『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月

りょう。

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閑話

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「今頃お姉さまは美味しい料理でも食べているのかしら」

流れる様な波打つ黄金の髪を鬱陶しそうに肩に流しながら、とある少女が呟いた。
まるで天使が舞い降りたかの様に美しい中性的な顔にある唇が、つまらなそうに尖っている。

「そのかわり、貴女の嫌いな人付き合いを毎日していると思うわ」


こちらはこちらで、女神のごとく美しい顔だった。困ったとばかりに眉をたらし、束ねられた絹の様な銀色の髪がサラリと揺れる。

天使の方は机の上に肘をついて顔を支え、その顔に似合わない渋い表情でため息をついた。
女神が温かい茶を入れて反対の机の椅子に腰掛けると、2人は束の間の休憩に入ったようだ。


「うへー、お貴族の付き合いとか絶対に大変」
「ふふ、そうねぇ。貴女は絶対向いてないわねぇ」
「はぁ、嫌だなぁ。でも、これからはやらなきゃいけないんでしょう?」
「セスが戻ってこないという事は、そうなんでしょうね」


顔を机に伏せて、イヤイヤと顔を横に振る天使を、女神は柔らかい表情で眺めていた。
天使は、嫌な事があると俯いて首を振る癖がある。

暫くすると落ち着いたのか、赤くなったおでこを抑えながら顔を上げた天使が、お茶を全て飲み干し席から立ち上がった。

「明日雨だった。野菜にシートかけてくる」
「あら、忘れてた。お願いしてもいい?」

コクンと頷き、扉から出て行く天使を見送りながら、女神は呟く。


「はぁ……私もあの場所に戻りたくないわ」


その声は、誰にも聞かれる事はなく泡のように消えて行った。


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