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おじさん♡逆襲です②
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「必ず、君を幸せにする」
セスが熱い決意を胸に、君を説得している。
ぜひ、君は彼の言う通りになさい。
そうしてゆるりと、Ωらしくなされよ。
君が眠る間に、我らは算段をつけている。
俺の『推察』の能力で推し測った相手の状況を、アレックスの『読心』の能力で検証する。
先様の内情をより詳細に知ることで攻撃をかわし、また策略に落ちぬように気を配る事も可能だ。
何より、動くべきか、動かざるべきかの時機を察知する事が出来よう。
能力を、掛け合わせる。
これはアレックスの言い出した事だ。
独善的な傾向が強いα的な思考では、通常なら辿り着かぬ発想である。
実は…
これは妻から着想を得た事だった。
リリィには、二つの自我が存在する。
それがとても上手く絶妙に掛け合わさって、妻という人は成り立っているようなのだ。
この事はセスと俺も折々に思う所があった。
妻は多彩で感情豊かな人で…
突飛な振舞いも多く、違和感を感じていた。
だが、確信は持てずにいた。
しかし、弟は確かに聞いている。
妻から発する、二人の心の声を…
とは言え彼としても得て間もない、使い勝手の知れぬ能力を駆使しての事だ。
だから非常に不確かな、感覚的なものである。
これは、そんな前置きをしてからの説明だった。
『リリィの御心に座す、お一人は意志を持ちつつも、…何というか、感情が有りません』
この人は衝動的な発言しかしない。
特に性交にまつわる事柄に反応すると言う。
『故に発する言葉も淡白で、…情緒に欠けます』
おそらく、それは…
それこそが、『リリィ』なのだ。
歴史に残る『西欧のリリィ』の人物像に合致する。
…空虚なる心であることは、潤しのΩ女王の『器』に相応しい。
ただ受け入れては、ただ産み落とすのに相応しい。
『西欧のリリィ』に相応しい素質である。
『もう一人。こちらの御方こそは…リリィの爆発的な愛らしさの素なる方です!』
何とも奇怪な説明だった。
…だが、何故か合点がいくのだった。
『この御方こそが!兄上方がよくご存知の、あの、可愛い人だ』
俺と相棒が愛してやまぬ、可愛い人。
それは、誰だ。
それは『リリィ』では無い。
この人は…
空虚でなどありえない人だ。
感情が豊かで愛すべき人なのだ。
君がもし『リリィ』しか居らぬ人だったとしたら…
こんなにも君に恋焦がれただろうか。
こんなにも君を愛しただろうか。
…それは、愛したであろう。
αである以上、Ωを愛さずにはおられぬ。
しかし、こんなふうにでは無い。
だとしたら!
俺が、セスが、アレックスが…
事実、愛しているのは誰だ。
「必ず、幸せ…か。それはとっても難しい事だよ」
酷く平坦で、極端に抑えた声音で妻は言った。
追想に懊悩していた俺は、妻の発言で現実に引き戻された。
逸れていた意識が、唐突に引き付けられる。
…何という、大人びた言い方だ。
「…ッ、それはその通りだ。しかし、君に苦労はさせぬ。君の幸せの為に力を尽くす。例え命に替えても!」
セスは妻の鋭い一矢に、歯軋りを堪えて応えた。
だが、対する君はまるで納得などする様子はない。
それどころか…
深い溜息と共に更なる矢を放った。
「…そろそろ、諦めてくれないか。僕は君達が思う様な可愛い奥さんにはなれないんだよ」
…それは、どう言う意味だ。
どう考えても、君は可愛い。
「では、君は実際にはどの様な人なのだ?」
俺の疑問をそのままに、相棒が妻を問いただした。
「…それ、言っていいの?」
問いかけに問いかけで返すとは…
可愛くない。
「聞く気は、あるのかな?」
…驚いた。
君は俺達を挑発しているのか。
「もちろんだ。君の全てを、俺は知りたい」
よかろう、受けて立つ。
俺は君を愛している。
君の全てが愛おしい。
何故なら、君は俺の全てなのだから!
