもうそろそろ仕事だよ?」
俺の父さん【水下俣季】(みずしたまたひで)は、
機械に仕事をとられ、夜勤になっていた。
(【機械電力制限法】によって電気の制御を名目に、
深夜の機械労働は禁止されており、多くの労働者が、
深夜に働いている。)
「わかった、すぐ起きる。」
「今日の晩ご飯は、もう用意できてるから。」
「ありがとう。」
そう短く言うと、眠そうに腰を上げた。
日が沈んだにも関わらず、彼の一日はまだ始まったばかりなのだ。
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