始まりの魔女と

あるまん

文字の大きさ
4 / 7
第一章

第4話

しおりを挟む
「初めまして、王女様an incognito princess。まずは淹れ立ての紅茶Darjeelingをどうぞ」

 ……噂に聞いていたけれど、確かに極上の宝石ね。紅榴石garnetの様な紅く大きな瞳と整った顔、小柄な背と小ぶりの乳首、締まった腰と細い手足。ドブネズミ共に攫われたと言っていて心配したけど、まだ未通女おぼこな様ね。
 でもやはり……全て曝け出すが如くな純白と全て覆い尽くすが如くな漆黒の対比contrast……其の美しき長髪が印象的ね。
 出来れば声も聞かせて欲しいけど……?

「嗚呼、其の小鳥ちゃんは先程から一言も喋ってさえずってくれないんだ……サウィンドの第三王女は、らしいね」
「震えていますね……暗く湿った古城の地下牢よりは快適だと思いますが……余程目の前で凄惨な殺戮へたくそなおどりでも見せられたのかしら?」
「こ、今回は其れでも気を使って頭骨を粉砕したり、蜃気楼mirage knifeで針千本が如くにはしてないさ……ただ最後の溝鼠を目の前でした時……血飛沫がかかってしまってね……」
「同じ事ですね……僅か数刻の演武も満足に出来ないとは……今宵も哭く程の調教が必要でしょうか?」
「って、何時も哭いてるのは寧ろFräuleinの方で……ちべたちべた折角乾きかけた髪の毛がああああっ!!」

 先程と同じ様にassassinを氷漬けにし、改めて目の前の、1枚の布silkに包まれているだけの黒白の少女に問いかける。

「さて、貴方には幾つかの選択肢があります。一つは抜け出した檻城での軟禁生活に戻る事……」
 少女はふるふると首を振り拒絶を示す。
「もぅ一つは其の肢体を切り刻まれ、魔王様のおやつとして献上される事……」
 少女は何も言えないが……先程より震えが強くなった。
「もぅ一つは……この国の王宮の監視が及ばない程遠い国に流される事……勿論其の目立つ黒白も隠さねばいけませんし、幾つかは戴きますが……」
 私は少女の布を外し、腹に人差し指を当て、つつとまだ毛も生えてない股間迄なぞる……少女はぴくりとはしたが、自分が何をされるか解っていない状況だ。

「……って、年端も行かぬ籠の鳥にこの様な脅しをかけても面白くないですね。せめて哭き声が聞ければいいのですが……どうも心身的要因ではなく、是は……かなり古い呪詛の様ですね。解けなくもないですが少し時間がかかります」
「ほう、かの「ミストレイジの奇蹟」をして其処迄とは……其の呪詛を呟いた術者は余程稀有の存在だったんだね」
「魔術の鍛錬を捨て人の解体へ特化する道を選ばなければ、貴方でも出来た程度の呪詛ですよ」
 横の氷漬けgelatoにされた魔導暗殺者に返答しながら、私は着ていた呪衣mage's robeを脱ぐと、透き通る程肌白の少女の首筋に舌を這わす。ぴくん、とする少女。

「まぁ、この髪色に迄影響を及ぼす程の内包魔力vaginal dischargeを吸い取れば、必然呪詛も弱まるでしょう……其の儀式foreplayに精神の方が持つかは解かりませんがね……ほらassassin、いや泥棒鼠、貴方も手伝いなさい……」
「手伝うにも、ワタシの手足は氷漬けの侭なのだが……」

 深夜の書架にて、三人の少女達の「秘密の、濃密なる宴Sabbath」が始まった……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...