\\\٩(๑`^´๑)۶////
「必ず、君を幸せにする」
セスが熱い決意を胸に、君を説得している。
ぜひ、君は彼の言う通りになさい。
そうしてゆるりと、Ωらしくなされよ。
君が眠る間に、我らは算段をつけている。
俺の『推察』の能力で推し測った相手の状況を、アレックスの『読心』の能力で検証する。
先様の内情をより詳細に知ることで攻撃をかわし、また策略に落ちぬように気を配る事も可能だ。
何より、動くべきか、動かざるべきかの時機を察知する事が出来よう。
能力を、掛け合わせる。
これはアレックスの言い出した事だ。
独善的な傾向が強いα的な思考では、通常なら辿り着かぬ発想である。
実は…
これは妻から着想を得た事だった。
リリィには、二つの自我が存在する。
それがとても上手く絶妙に掛け合わさって、妻という人は成り立っているようなのだ。
この事はセスと俺も折々に思う所があった。
妻は多彩で感情豊かな人で…
突飛な振舞いも多く、違和感を感じていた。
だが、確信は持てずにいた。
しかし、弟は確かに聞いている。
妻から発する、二人の心の声を…
とは言え彼としても得て間もない、使い勝手の知れぬ能力を駆使しての事だ。
だから非常に不確かな、感覚的なものである。
これは、そんな前置きをしてからの説明だった。
『リリィの御心に座す、お一人は意志を持ちつつも、…何というか、感情が有りません』
この人は衝動的な発言しかしない。
特に性交にまつわる事柄に反応すると言う。
『故に発する言葉も淡白で、…情緒に欠けます』
おそらく、それは…
それこそが、『リリィ』なのだ。
歴史に残る『西欧のリリィ』の人物像に合致する。
…空虚なる心であることは、潤しのΩ女王の『器』に相応しい。
ただ受け入れては、ただ産み落とすのに相応しい。
『西欧のリリィ』に相応しい素質である。
『もう一人。こちらの御方こそは…リリィの爆発的な愛らしさの素なる方です!』
何とも奇怪な説明だった。
…だが、何故か合点がいくのだった。
『この御方こそが!兄上方がよくご存知の、あの、可愛い人だ』
俺と相棒が愛してやまぬ、可愛い人。
それは、誰だ。
それは『リリィ』では無い。
この人は…
空虚でなどありえない人だ。
感情が豊かで愛すべき人なのだ。
君がもし『リリィ』しか居らぬ人だったとしたら…
こんなにも君に恋焦がれただろうか。
こんなにも君を愛しただろうか。
…それは、愛したであろう。
αである以上、Ωを愛さずにはおられぬ。
しかし、こんなふうにでは無い。
だとしたら!
俺が、セスが、アレックスが…
事実、愛しているのは誰だ。
「必ず、幸せ…か。それはとっても難しい事だよ」
酷く平坦で、極端に抑えた声音で妻は言った。
追想に懊悩していた俺は、妻の発言で現実に引き戻された。
逸れていた意識が、唐突に引き付けられる。
…何という、大人びた言い方だ。
「…ッ、それはその通りだ。しかし、君に苦労はさせぬ。君の幸せの為に力を尽くす。例え命に替えても!」
セスは妻の鋭い一矢に、歯軋りを堪えて応えた。
だが、対する君はまるで納得などする様子はない。
それどころか…
深い溜息と共に更なる矢を放った。
「…そろそろ、諦めてくれないか。僕は君達が思う様な可愛い奥さんにはなれないんだよ」
…それは、どう言う意味だ。
どう考えても、君は可愛い。
「では、君は実際にはどの様な人なのだ?」
俺の疑問をそのままに、相棒が妻を問いただした。
「…それ、言っていいの?」
問いかけに問いかけで返すとは…
可愛くない。
「聞く気は、あるのかな?」
…驚いた。
君は俺達を挑発しているのか。
「もちろんだ。君の全てを、俺は知りたい」
よかろう、受けて立つ。
俺は君を愛している。
君の全てが愛おしい。
何故なら、君は俺の全てなのだから!
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