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第二章

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 5階のボスも割とあっさりと倒し、俺たちは次の階の階段周囲の安全地帯にいる。
 「ここまでは順調だな……油断する訳じゃないが今までネメシス、君の防御魔法を貫通する様な敵も居なかったし、正直……気が抜けそうだ。1階の例の触手の間が気のピークだったとすら思う」
 「旦那様、油断はなさらず……といいたい所ですが、確かに少々、拍子抜けしそうになります。勿論これが油断を誘う、周到な罠の可能性もありますが……」

 「……」
 ……ウェンティがさっきから黙っている。
 「……ウェンティ? どうしたんだ?」
 「……ううん、もうそろそろ夢で見たネックレスが手に入るのかなって……勿論記憶が戻るのは嬉しいけど、これで皆ともお別れなのかなーと思うと……」
 「あら、ウェンティさんはわたくし達と別れたいのですか?」
 「そんな事ない! ずっと……ずっと一緒にいたいよ……」
 「なら居ればいいんじゃありませんか? 別にわたくし達は金銭的に充分余裕ありますし、旦那様ももう3,4人くらい妻を増やしても充分な精力ありますしね♪」
 「ちょっ!! おまっ!!」
 「せ、精力って……あ、アヤカートは魅力的だけど……まだ出会ったばっかりだし……さ、最初は交換日記から……」
 「妻というのはアレだが、確かに俺もネメシスも、婚約者のアテナも収入はある。まぁまだ記憶を取り戻す前で未確定だろうが、もし記憶が戻ったとして行く宛がなかったら、ウェンティさえよければ一緒に暮らしてもいいんだぞ」
 「ほ、本当?」
 「その為には最後まで、気を抜かずにしっかりしないとな……もしかすると次の階では俺達だけでは到底突破出来ない敵がいて、一撃でやられるかもしれない……俺も気が抜けそうになってて言えた義理じゃないが、最後までしっかりと気合を入れて進まないとな!」
 「う、うん……頑張るよ!」
 「さ、そうと決まれば……また防御魔法もかけ直しますし、しっかり休み、装備の点検もしませんとね♪ 焦らせる訳ではありませんが、後4日ほどで最初の予定滞在日数を越えてしまいますわ……せめてサキョウの街にあるピュアウォーター寺院には行きませんとね♪」
 ピュアウォーター……清い水、か……何かどこかで聞いた事があるな……ウェンティを連れて行って、嫉妬深いあの御方にそこの舞台から突き落とされたらどうしよう……orz

 5階と6階の間の安全地帯で1日を過ごす。流石に昨晩はネメシスは襲ってこなかった……ざ、残念なんて思ってないんだからなっ!
 テントから這い出すと迷宮の肌寒い空気がちょうどいい気付けになってくれる。ほどなくしてネメシスとウェンティも起き出してくる。
 「おはようございます、旦那さま。昨晩はよく寝られましたか?」
 「おはよう……ここは冷たくて気持ちいい……」
 「二人ともおはよう、俺は体調も士気もばっちしだ。食事と準備体操、装備の確認をして直ぐ出発してもいい。君たちは大丈夫か?」
 「ええ、わたくしもウェンティさんもしっかり休んで、体調万全ですわ♪ 昨晩激しい運動をしてても良かったくらいd」
 「さ、さっそく準備をして6階の攻略だ!」ネメシスの言葉に被せる様に俺は号令をかける。
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